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itouitou  -   10:00 PM

航空機が行方不明になる事故を防ぐために。宇宙から追跡するテクノロジーの動向

航空機が行方不明になる事故を防ぐために。宇宙から追跡するテクノロジーの動向

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Popular Science:2014年、2機の航空機がレーダーから消えました。エアアジア8501便の残骸は回収されましたが、マレーシア航空370便は、必死の捜索にもかかわらず、未だ消息がわかりません。

なんでも追跡できる現代において、機体がまだ発見できないとは驚くべきことです。GPSの発達により、一般のユーザーでもカーナビが使え、コンピューター音声で目的地まで誘導してもらえます。しかし、航空機の追跡および情報収集については、ここ数十年大きな進歩がないのが現状です。未だに、地上レーダーに大きく依存しており、重要なフライトデータの保存は、機内装備のブラックボックスが頼りです。こうした技術だけでは足りません。レーダーの補足範囲から外れ、ブラックボックスも見つからないマレーシア航空370便がなによりの証拠です。

米運輸安全委員会(NTSB)は、いまこそ変化すべき時だと言っています。同委員会は、民間航空産業に対し、旅客機(とくに大陸や大洋を横断するもの)への高性能なリアルタイム追跡技術の装備など、いくつかの主要な勧告を行いました。また、すべての航空機に衛星追跡技術を搭載し、宇宙空間から、毎分ごとの航空機の位置を捕捉すべきだとしています。また、この報告書では、ブラックボックスの必要性を無くす方法とともに、墜落時にブラックボックスを回収しやすくする方法についても論じられています。

「技術はすでに、この非常に重要なボックスを回収するために、広大な海原を血眼になって探し回らなくていい地点には到達している」と、NTSBの副委員長Christopher Hart氏は話しています。「この現代においては、行方不明の飛行機など過去のものでなければならない」


地上から宇宙へ


現在、航空機の位置は2つの方法で追跡されています。一次レーダーと二次レーダーです。一次レーダ方式では、レーダー基地から電波を発信し、目標から反射してきた信号を受信することで、航空機の現在位置を把握します。

二次レーダー方式では、まず、レーダー基地から、航空機に搭載した応答装置に向けて、電波を発信します。応答装置は、電波を受信すると、航空機の位置、姿勢、目的地、速度などの情報を基地へ送り返します。どちらのプロセスも、パイロットの操作は不要で、すべて自動で行われます。

問題点はカバー範囲が限られている点です。航空機が洋上を飛行していたり、地理的に遠く離れた場所にいると、レーダーから消えてしまいます。実に、地球上の70〜80%はレーダーから見えない場所なのです。航空機がひとたびレーダー領域から外れれば、航空交通管制はパイロットだけが頼りとなります。マレーシア航空370便やエールフランス447便のケースを見ればわかるとおり、航空交通管制はいつも予定どおりに行くとは限りません。

この問題を解決するため、NTSBは、レーダー基地を地上から宇宙へ移動させるべきだと訴えています。それには、衛星を使ってあらゆる航空機の位置を追跡できる、Aireon社のサービスを利用します。同社は、航空機が発信するGPS座標情報(このシステムはADS-Bと呼ばれている)を拾う受信機を製造しています。ただし、この場合、ADS-Bは、地上の基地ではなく、地球軌道を回るイリジウム衛星に向けて信号を送ります。

「今年、イリジウム社は66個の人工衛星を打ち上げる。これらの衛星には、Aireonの受信機が搭載される予定だ」と、Aireon社の販売マーケティング担当副社長、Cyriel Kronenburg氏がメディア「Popular Science」に語っています。「世界中のどんな『見えない』場所の上にも、必ずどれかの衛星が飛んでいるはずだ」

すべてがうまくいけば、これらの衛星に搭載されたAireonの受信機が、毎分1回の間隔で、あらゆる航空機のGPS座標情報を捕捉してくれます。

NTSBによれば、これで、航空機が行方不明になりかねない地域が、劇的に減少するのだとか。「ワーキング・グループによると、航空機が毎分ごとに位置情報を送信した場合、95%のケースで、墜落地点は、最後に位置情報が発信された場所から半径6海里(約11km)以内にあることになる」とNTSBは報告しています。

Kronenburg氏は、民間のAireon社の技術は、航空機産業にとってもコスト的に有利であるとしています。実際、現在製造中のすべての航空機にADS-Bシステムが搭載される予定です。「空を飛ぶには、ADS-Bシステムの搭載が義務付けられるだろう」とKronenburg氏。「すでにオーストラリアなどの国ではこれが義務付けられている。現在でも運用されている技術であるが、広く普及することが重要だ。すべての航空機に搭載されることが望ましい」


異常事態を捕捉する


衛星による追跡で、航空機の位置をより正確に捕捉できたとしても、航空産業の喫緊の課題はまだ残っています。航空機で何か異常が起きたときに、地上の管制官がどうやってそれを把握するのかという問題です。現在のところ、どんな異常が起きたのかは、墜落した後でしかわかりません。つまり、ブラックボックスを回収する必要があるのです。エアアジア8501便の事故の原因がわからないのは、この設計思想に問題があるからです。

NTSBはブラックボックスの新たな設計仕様を提案しています。水中における信号検出を容易にする、より高性能なビーコンの搭載などです。また、ブラックボックスの回収自体が不要となるサービスにも興味を示しています。それは、リアルタイムデータ配信です。

「問題は追跡だけではない。航空機からいかに情報を取り出すかも悩みの種だ」とFLYHT Aerospace Solutions Ltd.の取締役、Richard Hayden氏は言っています。「追跡でわかるのは墜落場所だけだ。リアルタイムのデータがあれば、墜落を防ぐための積極的介入も可能となる」

重要なリアルタイムデータを取得するため、FLYHT社はAFIRSグローバル・コミュニケーション。システムを開発しました。これは、航空機内のどこにでも設置可能な小さな装置です。AFIRSシステムは、フライト中の航空機から、機体の面配向、燃料、速度など、さまざまなフライトデータを定期的に発信します。発信先はAireonのイリジウム衛星です。衛星が受け取った情報は、地上の管制塔に送られます。

AFIRSシステムは、フライトデータをリアルタイムに発信し続ける能力があるが、管制官が最も情報を必要とする時にだけ、情報を送信するように設計されている、とHayden氏は話します。そうすれば、不必要な情報の洪水で管制官が混乱するのを防げます。AFIRSシステムは、異常と思われる事態を検出すると、データを短い間隔(最高5秒間隔)で送信し始めます。「管制官はアラートと、高解像度の位置情報、航空機の状態に関するデータを受け取る」とHayden氏。

また、「異常事態」がつづく間、地上の管制塔やAFIRSシステムから、危機を脱するための解決策を提案することもできます。AFIRSはもう少し穏やかな問題にも解決策を提供します。燃料の節約です。AFIRSは、クルーが航空機を飛ばす様子を監視し、より燃料が節約できる代替ルートや操縦方法を提案します。


産業界は受け入れるか?


NTSBは、報告書の勧告をまとめるために、Aireon社とFLYHT社と協議を行いました。この時期、両社からの提案は極めて重大な意味を持ちます。この2月に、航空産業のリーダーたちが、モントリオールで国際民間航空機関の会議を開き、世界の航空における新基準について議論する予定です。

NTSBの勧告は、航空業界に大きな変化を要求します。そのため、勧告が受け入れられるのは容易ではないでしょう。報告書が勧告していることのひとつに、コックピットへのビデオレコーダーの設置があります。これはパイロットたちにとっては厄介な問題です。いくつかの航空パイロットの労働組合が、プライバシーの侵害などを理由に、コックピットへのビデオレコーダー搭載に反対しています。これにはHayden氏も同意しています。「コックピットのビデオが何を教えてくれる? パイロットが計器を見つめているのが映るだけだ」、「情報はAFIRSで再現できる」とHayden氏。こうした勧告が、大きな反対運動の引き金になる可能性はあります。

専門家は、航空会社たちは、コスト的な理由から、より洗練された追跡技術が登場するのを待っているのではないかと見ています。新しいハードウェアを追加するのは安いコストではないからです。また、世界中の何万もの航空機すべてに、新基準を適用させるのは容易ではありません。とはいえ、NTSBが提案する変化は、長い目で見れば費用対効果は高いと考えられます。墜落機の捜索に膨大なコストを費やす必要がなくなるからです。

NTSBは、自分たちの勧告は完全に実現可能なものであり、実際、多くの航空機がすでにADS-BシステムやAFIRSを使っていると主張します。「新しい技術革新が登場したときには、我々は常にパフォーマンス・ベースの勧告を行っている」、「実際、多くの民間航空機がすでにこの技術を採用している」とNTSBのスポークスマンPeter Knudson氏は話していました。


TO KEEP AIRPLANES ON THE MAP, TRACK THEM FROM SPACE|Popular Science

Loren Grush(訳:伊藤貴之)
Photo by Shutterstock.

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