経営 X 人事

BABYMETALに学ぶ
グローバル戦略と人材マネジメント

ソーシャル・メディアが言葉の壁をも超えて、各地のマーケットを統合する時代。インターネット化したグローバル時代の人材マネジメントのあり方について、前例に縛られずに考え、実行するべき時が来ています。

インターネット化した世界で
人事部門が果たすべき役割とは

 そもそも、私の連載タイトルは「次世代=グローバル人事へのヒント」ですが、ここまでグローバルとは何かについては言及してきませんでした。ですから、今回はグローバルとは何かについて整理し、インターネット化した世界で人事部門が果たすべき役割について考えたいと思います。

 LinkedInの普及でグローバル労働市場が現実化したように、YouTubeやiTunes Storeなどのグローバル・プラットフォームが浸透したことで、音楽や映画などのエンターテインメント市場も統合されつつあります。

 それは、ビジュアル、ダンスなどの表現方法やコンセプトの斬新さによっては、日本人でも日本にいながら世界で戦える環境が整ってきていることを意味します。

 実際、安倍総理の成長戦略第2弾スピーチにも取り上げられ、ユニークなビジュアルとシンプルかつ印象的なメロディが売りの「きゃりーぱみゅぱみゅ」やヘビーメタルとアイドルの融合というユニークなコンセプトの基に結成された3人組女性アイドルグループの「BABYMETAL」は海外でもブレイクしています。

 日本語という言葉の壁を越えて、グローバルで成功することはとても難しいとされていた音楽業界でもここに来て成功事例が出てきているのです。

 あまり知られていませんが、彼女たちの躍進のきっかけは、アメリカの大物ミュージシャン(レディー・ガガがBABYMETALを、ケイティ・ペリーがきゃりーぱみゅぱみゅを)がTwitterで彼女達を紹介したことです。

 その結果、YouTubeでのビデオの視聴回数が増え、iTunes Storeで曲が売れ、TVや雑誌などのマスメディアでも好意的に取り上げられ、認知度を高めていくというサイクルができました。

 ソーシャル・メディアがここまで世界で普及していなければ、彼女達はこれだけ短期間で海外で成功することは不可能だったはずです。それだけ、ソーシャル・メディア・プラットフォームの情報拡散力は一度火がつけば凄まじいといえます。

 私たち、日本人が無意識に持っている、日本と世界を隔ている頭の中にある壁を取り除けば、日本にいながら世界市場にアプローチすることが可能であることが証明されたのです。

経営 X 人事 特集TOPに戻る

SPECIAL TOPICS

鈴木雅則

1972年福島県生まれ。QVCジャパン 人事部門 タレントマネジメントグループ ディレクター。
(米)コーネル大学人材マネジメント・組織行動学修士。GE(ゼネラル・エレクトリック)とグーグルで採用・リーダーシップ開発業務などに携わる。2011年、人事コンサルタントとして独立し、主に日本企業に対してリーダーシップ研修や人事コンサルティングを実施した。2013年、QVCジャパンに入社。2014年より現職。著書に「リーダーは弱みを見せろ」(光文社新書)がある。KPCマネジメントスクール「経営人事イノベーションコース」講師。


次世代=グローバル人事へのヒント

外国人の採用など、多くの企業が人事のグローバル化を迫られている。従来型の制度設計では齟齬を生じる場面も多いだろう。では、どのように考え、何を変えればいいのだろうか。筆者はGE、グーグルで採用と育成に携わった。その経験をベースに、一般的な外資系企業ではどんな人材マネジメント(標準的な型)が行われており、その人材マネジメントはどのような前提やフレームワークをベースに行われているのかを考察する。

 

「次世代=グローバル人事へのヒント」

⇒バックナンバー一覧