韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が次期首相に指名した、与党セヌリ党の李完九(イ・ワング)前院内代表の任命同意案が国会で可決され、首相就任が決まった。朴大統領は17日に内閣の一部改造を行い、政権浮揚を図る構えだが、先行きは暗い。李氏は醜聞続出で野党や世論の批判にさらされており、採決では与党からも造反者が出たのだ。朴大統領は恥をかいた格好だが、首相候補に疑惑や問題発言が発覚するのは、さんざん繰り返されてきた朴政権の「お家芸」でもあり、人事手腕の限界を指摘する声は根強い。
「(メディア幹部と)兄弟のように親しく、大学総長にも教授にもしてやった」
「(不利益な報道をすれば)自分でも分からないままに(記者として)死ぬことになる」
韓国国会はここ数週間、李氏が複数の記者との会食で口にしたとされる「恫喝(どうかつ)発言」をめぐり、野党が攻勢を強めて大荒れの様相を呈していた。
首相任命同意案は、当初は12日に採決される予定だったが、野党の反発で先送りされていた。16日の採決も、薄氷の勝利といえる賛成率約53%(賛成148票、反対128票、無効5票)で、少なくとも7人の与党議員が反対か無効票を投じたことになる。
李氏は、韓国北西部の忠清南道(チュンチョンナムド)生まれの64歳。大学在学中に公務員試験に合格し、経済企画院(現・企画財政省)や地方の警察トップを経て、1996年に国会議員に初当選した。忠清南道知事やセヌリ党院内代表などを歴任し、朴大統領の側近中の側近とされる。