トップページ科学・医療ニュース一覧核のゴミ処分 基本方針の改定案大筋了承
ニュース詳細

核のゴミ処分 基本方針の改定案大筋了承
2月17日 15時05分

核のゴミ処分 基本方針の改定案大筋了承
K10055233811_1502171934_1502171944.mp4

原発から出るいわゆる核のゴミの処分について、国の「基本方針」の改定案が経済産業省の専門家会議で大筋で了承されました。
技術的な問題などがあれば処分を中止して回収できるようにすることや、候補地になる地域の住民との対話の場を設けることなどが新たな柱になっていて、今後より具体的な計画を策定し、幅広い理解を得ながら進めていけるかが課題になります。

原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる“核のゴミ”は、地下300メートルより深い安定した地層に埋める「地層処分」をする計画ですが、国が13年前に始めた公募による処分場の候補地探しが進まず、経済産業省の専門家会議が抜本的な見直しを進めてきました。
新しい「基本方針」の案は17日の会議に示され、大筋で了承されました。
それによりますと、新たな柱として、地層処分の計画は維持しながら技術的な問題などが明らかになった場合や政策の変更に対応するため、埋めたあとでも処分を中止して回収できるようにすること、処分場の候補地は国が適した「有望地」を示したうえで、住民との対話の場を設けて合意を得ることを盛り込んでいます。
また現在は、使用済み核燃料を再処理したあと、ガラスと固めた廃棄物を処分するとしていますが、処分までには時間がかかることなどから、使用済み核燃料を保管する場所を拡大することや、再処理せずに直接処分するための調査研究も進めるとしています。
今回の基本方針案について、政府は今後一般からの意見募集をへて来月下旬に閣議決定したいとしています。
核のゴミの処分を巡っては、安全性や政策の進め方に対する不信や不安が根強く、今後より具体的な計画を策定し、幅広い理解を得ながら進めていけるかが課題になります。
会議のあと、増田寛也委員長は「安全性の観点から有望地を選ぶとか、地域で合意形成のための対話の場を作るとか基本的な考え方には多くの国民に異論がないと思う。ただ、具体的にどう進めるかはいろいろな意見があるだろう。まずは高レベル放射性廃棄物がどういう問題を抱えているかということから、国民に理解してもらわなければいけない。基本方針が閣議決定されたら、経済産業省が全国各地で説明していってもらいたい」と話しました。

日本学術会議「国民の納得得ることが重要」

長年にわたる議論がありながら、最終処分場が決まっていない高レベル放射性廃棄物、いわゆる“核のゴミ”の問題について、日本の科学者を代表する内閣府の特別機関、日本学術会議は、原発事故の翌年に、「最終処分は社会的合意形成が極度に困難」と指摘しました。
その理由として、「エネルギー政策・原子力政策の社会的合意が欠如したまま」であることなどを挙げています。
そして、社会的な合意を形成していく十分な対話をする間、核のゴミを暫定的に保管しておくことが必要だとしています。
また「発生するゴミ全体の量、総量管理の考え方が欠落しており、高レベル放射性廃棄物が無制限に増大していくことへの歯止めが効かなくなるのではとする危惧がある」とも指摘しています。
日本学術会議が来月にもまとめる国への提言の中では、新たな核のゴミが発生する原発の再稼働を判断する際には、電力会社が暫定的に保管する施設を確保することを条件にすべきだとしています。
そして、暫定保管の期間を50年とし、そのための施設は各電力会社が少なくとも1か所ずつ確保すること、負担の公平性から原発が立地している地域以外に建設すること、それに、国民も原発による電力の利用者であるとして暫定保管施設や最終処分場の建設に関する議論に積極的な参加が求められる、という内容の提言が盛り込まれる見通しです。
日本学術会議の検討委員会の今田高俊委員長は、「原発を再稼働するのであれば、電力会社は核のゴミの処分方法について明確なプランを出して、国民の納得を得ることが重要だ。電力会社にとっては厳しい内容の提言になるが、国民が安心してエネルギーを使える社会の実現のために、あえて再稼働に関連する文言を加えた」と話しています。
日本学術会議の提言について、経済産業省の専門家会議の増田寛也委員長は、「処分の進め方を後戻りできるようにすることなど、学術会議の提言の趣旨は今回の方針にもかなり取り入れられている。廃棄物の問題も原子力政策の一部だが、今回新たに決めたことは、大きな政策にかかわらず、多くの国民が賛成することだろうと思う」と話しました。

関連ニュース

k10015523381000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ