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ココナツオイル アルツハイマーに効果 摂取4時間で症状改善例も
アルツハイマー病による認知症状の改善にココナツオイルが注目されている。主成分の中鎖脂肪酸からできる物質、ケトン体に着目した食事療法を米国人医師が提唱。アンチエイジング研究で知られる白沢卓二・順天堂大大学院教授は「『ガス欠状態』となった神経細胞にケトン体が入ってエネルギーをつくる」と解説している。(寺田理恵)
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◆カレー、スープに
アルツハイマー病は記憶や思考能力がゆっくりと障害を受け、日常生活上の行為が難しくなる病気。幻覚や妄想、徘徊(はいかい)といった周辺症状がある。高齢者の認知症では最も多く、脳の神経が変性して脳の一部が萎縮していくが、原因は解明されていない。
アルツハイマー病の認知障害について、ココナツオイル摂取で改善する食事療法を提唱しているのが米国の小児科医、メアリー・T・ニューポート医師だ。若年性アルツハイマー病を発症した夫に食べさせたところ、4時間後の認知機能検査で改善が見られた。やがて会話能力が向上するなど、夫の認知障害の進行を食い止めることができたという。
ココナツオイルはココヤシの成熟した果実の種子の胚(はい)乳から取れる油。含まれる脂肪酸の多くが中鎖脂肪酸で、肝臓でケトン体に分解され、エネルギー源として利用される。日本でも一部の百貨店やインターネット通販などで販売されている。輸入・販売を手掛ける「ココウェル」(大阪市都島区)によると、食事療法が日本でも知られた結果、同社が昨年販売した食用ココナツオイルが数量ベースで前年比約5・7倍と大きく伸びた。
「主婦の友社」(東京都文京区)は1月、実用書『ココナッツオイルでボケずに健康』を刊行。認知症状を改善するメカニズムやココナツオイルを使ったカレー、スープなどのレシピを紹介している。