野党のみならず、与党からも批判が噴出していたのは、李氏が抱える疑惑が「恫喝発言」だけにとどまらないからだ。
韓国メディアによると、本人と次男の兵役忌避疑惑や、不当入手情報による土地投機疑惑、博士学位論文盗作疑惑、大学助教授特典採用疑惑などが次々に浮上し、「傷だらけの首相候補」(中央日報)などと、連日猛批判にさらされた。
朴大統領は起死回生の新首相に、どうしてスネに傷を持つ人物を担ぎ出したのか。
『ディス・イズ・コリア』(産経新聞出版)がベストセラーのジャーナリスト、室谷克実氏は「李氏は若いころから用心深い性格として知られ、傷は少ないとみられていた。『院内代表』は日本の政党の国対委員長にあたる重要ポストであり、首相の任も十分こなせると判断したのだろう。しかし、指名後に一挙に問題が噴出してしまった。要するに、朴大統領の周辺にまともな人材がいないということだ」と断じる。
朴政権の首相人事では、これまでに指名を受けた候補3人が金銭問題などで辞退しており、人事手腕の低さはかねてから指摘されていた。
政権発足直前の2013年1月に指名した金容俊(キム・ヨンジュン)元憲法裁判所所長は、息子の兵役逃れ疑惑や不動産投機問題が相次いで表面化して、首相就任を辞退した。