イスラム国、ISIS、ISILその違いは? トルコ大使館が声明文「イスラム国の呼称、用いないで」

  • 2015/02/11
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  • Fukai


出典:www.flickr.com

 連日報道されているISIL(イスラム国)の問題。その残虐な行為、そしてその脅威は報道の通りだが、今回呼称を巡って、トルコ国営放送は「イスラム国」という呼称を使わないよう求める声明を発表した。

今回の発表の内容とは

 今月六日トルコ共和国大使館は同大使館のホームページ上において「大使館からのお知らせ」と題し声明文を発表。「イスラム国という名称でなくDAESH(ダーイッシュ)、ISIL等、誤解を招かない表現を用いること」を要請している。

平和を重んじるイスラム教の宗教名を汚すこの「イスラム国」という表記を、卑劣なテロ行為を繰り返す一集団の組織名としてどうか使用されないよう切に願います。世界の他の国々において「イスラム国」ではなく、DAESH、ISIL等の表現を用いる例があるように、このテロ組織に関する報道で誤解が生じない表現の仕方について是非検討いただき、イスラム教徒=悪人を連想させるようなことがないよう配慮いただきたいところです。

出典:Türkiye Cumhuriyeti Tokyo Büyükelçiliği

「イスラム国」「ISIS」「ISIL」「DAESH」その違いは

 現在、一般的に使われている「イスラム国」という名称。これは組織側が自らを表す"Islamic State"の和訳に由来する。既存の国境を西洋文明によるものと考え、カリフ制独立国家、すなわち同組織のトップと言われるアブ・バクル・アル・バグダディをカリフ(最高権威者)とする新たなイスラム国家の創設を目指す彼らの意思を示しているということができる。

 続いて「ISIS」という名称。これは"The Islamic State In Iraq and al-Sham"(イラクとシャムのイスラム国)の頭文字をとったものであり、日本のメディアの間でも「イスラム国」に次いで普及しているように思われる。

 「ISIL」という名称は主に米国が用いており、それに倣い先月26日に自民党も用いることを決定した。"Islamic State in Iraq and the Levant"の略であり「イラクとシリアのイスラム国」と訳される。レバントとは地中海の東部沿岸地方のことであり、米政府は「ISIL」という名称を用いる理由を「同組織の範囲がイラク、シリアだけに収まらないこと」としている。

 またトルコ大使館の発表にもある「DAESH」という呼称。これは"al-Dawla al-Islamiya fi al-Iraq wa al-Sham"の頭文字をとったものである。和訳すると「イラクとシャームのイスラム国」となるこの名称は、海外の報道機関では頻繁に用いられている。


 トルコ大使館の声明では、「イスラム国」という名称がイスラム教徒=悪人という誤解を与える恐れがあることを強調している。しかしながら、今月6日に同声明が発表され三日間が経った9日現在、日本のメディアの中で、呼称に関して特に大きな変化はないように見受けられる。今回、トルコ大使館を通じて声明を発表したトルコ国営放送の特派員、ムラット・ハン氏の行動は報われるのだろうか。

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ベネッセ情報流出事件に新たな動き 被害者らが5万5000円の賠償請求で集団提訴

  • 2015/02/14
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  • yuki


 昨年、大企業のベネッセコーポレーションが2000万件以上の顧客情報を漏洩させた事件は記憶に新しいことだろう。この事件を受け警察や政府が新たな動きを見せたが、現在ではそのような動きが停滞しているかのように思われていた。しかし今、当事件の被害者たちがベネッセコーポレーションを相手に提訴を始めている。

ベネッセ個人情報流出事件に対し、総額約9800万円の提訴

 事件後、ベネッセコーポレーションは被害者に対し500円分の金券を送付し、賠償を行なった。しかし、提訴した被害者たちはそれでは「不十分である」と考えている。

提訴理由は「利用価値の高さ」と「長期的な被害」

 今回ベネッセコーポレーションに対し提訴を行なったのは、全国の被害者1789人。さらに弁護団が被害者の会を結成して提訴することを呼びかけており、約一千人の被害者が提訴を行なう考えを示しているようだ。

 原告側は提訴の理由として、流出した個人情報の「利用価値の高さ」やその情報に未成年者も含まれており、「長期的な被害」が予想されることなどを挙げている。

賠償請求額「5万5000円」

 被害者たちは、今回の提訴でベネッセコーポレーションに対して、一人あたり5万5000円の損害賠償を求めた。この賠償請求額は、ベネッセコーポレーションが既に行なった賠償額(500円)とはかけ離れていることが分かる。この請求額が高額であるか否かを一概に判断することは難しい。

 情報流出事件に対する賠償金はそれぞれ異なっており、前例によると5000円〜10万円と幅がある。その被害状況によって賠償すべき金額が大きく異なるためだ。

 提訴にあたって助言を行なった弁護士は、過去の判例と比較して5万5000円は「相当である」と主張。事件発生後、身に覚えのない業者から勧誘が行なわれたとの報告があることから、被害が広がっていることは明らかであり、今後も被害が拡大していくものと見られている。


 情報の価値を定義することは難しいが、情報やネット環境が発達した現代では深刻な被害が発生する可能性も高い。被害者たちの提訴に対して裁判所がどのような判決を下すのか、注目が集まる。

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悪質なサイバー犯罪に懲役8年 「サイバー犯罪捜査基盤の脆弱性」打破に向けた改革とは

  • 2015/02/13
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  • yuki


 近年、サイバー犯罪は増加傾向にあり、昨年の相談件数は過去最多の約1140件。技術の進化と共に新たな犯罪に対する捜査の見直しの必要性が伺える。

 その中でも類を見ない悪質な犯罪であるとして今年2月に判決が下された事件がある。それは2012年に起きた、無差別殺人や爆破の予告が自治体や幼稚園にメールで送られたもので、容疑者が特定されず四人もの一般市民が誤認逮捕された。この事件の反省を生かし、警察はサイバー犯罪捜査の強化見直しを図る考えだ。

「悪質なサイバー犯罪」に懲役8年

 今回の判決は、日本のサイバー犯罪の中では比較的重いものだった。というのも、この事件は様々な機関に脅迫メールを行なうだけでなく、その送信時に第三者のパソコンを遠隔操作。さらに容疑がかけられた後に、自分が公判の時間にメール送信を可能にするなどの隠蔽工作を行なった。この事件の悪質性を加味した上で、懲役8年という判決が下されたようだ。

「サイバー犯罪捜査基盤の脆弱性」と「取り調べの可視化」が問題に

 犯罪の悪質性は言うまでもないが、今回の事件では、「サイバー犯罪捜査基盤の脆弱性」や「取り調べの可視化」が問題視された。

 捜査員らは遠隔操作可能ウイルスの存在を知らず、IPアドレス(それぞれのパソコンを識別する番号)を頼りにパソコンの所有者四人を誤認逮捕。さらに容疑者ではない者にむりやり自白させた。時代や技術の飛躍的な進展に対して、捜査が出遅れていることが明らかである。

サイバー犯罪捜査の基盤強化に

 この事件を受け、警察は早急に「不正プログラム解析センター」を設置。これは、都道府県警ごとに行なわれてきた不正プログラムの解析情報を集約するもので、サイバー犯罪に全国規模で対応する狙いがある。設置から2年後、名前を「高度情報技術解析センター」に改め格上げを行ない、人材などの体制を強化した。

 さらに警察は、今年度から新たにサイバー犯罪に携わる人材の強化を行なう。そのために、以前から知識不足解消のために導入されているサイバー犯罪捜査検定の内容を変更する見通しだ。全ての警察官に検定の受験資格を与え、専門家などの第三者を取り入れて検定内容の最適化を行なう。


 時代と共に変化していく犯罪内容に苦心する各機関。犯罪内容が発展していく今、それぞれの機関は犯罪に追いつくだけではなく、犯罪を未然に防ぐことが求められる。

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