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ココナツオイル アルツハイマーに効果 摂取4時間で症状改善例も
◆ステップできた
ココナツオイルの効果は米国では3人に1人にあったとするデータがあるが、日本人に当てはまるかは分かっていない。白沢教授は「アルツハイマー病が薬で劇的に改善するということはない。効果が本当かどうか疑問があったが、摂取して4時間後に症状がよくなった外来患者がいる」と話す。
この患者は初期のアルツハイマー病と診断された70代男性で、趣味の社交ダンス教室で曲に合わせてステップを踏むことが難しくなっていたが、教室に行く前に摂取すると、次々と踏めるようになったという。
白沢教授によると、脳の神経細胞はグルコース(ブドウ糖)をエネルギー源としているが、アルツハイマー病になるとグルコースを使うことができない『ガス欠状態』となり、認知症状を引き起こす。グルコースの代替としてケトン体が使われる。
ただ、ケトン体が効かない人もおり、ケトン体の血中濃度がうまく上がらないか、神経細胞が死んでしまっている状態と考えられるという。白沢教授は「認知症の予防効果があるかどうかは、これからの研究課題だ」と話している。
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【用語解説】中鎖脂肪酸
飽和脂肪酸の一つで、肝臓で分解されてケトン体(アセトン、アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸の総称)が生成され、血液中に出される。ココナツオイルのほか、パームオイルや母乳、牛乳に含まれている。一般的な植物油に含まれる長鎖脂肪酸に比べ、素早くエネルギーに分解される。中鎖脂肪酸のオイルやパウダーを販売する「日清オイリオグループ」(東京都中央区)によると、エネルギーを効率よく取れるため、主に高齢者施設で食の細い高齢者らの食事に利用されている。