14年5月には、旅客船「セウォル号」沈没事故の責任を取って辞意を表明した鄭●(=火へんに共)原(チョン・ホンウォン)首相の後任に、安大煕(アン・デヒ)元最高裁判事を指命したが、判事退任後に弁護士として企業顧問を務め高額の報酬を得ていたことを批判され、辞退に追い込まれた。
続いて指名した文昌克(ムン・チャングク)中央日報元主筆も、歴史認識が親日的で自虐的だとの批判を受けて辞退した。
こうした結果、辞意を表明したはずの鄭首相が留任し続けることになり、国内外に「人材不足の朴政権」を印象づけている。
前出の室谷氏は「朴大統領の人事スタイルは『自らがよく知っている人物しか登用しない』というものだが、そのやり方が限界に突き当たっているということだ。今回指命した李氏も、朴大統領の“忠犬ハチ公”のような人物として知られている。身内以外からも有用な人材を起用していれば状況は少しは変わっていたのかもしれないが、朴大統領にはそういう発想はない」と指摘する。
朴大統領は、人事刷新を断行することで、支持率が20%台まで下落した政権の立て直しを図る構えだが、そのもくろみには暗雲が垂れこめている。「李氏の適性を疑問視する声が国内で高まっており、世論を無視して首相に据えても、政権の求心力はさらに低下する」(室谷氏)との見方がもっぱらだからだ。
迷走に迷走を重ねる朴政権。このまま崩壊に向けて突き進むのか。