(2015年2月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
2011年10月のある晩、イタリアのミラノで、ブラジルの国営石油企業ペトロブラスと関係のあるブラジル人ビジネスマン4人が、スイスの銀行、ボンク・クラメールの支配人とともに夕食の席に着いた。
ブラジル人たちのメニューに載っていたのは、ブラジルがそれまでに目にした汚職の中でも特に野心的な汚職の謀議を練り上げる計画だったとされる。
夕食会の参加者の1人、ペドロ・ホセ・バルスコ・フィーリョ氏によると、男たちは、ペトロブラスが設立を進めていた世界最大級の掘削リグ企業セテ・ブラジルが保有する220万ドルの契約の1%近くを自分たちの口座およびコネのある政治家の口座に流用することを企てていたという。
ペトロブラスとセテ・ブラジルで幹部を務めたバルスコ氏によると、彼らは流用したお金を預けるオフショア口座の開設について話し合うために銀行家に会っていたという。ボンク・クラメールが陰謀に加担したとの指摘はない。
受注の見返りにペトロブラス幹部や政治家に賄賂
「夕食会の翌日、全員がオフショア企業の名義で口座を開設した」。寛大な処分と引き換えに証言に応じることでブラジル連邦警察と合意したバルスコ氏は、ブラジル南部のクリチバの裁判所に提出され、連邦司法制度のウェブサイト上に公開された陳述書でこう語っている。
ペトロブラスの汚職疑惑はルセフ大統領の足元も揺るがしている〔AFPBB News〕
セテ・ブラジルのこの汚職疑惑は、ジルマ・ルセフ大統領率いるブラジル政府を巻き込み、国の最も重要な企業を破産させる恐れがある大規模なスキャンダルの一部にすぎない。
警察当局はこの1年で、ブラジル最大手クラスの多くの建設企業や外国企業を含むペトロブラスの取引先企業が、数百億ドル規模の受注の見返りにペトロブラスの幹部やルセフ大統領の労働党が率いる連立政権の政治家たちに賄賂を贈ったとの疑惑を暴きだした。
バルスコ氏は汚職事件にかかわったとされるペトロブラスの元幹部の中で最高位なわけではない。だが、同氏は、自ら認めた10年以上の汚職で盗んだ約1億ドルのお金を政府に返還すると申し出て、汚職の話題には慣れっこのブラジル社会に衝撃を与え、ブラジルメディアで悪名を馳せた。
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