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【政治】

中東の機雷掃海 行使可能 「日本への攻撃と同様」

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 安倍晋三首相は十六日、衆院本会議の各党代表質問で、武力で他国を守る集団的自衛権の行使が許される具体的な状況を明言した。中東からの原油輸送路に当たるホルムズ海峡の機雷掃海では、石油供給が滞り、国民生活に死活的な影響が出る場合などと説明。米軍艦艇の防護に関しては、敵対国の言動から日本にも攻撃が行われかねないことなどを条件に挙げた。 

 閣議決定は「武力行使の新三要件」の一要件として「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合に限り、集団的自衛権の行使が認められると明記。これに基づき与党は法制化の協議を始めている。

 答弁で、首相は日本が輸入する原油の八割、天然ガスの二割がホルムズ海峡を通過していると指摘。同海峡に機雷が敷設されれば、「かつての石油ショックを上回るほど、世界経済は大混乱に陥り、日本に深刻なエネルギー危機が発生しえる」と述べた。

 その上で、掃海しなければ石油供給が回復せず、国民生活に死活的影響が生じる場合は「総合的に判断して、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況に当たりえる」と集団的自衛権行使が可能になるとの考えを示した。

 米艦防護では日本近隣で武力攻撃が発生している状況を想定。「攻撃国の言動から、わが国にも武力攻撃が行われかねない状況で、取り残された多数の在留邦人を(日本に避難させるため)乗せた米国船舶が攻撃を受ける明白な危険がある場合」も新三要件を満たす可能性があると述べた。

 自衛隊の海外派遣については「あらゆる事態に切れ目ない対応を可能とすることが重要だ。将来、具体的なニーズが発生してからあらためて立法措置を行う考えはとらない」と、恒久法制定を目指す方針を強調した。

 首相の機雷掃海や米艦防護に関する答弁について、元内閣法制局長官の阪田雅裕弁護士は本紙の取材に「閣議決定のどこを読めば、そうした状況で機雷掃海や米艦防護が可能だと読めるのか。これでは(新たな憲法解釈は)従来の論理の延長線上にあるとは言えず、武力行使の歯止めとして機能していない」と述べた。

 

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