(2015年2月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
ロシアの市民がウクライナでの戦争をどう見ているのか、モスクワにいる友人が気の利いた表現で教えてくれた。
彼女によれば、これは「テレビと冷蔵庫の戦い」だという。
テレビは、「ファシスト」のウクライナ人や策を弄する西側諸国との愛国的な闘争の話を流してロシア魂をかき立てる。
ところが冷蔵庫は、空きスペースが次第に増えていることや中身の食品が値上がりしていることを示してロシア魂を萎えさせる、というのだ。
世論調査からも読み取れる微妙な心理状態
冷蔵庫とテレビの戦いがどんな状況にあるのかは、世論調査から読み取ることもできる。先日行われたある調査によれば、ロシア国民の44%は米国を敵だと考えている。ウクライナ紛争が始まる前は4%だったから、大幅に上昇したことになる。
しかし、別の世論調査によれば、ウクライナはロシアの一部であるべきだと考える国民は19%にとどまり、昨年3月の約50%から大幅に減っている。
ウクライナでの戦争がまた本格的に始まれば、ロシア国民の心を巡る両者の戦いが再開されることになるだろう。その日は早々に訪れるかもしれない。先週成立した新ミンスク停戦合意の交渉を手助けしたドイツのアンゲラ・メルケル首相でさえ、この合意は「かすかな希望」をもたらすとしか言おうとしなかった。
もしロシアやその代理の部隊が再び攻撃を始めれば、ウラジーミル・プーチン大統領の率いる狡猾なロシア政府の方が意志薄弱な西側諸国より断然上だという嘆きの声が西側で広がることになるだろう。
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