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隅田金属日誌(墨田金属日誌)

隅田金属ぼるじひ社(コミケ:情報評論系/ミリタリ関係)の紹介用

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文谷数重

Author:文谷数重
 零細サークルの隅田金属です。メカミリっぽいけど、メカミリではない、でもまあミリタリー風味といったところでしょうか。
 ちなみに、コミケでは「情報評論系」です

連絡先:q_montagne@pop02.odn.ne.jp

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2015.02
17
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Category : 未分類
 JSFさんがいつものように生半可な知識で論難を仕掛けている。ねむいさんが教えてくれたのだが、今度は対機雷戦となっている。その中身はホルムズ海峡を機雷で封鎖できるのはせいぜい数週間という意見に対してJSFさんは
JSF‏@obiekt_JP @TsutomuISHIAI いえ、私が求めているのは数週間という数字の根拠です。米海軍大学あたりの論文でもあるのかと期待していたのですが。フセイン政権下のイラクがクウェート沖に敷設した機雷はたった1300個です、それでも完全掃海まで2年掛かりました。18:14 - 2015年2月16日
https://twitter.com/obiekt_JP/status/567507285182652418
と発言した。

 これは、安全航路の設定と完全処理を混同した誤りである。機雷原であっても、安全航路を一本作り、それを維持すれば封鎖状態が終わることを理解していないのだろう。別に機雷が残存していても構わないのである。

 実際に、戦後の機雷啓開は最低限の通路設定から始めている。とりあえず機雷源に一本、道を通せば通航は確保できる。片道500ヤード(450m)で2車線分1000ヤード(900m)もあれば、とりあえずの対面通行は可能になる。幅については記憶だけで話しているが、誰が述べてもそんなものだ。ATP-6(中身どころか、題名もうろ覚え)だか、NATOの標準だかがそうなっているのだろう。

 つまり、極端な話をすれば機雷原の2%を処分すれば終わるとも言える。ホルムズ海峡最狭部は50kmある。そのうちの1km分の機雷を除去すれば問題はないということは、乱暴に言えば機雷の2%を処理すればいい。実際には機雷原には粗密や空白域がある。機雷原の限定(ロケーティング・マインフィールドという)ができれば、最低限の労力でやることもできる。対機雷戦部隊で機雷原のないところを選べば、うまくすれば機雷処分なしでも通行路確保は可能かもしれない。処分するにしても、最低限の処分ですむ経路を設定すれば、極端な話、全機雷の0.5%を処分すればすむかもしれない。

 そもそも、ホルムズ海峡での機雷処理は簡単である。大水深(-200m)であるため、敷設できる機雷も繋維感応、繋維触発機雷となる。このため、繋維掃海(メカニカル・スウィープ)で比較的容易に処理でき、機雷処理はそれでほぼ終わる。実例をみても、繋維機雷は比較的早期に処理されている。太平洋戦争で、パラオに敷設された米繋維感応機雷は、日本の掃海艦艇でも比較的迅速に処分されているし、戦後掃海でも日本が敷設した繋維触発機雷は2ヶ月で掃海が完了している。

 あとは航路の確認だが、それも容易である。対機雷戦艦艇のソーナーかサイドスキャンソーナーで航路を確認するのだが、脅威となるのが繋維機雷であり、海底にへばりつく機雷ではないので判断も容易である。

 確認の点でも、海中音響状態も海底状況も最悪のクウェート沖とはぜんぜん異なっている。

 いずれにせよ最も厄介な沈底感応機雷は、大水深のホルムズ海峡にはまずでてこない。上昇機雷やキャプター機雷のような例外を言い立てるかもしれないが、所詮は対戦用であり、しかも音響感応・誘導なのでまずは使われないし、つかっても大した効果もない。このあたりは、今月末?に出る「丸」に記事を書いたので、買って読んでもらえるとありがたい。

 なんにせよJSFさんの言う「完全掃海まで2年掛かりました」や、クウェート沖の機雷処分との比較は全く不適当なのである。

 JSFさんが通航確保と完全処理を混同しているのは、完全な誤りだ。対機雷戦のことに詳しくないのは仕方ないにしても、そのあたりは一般常識で分かる話である。まあ、己も親切心から「正しい軍事知識」とやらをJSFさんに教えてあげることとした次第である。JSFさんとは相互主義だしね。


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オマケ
完全に機雷を敷設するまで黙っているのかというところがアレ。
攻勢的対機雷戦(OFFENSIVE MCM)つーのがあってですな、敷設艦船を沈めるとか、逆に敵の軍港に航空機雷を敷設するとか、敵機雷集積地等への爆撃とかもあるんですねえ
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