映画「インターステラ―」のブラックホール描写に関する論文が公開される
深い科学的洞察と壮麗なグラフィック描写で日本のSFファンの間でも大きな話題になった映画「インターステラ―」ですが、この作品の製作にあたって行われたブラックホールの考証に関する論文が「Classical and Quantum Gravity」誌に掲載されています。
インターステラ―は、滅亡に瀕した近未来の地球から、新天地を求めて深宇宙探索に乗り出すミッションチームの活躍を描いたSF映画。「ダークナイト」や「インセプション」などで知られるクリストファー・ノーラン氏が監督を努め、全世界で約3億3千万ドルの興行収入を達成しています。
この作品は、科学的描写の正確さでも話題になりました。旧来のSF作品に登場するブラックホールは、中心に向かって物質が渦状に吸い込まれてゆくモデルとして描かれていますが、これは比較的シンプルな力学的考察に基づいたもので、量子論などの効果はほとんど勘案されていません。
今回ローラン監督は、これまでに無いレベルで精密な宇宙の描写を実現するために、カリフォルニア工科大学の理論物理学者Kip Thorne氏を中心とするインターステーラの科学検証チームを編成。ブラックホールに光が落ち込んでゆく際の重力レンズ効果やホール周辺を塵やガスなどが光速で飛行することで形成される「降着円盤(accretion disk)」の形状を一般相対性理論に基づいて計算した結果、作中に描かれるような特異な形状描写に行き着いたとのことです。
▼旧来のブラックホール描写。ガスや塵が中心の特異点に向かって吸い込まれてゆくモデル。
映画の考証が新たな科学的発見を生み出すというのはなんとも興味深いことですが、今後インターステラ―のようなSF映画が続々と登場してくれば、科学と映画の関係も新しいものになってゆくかもしれません。
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著者
企業の研究所でR&D業務に携わっておりましたが、2013年4月をもって退職し、当サイトの専属となりました。ソース明示とポイントを押さえた解説を心がけてゆきたいと思います。
娯楽の影響は侮れんから、そこの描写が正確になるって結構重要かもしれんね
ここ3年位で見た中のベスト映画だったな
その前はインセプションかな
硬派なSF映画かと思ったら板萌えSF冒険映画だった