磯山友幸「経済ニュースの裏側」

財務省が「国の借金」を80兆円も下方修正。消費増税不可欠と国民に思わせ続ける財務省とマスコミの罪

2015年02月18日(水) 磯山 友幸
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photo thinkstock photos/Getty Images

財務省は2月10日、昨年12月末段階の「国の借金」の残高を発表した。国債に借入金と政府保証債務を加えたもので、1029兆9205億円だった。

3ヵ月で9兆円も国の借金が減少

これを報じた新聞各紙の見出しは見事に同じだった。

「『国の借金』12月末は1029兆円 国民1人当たり811万円」(日本経済新聞)

「14年末の国の借金1029兆円 1人当たり811万円」(朝日新聞)

「昨年末の国の借金は1029兆円   1人当たり811万円3月末には大幅拡大も」(産経新聞)

こんな具合である。

この統計は3ヵ月ごとに発表されている。国内総生産(GDP)統計などと同じだ。GDPは周知の通り、3ヵ月前の前期と比べてプラスかマイナスかが見出しになる。ところが今回、国の借金では肝心の比較が見出しになっていなかった。

実は、今回の統計数字は財務省にとって「不都合な真実」を物語っていたからだ。実は、昨年末の国の借金は、3ヵ月前の9月末に比べて8兆9945億円も減少していたのだ。

もちろん新聞も本文にはそれを書いている。日経新聞はこう書いた。

「ただ、9月末からの3ヵ月間でみると8兆9945億円減った。政府短期証券の残高減少が寄与した。通常は短期証券が償還を迎えた際、借換債の発行でまかなうが、今回は余裕資金を充てたという。技術的で一時的な要因が大きい」

余裕資金が生じたのは税収が増えたことが大きいと見られる。円安による企業業績の改善で法人税収が見通しを上回っているほか、所得税収も増えている。株価の上昇によって有価証券売却に伴う所得税などが増えているのだ。アベノミクスの効果が税収に表れていると言える。

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