(望月やよい)
私は刑事…の妻である
前を歩いているのは私の夫だ
あっ…!え…合鍵…?どういう事…?杉崎…。
《夫の浮気現場に乗り込む妻…》《これってやってはいけない事…よね》《私たち家族の幸せのためよ。
…よし!》あなた!
(望月龍之介)あ…。
あ…!うっ…!うぅ…!いやー!いやー!《どうして…》《どうしてこんな事になってしまったんだろう…》
(松野幸治)うわ…!あ…あ…あぁー!
(地面に落ちる音)
(パトカーのサイレン)阿部。
悪い遅くなった。
(阿部康彦)ガイシャは松野幸治でした。
松野幸治?ええ。
(金田一郎)最近テレビとかにもよく出てるじゃないですか。
知りません?「パインK2・トレーディング」っていう輸入健康器具の会社。
最近ちょっといろいろ忙しくてまともにテレビ見てないからなぁ…。
(市原保)まあ有名なのは悪い噂のほうだ。
被害者の会もできてる。
遺書は?ありません。
そうか…。
自殺って決めつけるのはまだ早いな。
(三井恵美)やよいさん!ああ恵美ちゃんおはよう。
どうしたの?え?やっぱり忘れてる…。
だと思ってお迎えに来たんですよ。
お迎え?何?奥様会ですよ!今日は私からのとっておきの情報プレゼントですよ〜。
警察官の妻といえどもひとごとではない…。
あ…シッ!せっかく何事もなくここで1年半暮らしてきたんだからその「警察官」とかそういう軽々しく口にしない!わかった?はい。
あの〜…。
違います!違います!今のは違うんですよ!あ…おはようございます。
おはようございます。
あのゴミ…を。
あ!すいません。
邪魔してましたね。
すいません。
すいません。
じゃお先に〜。
行きましょう。
すいません…。
(南田啓子)浮気!?
(恵美)そうなんです。
今ネットで「夫の浮気チェック」っていうのが流行ってるんですよ。
(市原薫)ネット?ええ今さらなんですけどネットサーフィンにハマっちゃってて。
(薫)ネットサーフィン?はい。
(啓子・薫)オホホ…。
いいですか?「1携帯電話がロックされている」「2仕事の愚痴を言わなくなった」「3身だしなみに気を遣うようになった」「4休日に家族と過ごさなくなった」いかがですか?まぁ〜うちはどれにも当てはまらないわよねぇ〜。
さすが!南田課長のご夫妻は円満でいらっしゃいますもんね〜。
んまぁ!ウフフ…。
あ!うちは最近仕事の事を話さなくなったような気がするわ…。
それはご活躍なさっててお忙しいからじゃないですか。
ねぇやよいさん。
望月さんずいぶん余裕じゃなくて?もうここのケーキほんとにおいしいです!買って帰ろうかなぁって。
フフ。
浮気チェックの話をしてたんですよ。
浮気ね。
相変わらずのんきねあなた。
ほんとにご主人の事信用してるわけ?あいえ…。
あっ…でもやっぱりあんなに男らしくて知的で素敵な人ですから女の人がほっとかないだろうなぁとは思ってるんですけど。
でも主人と私は今でも超ラブラブですし主人は私にとっても優しいし私も主人のためならなんだってしてあげたいって思うんです。
じゃあさぞかしご主人が働きやすいように気を使ってるんでしょうねぇ。
健康管理なんかもバッチリ?健康…管理?あら〜刑事は体が資本でしょ。
夫が健康でいられるように食事の工夫したりするのが妻の責任よ。
フフ。
阿部さんはしてらっしゃるわよねもちろん。
(阿部真澄)ええ少しですけど。
例えば魚に含まれているDHAという物質は脳にいいしあとご飯も白米よりは玄米にしてしっかり噛むと脳に刺激を与えるんです。
それから色の濃い野菜も脳にいいのでそのあたりは考えてます。
脳にいいものを考えるなんてさすがよねぇ〜。
阿部さんは昇進試験の猛勉強なさってるご主人に尽くしてらっしゃるのよね〜!フフフ…。
まそういう事とは無縁の方もいらっしゃるけど。
オホホ…。
それに…これを見て。
超ラブラブってこういうの言うんじゃないかしら〜?
(薫)フフフ…。
うちだって…。
(携帯電話)ひっ…!すいません…。
(携帯電話)もしも〜し喜美子さん。
先日はどうも。
はい。
えっ!?ご主人が亡くなった…?ねぇあなた松野喜美子さんって覚えてる?ほら商店街の福引で当たってエステに行った時そこで知り合った人。
え〜っと誰だっけ?ん〜そこのエステの常連さんで大豪邸に住んでる…。
ああ!なんか聞いた気がするね。
いや〜物忘れ?違うよ。
その喜美子さんのご主人がね亡くなったの。
自殺なんだって。
さっき連絡があったのよ。
喜美子さんのご主人はね会社もやってて有名な方だったからニュースでもバンバンやってた。
あなた知らない?ニュース?もしかして松野幸治さん?そう!その松野幸治さんが喜美子さんのご主人なの。
ね〜あんな素敵な奥様残して…。
仕事もうまくいってたみたいなのにね。
もしかして自殺に見せかけて…。
やよい!悪い癖だよそういうの!いつも言ってるだろ。
やよいは刑事じゃないって。
余計な事考えなくていいんだからね。
は〜い。
望月さんどうしたんですか?いや…うんなんでもない。
金田行くぞ。
はい。
あっ望月さん!え…?喜美子さん!大丈夫?この度はほんとになんて言ったらいいのか…。
(松野喜美子)やよいさん来てくださったのね。
ありがとうございます。
私がもっと夫の様子に気づいていればこんな事にはならなかったのに…!
(坂口由香)いい加減にしてください!
(宮本拓郎)この度はご愁傷さまです。
でもどうせならあなたも逝かれたらよかったですね。
ご主人が死んだからといってそれですべてが許された…なんてまさか思ってないですよね?
(由香)宮本さん…!こんなところまで何しに来たんですか?ほぅ…「何をしに来た」ですか。
(玉井啓介)お線香をあげさせていただこうと思いましてね。
こういう宮本代表の広いお心遣い感謝したほうがいいですよ。
何が心遣いよ!ゆすりたかりのくせに。
いいんですか?そんな事言って。
名誉毀損で訴えますよ?もう一度言いますが僕はあなた方の会社を許すつもりはまったくありませんから。
あ!喜美子さん…!
(由香)奥様。
ちょっと中で休みましょう。
外で…外のほうが…。
喜美子さんの事は私が。
お願いします。
こんな時にどういうつもりなのよあの男たちは!クレーマーなの。
…クレーマー?背の高いほうが宮本さんといって被害者の会の代表をしているわ。
もう1人がその被害者の会を支援しているフリーライターの玉井さん。
そうだったの…。
でもどうして?主人が健康器具の輸入販売をしていた事は話したわよね?でも何かとトラブルがあってクレームを入れられたりいろいろ嫌がらせをされたりして…。
そんな事が…。
でもそんなにひどいんだったらうちの主人に相談してくれればよかったのに。
警察って実際に事件が起きないと動いてくれないって聞いたから…。
そう言われればそうなんだけどでも…。
(金田)望月さん!シッ…シッ!こんなところにいたんですか。
…あなた!どうしたの?いや別に…。
あっあなた。
今の2人組の男捕まえてくれた?え?今ここにいたでしょう!そのために来たんでしょ!クレーマーよ!クレーマー?あっそれじゃ…。
いやいや…。
あ…。
主人です。
松野です。
わざわざありがとうございます。
望月です。
いつもやよいがお世話になってるそうで。
いえ…。
あとでお話を伺わさせていただきます。
はい。
私そろそろ…。
大丈夫?喪主が長い時間席を空けてるわけにはいかないから。
そうよねぇ…。
うんじゃあ…。
やよいさん私ひとりで大丈夫。
ほんとに?気をつけてね。
ありがとう。
でどうしてここに?昨日は何も言ってなかったのに。
ん?いやちょっと…。
ちょっとって何かあったの?いやそうじゃないんだ。
ほら…一応念のためってやつ。
怪しい…。
ええっ!?あなた何か隠してるでしょ私に。
いや隠してないよ。
別に何もないよ。
嘘!それが怪しい。
妻の勘ってあなどれないのよ。
だからほんとに事件じゃないってば!あ〜!私事件かどうかなんて一言も聞いてないのに。
ほ〜らやっぱり隠してる〜!
(南田課長)鑑識の結果から松野は他殺と断定した。
(南田)松野喜美子のアリバイはどうだった?はい。
え〜っと…。
松野幸治が転落したと思われる時刻妻の喜美子は表参道のカフェで目撃されています。
花柄のスプリングコートにつばの広い白い帽子をかぶってデパートの買い物袋を大量に持っていたと本人が主張してます。
そのウラも取りました。
まぁ花柄だけにかなり目立っていたようで従業員や客の何人かも喜美子の姿を記憶してます。
そうか…妻の線はないと。
はいおそらく。
(南田)会社の評判も相当悪いらしいな。
ええ。
被害者の会もできていますし代表の宮本という男が直接会社や松野の自宅にクレームを入れたりしていたようなんです。
わかった。
その宮本という男をマーク。
それと被害者の会とパインK2・トレーディングのかかわりをもう少し調べておけ。
はい。
妻の喜美子は共同経営者だったな…。
次に狙われる可能性はまだある。
望月。
はい。
しばらくの間喜美子をガードしろ。
わかりました。
すぐ松野喜美子の自宅に向かいます。
えっと…阿部!はい。
望月の下につけ。
はい。
久しぶりですね。
また望月さんと組めるなんてうれしいです。
よろしくお願いします!ああこちらこそよろしく。
じゃあ先に行ってるから9時に交代に来てくれ。
わかりました。
よろしく。
サワラの煮付け脳にいい!野菜たっぷり風邪引かない!湯葉は胃に優しい。
そしてこれはもちろん髪の毛にいい!ん〜やっぱり健康が一番よね!健康…健康器具…。
どうして喜美子さんのご主人は死ななきゃならなかったのか…。
(チャイム)
(由香)「はい」吉祥寺東署の望月です。
(由香)ご苦労さまです。
どうも。
この度はありがとうございます。
ちょっと今お話を伺ってよろしいですか?どうぞ。
失礼します。
(あくび)
(ノック)あっどうでしたか?被害者の会。
ああ特に宮本の直接の抗議は相当ひどかったらしい。
(阿部)やっぱり…。
それよりお前ダメだぞ。
護衛に集中しなきゃ。
わかってますって。
でも今までは望月さんがいらしたし監視カメラだってあるじゃないですか。
まあ…それはそうだけど。
これからが自分の張り込みタイムです。
責任持って頼むぞ。
はい。
しかしお前も頑張るな。
ええ。
この昇進試験に合格すれば…。
俺の上司になる可能性も出てくるんだよな。
いえそんな…!新人時代望月さんにいろんな事教えていただいたからこそ今の自分があるんだと思ってます。
お前の猛勉強ぶりなら合格するよ。
合格した暁にはうちでお祝いしようよ。
真澄さんも一緒にさ。
ありがとうございます!頑張ります!よし…じゃあお前の番だ。
何かあったらすぐ連絡してくれ。
はい。
(シャッター音)
(ドアの開閉音)あ〜くたびれた…。
あっ…!びっくりした…!どうしたの?ピンポンもしないで…。
ああただいま…。
おかえり。
見て見て見て!ジャーン!ゴージャスヘルシー料理!ゴージャスとヘルシーってのは相反すると思うけどなぁ…。
あなたどこか具合でも悪いの?風邪?いや別に…。
じゃあお腹痛いの?いや別に…。
なんか嫌な事があったの?いや別に…。
ドラえもんなの?いや別に…。
あなた…大丈夫?喜美子さんのご主人の事やっぱり本当に事件だったの?新しいネクタイ買おうかな…。
「身だしなみに気を遣うようになった」これってもしかして浮気…?まさか…まさかね。
(ため息)あなた…!いつも言ってるけどセミじゃないんだから抜け殻はちゃんと洗濯機…。
珍しい…。
んもう…。
(携帯電話が落ちる音)あっ…!ヤバ…。
あっ…!7時か…うん。
特に異常なしと。
(あくび)あなた〜今日お休みよね?龍太の野球のグローブ買いに行く約束じゃなかった?え?あぁ〜そうだったっけ?そうよ!龍太楽しみにしてたわよ。
(携帯電話)あ…あごめん。
(携帯電話)
(ドアの開閉音)ん?うん…。
ん?え?今から?いやちょっとそれマズイなぁ…。
うん…。
そっかわかった。
はい。
(ため息)あ〜あのさごめんね。
あの急な捜査が入っちゃって。
そうなんだ。
ごめん。
仕事だから仕方ないわよ。
龍太には私から話しておく。
うん。
浮気チェックその4。
「休日に家族と過ごさなくなった」当たりだ…。
あっ…!合鍵…?どういう事…?あなた!あっ…。
プリクラの人…!やよい…どうして…?
(パトカーのサイレン)代表そろそろ。
ああ。
おい合鍵持ってたってほんとに愛人かな?まさか!だって望月さんですよ?殺人どころか浮気だってする度胸…。
でも手が血まみれだったらしいよ。
転んでね手を突いたらしいっすよ。
く〜そのおっちょこちょい望月だよなぁ…。
(佐久間署長)何やってんだ君たちは!そうやって身内になあなあだから警察は腐敗してるとマスコミにたたかれる!私が…!私がここの署長になった以上規律正しく任務を遂行する。
報告。
時間を無駄にしない!金田!はい。
被害者は杉崎郁子30歳雑貨店経営。
死体の第一発見者は吉祥寺東署望月龍之介。
望月さんはガイシャ宅…。
(佐久間)望月さん?すいません!望月はガイシャ宅に合鍵で侵入。
衣服に残っていた血痕はガイシャのものと一致してます。
彼とガイシャは顔見知りであり死亡直前杉崎郁子は望月に電話してます。
それと彼女は妊娠中でした。
(佐久間)まったくもう…。
今まで望月と組んでたのは誰だ?自分です。
松野喜美子の護衛についていました。
(佐久間)護衛はもういい。
今後は君も被害者の会の宮本のマークに加われ。
はい。
そういえば君が今度昇進試験を受けるっていう阿部君か。
なかなか優秀らしいじゃないか。
噂はよく聞いてる。
今度の試験に合格すればここにいるほとんどのやつらの上司になるわけだ。
頑張ってくれ。
期待してる。
…はい。
これはごぶさたしております野島警視。
(野島警視)今は君のほうが上じゃないか佐久間警視正。
アハハ。
望月はどこにいる?はいっ!取調室におります!そうかわかった。
俺が何も知らないと思ってるのか?被害者とお前の関係なんかちょっと調べればわかる。
…ええ。
お前の口から事情を話さないと大事になるぞ。
…はい。
相手が俺でも言えないか?…いえ。
へへ…。
あのおっちょこちょいな奥さんが怖いのか?そのぐらいにしとけ。
現場の状況!目撃者の証言!第一発見者!杉崎郁子の殺害が可能なのは世界中でお前しかいない!そう世間は…マスコミは書きたてるはずだ。
どうしてだ?どうして何も言わない!自分の中でクリアにならない事はちょっと…。
クソッ…!本当にお前がやったと言われてもおかしくない状況なんだぞ!はい。
私がやりました。
…って言っちゃいそうな迫力ですね。
なんだと…?いえ…冗談です。
今冗談を言ってる場合か!お前が死体の前で転んだりするから余計な疑い…。
(警官)警視…野島警視!野島警視!
(野島)お前それでも刑事課の…!
(警官)野島警視!
(ドアの開閉音)
(ため息)お世話になります。
どうも。
あの…。
ほんとに主人がやったんでしょうか?
(ため息)
(佐久間)火のないところに煙は立たないって言いますから。
あなたですか?刑事でもないのにすぐに首を突っ込むっていうのは。
はい?あの…。
ああ…新しい署長の佐久間君です。
署長さんですか。
望月です。
主人がお世話になります。
署長になって早々犯罪者の部下の尻拭いをする事になるとは思いませんでした。
犯罪者って…主人の事ですか?急な呼び出し電話勤務中の密会マンションの合鍵携帯のプリクラそれにアリバイもない。
でも私は主人を信じたいと思ってます!亭主の上司にたてつくとは噂どおりの人だ。
あなたは主人の上司であって私の上司ではありませんから。
はぁ〜。
上司なら上司らしく部下を信じて守ってくださってもいいんじゃありませんか!何ぃ…!?まあまあ2人とも…。
ああもう…!失礼!
(佐久間)早く早く!すいませんでした。
ほどほどに頼みますよ。
もうお帰りになって結構ですよ。
(携帯電話)すいません。
(携帯電話)もしもし?
(恵美)「やよいさん?」「今日奥様会あるの覚えてます?」あ…忘れてた。
でもね恵美ちゃん今主人が大変な事になって私もうどうしていいのか…。
「やよいさん大丈夫ですよ。
信じて待ちましょうよ」「ご主人が殺人なんてありえませんって」「奥様会来づらいと思いますけどでも来ればもしかしたら新しい情報入るかもしれませんよ」「ほら南田さんの奥さんとか結構おしゃべりだし…」そうよね…。
わかった行くわ。
(佐久間響子)刑事の妻は刑事と一心同体です。
つまり夫の責任は妻の責任でもあります。
(拍手)すみません遅くなりました。
やよいさんここここ。
ありがとう。
(咳払い)望月さん!あっ南田課長の奥様こんにちは。
(敬子)違う!もう…。
あなたですか。
刑事の妻としての自覚に欠けているのは。
佐久間署長の奥様です。
はじめまして望月です。
妻には刑事である夫を支える義務があります。
普段から妻がしっかりしてないとこういう事になるんですよ。
あのお言葉ですが主人は…。
とにかく!このような事が起きてしまったのは身内の恥という事を十分におわかりいただかないと。
(敬子)本当。
佐久間署長の奥様さすがですわ。
私たちもねいつもこの方にご注意申し上げてるんですけどねえ。
そうなんですよ。
普段から穏やかな人に限って何をするかわからないって言いますしねえ?望月さんは「主人が浮気なんかするはずがない」っていや〜に余裕おありでしたけど。
あのお言葉ですが。
(恵美)あっ皆さん。
お紅茶のお代わりはいかがですか?いえ結構ですわ。
失礼します。
(薫・敬子)あっ奥様!
(敬子)私も参ります奥様。
(敬子)あらら奥様。
うちの主人そんなに信用されてないのかしら…。
何言ってるんですか。
やよいさんのご主人はそんな事しませんよ。
そうよね。
やっぱりそうよね!そうですよ。
やよいさん頑張ってください。
そうよね。
私に今できるのはあの人を信じてあげる事だけ。
あなた私ひとりで無実を証明してみせるわ!でも…証明ってどうやって?そう言われるとつらいんだけど…。
何かあるんですか?手がかりになるもの。
手がかり?あなた…勝手に入ります。
(ノック)どこにあるんだろう…。
うわ…。
うわ〜。
わかりやすい。
(ノック)
(ドアの開閉音)ねえ。
何?それ。
いやなんでもない。
ああ〜。
隠されると余計に知りたくなる。
捜査に関係のある大事なもの。
勝手に見たらダメだからね。
やよいが知らなくていいものなんだから。
ええ〜っ。
ダメって言ったらダメ。
やよいが絶対わかんないとこ隠しておこう。
もうすぐ事件に首突っ込んでくるんだから。
突っ込んだ事なんかないでしょ今まで。
いつも突っ込んでくるでしょう!あなたごめんなさい。
「I.S」…。
イニシャル?「I」いい…。
郁子…「S」杉崎?やっぱり…やっぱりあの人と関係があったんだ。
090…って携帯の番号よね絶対に。
かけてみよう。
「0904651763」…。
(不通話音)殺されたのにつながるわけないわね。
え…?喜美子さんのご主人!ど…どうしてツーショットなの?うちの人と三角関係?いや…もうなんか全然わからない。
これまたわかりやすい。
私の手紙…。
とっておいてくれてるんだ。
「龍之介さんへ」「今日は結婚記念日ですね」「もし世界中の人があなたの敵になったとしても私だけはあなたの味方です」「それを忘れずお仕事頑張ってね」「私も頑張って刑事の妻します」「やよい」そうよ!私が信じないで誰があの人の事を信じるのよ!あなた待ってて。
私が必ずあなたの無実を証明してみせるから!いらっしゃいませ。
どうぞごゆっくりご覧ください。
(由香)わからない事などありましたら遠慮なくどうぞ。
あっどうも〜。
コラーゲン…?地肌にも?へえ…。
じゃあの人の頭にもいいのかなあ。
…ってそうじゃなくて。
はっ!2万5千円ってこれ…。
たっかーい。
あの〜何かお探しでしょうか?いえ。
あっ!奥様のお友達の方ですよね?この間はどうも。
あ…バレちゃいました?あのちょっとお耳貸していただけません?香水何つけてらっしゃるの?えっ?バニラのような甘〜い素敵な香りがするから。
当店の人気商品なんですよ。
ああ〜。
宮本さんっていいましたっけ?ほら松野さんのところによく来てた…。
そんなにひどいクレーマーだったの?喜美子さんの事が心配なのよ。
私ほら友達だから。
お友達なら直接お聞きになれば…。
いやいやいやそうなんだけどどんなクレームだったのかなと思って…。
あ…2万5千円のコラーゲン買おうと思います。
そうですね…。
いやもうそれはもうしつこくて。
クレーマーっていうかなんていうかこう…あっ。
教えて。
うちの商品がインチキだから謝罪しろって押しかけてきた事があったんです。
(由香)やめてください!
(宮本)話があるんですよ。
ほう。
こちらにいらしたんですか。
捜しましたよ。
またあんたらか。
警察呼ぶぞ。
ほ〜う。
警察を呼ばれたら困るのはそちらではないですか?代表。
冷静に。
(宮本)うん。
あなたの会社のせいで多くの犠牲者が出ているんです。
もう少し誠意を持って対処していただいてもよいのではないですか?…というのが私ども被害者の会の言い分です。
変な言いがかりをつけるな。
ほんとに警察呼びますよ!人の命をなんだと思ってるんですか!代表!今日はこの辺で。
どうもお邪魔しました。
(由香)何度も何度もしつこくやってきて…。
だから今回の事はたぶん警察は宮本を疑ってると思います。
それより私奥様の事が心配なんです。
そうよね…。
被害者の会の事は聞けたけどこの2人の事は聞けなかったなあ。
さあて次はどうするかなあ。
望月さん。
違います違います。
私捜査なんかしていません。
この写真はですね私の友達のご主人と…。
阿部さん。
ごぶさたしてます。
ほんとに。
お久しぶりです。
お元気ですか?ええまあ。
それより望月さん大変な事に…。
はい。
自分もなんとかしたいと思ってるんですけど…。
すみません。
あの主人どうしてますか?取り調べが続いてます。
でも何も話さないみたいで…。
そう…。
でも信じてますから。
自分にできる事があったらなんでも言ってください。
どうもありがとうございます。
…で早速なんですけど。
え?あ…。
パインK2・トレーディングの被害者の会の代表の宮本っていう人喜美子さんの…あっ松野幸治事件の第一容疑者になってます?いやその事はいくら奥さんでも…。
わかりました。
どうもありがとう。
また力になってくださいね。
えっ…?やっぱり調べるのは図書館?新聞かなあ。
もっとほかに方法ないのかしら。
ほかの方法…。
龍太!龍太どこにいるの?あっもしもし龍太?お母さんうん。
ちょっと教えてほしい事があるんだけど。
え?野球の練習中?そんな事言わないでさ1つだけ教えてよ。
うんうん。
うちのねパソコンの電源なんだけどどこについてるのかな。
キーボード見てもわかんないんだけど。
え?隣の四角い箱…ってこれ?これのどこ?あっこれ。
(起動音)ああ入った入った!うんありがとう。
わかったわかった。
じゃあね。
もしもし龍太?何度もごめんね。
お母さん。
もう1つだけ教えてほしい事あるのよ。
うちのパソコンをインターネットにつなぎたいんだけど…。
えっ?もうつながってるって?どこ?上から2つめ…。
あぁこれ。
これどうすればいいの?これを…ダブルクリック。
ポンポン。
あっほんとだ出た出た出た!で?えっとどこに字を入れればいいの?検索ってとこの上?ああここだ!わかったわかった。
どうもありがとう。
ごめんね。
もう絶対電話しないから。
練習頑張って。
じゃあね。
えっと…。
パインK2・トレーディング…。
うわあ…。
すごいいっぱい。
え〜…被害者の会。
これか。
(クリック音)「被害者の会の会合のお知らせ」「5月10日」…。
明日か。
それでは時間になりましたので始めさせていただきます。
私はパインK2・トレーディング被害者の会代表の宮本…。
(ドアの開閉音)どうぞ。
(宮本)それでは早速ですが私の妹の被害ケースからお話ししたいと思います。
(シャッター音)
(宮本)妹は太っているのをとても気にしてパインK2・トレーディングが輸入していた「寝るだけで痩せる」という布団を手に入れました。
でもそれはインチキだったんです。
その後も次は痩せる。
これなら痩せると次々に高い器具を買わされていつのまにか多重債務者になっていました。
妹は優しい子でしたから誰にも迷惑をかけられないと思ったのか精神的にも追い詰められて最後には自殺してしまいました。
あの男に殺されたも同然です!殺されたって…。
先日もお会いしましたね。
何か?いえあの別に…私は単に松野喜美子さんの友達…。
松野!あの男だけが死んだって意味がないんだ。
私はパインK2・トレーディングの全員に責任をとってもらうまで妹のためにもほかの被害者の方々のためにも闘い続けるつもりですよ。
あまりかかわらないほうがいいと思いますよ。
望月やよいさん。
(宮本)それじゃ。
なんで私の名前知ってるのよ。
怪しい…。
(龍之介の声)やよい。
悪い癖だよそういうの。
いつも言ってるでしょ?刑事の妻は刑事じゃないって。
はーい。
ごめんなさいあなた。
さて次は…。
可愛い〜。
や〜お花持っちゃって。
これ!あっ!くっ…。
(ドアの開閉音)やよいさんありがとう。
来てくれるなんてうれしいわ。
いえあの…あ…これごめんなさい!
(喜美子)え?今ねこれ可愛いって触って腕折れ…壊しちゃいましたほんとにごめんなさい!ああそれもともと壊れてたの。
そうなの?これ古いの。
主人と初めてベネチアに行った時に買いつけたものなの。
そんな大切な思い出の品…ごめんなさい。
だからもともと壊れてたんですって。
さあどうぞ。
すいません。
あの頃うちは今みたいに大きくなくて輸入雑貨店を細々とやっていたの。
その時これもプレゼントされたのよ。
うわ〜ピアスとおそろいね。
素敵ねえ!ベネチアングラスでしょ?あの頃は毎日が楽しかったわ。
それがこんな事になってしまって…。
ごめんなさい。
いつまでもこんなふうじゃいけないわね。
ううん。
だって愛してた旦那様の事ですもの。
そう簡単には割り切れないわよ。
(携帯電話)すいません。
(携帯電話)あなた心配して…。
誰ですか!?主人がいつもお世話になっております。
えっ?主人がうちに帰ってこれる事になった。
わかりましたすぐに伺います!急げ!ああっ!あっ…。
ちょっと何…!邪魔だよ!すいません。
ああすいません!おおっと。
あの…えっと私あの望月です。
(刑事)知ってます。
すいません有名で。
あの主人は…?
(阿部)あっ望月さん!あっ阿部さん。
こんにちは。
望月さんがいなくなっちゃったんです。
ええっ?どこ行っちゃったんでしょうねえ。
(市原)こっちが聞きたいですよ。
ああ!ごぶさたしております。
でも主人もううちに帰っていいんですよね?いや事情聴取の場所が自宅に変更になっただけなんです。
署内ではいろいろ目立ってしまうという上の判断で。
なのにちょっと目を離したすきに部屋はもぬけの殻ですよ。
アハハハハ!うちの主人抜け殻大得意なんですよ。
もうあっちでもこっちでも脱皮しちゃって。
アハハハ…!
(咳払い)すみません。
まったくふざけてる。
代わりにこんなものだけ置いていきやがって。
あっ。
ご存じですか?いいえ!まあ課長さんにそっくり。
可愛い〜。
(咳払い)いつ来ても気持ちがいい〜。
やよい。
あなた〜!来てくれると思ったよ。
当たり前じゃない。
だってここは…ね!世界に1つしかないお地蔵さんなんてロマンチックよねえ。
そうだね。
ねえこれあなたに似てない?そうか?うんそっくり。
ねえあなたと私の交換して持ってない?2人とも夫婦円満ってお願いしたんだもん。
そうだ。
毎年結婚記念日にここに来るっていうのはどう?いいよ。
ウフフフほら。
ほうらやよい可愛すぎ。
や〜可愛い〜。
あなたここで私の事一生大切にするよって言ってくれたのよね。
ええ?そうだっけ?それ言ったのやよいだろう。
や〜だ〜。
忘れちゃったの?あなたが言ったんじゃない。
いいややよいだ。
私幸せ。
このまま死んでもいい!とか言っちゃってさ。
いやだからそれはあなたが…!なんて言ってる場合じゃないのよ。
どれだけ心配したと思ってるの?心配かけてすまなかったね。
…と言いたいところだけどまだ何も終わってないんだ。
でも疑いは晴れたんでしょ?杉崎郁子さんの事件も松野さんの事件もあなたは関係ないんでしょう?いや…。
ねえお願い。
もう隠さないで教えて。
うん…。
それとも…ほんとに浮気してたの?それはない!誓ってない!じゃああれはなんなのよ!携帯のバッテリーに貼ってるやつ!携帯?バッテリー?なんだっけ?プリクラよ!ツーショットの!ツーショット…?ああじゃきっと彼女のいたずらだ。
彼女?いたずら?やよい。
僕はね刑事なんだ。
たとえやよいにだって話せない事もある。
わかってます。
ごめんなさい。
質問攻めにして。
でもやっとうちに帰れる事になったのに…。
どうして逃げ出したかっていうんだろ?まあ…遅かれ早かれ僕の無実は100パーセント証明できる。
それよりももっと調べなきゃならない事がある。
だからまだ正確でない情報は外に出したくないんだ。
あなた。
それは刑事としていいかもしれないけど…。
妻である私はどうなるの?ごめん。
じゃあ…。
望月家恒例バツゲーム!で1つだけ質問させて。
え?いつからそんなバツゲームできたの?あなたと杉崎郁子さんの間に何があったの?うん…。
3年前彼女の母親が夫をつまり杉崎郁子さんの父親をあやまって殺してしまった。
といっても夫はかなり暴力的な人だったから正当防衛になるような一件だったけどね。
でも母親は今も服役中なんだ。
それで郁子さんは精神的にかなり参っててね。
僕は時々連絡をとって話を聞いてあげてた。
でも最近になって恋人ができて妊娠したっていう連絡をもらってね。
これでようやく彼女も落ち着けると思ってたんだ。
そしたら相手には奥さんがいた。
松野さんの事ね。
あの日…彼女が亡くなった日話したい事があるからと呼ばれたんだ。
それでどうして合鍵なの?つわりもひどいし精神的なショックで起きられないというからポストの暗証番号を聞いてあった。
うーん。
もしかしたら杉崎郁子さんは松野さんを殺したのは自分だと疑われるんじゃないかと思ってそれであなたに…。
そういう事。
彼女は殺しをするような女性じゃないしそれに妊娠している状態での取り調べはきつい。
だからまず彼女の無実を証明してあげようと思ったのね。
あっでもあの「I.S」っていうメモは…。
メモ…!?ああっ!僕の秘密の箱見たな?どこで!もちろんあなたの部屋よ。
く〜っ。
参ったなあもう。
隠し方が悪かったのかなあ。
そうよ。
だってあそこだけホコリかぶってないんだもん。
誰だってわかるわよ。
(ため息)でそれで?それで「I.S」っていうのはイニシャルじゃなくてカタログ番号。
郁子さんの店の商品がパインK2・トレーディングのカタログに載ってたからメモしただけ。
やよいあれだろ。
もしかして「I.S」の次の数字は携帯番号だと思っただろう?うっ…。
でも何回電話してもツーツーって話し中音だった。
当たり前だよ。
よく確認してみろ。
1桁足りないから。
嘘!ええっ?ええっ?嫌だほんとだ。
なんだバカみたい。
ウフフ。
あとは事件が解決してからきちんと話すから。
わかりました。
あなたの事信じてるから何があっても。
頑張ってあなたの力になれるように努力する。
気持ちはうれしいけどただ待っててほしい。
龍太の事頼むよ。
はいわかりました。
はっ!あっ!そんなものまで!ごめんなさい。
でも心配だったんだもん。
まあ今回は本当にやよいに心配かけたからな。
仕方ないか。
でも今回だけだからね!あと1つだけ…。
ええ?もしかして警察は喜美子さんの事疑ってる?喜美子さんはあんなにも旦那様の事愛してたのよ?それはありえないわね。
やよい…。
私思うんだけど被害者の会の宮本って男あの男が妹さんを亡くした恨みで松野さんを殺害しその松野さんが一番愛していた杉崎郁子さんをも殺した…。
違うかなあ。
やよい!はい。
刑事の妻は刑事じゃない。
この前だってさんざん危ない目にあったんだからもうこの件にはかかわっちゃダメだ。
はい。
なるべく事件には首を突っ込まないようにします。
なるべくじゃなく絶対!はい。
じゃ帰るぞ。
はーい。
あっ望月です。
今から自宅に戻りま…。
どうしたの?すっごく怒ってる野島警視。
うわっ!ほんとだ。
すごく怒ってる。
ああ。
当分家の周りに捜査員を置く。
もう二度と誤解されるような真似をするな!俺はもうかばいきれないぞ。
はっ!はい!
(由香)お金は用意できたの?もしもし?もしもし…?切れた…。
(殴る音)あっ!
(防犯ブザーの音)おはようございます。
どちらまで?ウフフフちょっと。
あの…何か?あっいや…。
おい。
いたか?いないです。
ごめんなさい。
これも捜査のため夫のため!すみません。
いらっしゃいませ。
あの上の雑貨屋さんの事でちょっと。
郁子ちゃんの知り合い?警察の方?どっちもです。
あっこんな服装してますけど警察の関係者です。
《ごめんなさい!あなた》おいしい。
郁子ちゃんもいつもそこでコーヒー飲んでたよ。
松野さんと並んでね。
松野さん?あれ?友達じゃないの?知らなかった?いえいえいえもちろん知ってます。
それで…。
でもあの女が来るとさ…。
あの女?俺たちはこっそりバニラちゃんって呼んでたんだけどさ。
バニラちゃん。
そう。
いっつも甘〜い匂いがプンプン。
もうそのバニラちゃんが来ると郁子ちゃんが大声張り上げるんだよね。
なんか気に障るような事でも言ったんだろうけどさ。
松野さんの事知ってたみたいよその子。
こんにちは!坂口さん?由香さん!すいません!失礼しまーす。
坂口さん…?ううっ!うっうっ…。
あいたっ!いった…。
やだこんなとこ…。
ううっうう…。
けっけっ警察警察…。
またですか…。
ようやくご主人の疑いが晴れたというのに。
今度は本当にあなたが犯人なんじゃないんですか?そう言われても仕方のない事をあなたはしている!本当に…申し訳ありませんでした。
あっ…あなた…。
余計な事をするなってあれほど言ったのに…!申し訳ありませんでした。
よく言い聞かせますので。
君の処分は考えておくよ。
はっ…。
(佐久間)ね。
あ…。
やよい…!もう何がなんだかわからない。
いろんな人がいろんなところでつながって。
坂口由香さんはなんなの?あなたの疑いは晴れたんでしょ?本当の事を教えて!まあ座って。
実は松野は相当女グセが悪かったらしくてね。
坂口由香もそのひとりだった。
ああ…。
まあ彼女自身金に汚いとか悪い噂が多かったんだけどね。
だから松野と杉崎郁子さんを殺したのは坂口由香じゃないかと僕は思ってた。
だけど殺されてしまった。
という事は…。
やよい〜!はーい…。
じゃ僕仕事に戻るけど気をつけて帰ってね。
はい。
あなたも気をつけてね。
うん。
うん。
(ため息)
(携帯電話)あっ…。
(携帯電話)うん…。
はいもしもし喜美子さん?うん。
ええっ!?あっ…。
あ…。
ではエステから帰ってきて家に入ろうとした時に突然襲われたという事ですね。
はい。
犯人の顔は見ましたか?いいえ。
何しろ暗かったものですから男の人なのか女の人なのかもわかりません。
なぜ昨日のうちに連絡してくださらなかったんですか?気が動転してしまって…。
そうですか。
あああの…門のところにある監視カメラの映像を見せていただきたいんですが。
もちろんです。
ありがとうございます。
喜美子さん。
何か犯人に心当たりはない?犯人かどうかはわからないんだけどこの数日深夜に何度も無言電話がかかってくるの。
それよきっと!ねもう一度よーく思い出して。
背は高かった?太ってた?やせてた?やよい!はい。
やよいさん…言われてみればなんだけど眉のこの辺りに傷があったような気がするの。
眉のこの辺りに傷…?それって被害者の会の宮本って人じゃない?でもはっきりとは…。
そうよきっと!ねぇあなた!やよい!君はもうかかわらなくていいから。
今度こそ本当に危ない目にあうよ。
はーい…。
松野幸治が経営するパインK2・トレーディングは杉崎郁子の雑貨店と取引があり2人は愛人関係にありました。
坂口由香はパインK2・トレーディングの社員でやはり松野の愛人でした。
(佐久間)という事は会社関係の怨恨か愛人関係のもつれっていう事になるな。
そのあたりどうなってる?あ…坂口由香は松野と結婚すると親しい人間には言っていたようです。
なるほど…。
愛人関係のもつれとなると妻の喜美子の可能性もあるな。
喜美子のアリバイは?松野喜美子ですが松野幸治の死亡時刻には表参道のカフェにいたというウラが取れています。
杉崎郁子が殺害された時間は阿部が喜美子をガードしていました。
阿部。
はい。
その時間松野喜美子は間違いなく家にいました。
それから坂口由香の死亡推定時刻は午後9時頃ですが同じ頃喜美子は何者かに襲われています。
これは改めてウラを取ります。
わかった。
じゃあ宮本のアリバイはどうなんだ?松野幸治の死亡時刻にはフリーライターの玉井という人物が一緒にいたと言ってます。
まあある意味仲間うちなので信憑性は必ずしも高くありません。
杉崎郁子および坂口由香の死亡推定時刻にはうちの署員数人が交代で宮本を見張ってました。
尾行をまかれたんじゃないだろうな。
まさか!そんなポカはやりませんよ。
となると協力者がいた可能性もある。
よし!まず被害者の会の宮本に絞って徹底的に追え!
(一同)はい。
(刑事)いい加減にしてくださいよ!私はね任意でわざわざここに来ているんですよ。
こんな扱いを受けるなんて筋違いじゃないですか。
だから聞かれた事に素直に答えてくれればいいんですよ。
というより松野幸治が死のうとその愛人が死のうと私には関係ないんです。
彼らが死んだからといって妹が帰ってくるわけじゃありませんからねぇ。
では帰らせていただきます。
よしできた!差し入れ完成。
あとは包むだけ。
失礼します。
あっこんばんは。
望月です。
あの主人は…?あっ望月さんならここ出て右行った突き当たりの小会議室にいらっしゃいますよ。
そうですか。
ありがとうございます。
(阿部)時刻は21時33分ですね。
松野喜美子の主張どおりだな。
(阿部)はい。
この家からパインK2・トレーディングまでどのくらいかかる?
(阿部)1時間半ぐらいですかね。
坂口由香の死亡推定時刻に幅を持たせてもこの時間には戻れません。
うん…。
ちょっともう1回!あっやよい!?シッ!今の映像もう1回見せて。
(阿部)あっはい。
え…?やよい…!シッ!早く!はい!え…?早く!あっはい…。
どっから入って…。
シーッ!
(店員)花柄のコートを着てつばの広い白い帽子をかぶった女性ですよね?ええ覚えてます。
聞き込みに来た刑事さんがおっしゃってた服装をしてた方は確かにいましたよ。
あっあの方です!あれ?違う…。
あの…もう一度確認していただいてよろしいですか?
(店員)ええ。
ちょっとこちらへ。
ちょっとよろしいですか。
はい。
写真が3枚ありますが花柄のコートの女性はこの写真の3人とこの人の中でどの人でしたか?あれ?この人…。
この前来た刑事さんには1枚だけ写真を見せられたんですよ。
髪形とかが同じで雰囲気も似てたからこの人だと思ったんですけど。
違うんですね?ええ。
こっちの人です。
これで喜美子さんのアリバイは崩れちゃったのよね?そういう事になるな。
でも松野さんを殺した犯人と杉崎郁子さんを殺した犯人は同一人物なんでしょ?まあそうだけど…。
だったら大丈夫よね?杉崎郁子さんが殺された頃喜美子さんはまったく外出しなかったのよね?ね?阿部さん。
どうしたの?いやなんでもないよ。
ほら…やよいはもう帰って。
ご協力どうもありがとう。
でも…。
いいからまっすぐ帰りなさい!もうこれ以上かかわらないの。
だけど…。
やよいは刑事じゃなくて刑事の妻なんだから。
だって〜!
(携帯電話)失礼。
(携帯電話)
(携帯電話)もしもしこんにちは。
ええ大丈夫。
今から…?わかりました。
すぐに行きます。
やよい…?あのお友達から急に会いたいって連絡が入ったのでまっすぐには帰れなくなりました。
ではお先に。
やよい!あの…。
望月さんにお話ししなければならない事があります。
(ノック)こんにちは。
急にお電話してごめんなさい。
お忙しくなかった?ううん。
ちょうど近くにいたから。
お電話いただいてうれしかった。
どうぞ。
失礼します。
(喜美子)どうぞ。
お邪魔します。
ここに座って。
はい。
今お茶でも。
ああどうぞお構いなく。
わあ〜いつ見てもやっぱり素敵よねこのネックレス。
ありがとう。
主人も私もひと目で気に入ったものなのよ。
うーん。
今日は耳にはつけてないのね。
あ…私も同じようなのが欲しくていろいろ見て回ったんだけどやっぱりないわよねぇ。
ねぇもう一度見せていただいてもいいかしら?ああ…。
たくさんあればお譲りするんだけど…。
これ日本ではなかなか売ってないのよね。
どうぞ。
私…この前のが見たいわ。
だからこれよ。
これはイヤリングでしょ。
でも…喜美子さんがつけてたのはピアスよね?喜美子さん襲われたっていうの…あれお芝居でしょう?何言ってるの!やよいさんだってあれは宮本だって言ったじゃない。
確かに喜美子さん眉の上に傷があったって言った。
ええそうよ。
でもどうしてわかったの?私…ビデオ見たの。
あなたが襲われた瞬間犯人はニット帽を目深にかぶっていた。
だからたとえ眉に傷があったとしてもあなたには見えなかったはずよ。
それに喜美子さんビデオの映像で大切にいつもつけてたベネチアングラスのピアス片方しかついてなかった。
エステの帰りでつけ忘れたの。
私調べたの。
あの日エステサロンは定休日だった。
それから松野さんが殺された時喜美子さんにはアリバイがあったでしょう。
でも…あれも違った。
髪形とかが同じで雰囲気も似てたからこの人だと思ったんですけどこっちの人です。
坂口由香さんをアリバイ作りに利用したのね。
喜美子さん…今からでも遅くない。
自首して。
一緒に警察行こう。
やよいさん…。
どうしてピアスの事わかったの?ここにね…ピアスの金具が落ちてたの。
(やよいの声)ここはあなたのお店だから落ちててもおかしくないって最初は思ってたの。
でも…今の話を聞いてやっぱり…。
わかったわ。
すべてお話しします。
(喜美子)もともとうちは父の会社で輸入雑貨を専門に扱っていたの。
それを松野が継いだ形になったの。
でも会社が自分のものになったらダイエットブームに目をつけて怪しげな商品に手を出し始めたの。
利益を上げ会社を拡大するためだけに。
(松野)「寝るだけで痩せる」…。
究極のダイエット布団だ。
よし…。
あなたもうやめて。
うちの会社のせいで女性が傷つくのは耐えられないわ。
ねぇもう詐欺まがいの事はやめて。
結婚した頃は楽しかったでしょう。
2人でいろいろな国に行って買いつけをして…。
はあ?誰のおかげでメシが食えてんだよ。
誰のおかげでここまで会社が大きくなった!お前は余計な事に口出すな。
(喜美子の声)もう彼の目には何も見えていなかった。
見えていたのはお金の山だけだった。
でもそれだけじゃなかったのよね?最初は純粋な取引相手だったと思うわ。
でもあの人はあの杉崎郁子という女にすぐにのめり込んでいった。
しかも子供まで…。
あの人は子供を欲しがっていたからそれを聞いて大喜びしたと思うわ。
私たちにはなかなか…。
喜美子さん…。
あの人は変わった…。
ベネチアに行ってこのネックレスをプレゼントしてくれたあの人とは別人になってしまった。
それで松野さんの事を…。
あの人にとって私は金づる…。
女としては見てくれなくなったわ。
そう思ったらもう何もかも許せなくなって…。
(喜美子の声)今後の事について話したいと言って呼び出したら簡単に応じたの。
私が離婚を切り出すと思ったんだわ。
うわ…!あ…あ…あぁー!
(地面に落ちる音)
(喜美子の声)あの人が死んですぐ杉崎郁子から電話があった。
(杉崎郁子)あなたがあの人を縛りつけていたんですよ。
でも私わかるんです。
あの人の気持ち。
わかってたまるもんですか!わかります!私は彼の後継ぎを産んで立派に育ててみせますから。
(郁子)私今から奥さんが松野さんを殺したって警察に話します。
(刺す音)
(喜美子の声)最初は殺すつもりなんてなかった。
じゃあどうして…?許せなかったの…。
あの女は私が失ったものを全部持ってた。
松野も…大好きな輸入雑貨も…。
どんなに望んでも恵まれる事のなかった子供まで…。
だから許せなかった。
坂口由香さんの事は…?嘘だと思うでしょうけど私…あの子の事信じてた。
この会社をもう一度2人で立て直すのもいいかもしれないってそう思ってた。
でも…。
5千万…!?どういう事?口止め料ですよ。
えっ…?私自分のお店が持ちたいんです。
ああ…パインK2・トレーディングは要りませんよ。
はぁ…あんなインチキ商売やりたくありませんから。
あなた…何言ってんの…?社長は勘違いしてたみたいですけど別に私は社長が好きなわけでもないし会社が欲しいわけでもありません。
ただお金が欲しいだけです。
ないわ…。
あなたに渡すお金なんて…ないわ。
あら…?いいんですか?じゃあ何もかもバラしますけど。
(由香)もしもし?もしもし…?切れた…。
(殴る音)
(喜美子)やよいさん…。
やよいさんが言うように襲われたっていうのはお芝居。
ビデオの時間を操作してアリバイ工作をしたの。
私警察に自首します。
でも最後に行きたい場所があるの。
(汽笛)
(喜美子)ここで松野にプロポーズされたの。
そう…素敵なところね。
あの頃の彼は優しかったわ。
やよいさんありがとう。
もう十分です。
行きましょう。
危ない!自首なんかさせてたまるか。
玉井さん…やめて!うるさい!俺はなこのでしゃばりな女を殺すために来たんだよ!やっと見つけた金づるなんだよ。
簡単に自首なんてさせてたまるか。
玉井さん!私はもうあなたにお金を渡したりはしない!何…!?ふざけるなー!
(喜美子)やめて!…あなた!?玉井啓介殺人未遂の現行犯で逮捕する。
ふざけんなよ…。
あの女が誘ったんだ!お金やるから協力してくれってよ。
何言ってるの!ご主人が亡くなって大変でしょうって近寄ってきたのはあなたじゃない!自分だったら宮本をどうにかできるかもしれないって。
そのかわりにお金を要求したんでしょ!違う!違わないわ!最初はみんな親切そうに近づいてくるけれど結局最後はみんなうちのお金が目当てなのよ!行くぞ。
私…本当に松野の事が好きだった。
申し訳ありません。
あなた…。
杉崎郁子さんが殺害された時のあなたのアリバイを証明したのは私の部下です。
でもそれは違ってました。
居眠りをした彼はあなたが外出した事に気づかなかった。
その事であなたを更なる殺人者にした。
私たち警察にも責任はあります。
申し訳ありません!殺人犯に謝る刑事さんだなんて…。
やよいさんとは似たもの夫婦なんですね。
(喜美子)私にもね松野の愛だけを信じてた時期があったわ。
出会ったばかりの頃の彼は輸入雑貨でみんなを幸せにするんだって頑張ってたから私もどんな事だって協力した。
2人で会社を大きくしてもっと成功してみんなが幸せになればって…。
もっともっと…。
でもいつの間にかみんなが自分だけになってしまったの。
最初に思っていた大切な何かを忘れてしまったのね。
喜美子さん…。
私たちもあなたたちのような夫婦だったらこんな事にはならなかったと思う。
(喜美子)でももう遅いけど…。
(パトカーのサイレン)夫婦だからこそ憎しみが生まれるのかもしれない。
えっそうなの?それだけ愛情が深いって事よ。
ああ…。
ところであなたどうしてここがわかったの?ん…?にぎり地蔵に呼ばれたんだ。
えっ!?冗談。
実はビデオを見直して背格好から玉井に間違いないと思って行方を追ってたんだ。
それで僕のところに連絡が入ったというわけ。
そうだったの。
うん。
あっ真澄さんだ!あの私…。
申し訳ありませんでした!
(阿部)真澄…。
康彦さん…。
康彦さん警察に入ったからには上に行かなきゃっていつも頑張ってたんです。
だから私も奥様会で伺った事を一生懸命実践して…。
あっでも…それがあなたにはプレッシャーだったのよね。
ごめんなさい。
違うよ真澄。
そうじゃない。
(真澄)あっでも…。
今回の事は俺のミスだ。
目標を達成する事ばかりに必死になって目の前の大事なものを見失ってた。
本当にごめん。
(阿部)本当に申し訳ありませんでした!
(真澄)すいませんでした。
すいませんでした。
阿部さんも真澄さんも2人仲良く幸せな暮らしがしたかっただけよね。
私にはわかる。
確かに昇進のための勉強のせいで捜査ミスするなんてあってはならない事だ。
でも大丈夫だよ。
お前くらい優秀なやつだったら今回の失敗なんてすぐ取り返せるよ。
うちの夫はなかなか昇進しないけどね。
えっ?やっぱり昇進してほしいの?そりゃあ私だって思うわよ。
もっとお金が欲しい。
家族みんなで旅行に行きたい。
素敵なアクセサリーが欲しい。
う〜エステに行ってきれいになりたいって。
はぁ…やっぱりそうだろうな。
でもうちの夫は刑事として一流だと思ってるから。
このまま出世なんかしなくてもいい。
悪いやつに泣かされてる人を放っておけなくて暑い日も寒い日もクソ真面目に靴底減らして頑張ってるこの人見てると素敵だなって思うの。
おいもう…。
何よりこの人の笑顔を見る事が私に一番うれしい事だから。
だからそのためなら大抵の事は我慢しちゃう。
おいもう…。
後輩の前で何言ってんだよお前。
ほんとよ〜。
あなたの生き方人としてかっこいいと思ってる。
もう…もういいってば。
ええ〜今後は二度と事件に首を突っ込まない事。
は〜い。
じゃやよい帰るよ。
うん。
ではお先に。
お先。
(阿部)お疲れさまです!帰ろう。
おいちょっと…。
ちょっと2人見てんだろう。
もう…。
いいじゃなーい。
ちょっともう〜。
もうほんとに〜。
遅くなっちゃった。
お腹すいたって龍太怒ってるわよ。
僕もお腹ペコペコだよ。
ゴージャスでヘルシーな料理頼むよ。
あれ〜?フフ…。
(女性)あの…!望月さんって警察の方だったんですね。
あの実は相談に乗ってほしい事が…。
あの近所の騒音がうるさくて困ってるんですよ。
ああ…。
なんとかしてもらえませんかね。
カラスがですねゴミをつついて汚すんですよ。
(近所の人たちの訴える声)やよいバレちゃったよ…。
これじゃまたお引っ越しじゃない…。
あどうも…。
ああ…!2015/02/12(木) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
刑事の妻“デカツマ”2[再][字]
妻の浮気チェックが不倫連続殺人を呼ぶ!私の夫が犯人なんて…絶体絶命の妻が最後の賭け
詳細情報
◇番組内容
所轄署の刑事・望月龍之介の妻・やよいは、夫の不審な挙動に愛人の存在を疑って夫のあとをつけた!!やよいは、マンションの一室で女の死体の傍で夫が佇んでいるのを見てしまう!! 待望の「刑事の妻」シリーズ第2弾!浅野ゆう子・小日向文世のコンビも絶好調!
◇出演者
浅野ゆう子、小日向文世、風間トオル、中山忍、国生さゆり、中原丈雄、矢島健一、大谷充保、池田政典、大村彩子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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