いってしまうかと思うんですけれども少しでも前を向くきっかけになって頂ければうれしいなと思いました。
(テーマ音楽)北海道札幌にある羊ヶ丘の森。
都会に残された知られざる大自然です。
ここは動物たちの楽園。
多くの生き物が人の暮らしのすぐそばで野生の営みを繰り広げています。
木の穴を住みかにするエゾモモンガ。
食べ物を求め毎晩のように木々を渡り歩きます。
冬人里と隣り合う森で生き物たちの営みを見つめます。
人口190万を数える大都市札幌。
市街地の南東に豊かな森が広がっています。
羊ヶ丘の森です。
面積はおよそ170ヘクタール。
東京ドーム36個分の広さです。
すぐそばまで迫る市街地。
しかし森のある区域は明治時代に国の農業試験場がつくられて以来立ち入りが制限され開発を免れてきました。
主に立ち並んでいるのはハンノキやミズナラなどの広葉樹。
北海道の里山に見られる代表的な樹木です。
冬木々は葉を落とし森は雪に包まれます。
生き物たちにとっては過酷な季節です。
小さな生き物が現れました。
雪の上に下りてきて食べ物を探しているようです。
クンクン。
何かを見つけました。
オニグルミの実です。
大きな実をつける事で知られる広葉樹のオニグルミ。
リスにとってはまたとないごちそうです。
またクルミを発見。
今度はすぐには食べず森の奥へと駆け出しました。
おや?埋めてしまいました。
食べきれない分はこうして蓄えておくのです。
「都会」という環境を利用するようになった鳥もいます。
一斉に一本の木に降り立ちました。
越冬のためユーラシア大陸から渡って来た…ついばんでいるのはナナカマドの実。
ナナカマドは本州では高山に生えますが札幌では街路樹としても植えられています。
人間が植えた木が鳥たちに貴重な食料を与えていました。
都会に残された森が多くの動物たちを育んでいます。
夜。
人々が家路に急ぐ頃現れる生き物がいます。
地上5m。
穴からちょこんと顔を出したのは…日本では北海道にしかいないリスの仲間。
夜行性で警戒心が強いためめったにその姿を見る事はできません。
おや?もう一匹。
更に…。
モモンガは普通単独で暮らします。
しかし寒くなるとこうして一つの穴に集まり寒さをしのぐのです。
一匹が枝を駆け上がって…ジャンプ。
10m以上も離れた木と木の間を一気に飛び移ります。
前足と後ろ足の間にある膜を使って飛ぶモモンガ。
別名「空飛ぶリス」とも呼ばれます。
こうして木の上で暮らす事で地上の外敵から襲われる心配もありません。
たどりついたのはハンノキです。
こずえでジッとしています。
何をしているのでしょうか。
食べていたのは柔らかな花芽。
春に花になる部分を栄養源にしているのです。
エゾモモンガにとっても多くの広葉樹が生えるこの森は絶好の住みかです。
どうやら今夜の食事は終了。
巣穴へと戻ります。
冬のエゾモモンガは日が暮れた頃と早朝の2回しかも2時間ほどしか外に出ません。
一日の大半を巣穴で寝て過ごす事でエネルギーの消費を少しでも抑えるのです。
人々が暮らす街の隣に小さな命が息づいています。
12月中旬。
羊ヶ丘の森は厳しい寒さに包まれます。
この日日の出直後の気温はマイナス7℃。
美しい自然の造形が生まれていました。
大気中の水分が木々の枝に直接氷の結晶をつくる…寒さが増すにつれ森に残された秋の恵みは次第に乏しくなっていきます。
木をつついているのはキツツキの仲間…中に潜む昆虫を探しています。
しかしなかなか獲物にはありつけません。
長く厳しい北国の冬を鳥たちは懸命に生きています。
あのエゾモモンガはどうしているでしょうか。
いました。
口に何かくわえています。
森で集めた木の皮のようです。
この時期エゾモモンガは寒さをしのぐためこうした巣材を盛んに集めます。
巣の中に敷き詰め断熱材にするのです。
しかし巣穴にジッとしているわけにはいきません。
降りしきる雪の中でも食べ物を探します。
次第に巣穴から遠くまで出かけないと花芽も見つからなくなってきました。
じつはこの時期エゾモモンガがしっかり食べなければならない理由があります。
間もなく恋の季節を迎えるのです。
共に暮らしてきた仲間とも別れ単独での行動も目立つようになってきました。
厳しい冬を乗り越えようとするエゾモモンガ。
この森で次の世代を生み育てていきます。
生き物たちの楽園札幌羊ヶ丘の森。
都会の傍らでたくさんの命が躍動していました。
2015/02/11(水) 04:45〜05:00
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「冬 札幌 羊ヶ丘の森」[字]
札幌の市街地にある羊ヶ丘の森にはエゾモモンガが暮らしている。冬眠しないモモンガ。厳しい寒さをどう乗り切っているのか?市街地近くの環境をいかすその暮らしぶりを追う
詳細情報
番組内容
北海道・羊ヶ丘の森は、190万都市、札幌の市街地にある若い森。クラーク像で有名な公園や、国の研究機関の敷地に、人間が100年かけて育てた森だ。この森に夜な夜なエゾモモンガが出現。木々が葉を落とし森の見通しが良くなる冬、モモンガたちの暮らしぶりが見えてくる。冬眠しないモモンガは、北海道の厳しい寒さをどう乗り切っているのか?市街地近くの環境をいかしながら、たくましく生きる動物たちの営みを見つめる。
出演者
【語り】高市佳明
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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