ねえ、突然だけどゲームに転生した脇役の傍観小説ってどう思う？

　なに、藪から棒にって顔してるね。
　で、どう思う？嫌いじゃない？
　そもそもそれはなんだって？

　んー、説明すると、自分のいる世界がゲームの設定を素地にしている世界だと気付いた主人公がゲーム通りに進もうとする世界で起こるあれこれに流されたり、逆らったりする話ってとこかな。
　最近じゃ乙女ゲームっていう女性向けで男性を落とすゲームの世界設定の物がＷＥＢで流行ってるみたい。

　今僕、そんな小説を書いているんだよ。
　で、その話を書くにあたって、なんか面白いのか今一つ自分で判断つかなくてね。
　誰かにあらすじ聞いてもらって、さらには感想ほしくて。……君はどう？

　え？どんな世界が舞台にするのか、だって？
　もしかして、相談に乗ってくれるの。
　ありがとう。
　小説の舞台は決まっているんだ。

『吸血鬼(ヴァンパイア)✝ホリック』ってゲーム知ってる？

『吸血鬼✝ホリック』ももちろん乙女ゲームだよ。
　架空の学園、全寮制でお金持ちしか入れないという裏戸(うらど)学園を舞台にしたダークファンタジーを含んだ学園もの。
　でも年齢制限ギリギリの範囲で行われる残虐性が受けたダークファンタジー色の強い作品だって有名なんだ。

　ゲームの主人公の名前は「聖(ひじり)　利音(りおん)」。
　家庭の事情で高校二年生の春に裏戸学園に転校してくるところからゲームは始まるんだ。
　利音は学園で出会った美形の男性達と交流を深めて、最終的にひとりの男性とゴールすることがゲームの目的なんだ。
　攻略対象は学園の生徒会に相当する組織、月下騎士会(ルーンシュバリエ)に属する生徒五人と教師とクラスメイトの七人。
　名前がちょっとふざけてるけど、まあ、乙女ゲームの話だしね。

　乙女ゲームにありがちなキラキラした美形だらけの登場人物に囲まれて、聖利音は楽しい学園生活を送るけど、実は裏戸学園には裏の顔があるんだ。
　なんと裏戸学園は吸血鬼が運営する学園だったんだよ。
　さらに月下騎士会のメンバーと攻略対象である教師がそれぞれ吸血鬼という人間とは異なる種族だったのさ。

　吸血鬼は人間の血を糧として生きる特殊な存在。
　他の小説なんかで語られるような血を吸われたらその人間が吸血鬼になるようなことはなく、人と同じ生殖行動で子も生まれる。
　でも、女がとても生まれにくくて、代わりに人間に生んでもらうことができるけど、もともと種族が違うから着床率も出生率も悪い。
　そこで人間に特殊な施術を施して「吸血鬼の花嫁」って吸血鬼を生むことができる存在に作り変えるってわけだ。

　でも人間である吸血鬼の花嫁が産む吸血鬼たちはどうしても両親とも吸血鬼である『純血』って個体に比べて力が弱い。
　吸血鬼の世界では力こそが正義であり、価値なんだ。
　だから常に吸血鬼は力の強い個体『純血』を欲している。
　しかし、年々出生率が落ちてきている吸血鬼の世界において、純血の人数も年々減少傾向にある。
　そこで吸血鬼の世界では『純血』に匹敵する存在を人間でありながら産めると言われている＜古き日の花嫁(ラ・マリエ・ダンタン)＞という存在を強く求められていた。
　そういう存在に過去の出来事でひょっこりなってしまったゲーム主人公が、学園に現れたことで巻き起こる一連の騒動がこの作品の物語なんだね。

　え？そんなことは知ってる？
　『吸血鬼✝ホリック』をやったことがあるって？
　あ、そうなんだ。そりゃ都合がいいね。話しやすい。
　まあ、あれだけバカ売れした作品だし、やってても不思議じゃないか？

　え？イベントコンプリートしたから、話を聞くまでもないって？
　そんな話なら聞きたくない？
　いやいや、言ったでしょ？
　これは僕が考えたゲームを傍観する脇役の話だって。
　僕はこのゲームを傍観する、……いや傍観希望しながら結局巻き込まれる脇役を主人公に置いた話を書くつもりなんだよ。

　え？それは二次創作なのか、って？
　そうと言えるし、そうとも言えないかな。
　まだその辺に関してはちょっと言えないんだ、ごめんね。

　……でも知っててコンプリしてるならなおさら好都合だね。
　ねえ、今から話す内容を聞いて感想を聞かせてほしいんだ。
　せっかく作るなら面白いの書きたいしさ。
　お礼はするし。

　あ、よい？嬉しいな。君って最高だね。
　え？世辞はいいからさっさとはじめろって？
　はいはい、じゃあ、話しましょう。
「ダークファンタジーで乙女ゲームな世界で主人公のルームメイトが生き残りをかけてあがいております」、物語を。