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進む少子高齢化で「墓じまい」、代行ビジネスも

TBS系(JNN) 2月17日(火)19時11分配信

 お墓は代々受け継いでいくものとされますが、少子高齢化が進む中で、後継ぎがいないという方も増えているようです。先祖代々のお墓を処分する「墓じまい」。これをビジネスにする業者も増えています。

 かばんを手に提げて歩いているのは葬儀業者の女性です。中には4人の遺骨が入っています。もともとひとつの墓に安置されていましたが、親族の数が減り、今後、墓の維持管理が難しくなったことから遺族が海洋散骨を決めたのです。船は沖合で止まりました。

 「それではただいまより、海洋散骨セレモニー、代理散骨を執り行います」

 遺族は立ち会わず、業者が代行して散骨します。セレモニーは30分ほどで終わりました。

 「散骨を選ばれる大きな理由として、お墓の継承問題を真剣に考える人が増えてきた」(オフィスさくら・西村安司さん)

 このケースのように、墓の継承について不安を抱える人は少なくありません。民間のシンクタンクが「お墓の在り方」について行った調査では、「墓が無縁化する可能性がある」と答えた人は半数を超えています。

 広島湾に散骨された遺骨が安置されていた墓です。建てられておよそ60年。この日、撤去を迎えました。いわゆる「墓じまい」です。

 「管理に負担がかかると言われるので、施主が元気なうちに整理される」(石材業者)

 一方、撤去されないまま放置され、「無縁墓」となるケースも増えています。

 「使用者と連絡が取れなくなり、無縁の手続きに入っているもの」(市の職員)

 広島市が行った調査では、管理する1万区画の墓のうち1割にあたる、およそ1000区画の管理者と連絡が取れない状態であることがわかりました。

 「いずれ(遺骨は)合葬墓に入れて、この墓は処分することになる」(市の職員)

 管理者と連絡が途絶えた墓は、合同で埋葬することになりますが、墓の撤去費用は1基当たり50〜60万円かかる上、合同で埋葬するための無縁合葬墓を整備するには300〜500万円の予算が必要となり、自治体には頭の痛い問題です。

 「高度成長期を迎え、都市部へ人口が流動し、高齢化・少子化も含めお墓について、後を継ぐ前提が崩れかけているのではないか」(墓地管理士・堀暢貴さん)

 こうした中、福山市の寺が墓地から撤去された墓石を引き受ける事業を行っています。広大な敷地に整然と並ぶ墓石。大小にかかわらず、墓石1つにつき2500円で引き受けていて、毎日、県内外から大量の墓石が持ち込まれています。

 「どんどん増えています。業者も増えて今250件(社)くらい」(不動院・三島覚道住職)

 竿石以外の台座などは細かく砕き、土台に使うといいます。墓石の安置のために用意した敷地は、7万平方メートル。様々な種類の墓が並んでいます。

 「大きい軍人さんの(墓)がありますけど、戦死して神とまつられているような偉い人でも、こういうところに来てしまう」(不動院・三島覚道住職)

 少子高齢化が進み、多死社会を迎える中、先祖の墓をどうしていくのか、自分たちの墓はどうするべきなのか今、問われています。(17日18:14)

最終更新:2月17日(火)20時10分

TBS News i