朴槿恵政権2年:人事失敗、国民離れる 嫌われた上意下達

毎日新聞 2015年02月17日 09時39分(最終更新 02月17日 10時39分)

 25日に就任2年となる朴槿恵大統領は最近、支持率の急落、対日、対北朝鮮政策の手詰まりなど、内憂外患の状態にある。任期5年の折り返し点に向かう朴政権が、直面している課題を探る。

 「対面報告がもっと必要だと思いますか?」

 1月12日、青瓦台(大統領府)での新年記者会見で、記者からコミュニケーション不足を指摘された朴槿恵大統領が、横に控える閣僚らを見やりながら尋ねた。だが相づちを打つかのような笑いしか返ってこない。記者に反論するかのようなその姿は、国民の支持離れを加速させることになった。

 2013年2月の就任後、朴大統領は安定した高支持率を誇ってきた。高度経済成長を成し遂げた父、朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領への郷愁や「選挙の女王」といわれた政治力などから、一定の期待感を集めていた。

 しかし、時間がたつにつれ、上意下達の政策決定方式や、書類での報告を好む政治スタイルが「(軍事独裁と呼ばれた朴正熙政権の)1970年代に戻ったようだ」などと、問題視されるようになった。

 特に人事は最大のアキレスけんになった。昨年4月の客船セウォル号沈没事故で、鄭ホン原(チョン・ホンウォン)首相は引責辞任を表明。ところが、後任候補者2人に相次いで問題が発覚し、鄭首相が辞めるに辞められなくなってしまったのだ。「まるでコメディーだ」「恥ずかしい」。国民の間からこんな声さえ上がるようになった。

 「背水の陣」で臨む朴大統領は、国会運営を担う院内代表を務め、野党側からも好意的に見られていた李完九(イ・ワング)氏を1月に指名。無難に乗り切れるかと見られていたが、国会での人事聴聞会直前に李氏の兵役免除問題や、記者との会食の際の録音テープが流出し、野党が態度を硬化させた。

 16日の国会採決では、与党セヌリ党から少なくとも7人の造反を出す展開となり、出席議員の過半数をわずか7票超えるだけのぎりぎりの可決だった。さらに、国民生活に直結する問題が、朴大統領を悩ませる。今年に入り、新制度の導入に伴い1月の年末精算(日本の年末調整に該当)では、いつも返ってきた税金が、一部では徴収されることが明らかになった。このため「増税なき福祉」の公約を掲げた朴大統領への信頼が、揺らぐことになった。

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