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ヨウ素剤、集落での一括保管を検討 敦賀市、紛失が不安な希望者向け

(2015年2月17日午前7時20分)

拡大 住民に事前配布される安定ヨウ素剤は、筒状の容器で家族ごとに保管する 住民に事前配布される安定ヨウ素剤は、筒状の容器で家族ごとに保管する


 福井県と敦賀市は22日から、原発からおおむね5キロ圏内に住む市民を対象に、原発事故時に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の配布を始める。ただ市内の原発は再稼働が見通せない状況で、市民にはむしろ誤飲や紛失への不安も。市は希望者を対象に、ヨウ素剤を集落の公民館などで一括保管する考えで、独自の配布手順も検討する。

 ヨウ素剤は東京電力福島第1原発事故で配布が遅れ問題となった。この教訓を生かし国の指針では、5キロ圏内の住民には事前に配布しておくと定めている。福井県内でも既に高浜町など4市町で配布されているが、住民が手元に置かない形で保管するのは初めて。

 具体的には、同市の対象5集落326人(昨年10月現在)に対し、22日〜3月2日に集落ごとの公民館や会館で説明会を開き配布。自宅での保管に不安がある人は、その場で市にヨウ素剤を預け、市は後日それぞれの会場に専用ロッカーを設置し、保管する。

 国の指針では原発5キロ圏は放射性物質が放出される前に避難を始めるエリア。事故時には避難と同時に、ヨウ素剤を服用することになっている。各集落の保管施設は、自家用車を持たない住民がバス避難する際の「一時集合場所」となっていることから、避難時にヨウ素剤を手渡す。

 自家用車を使う人には避難前にいったん施設に寄ってもらう。事故時は原則的に職員が施設に出向くが、地元区長にもロッカーの鍵を持ってもらうなど、具体的な手順は今後地元と協議する。

 地元は「高齢者が多く紛失が心配なので一括管理の方が安心できる」(道下泰宏・立石区長)「保管施設は住まいから近く、手元になくても不安はない」(川端勘治・浦底区長)と歓迎。

 白木区の坂本勉区長は「総会では一括管理を望む声があった」としつつ関西電力が再稼働を目指す方針を示した美浜原発からも5キロ圏内とあって「手元に置きたい人もいるだろう。各家族の判断を尊重する」とした。

 市は一括管理について、対象が他市町に比べ少なく取り組みやすいことや、市内の原発は近々に再稼働する状況にない背景を挙げ「誤飲と紛失のリスクを考慮した」(危機管理対策課)と説明。県は「個人管理が原則だが、配布後に地元と協議し、預かるのは市の判断」(地域医療課)としている。

 市の原子力防災の専門アドバイザーを務める安田仲宏・福井大附属国際原子力工学研究所教授は「自治体の規模や対象者の人数、高齢者の割合など地域によって事情は異なる。一括管理は地元の意見を総合的に勘案した解答の一つ」と話している。

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