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障害者差別解消法の概要とWebアクセシビリティ
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障害者差別解消法の概要とWebアクセシビリティ

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2015年2月13日に開催された「Web担当者のためのアクセシビリティセミナー [2015年2月] 〜国内・海外動向を踏まえたJIS X 8341-3:2010の活用〜」のセッション2 講演「障害者差別解消法の概要とWebアクセシビリティ」の資料です。講師および資料作成をご担当いただいたのは、内閣府障害者政策委員会委員長、静岡県立大学国際関係学部の石川 准 教授です。

2015年2月13日に開催された「Web担当者のためのアクセシビリティセミナー [2015年2月] 〜国内・海外動向を踏まえたJIS X 8341-3:2010の活用〜」のセッション2 講演「障害者差別解消法の概要とWebアクセシビリティ」の資料です。講師および資料作成をご担当いただいたのは、内閣府障害者政策委員会委員長、静岡県立大学国際関係学部の石川 准 教授です。

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  • 1. 障害者差別解消法の概要と Webアクセシビリティ 静岡県立大学教授 内閣府障害者政策委員会委員長 石川 准 2015年2月13日 Web担当者のためのアクセシビリティセミナー
  • 2. footer  多くの人々が、それぞれの立場でできることを、その人 だからこその力を発揮して実現  障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人 格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目 指す法律  H25年6月26日公布  H28年4月1日施行 障害者差別解消法 2
  • 3. footer ○ 障害を理由とする差別を解消するための措置 ① 国の行政機関や地方公共団体、民間事業者による障害 を理由とする差別を禁止すること。 ② 差別を解消するための取組について政府全体の方針を 示す基本方針を作成すること。 ③ 行政機関等ごと、分野ごとに障害を理由とする差別の具 体的内容等を示す対応要領・対応指針を作成すること。 ○ 障害を理由とする差別を解消するための支援措置 相談及び紛争の防止等のための体制の整備、啓発活動等 概要 3
  • 4. footer 1. 不当な差別的取扱い 障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限 したり、条件を付けたりするような行為 2. 合理的配慮の不提供 必要かつ合理的な配慮の不提供 障害のある人本人から配慮が求められた場合に、その人にとって社会 的障壁を除去するために必要であり、かつ過度な負担でないのに配慮を 拒んだとき *本人自らが意思を表明することが困難な場合には、その家族などが本 人を補佐して意思の表明をすることもできる。 障害を理由とする差別とは? 4
  • 5. footer  身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。) その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称す る。)がある者 &  社会的障壁により生活に制限を受けているもの 障害者の定義  つまり・・・ disability(障害) とは、 impairment(機能的な障害) × 社会的障壁(社会で生活する上での困難) 5
  • 6. footer  国の行政機関  独立行政法人等  地方公共団体  地方独立行政法人 「行政機関等」の定義 6
  • 7. footer  商業その他の事業を行う者(地方公共団体の経営す る企業及び公営企業型地方独立行政法人を含む。)  目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わない。  例えば、個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を 行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営 利活動法人も対象となる。 「事業者」の定義 7
  • 8. footer  行政機関等と事業者に共通  「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取 扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害して はならない」 障害者差別解消法 第三章 第七条第一項および第八条第一項 不当な差別的取扱いの禁止 8
  • 9. footer  障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の 意思の表明があった場合、  その実施に伴う負担が過重でないときは、  性別、年齢及び障害の状態に応じて、  社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的 な配慮をしなければならない。 障害者差別解消法 第三章 第七条第一項より 合理的配慮の提供 9
  • 10. footer 行政機関等 事業者 不当な 差別 不当な差別的取扱いをしてはならない 合理的 配慮 社会的障壁の除去の実施につ いて必要かつ合理的な配慮を しなければならない(義務) 社会的障壁の除去の実施につ いて必要かつ合理的な配慮を するように努めなければならな い(努力義務) 対応要領 と 対応指針 ・国の行政機関の長と独立行政 法人等:対応要領を定める ・地方公共団体等:対応要領作 成は努力義務 ・各主務大臣:対応指針を作成 ・事業者:対応指針を参考に、 主体的な取組が期待される (表)行政機関と事業者のちがい 10
  • 11. footer 1. だれでもすぐにできる配慮 筆談、メニューの読み上げ、棚から商品を取る 2. 多様性を理解し、柔軟な考え方をすることでで きる配慮 調子の悪いときに休める場所を確保する 3. 技術やスキルを身につけることでできる配慮 手話でのコミュニケーション 4. 道具や設備の利用や変更でできる配慮 支援機器の活用 合理的配慮はいろいろある 11
  • 12. footer  個人モデルでは、配慮の要らない人と配慮の要る人  社会モデルでは、配慮されている人と配慮されていな い人  スピーカーとマイクだって配慮  スライドや配布資料だって配慮  冷暖房だって配慮 配慮の平等 12
  • 13. footer  合理的配慮は現場でできる配慮  環境整備がないと合理的配慮でできることには 限界がある  行政と事業者による環境整備の努力はとても 重要  環境整備政策を推進する必要 環境の整備と合理的配慮 13
  • 14. footer  合理的配慮要求に基づいてたとえばスロープを 設置し、それを常設すればその後は環境整備と なる  二人目からは反射的利益として環境整備によ る社会的障壁の除去から利益を得られる  合理的配慮として実施した人力による配慮も、 その後ルール化して接遇マニュアルに書いて業 務として徹底すれば、その後は環境整備 合理的配慮から環境整備へ 14
  • 15. footer  主務大臣から、事業者に対して報告徴収、 助言・指導、勧告を行うことができる  努力義務は民間の自主的取り組みへの期待  対応指針があってもなくても、事業者団体が自 主的に指針を作成して広めていくことが 望ましい 民間事業者による取組 15
  • 16. footer  指定管理など民間に委託する場合、 契約条件で合理的配慮提供が徹底できる よう工夫が必要 公立民営の場合 16
  • 17. footer  雇用については、障害者雇用促進法に定める ところによる  改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合 理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究 会  厚労省障害者雇用対策課が事務局  職場での差別禁止、合理的配慮の提供につい ての指針検討 雇用における差別 17
  • 18. footer 基本方針とは障害を理由とする差別の解消の推 進に関する施策の基本的な方向等を定めるもの。 また、対応要領・対応指針は、行政機関等ごと、 分野ごとに定められるもので、不当な差別的取扱 いになるような行為の具体例や合理的配慮として 考えられる好事例等を示す。 基本方針と対応要領・対応指針 18
  • 19. footer  法の社会的効果は規定とともに運用に依存する  その法に私たち一人一人がどのように向き合うか次第  行政や事業者は個々の障害者の不便や苦労を知る。  それを政策、事業、ビジネスに活かしていく。  障害者も一緒に良い方法を考えることで多くを学ぶ。  市民的公共圏への期待  多様性を包摂する地域社会を作っていくことが重要 合理的配慮は建設的対話を誘発するか 19
  • 20. footer  2013年12月4日 国会が障害者の権利条約批准を承認  2014年1月20日 国連事務総長に批准書を寄託  30日で発効 障害者の権利条約批准 20
  • 21. footer  女子差別撤廃条約は1981年  子供の権利条約は1991年  障害者差別撤廃条約は過去に何度か提案された。  イタリアが1987年、スウェーデンが1989年に提案し たが賛同を得られなかった。  しかし、メキシコが2001年に提案し、それが承認され、 翌年から草案策定作業 新しい人権条約 21
  • 22. footer  条約策定作業に多くの当事者が参加した。  各国政府と市民社会の共同作業  待たされた代わりに能動的に関わることができた。  新しい人権概念を盛り込むことができた。  障害当事者は国際人権法を学び、人権法の専門家は 障害について学んだ。  国連の諸機関も多くを学んだ。 条約策定への当事者参加 22
  • 23. footer  日本は条約策定に積極的に関与した  しかし早期批准という方針を変更して国内の制度改革 を先に行うことを決断  政府、国会、団体、いわゆる有識者がきまじめかつ誠 実に制度改革を進めてきた。  障害者基本法改正、総合支援法、障害者差別解消法  虐待防止法、優先調達推進法  公職選挙法の改正 国内制度改革優先の決断 23
  • 24. footer  条約33条2項  条約の実施を促進し、保護し、監視する仕組みの設置 が求められている。  パリ原則を考慮した運営において中立、公平、独立し た仕組み  内閣府障害者政策委員会が国内監視を担う  障害者政策委員会はパリ原則を考慮に入れた機関で なければならない  なお促進と保護については別の仕組みを強化する必 要 国内モニタリング 24
  • 25. footer  自分から必要な配慮を求める →自分にできることであれば応じる ←応じようとする内発的意思を持つ ←合理的配慮の社会倫理的基盤  配慮を必要としているらしい人を見かけたら自分から 声をかける →必要としていたのなら申し出を受け入れる ←声をかけようとする内発的意思を持つ 連帯の義務 25
  • 26. footer  社会モデルは  私は、わからない、できない。  わかろうとは思わないし、できるようにしたいとも思わない  そのような私に社会は配慮すべきだ と述べているわけではない。  できなかったのにできるようになったという喜びは、 エイブリズムとは関係がない 初めて自転車に乗れたとき、初めて泳げたとき、 数学の問題やパズルが解けたとき EmpowermentとAbleism 26
  • 27. footer  行政機関や事業者のウェブサイトにも情報障壁がある  障壁→合理的配慮の提供要求→提供義務、提供努力 義務  合理的配慮を求める人への個別対応→環境整備とし て集積→ウェブサイトのアクセシビリティの向上  ウェブアクセシビリティ向上のための環境整備→個別 対応を必要とするケースの減少 差別解消法はウェブサイトも対象 27
  • 28. footer  画像pdf  キーボードで操作できないコントロール  スクリーンリーダーで認識できないボタン  構造化されていないページ 情報障壁の例 28
  • 29. footer  ウェブマスターに対して  WCAG 2.0 JIS X 8341-3  スクリーンリーダー等の支援技術の理解  業務フローの確立と職員社員への研修・支援  合理的配慮要求受付窓口の設置  コンテンツを作成する一般の職員、社員に対して  コンテンツ作成業務フローの遵守  アクセシブルなコンテンツ作成方法の周知徹底等 対応要領、対応指針に盛り込むべき内容に ついての私見 29
  • 30. footer Q1.Webに関する対応指針・対応要領は、誰が作成す るのか? A1.対応要領:すべての行政機関、 対応指針:総務省と期待している Q2.解消法施行までに、JIS規格に準拠しなくてはなら ないのか? A2.権利条約の観点からは対応が望ましい。差別解 消法では、義務とは必ずしも言えない。 Q&A 1・2 30
  • 31. footer Q3.Webアクセシビリティは環境整備か?公的機関も 努力義務なのか? A3.Webアクセシビリティは「情報アクセシビリティ」に 含まれる。したがって環境整備であると同時に、環境 整備で足りない部分は合理的配慮の対象となる。当然、 合理的配慮の部分は行政機関にとっては義務となる。 Q&A 3 31
  • 32. footer Q4.Webが義務の対象でないなら、解消法施行後も特 に何もする必要はなく、苦情申し立てがあった場合に だけ対処すればよいのか? A4.そうではない。過度な負担でない限りは合理的配 慮要求に対して対応することが義務となる。 繰り返しになるが、環境整備は努力義務であり、合理 的配慮は義務である。Webの特性からしても、事前的 環境整備をしていくことが合理的。 Q&A 4 32