【ソウル聯合ニュース】韓国で出版された朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授(日本語日本文学科)の「帝国の慰安婦-植民地支配と記憶の闘争」が旧日本軍の慰安婦被害者を「売春婦」「日本軍協力者」と侮辱し、元慰安婦の名誉を毀損(きそん)したとして、被害者9人が同書の販売差し止めなどを求めた仮処分申請について、ソウル東部地裁は17日、申し立てを一部認めたと発表した。
裁判所は、日本が慰安婦の強制動員や慰安所の運営などに広範囲に関与した歴史的事実と軍慰安婦の性的奴隷、被害者としての地位を考慮し、朴氏の記述が慰安婦被害者の名誉を傷つけたと判断した。
裁判所は「軍慰安婦について『精神的な慰安者』『軍人の戦争遂行を助けた愛国女性』『自発的な売春婦』などと表現した部分を同書から削除しなければ、軍慰安婦の名誉や人格権に多大な損害が発生しかねない」と説明。
また「軍慰安婦らが民間業者にだまされて集められたとしても、軍部隊付属の慰安所に連行されてはじめて自分の置かれた状況を知った。抵抗すれば日本の軍人に暴力や脅迫を受けたため、軍慰安婦は日本の売春婦とは異なる」と説明した。
ただ、軍慰安婦の名誉を毀損する表現とは関係のない、著者の個人的な意見については、販売差し止めの対象にはならないとした。
仮処分を申し立てた9人は、慰安婦被害者が共同生活を送るソウル近郊の施設「ナヌムの家」(京畿道広州市)の入居者。
ナヌムの家の安信権(アン・シングォン)所長は「朴教授が歴史的事実を歪曲(わいきょく)して慰安婦だったおばあさんたちの名誉を傷つけたことが明らかになった。『売春婦』などの表現が本の相当部分を占めているため、事実上、書籍全体に対する販売を禁じたものと受け止めている」と話した。