午後のサスペンス「銀座高級クラブママ青山みゆき 女帝バトル殺人帳簿」 2015.02.11


(車のクラクション)
(黒服)いらっしゃいませ。

青山みゆき:私は青山みゆき。
銀座並木通りの高級クラブ「カミュ」の雇われママです

(大岡)ママ三周年おめでとう。
ありがとうございます。
嬉しいわ。
乾杯!
(一同)乾杯!
(篠田)あっ。
(門倉)あっ!まぁ門倉先生!お花ありがとうございました!あんな手紙貰ったら知らん顔できんじゃないか。
だって心込めて書いたんですもの。
ラブレター。
もう三周年だなんて信じられんな。
はいおかげさまで。
お忙しくていらっしゃるんでしょ?総裁選やら何やら…。
ネオンが灯ると血が騒ぐタチだが昼の部でも頑張らんとな。
篠田くんみたいな若い連中に世代交代だって追い立てられちまう。
いえいえ!私は門倉先生の一番弟子ですから。
(絵里花)あら私だって門倉チルドレンよ。
よく言うよ。
俺の言うことはなんにも聞かんくせに。
(笑い声)先生…私も1杯いただいてよろしいかしら?ああ!
(タケシ)お待たせしました!
(篠田)あぁはい。
(美鈴)うわぁ3段重ね!
(ホステスたち)うわぁ〜!おいおい!頼んでないぞこれ。
(篠田)先生申し訳ございません。
僕が頼みました…。
三周年のお祝いだったもので…。
まあ!ありがとうございます篠田先生。
(ホステス)いらっしゃいませ。
(大垣)こんばんは。
まあ大垣さん!ママ三周年おめでとう。
ありがとうございます!お花。
わざわざありがとうございます。
さぁ!まあ大垣さんもうお懐かしいわ。
お懐かしいって先週来たばかりじゃない。
そうよ1週間ぶりにお懐かしいの!
(大垣)いつもそうやって期待させるんだから。
あぁ…ママ…。
うん?いっぺんだけでいいんだよいっぺんだけで…。
もう…。
フフフ…。
(タケシ)失礼します。
いつから来てるんだ?門倉先生?うん。
ついさっきお見えになったとこよ。
(ホステス)どうぞ。
あぁ…。
隣の男は?代議士の篠田先生よ。
ほらウチにいた千鶴と結婚した。
ほら前門倉先生の秘書だったでしょ。
(大垣)アイツが篠田か…。
新しく入った沙也加です。
(沙也加)沙也加です。
よろしくお願いします。
よろしく!今日亜弓まだなのよ…。
沙也加ちゃんが相手しますから。
ママがいてくれりゃいいんだよ。
まっお上手ね!
(五郎)ママ。
はい?ちょっと…。
じゃあちょっと失礼します。
行っちゃうの…?失礼します。
大垣さん。
うん。
亜弓今日も休ませてほしいって。
また?今月に入ってもう7日も休んでますよ。
本を書くのもいいけどこっちが片手間じゃ困るわね。

(亜弓)はい。
話し合い?構わないけど何度したって変わらないわよ。
そっちが決めることなんだから…。
私ね今人生の大勝負してるの!鬼だと言われようが何と言われようが絶対に負けないから!・いらっしゃいませ。
あぁ蓉子ママ!
(木田蓉子)迷惑だったかしら?いいえとんでもない!わざわざどうもありがとうございます。
さっどうぞ!・
(大垣)納涼大会おいで会社の。
(ホステスたち)うわぁ行きたい!お小遣いだお小遣い!あら!お久しぶり!おぉ〜よっ!ご一緒してもいいかしら?もちろん!さっどうぞどうぞ!失礼。
いやぁ〜。
両手に花だね!この頃お顔見せないと思ったらこんなところに潜伏してたのね!今日はたまたまだよ。
さっどうぞ。
あら残り物?せっかくお祝いに駆けつけたのに…。
あぁ…わかったわかった。
おい!新しいのもう1本!
(五郎)はい!
(ホステスたち)すごいすごい!でもよく3年もったわね。
蓉子ママのおかげですわ。
ホント…お父さんの借金まで肩代わりしてあげたんだもんねぇ。
ほう…初耳だな。
この人のお父さん銀座でバーをやってたのよ。
でも亡くなって借金だけが残って夜の仕事に入ったのよね。
蓉子ママにはホントにお世話になりましたわ。
それなのにママになるからってスパッと辞められて…。
おまけに上客まで持ち逃げされたのよ。
まぁまぁ。
そんな…。
でも繁盛しているときはそう長くは続かないものよ。
そうですね。
気をつけなさい。
いつどこで何が起きるかわからないのが銀座だから。
えぇ…。
さぁどうぞ。
さっそれじゃ乾杯。
(一同)乾杯!
(ホステスたち)いただきま〜す。
気にすんなよ。
大丈夫白いお面つけてますから。
危惧してはいましたが私の店のホステス亜弓の書いた銀座ホステス裏日記は紛れもない夜の銀座の暴露本でした

(司会者)それでは皆様お待たせいたしました。
まずはこの本を出版された竜宮出版社の大垣社長からひと言ご挨拶をいただきます。
(拍手)
(大垣)え〜皆様本日はお忙しいなかこのように大勢お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
待望の銀座ホステス裏日記の刊行にいたりましたのはひとえに皆様のご協力の賜物だと思っております。
すでにご購読の方もいらっしゃると思いますが発売初日より売り上げは上々でございまして…。
次に著者である椿亜弓さんのご挨拶です。
(拍手)皆様本日は私のためにお集まりくださいまして本当にありがとうございます。
自分の本を出すのはかねてからの夢でした…その夢がようやく達成できて本当に嬉しいです。
(亜弓)ちょっと何すんのよ!いい気になってんじゃないわよ。
ふざけないでよ。
待ちなさいよ!
(亜弓)離してよ!謝んなさいよ!なんで謝んのよ。
なんなのよこれは?銀座の活性化のためだなんて笑わせんじゃないわよ。
ただの暴露本じゃないのよ。
嘘は書いてないわよ。
でたらめじゃないのこんなもの。
ちょっと!あっ…。
自業自得じゃない。
なんですって。
謝んなさいよ。
だからなんで謝んのよ。
なによ!ばばぁのくせに!やめてください蓉子ママ。
やめてください!
(ママ)ひどいじゃない!
(ママ)いったいどうなってんのよ。
(ママ)嘘ばっかりじゃないの!申し訳ありません。
皆さんにはご迷惑をおかけしてしまって…。
アンタが書かせたんでしょ?えっ?誰に育ててもらったと思ってるのこの恩知らず!そんな…。
暴露本書かせて私の評判落として自分がトップにのしあがろうってわけ?そんな…私だってこんなことが書いてあるなんてちっとも知らなかったんです。
知らなかったで済まされないわよ。
自分のお店のホステスでしょ責任とってもらうわよ。
(ママたち)責任とりなさいよ。
(大垣)ちょっとちょっと蓉子ママ。
落ち着いてくださいよ。
ちょっとどういうつもり?社長がついていながらこんなデリカシーのかけらもない本を。
いやいやママのお怒りはねごもっとも。
しかし美談ばかり並べたものと人の琴線に触れたものとじゃどちらに読者が飛びつくか。
ねぇ真実かどうかは問題ではなく大事なのは読んでおもしろいかどうか。
むしろ暴露本に書かれたっていうのはママたちにとってある意味ステータスというか。
これもひとつ銀座のPRの一環だと思ってここは私の顔に免じてご勘弁を。
できないわね。
私は絶対許さないわよ。
覚えてらっしゃい。
ママ!蓉子ママちょっと待ってくださいよ。
ママのこと相当恨んでますよ。
でもね大丈夫私がちょっとね…任せときな。
(大垣)蓉子ママちょっと待ってくださいよ!亜弓ちゃん…。
お客様のプライバシーに関わることは書くべきじゃなかったわね。
私たちはね夢を与えるのが仕事なの。
あなたはその夢を壊したのよ。
銀座の名前を汚したのよ。
亜弓ちゃん!はぁ…。
(辰巳)おい。
なにすんのよ。
そうつれなくすんなよ。
触らないで。
おいちょっと待てよ。
(辰巳)おい。
(亜弓)待ってて。

(鍵を開ける音)
(ドアを開閉する音)
(足音)あっどうも。

(ピアノ)今日はお疲れさまでございました。
えっ?亜弓ちゃんですか?さぁ?どこへ行ったかわかりませんけど…。
ちょっと仕事の話があってさ飯食う約束になってたんだよ。
でも連絡もこないしケータイもつながらなくてさ。
出版パーティーまで開いてやったのに腹が立ってしようがねえよ!そう…うん…うん…。
どう?ママ。
これから俺につきあわねえか?あら残念。
今お友達とご飯食べてるところなんですよ。
また誘ってくださいね。
じゃあ。
(大垣)また今度なんて…。
(電話を切る音)チッ!なんだよ!
(ドアを開ける音)
(ホステスたち)おはようございます。
おはようございます。
(美鈴)おはようございます。
美鈴ちゃん!なに?お向かいのクローバーの子から聞いたんだけど亜弓さんお店出すんだって。
ウソ!聞いてない!パトロンは大垣社長じゃないの?それで暴露本書いたんだ。
うまくやったね。
私たちも頑張らなくちゃね!おはよう!おはようございます!ママ!亜弓さん今日もお休みですか?うんそれが昨日から連絡が取れないのよ!
(ざわめき)
(美鈴)キャア〜!!
(ホステスたち)キャア〜!!あ…ああ…。
あっ!ああっ!
(サイレン)
(シャッター音)
(山崎)亡くなった被害者はこの店で長く働いていたと聞きましたが…。
2年になります。
え…お店でのトラブルとかは…。
いえ別に…。
昨日は確かあなたも出版記念パーティーに出席されていたんですよね?はい。
何か変わったことや気になることはありませんでしたか?特には…。
ただ…。
なんですか?出席者のなかにはあの本のためにプライバシーを侵害されて憤りを感じる方も少なくなかったかも…。
あなたもその1人というわけですか?いいえ。
(上野)山さん!胸をひと突きされてほぼ即死だったようです。
(上野)被害者は川崎恵美32歳。
岩手県宮古市出身。
銀座3丁目16番地クラブカミュのホステス。
源氏名は亜弓。
司法解剖の結果死因は刃物が肺まで達したための失血死。
刃物が突き刺さったままだったため現場での出血は微量でした。
凶器は果物ナイフ。
こちらです。
死亡推定時刻は午後7時から午前1時の間と思われます。
(上野)被害者の当日の足取りですが「虎ノ門パストラル」で午後3時から出版記念パーティーが行われ午後5時にはホテルを出て銀座に向かったと思われます。
(山崎)日曜日はカミュは休みだ。
なのになぜ椿亜弓は店に…。
誰かと待ち合わせていたんでしょうか?とにかく暴露本を書かれて恨んでいる人間がいるはずだ。
パーティー出席者のアリバイを一人ひとり洗うぞ!
(ざわめき)なんだね?警察には用がないぞ!ちょっと門倉先生についても気になることが書かれているもので…。
ああ…これだ!
(山崎)「かつては衆議院の急先鋒といわれ大臣の経験もある大物代議士が同じ店のホステスに乗り換えたことで愛人だったホステスは同じ選挙区の野党代議士と親交の深い出版社社長をパトロンに…」このホステスは著者の椿亜弓で大物代議士は門倉先生のことでは?バカなことを言うんじゃない!この忙しいときに。
(山崎)失礼ですが先生は出版パーティーが終わられたあとはどちらに?ここに帰ってきたよ。
証人なら山ほどいる。
フッ…。
シロもクロも見分けがつかんのか。
それじゃどうも…。
今後こんなことで私を煩わせたら君たちの立場もなくなるぞ。
それは…脅しですか?一人前の口をきくんじゃない。
おい若造…刑事ならヒゲ…剃ったらどうなんだ?お言葉ですが…!俺を疑ってんのかね?
(山崎)椿亜弓が死んでいちばん得したのはあなたですよね?まぁ本人には気の毒だがね…。
おかげですごい売れ行きだよ。
この分だと発売1週間で重版だ。
なぜこんな本を?亜弓のほうから書きたいって言ってきたんだ。
ほぉ…。
金が欲しかったんじゃないのかな。
亜弓はよく言ってたよ。
自分はホステスで終わりたくないって。
失礼ですがパーティーが終わったあとはどちらにおられましたか?
(大垣)ここで仕事してたよ。
椿亜弓と会ってたんじゃないんですか?
(大垣)あぁ!?被害者の携帯電話の着信歴にあなたの番号が残ってたんですよ。
(大垣)それがどうした?え?あの夜俺は亜弓と会う約束をしてたんだ。
でも会えなかった。
すっぽかされたんだよ。
椿亜弓とはなぜ会う約束を?打ち上げだよ。
(山崎)お二人だけで?おかしいかね?出版社の社長と著者が2人で食事したってちっともおかしくないだろ?疑わしいのは本を出されて迷惑してるヤツに決まってんだろ。
椿亜弓さんの出版パーティーのあと門倉先生と一緒に先生の事務所に顔を出しにいきました。
篠田先生は門倉先生の秘書をなさってらしたんですよね。
えぇ。
私の家も代々政治家の家系ですが若いうちはよそ様の飯を食って勉強しろというのが父親の方針で…5年ばかり。
まぁ秘書というよりは…書生みたいなものでしたが。
門倉事務所には何時頃まで?あ奥さん…あいや奥様あのお構いなく。
仕事ですから。
(千鶴)お紅茶ぐらいよろしいじゃないですか。
どうぞ。
どうぞ。
2時間くらいいたかな…先生の事務所に。
8時には帰ってましたここに。
どなたかそれを証明できる方はいらっしゃいますか?あ…私はその日山中湖の別荘のほうに行っていまして…。
いやこういう場合身内の方の証言は…。
あそうか…ダメでしたよね。
第三者の証言が必要というわけですか。
参ったな…。
国会議員といいましても僕ら二人暮らしだから…。
お手伝いさんも5時には帰っちゃうんです。
そうですか…。
証明できる方いらっしゃいませんか…。
となると…僕が疑われるのかな?
(山崎)出版記念パーティーであなたは被害者ともめたようですね。
えぇ。
本の内容が納得できませんでしたので。
(上野)事件当夜どちらにいらっしゃいましたか?家に帰ってお酒飲んで寝ちゃったわ。
(上野)誰か証明できる人は?…いないわね。
一人暮らしだから。
「銀座の老舗高級クラブLは勤めたくないクラブナンバー1だ。
Lのオーナーママはこれと見込んだ客と浮名を流して銀座一のオーナーママにまでのしあがった。
以前からクラブLにはママが客にホステスを斡旋してるという噂がある」これ…あなたのことですよね?冗談じゃないわよ!だから私は怒ったのよ!こんな根も葉もないこと書かれたらお店潰れちゃうわよ。
じゃあここに書かれてることはでたらめだと…?当たり前でしょう!むしろ悪意に満ちた中傷よ!こんな嘘八百を書けとけしかけた人がいちばん悪いのよ。
生き馬の目を抜く銀座だけどホント…油断も隙もありゃしない。
先日はどうも。
あ…。
なんでしょう?あなたのアリバイをお伺いしたいんですが。
(上野)被害者の死亡推定時刻の午後7時から午前1時の間どちらにいらっしゃいました?あの…知り合いのピアノの発表会を見て一緒に食事を…。
(上野)どなたと?知り合いのピアノの発表会と言われましたねどなたですか?それはちょっと…。
人と会っていたというだけじゃアリバイにはならないんですよ。
どこでどなたと何をしていたのか具体的におっしゃっていただかないと…。
ですから…言えません。
なぜですか?相手に迷惑がかかりますから…。
椿亜弓と会ってたんじゃないんですか?違います。
じゃあ誰と会ってたんですか!?すみませんが署までご同行願えますか?何度聞かれても言えないものは言えません。
なぜだ!?なんで言えないんだ?アンタが殺したからじゃないのか!?
(机を叩く音)あなたのアリバイが判明しないとこちらも疑わざるをえないんですよ。
私は犯人じゃありません!だったらどうして隠すんですか?誰といたのか言えないのなら殺害現場にいたと思われてもしかたありませんよ。
被害者はあなたの店で発見された。
店の鍵はアンタとチーフの永井五郎しか持っていない。
しかし永井五郎はアリバイが取れた。
でももし私が犯人だとしたらわざわざ自分に疑いがかかるようなことをするでしょうか?それを逆手にとったのかもしれない。
言いがかりだわ!じゃ誰と会ってたんだ!?どこで何をしてたんだ!?本にはこう書かれています。
(山崎)「クラブCは美人の雇われママMの人気でもっている店だ。
しかし健全なイメージで売ってきたMママもホステス時代にお客と恋に落ち子供を産んでいる。
結婚まで約束したが相手の両親に反対されたらしい」これはあなたのことだね?
(山崎)なんでも子供は今中学生で男の両親と暮らしているらしいね。
あの子に会ったんですか!?
(山崎)会ってはいないよ。
あなたのことをよく知ってる人から聞いたんだ。
蓉子ママ…そうでしょう!?
(山崎)あなたに疑いがかかっていることをあなたのお子さんが知ったらどう思うだろうね。
やめて!やめてください!!お願いですからそれだけはやめてください!
(上野)だったらこっちの質問に答えるんだ。
あの日は…あの子のピアノの発表会に行ってそのあと一緒に食事をしました。
もうとってもよかった!今日の演奏。
よくあんなに弾けるようになるまで練習したわね。
(里沙)みゆきさんのおかげだよ。
ピアノ教室に通わせてくれたから。
それは里沙ちゃんが頑張ったからよ。
発表会も無事に終わって…次はいよいよ高校受験ね。
もう行きたい学校は決めたの?
(里沙)本当は柊学院受けて大学の音楽学科に進みたいんだけど。
大丈夫よ。
里沙ちゃんの成績だったら絶対合格間違いなしだわ。
でも行かない。
どうして?行きたいんでしょ?あ…お金のこと?応援するわよこのみゆきさんが。
いいよ。
いいから!受けなさい。
受けない。
どうして?だって悪いよ。
何言ってんのよ!ピアノ教室まで行かせてもらったのに?それはそれよ。
ねっ?そこまで甘えられない。
お母さんでもないのに…。
心配しなくても平気だよ。
親のない子は強いもん!フフフ…。
おばさん子供がいないから里沙ちゃんのことが応援したいのよ。
応援させて。
〜どうもありがとう。
おやすみなさい!〜お願いしますそれからあの子を家まで送っていきました。
なぜそれをすぐに言わなかったんだ?あの子を巻き込みたくなかったんです。
私…里沙の将来を考えたら私と暮らすよりあちらの家で暮らしたほうが幸せになれると思ったんです。
娘には親戚のおばさんということで母親とは名乗らないという約束で会うことを許していただきました。
あの子も母親は死んだと思ってますから今さら名乗るわけにもいかなくて。
(ドアが開く音)
(刑事)山崎さん。
今日はこれで帰っていいです。
本当に助かりました。
ありがとうございました。
(篠田)僕が働きかけなくてもママの疑いはいずれ晴れるに決まってる。
でもこんなに早く解放されたのは篠田先生のおかげだわ。
(篠田)千鶴がねママのこと心配らしくてなんとか力になってやりたくてね。
そう。
千鶴さんとももうしばらく会ってないわ。
たぶん結婚式以来じゃないかしら。
そんなになりますか?篠田先生が優しいから千鶴さんは幸せね!一度遊びに来てくださいよ家のほうにも。
ええ事件が解決したらぜひうかがいたいわ!いつから再開するのお店は?警察の許可が下りしだい1日も早く開けたいんだけどでも…しばらくはムリみたい。
(篠田)お店のなかで何をしようとしてたのかな亜弓は?それがわかれば犯人もわかるのにね。
いずれにしても被害は甚大だね。
商売あがったりよ!こっちは雇われママですからねノルマ達成できなかったらクビになっちゃう!大変だなぁ。
《いつお店を再開してもいいように準備をしておかなくてはなりません。
私はお店に待機中のホステスさんたちを集めてミーティングを開くつもりでした》おはよう。
先ほどオーナーに呼ばれました。
今後の方針を説明にこいとのことです。
再開しても客離れで売り上げが落ちるようだったらママのチェンジも考える。
そう伝えるようにと言われました。
わかったわ…。
みんなごめんなさいね心配かけて。
できるだけ早くお店再開しますからもうちょっとだけ辛抱してちょうだいね!あら…やあねぇそんな暗い顔してどうしたの?事件のことは早く忘れましょう!ママ…。
絵里花たち辞めるっていうんですよ。
え…?絵里花さんどういうこと?ママがどうこうってんじゃなくてホステスの殺された店ではもう働けないっていうか…。
アタシも…。
美鈴ちゃんも?すみませんママ私たちも。
あなたたちまで…。
ママには悪いけど他で声かけてもらってるし。
私たちにも生活がありますので。
お世話になりました。
(五郎)銀座中の噂になっちゃいましたからね。
辞める連中の気持ちもわからないでもないんですが…。
あなたたちは残ってくれるのね?もちろんです!ありがとう。
みんなの気持ち忘れないわ。
一生懸命頑張って1日も早く休んだ分を取り戻しましょうね!
(ホステス)はい!蓉子ママ!ちょっとおじゃましていいかしら?ええ…。
ソファやテーブルも取り替えて明るい雰囲気にしたほうがいいわね。
それからお店の名前も変えたほうがいいし。
(チーママ)そうですね!あのどういうことですか?ウチのチーママがね来月からあなたに代わってこの店をやることになるかもしれないのよ。
え…?再開しても売り上げがあがらなかった場合だけど…。
みゆきさんここ辞めて行くところがなかったらまたウチで雇ってあげてもいいわ!どうもおじゃまさま!なにあれ!ハゲ鷹みたい!ありがとう。
(運転手)ありがとうございました。
何ですか?怪しい者じゃありません。
どうぞ…。
フリーライター?亜弓のことで聞きたいことがありましてね。
亜弓さんのお知り合い?ちょっとね…。
亜弓から何か預かってません?は…?アイツの部屋探したんだけどね見つからなくてね…。
何のことですか?原稿ですよ。
アイツが書いてた原稿。
暴露本の第二弾。
何ですって?どこにあるか知りません?私が知るはずないでしょう!隠してるんじゃないですかどっかに?あなたもハゲ鷹の1人ね。
亜弓が本を書いたときには俺もずいぶん協力したんだよ。
隠してるとしたらハゲ鷹はそっちだろう!お金に目がくらんだらライターはおしまいよ。
ちょっと待て!何するの?大きな声出すわよ!離して!
(警察官)何やってるんだ!お巡りさん!
(五郎)フリーライター辰巳洋平…。
知ってますよこの男。
亜弓の元彼ですよ。
亜弓さんの?ママには話してなかったけどこんなことがあったんですよ。
亜弓:イヤッやめてよ!離してよ〜!!早くしろよ!!早く。
これが最後よ金輪際私の前に現れないで
(五郎)あとで亜弓から聞いたら高校の同級生で一緒に東京へ出てきてしばらく同棲していたらしいんですよ。
そう…。
ライターといっても三流週刊誌の契約ライターだから金はなかったんだろうな…。
亜弓に見限られてからはよほど困ってたんじゃないんですか?それで亜弓さんの原稿を…。
出版社にでも売れば金になると思ってるんじゃないんですかね?ということは辰巳は原稿を狙っていた…。
もしかしたら…。
アイツが亜弓さんを殺したかもしれないな。
(タケシ)あっママ大変です!…泥棒です。
…どうしてこんなことに!…ひどいわ。
(タケシ)ロッカールームも荒らされてました。
はいよろしくお願いします。
警察には今連絡しました。
いったいなぜ?ご苦労さまです。
あっ刑事さん!殺人事件が起こったばかりだしただの空き巣じゃないと思ってね。
何か盗られた物は?いえそれが金庫の中に入れてあったお金もそのままでして…。
…金目当てじゃないってことか。
アンタたち以外にここの鍵を持ってる人間は1人しかいない。
それじゃあ犯人は…。
殺害した椿亜弓から店の鍵を奪ったんです。
では犯人は何が…狙いだったのか。
アンタ辰巳というライターを知ってるだろ?え…?マンションに訪ねてきたそうだね。
…いえ訪ねて来たというより待ち伏せされてたんです。
待ち伏せしてまで辰巳が要求したものは何ですか?それを教えてもらえませんかね?亜弓が殺された日から辰巳は彼女の部屋を探しまくっている。
しかし探し物は見つからなかった。
アンタを待ち伏せしたってことはその探し物アンタが持っているとにらんだからだ。
〜…原稿です。
原稿!?あゆみさんが書いた本の第二弾の原稿です。
その原稿アンタが持ってるのかね?とんでもない!第二弾を書いてるなんて辰巳に聞いて初めて知ったくらいですから。
本当かな?政治家じゃあるまいしウソなんかつきませんよ。
ということは辰巳が亜弓さんを殺し鍵を奪ったが原稿が見つからないためそれを探しにこの店に侵入した。
そういうことですか?あくまでも可能性の話だがね。
《その原稿に何が書いてあるのかしら…》〜すごい大きい!運転するの久しぶりなんだ。
本当?大丈夫?〜キャー!!
(鑑識官)ご苦労さまです。
(山崎)辰巳だな。
(シャッター音)
(鑑識官)頭部に大きな損傷の跡がありますから何かで殴られてそのまま海に転落したものと考えられます。
誰が辰巳を…。
いずれせよ椿亜弓殺しの犯人は辰巳じゃないということだけははっきりしたな。
いまのところ椿亜弓殺害当夜にアリバイが成立していないのは…代議士の篠田と「ラ・シャトー」のママ蓉子です。
2人とも簡単にしゃべる相手じゃない。
大垣を責めたら…何か出てくるかもしれんな。
(テレビのアナウンサー)東京都大田区京浜島で発見された身元不明の男性の水死体は杉並区高円寺東に住むフリーライターの辰巳洋平さんと確認されました。
辰巳さんの体には鈍器で殴られた跡があり警察は殺人死体遺棄事件とみて捜査を始めました。
死体に争った跡がないことから顔見知りによる犯行の可能性が高いという見方を強め辰巳さんの仕事関係者から事情を聞くと同時に遺体発見現場は大型ヨットの修理工場で夜になると人影がなくなることから別の場所で殴られ…。
(上野)あなたの着信記録が亡くなった辰巳洋平の携帯電話に残っていたんですよ。
俺が辰巳を殺したとでも?
(山崎)いやいやいや参考のためにお聞きしてるだけです。
(上野)辰巳はあなたのところを何度か訪ねてますよね?ええ。
(上野)用件はどういう…?亜弓の原稿を買えと言ってきたんだ。
(山崎)辰巳が?前にも話したが亜弓が殺された夜俺は亜弓から第二弾の原稿を受け取ることになっていた。
ええ聞きましたよ。
だが亜弓が殺されて原稿も消えた。
ところがある日辰巳がその原稿俺に買えと言ってきた。
ということは原稿は辰巳が?いや…恐らくアイツは持っていない。
なぜなら俺は原稿を見せてくれたら半分金は払うと言ったんだが持ってくる様子はなかった。
アイツは金が欲しいだけだから原稿を持っていたって何の役にも立たないはずだ。
ということはまだ原稿を手に入れていなかったに違いない。
しかし辰巳が殺されたということは原稿を持っていた可能性もあるのでは?あるいは椿亜弓を殺した犯人を知っていたか。
何が言いたいんだ?犯人は辰巳に金を払うのが惜しくて原稿だけ奪って殺した。
ハッバカバカしい…疑うにも程がある。
それが我々の仕事なもんでね。
仮に原稿を手に入れてたとしたらすぐ出版するよ!本にならない原稿なんてな…ただの紙クズだ!…もうたくさんだ!いいかげんにしろ!ちょ…煙草!亜弓さんを殺したのが辰巳じゃないとすると…。
いったい誰が?そうよね…。
私お店に泥棒が入ったとききっと辰巳に違いないって…でもそうじゃなかったんだ。
…ずっと気になってることがあるの。
何ですか?泥棒が入ったとき店じゅうが荒らされてたのに棚のボトルだけはきちんとラベルを向けて並んでたわ。
でもボトルの間隔がまちまちだったから動かした跡はあるの。
それなのにラベルはきちんと向けてあった。
男の人ならそんな几帳面なことはしないと思うの。
ハッひょっとして…同業者!?いずれにせよ亜弓さんを知ってた人じゃないかしら?…まさか蓉子ママが?〜ホステスは本気でお客様のことを好きになる必要はありません。
ランちゃんあなたちょっと本気になりすぎるから気をつけたほうがいいわね。
でもお客様に「ちょっと俺に気があるな」と思わせることは大切です。
いいですか?
(ホステスたち)はい。
そうねそれからお客様に上手に甘えてお金をたくさん使わせる。
これがプロのホステスとしての心構えです。
懐かしいわねぇ!ママが来てくれるなんて思ってもみなかった!せんだって篠田先生に助けていただいたときにあなたが私のこと心配してくれてるって聞いて早くお礼に伺わなきゃって思ってたんだけど…。
なかなかねぇ…。
大変だったでしょう?警察の取り調べとか…。
うん…これ。
あすみません。
ありがとう。
1日も早くお店再開したいのにまた殺人事件が起きてしまって大ピンチよ。
亜弓さんのことは気の毒だと思ってるわ。
あぁあなたたち2人は同じ時期にウチのお店で働いてたんですものね。
2人ともとっても仲よかったし。
でも…亜弓さんの事件では篠田も困ってるの。
え?事件の夜のアリバイがないのが蓉子ママと篠田の2人だけなんですって。
…そんな。
篠田は家にいたんだけど私が山中湖の別荘に行ってたから証明できる人が誰もいないの…。
あ…まさか夫婦ゲンカでも?あぁ違います。
たまたまです。
あそう。
おいしいわこのお紅茶!篠田はイギリスに留学してたことがあって紅茶にはうるさいんですだから。
これが幸せの秘訣ね。
…男と女の仲は夫婦がいちばんですものね。
〜ありがとう。
気をつけて!〜《私は「カミュ」の再開にむけてホステスを募集しました》あら先週まで蓉子ママのお店で働いてたのね。
(秋子)はい…。
どのぐらい働いてたの?2週間ぐらいです。
ずいぶんすぐ辞めちゃったのね。
ウチはそれじゃ困るのよ。
最低でも3か月は働いてもらわないと…。
はい。
どうして2週間で辞めたの?それが…。
秋子ちゃん…。
田所先生がねまだ飲み足りないんですって。
だからこのあとお食事おつきあいしてあげて…。
はい…。
お願いね!
(秋子)先生…やめましょう。
やめましょう。
(田所)なに言ってんだよ!いいだろ?ちょっと…やめてください。
そんなヤボなこと言うなよ!お願い…!悪いようにはしないから!痛てっ…!バカねぇ。
ホテルの部屋までついて行ってやめてくださいもないわよ!そこまで行ったってことは覚悟の上でしょう?なりゆきでしようがないと思ってお部屋に行ったんですけどどうしても嫌になったんです。
ホステスはどんなときでも断ってはいけないんですか?タイミングが悪いって言ってんのよわかんない人ね!お客をその気にさせちゃったんだからちょっとぐらい目をつぶって我慢すればいいのよ。
それぐらいのことわかってるはずでしょ?何年ホステスやってるのよ!田所先生はオカンムリよ!どうすんの?それで辞めちゃったの…。
はい。
昔はそんなこと言うママじゃなかったのに…。

(拍手)あらいらっしゃい。
賑やかですこと!おかげさまで。
どうぞ。
はい失礼します。
「カミュ」のママからです。
あらどういう風の吹きまわし?いただきます。
(2人)乾杯…!どうそちらは?いろいろ大変みたいね。
縁起の悪いことばかりでこちらとは大違い。
それはお気の毒…。
蓉子ママの期待どおりになりそうですわ。
私が喜んでるみたいな言い方じゃない?これでもあなたのことは私がいちばん心配してるのよ。
そうなんですか?だったらどうして私の過去を警察に話したりなさったんですか?聞かれたから答えただけよ。
私思うんですけどね亜弓ちゃんや辰巳を殺した犯人は事件が起きていちばんおいしい思いをしてる人なんじゃないかって…。
あらそれなら大垣社長じゃない?亜弓さんが亡くなってあの暴露本はバカ売れしたんだから笑いが止まらないんじゃないの?あの古ダヌキ…。
(大垣)ハハハ…おおとっとけ!
(黒服)ありがとうございます。
いいんだいいんだ!あらお待ちしておりましたのよ!
(大垣)ごめんごめん遅くなっちゃって!
(大垣)みゆきママも来てたのか。
ええさあどうぞ!今ね噂をしていたのよ。
どうせ悪口だろ。
みゆきママがね亜弓さんや辰巳を殺した犯人はきっといちばんおいしい思いをしている人だって言うからいったい誰だろうって考えてたのよ。
誰だろうね…俺?なんだよ冗談じゃないよお前らまで!銀座の悪口書いて儲けたお金は銀座に吐き出してもらいますよ!はいはい!ニューボトル!
(黒服)はいかしこまりました。
それじゃ私はそろそろ…。
なんだよ俺の顔見たらもう帰っちゃうのかよ!蓉子ママちょっと…。
じゃあ…。
うん。
なあに?今日この店で働いてた女の子がウチの店の面接に来ました。
秋子…?いろいろとおもしろい話を聞かせてもらいました。
そうどうしようもないカマトトだけどまあ面倒みてあげてよ。
この世界に入って蓉子ママからはいろんなことを教えていただきました。
感謝してます。
でも…ママは変わってしまった。
あの子の話を聞いてたら亜弓の暴露本に書かれていたようなことをしていたと思われてもしかたがないなと思いました。
なんですって?銀座のホステスは女を売ったら負けだ…。
ママは私にそう教えてくださいました。
アンタケンカ売りにきたの?ホステスが女を売ったぐらいで3万円のお酒が30万円にはならない。
お客様のステータスやプライドを満足させ喜ばせて3万円のお酒に30万円50万円払っても惜しくない。
そう思わせるのがプロのホステスの仕事だって…。
何が言いたいわけ?まるで私が女の子をそそのかしてるような言い方ね!違いますか?何様のつもりなの!?アンタ!私は昔の蓉子ママに戻ってほしいんです。
思い上がるんじゃないわよ!私に説教するのは10年早いわよ!疑われるようなことをしてほしくないだけです!お黙り!おい!蓉子ママ何やってんだよ?いい大人が…。
失礼します。
お待ち!ママ!ママ!どうしたんですか!?ママ!大丈夫!?
(ホステス)ママ!
(大垣)蓉子ママ!救急車!蓉子ママしっかりして!
(愛)ママ肝臓が悪くて病院通いしてるんです。
えっ!?しっかりして!
(愛)ママしっかり!ママ!!
(救急車のサイレン)
言いすぎたと思った。
私のせいで蓉子ママが倒れてしまった。
そんな気がしてやるせなかった
〜あら…。
具合いかがですか?前から悪かったのよ肝臓。
職業病みたいなものね。
どうもありがとう。
いえ…あっ!大丈夫ですか?ごめんなさい。
何?ゆうべは言いすぎました。
あなたのせいじゃないわよ。
いいえ人様のことをとやかく言えるような柄じゃないのに偉そうなこと言って…。
もういいのよ。
座って。
クラブママって気を張り続けてなきゃいけない仕事でしょ。
いろいろあってつい攻撃的になって…。
謝らなきゃいけないのは私のほうよ。
私あなたがうらやましかったのかもしれない。
えっ?私もあなたみたいに信念を持ってママの仕事をやっていけたらと思うけどそれができないのよ。
特に儲かってトップにいるときほど不安で不安でたまらないの。
だからもっともっとって…。
どこまでいっても満足できない困った性格ね。
でもそれくらいじゃないとママみたいに女手ひとつでオーナーママになれませんよ。
そうかもしれないけど果たして1人の女として幸せかどうか。
心が満たされてないとね…。
(カーテンを開ける音)
(看護師)田中さん大丈夫ですか?ゆっくりでいいですよ。
事件のこといろいろ考えてみたんだけど問題は第二弾の原稿の内容だと思うの。
そうですね。
亜弓は自分の知っている裏話は1作目でほとんど書き尽くしている。
尾ひれをつけておもしろおかしく書いたとしてもいったい第二弾に何を書いたんだろう?犯人は自分の秘密を暴露されたら致命的なダメージを受ける。
だからなんとしてでも原稿を奪わなくてはならない。
殺人の動機ですよねそれが。
お金持ちになりたいというのが亜弓の口癖だったから原稿を高いお金で売ろうとしたのかもしれないわね。
まぁ…。
でも亜弓さんどこでそんな秘密を仕入れたのかしら?私…心当たりがあるの。
えっ?誰ですか?〜元気ないわね。
どうしたの?ううんちょっと…。
何かあったの?この間刑事さんが家に来てみゆきさんのこと聞かれたの。
あらまぁ!ハハハ…。
それで?どんなこと聞かれたの?ピアノの発表会の日のこと。
みゆきさんと会っていたかどうか聞かれたから一緒にご飯食べて帰りましたって答えたけど…。
いいんじゃない?本当のことだもの。
他には何か?あとお母さんはどうしたのって聞かれて小さいときに死にましたって…。
そう…。
それだけだよ。
大丈夫?みゆきさん。
え?だってお店で殺人事件があったんでしょ?大丈夫よ。
元気!
(神主)あぁ…しようがねえなこんなところに吸い殻捨てて…。
ったく…あこんにちは。
お母さんきれいだね。
お母さんじゃありません。
あじゃお姉さん?まさか!アハハ…冗談ですよ冗談。
ハハハハ…。
勉強しろよ。
お父さん大事にしろよ。
変なおじさん。
SDカードの中に保存してあった分全部プリントアウトしました。
ありがとう。
犯人は亜弓さんを殺害してこれを奪うつもりだったんだわ。
でも殺される直前に亜弓さんがこのSDカードを隠したために原稿を手に入れられず…鍵を奪って逃げたんだわ。
でもどうして亜弓さんはSDカードに原稿を…。
マンションに置いとくと狙われると思ったのよ。
辰巳もこれを狙ってたし…。
なるほど…。
この原稿の中に犯人の手がかりがあるはずなの。
読んでそれを確かめたいのよ。
〜〜
(鳥のさえずり)
(玄関チャイム)
(玄関チャイム)
(玄関チャイム)
(ざわめき)銀座の「カミュ」でございます。
(秘書)先ほどお電話いただいた。
はい。
(秘書)こちらへどうぞ。
失礼いたします。
お忙しいとこ申し訳ございません。
ごめんなさい先生。
なんの話だ?手短にお願いしたいね。
はい。
承知しました。
なんだ?あ…お人払いを…。
ん?先生と私…サシでお話が…。
ここでかまわんよ。
はぁ…でも…。
聞かれて困るような話なのか?千鶴の件です。
千鶴はかつて先生の愛人でしたわよね。
おい…。
その後千鶴は当時先生の秘書をなさっていた篠田先生と恋愛関係になり結婚した。
でも先生も千鶴も2人の仲を隠しとおしたんで篠田先生は自分の妻が先生の愛人だったことはご存じない。
君!声が大きい!ところがどこで聞きつけたのか亜弓が先生の秘密を暴露する原稿を書いてしまった…。
(門倉)知らん。
何も知らん。
もしその原稿が本になって出版されたら総裁選に出馬予定の先生は大変困ったことになりますよね。
(門倉)そんな暴露本の出版は絶対に阻止する。
じゃそのために亜弓を?バカな…!俺は殺してない。
俺じゃない。
じゃあ誰が亜弓を!?知らんよそんなことは。
でも原稿書いたことはご存じだったんでしょう?〜亜弓は俺を脅したんだ。
第二弾の原稿3,000万円で買えと言ってきた。
もちろん俺は断った。
その代わり千鶴さんに連絡して亜弓と話をつけるように頼んだ。
そうですね?頼んだりはせん。
千鶴が自分から買って出たんだその役を。
何をしても自分の手だけは汚さない。
卑怯な人ね…!卑怯とはなんだ!卑怯とは!門倉先生…あなたの欲のために2人の人間が犠牲になってるんですよ。
俺の知ったことじゃない。
殺したヤツも殺されたヤツも自分の欲で動いたにすぎん。
そうだったとしても…!あなたにはあなたの責任があります!でかい口を叩くな。
たかがクラブのママのくせに!えぇ…たしかに私はクラブのママですがお酒は売ってもあなたみたいに魂は売りません。
…なに!事件が解決したら先生のなさったこといずれ世間に知られることになるはずです。

(扉の閉まる音)〜
(ブレーキの音)ハァ…ハァ…。
千鶴!千鶴!いないのか!?千鶴!
(玄関チャイム)こんにちは。
どうかなさいました?千鶴がいなくなった。
えっ!?代わりにこれが…。
離婚届。
どこか心あたりは?車はあるわ。
免許取りたての彼女は遠出のときには車は使わない。
じゃあ遠くへ行ったってことですか?山中湖に父が遺してくれた別荘がある。
千鶴はそこが好きで隠れ処みたいにしてるんだ!運転お上手なんですね。
学生時代自動車部にいらしたとか?千鶴さんから聞きました。
ゆうべ車で私を脅したの篠田さんでしょ?免許取りたての千鶴ちゃんにあんな運転できるわけない。
千鶴!千鶴さん!千鶴!まだ温かいわ!千鶴さん!千鶴…。
千鶴さん…。
千鶴…。
何もかも話すんだ!千鶴さん。
あなたは門倉先生から亜弓さんが第二弾の原稿をネタにゆすりに来たことを知らされた。
門倉先生はあなたに3,000万円を渡し亜弓さんと話をつけてくるように言ったんでしょ?でも亜弓さんはそれを拒否した。
きっとあなたは何度も何度も頼んだんでしょうね。
そして拒否され続けた。
もし出版されたらあなたと門倉先生の関係が篠田さんに知られることになる。
だからあなたはそれを食い止めようと必死で…。
せっかく掴んだ幸せをなんとしても守りたかったのね?
(ドアを開閉する音)遅かったわね。
お金を集めてたのよ!大金だもの。
(亜弓)よく言うよ!篠田財閥の嫁のくせに!原稿は?バックの中よ!でも言ったでしょ。
渡さないって。
たとえ何億積まれても絶対に渡さない!どうして?はじめお金を要求してたじゃない!
(亜弓)気が変わったのよ!アンタの幸せそうな顔見てたらお金なんかよりも千鶴の生活ぶち壊したくなってきたの。
なんで!?アタシ亜弓に何かした?アタシだって幸せになりたいのよ!お金持ちになりたいのよ!スケベ大臣の愛人だった千鶴が玉の輿にのってアンタだけ幸せになるって不公平じゃない!土下座して頼んだって絶対に原稿渡さないわよ!わかったわ!何する気?あなたに私の幸せを壊す権利はないわ!やめて!!うっ!!ああ…
(千鶴)そのあと亜弓さんのバッグを探したけど原稿はみつからなかった。
亜弓さんはあなたの結婚を妬んでいたのよ。
人の幸せを喜ぶには広い心がいるものよ。
亜弓さんを殺害したあとあなたは辰巳につきまとわれるようになったのね?
(千鶴)原稿を探しに亜弓のマンションに行ったとき辰巳と出会ってしまったんです。
みゆきさんのお店に侵入して探したときも表に出たところを見られてしまって…。
(千鶴)脅された私は1千万円で話をつけたいと言って夜の公園に呼び出したんです。
よし!ハハハハッ。
うっ!あ…。
(殴る音)テメエ何すんだよ。
あっ!
(殴る音)くっあ…。
あ…。
あぁ…あなたが探していた原稿は今私が持っているわ。
よかった。
千鶴。
一緒に警察へ行こう。
来ないで。
それ以上近寄ったら死ぬから。
千鶴…。
私は人殺しなの良心なんてないの。
良心がないならなぜそんなに苦しんでるの?もういいの!もうなにもかも終わったの。
千鶴…。
僕と一緒にやり直そう。
無理よもう無理。
亜弓が殺された夜君はここへは来ていなかった。
それに気づいたときから僕は代議士を辞める覚悟はできてる。
あなた…。
世の中にはねつまらないことを教えてくれる人がいる。
僕は君と先生のこと初めから知ってたよ。
だけど知ってると言ったら君が傷つくような気がして知らないふりしてた。
千鶴…。
一緒に人生をやり直そう。
僕たちは夫婦じゃないか。
お願い死ぬだなんて言わないで。
たとえ罪を犯したとしてもあなたを愛する人がいるかぎりその人のために生きるのがあなたの務めでしょ。
罪を償って生きるの。
愛する人のために生きてちょうだい。
私だって待ってる。
あなたにまた会えるのを。
さぁ。
篠田さん!?篠田さん!どうなさったの篠田さんねぇ。
あ…あぁ…。
千鶴ちゃん。
あなたまさか…。
あ…。
〜あ…。
篠田さん。
篠田さん篠田さん!あ…。
あぁ…。
千鶴…。
姿が見えないわ。
あっ!車がないわどこ行ったのかしら。
ケータイで行き先がわかるの?使うのは初めてだがわかるはずだ。
樹海…?死ぬつもりだわ。
捜しに行きましょう。
死ぬなよ千鶴!〜こっちだ。
待っててください。
千鶴さん!千鶴さん!あった…あった!千鶴を捜しに樹海に入ります。
えっ?警察を。

(篠田)千鶴〜!!千鶴!!
(篠田)お〜い!!千鶴!!・
(篠田)お〜い!!・
(篠田)千鶴!!千鶴…。
あなた…。
バカ!!やり直そうって言ったじゃないか…。
バカヤロウ…。

(大垣)乾杯!
(一同)乾杯!あぁ〜でもよかったな!これでママの疑いも晴れたしねっ!事件も解決したし!めでたしめでたしだな!でも言っておきますけどね亜弓さんの原稿は亜弓さんのご遺族の意思で破棄することになりましたから…。
出版しようなんて気起こしちゃダメですよ!わかってるって!でもさもっとおいしい企画があるんだよ!銀座クラブママの探偵捕物帖!どうこれ!?私は本なんて出す気はありませんよ。
いやぁでもさそれはわかってるけどお店閉めてから2人で打ち合わせしないか?結構です。
いっぺんだけ。
いっぺんだけでいいんだよ。
嫌ですって。
でもさ…。
結局いちばん得したのはこの男だった
(グラスを合わせる音)夢のようだな。
ママと2人っきりになれるなんて…。
ねぇ…ベッドにいらして。
今夜は2人でゆっくり話そう。
あぁ…帯が…きつくて着替えたいわ。
先にシャワー浴びてらして。
フフフフ…わかった。
早い展開だな。
ハァ…大急ぎで上がった!ママ!今行くよ!暑い!!みゆきママ!上がったよ!あれ?隠れちゃってるのかな?かわいいな!あれ?ん?「おやすみなさい。
あなたの私物はフロントに預けています」バカヤロウ!あっこれだ!あっ…テレビか…。
あっ洋服ダンス。
あれ?ないな…。
ここか!あれ!?フロントに電話しなくちゃ!もしもし!もしもし!?もしもし!!あれ!?あぁ切れてる!?チキショウ!!俺の洋服!キャア!!な…なんだ!?うるさい!!どうしよう!?あぁあっ!?閉まってる鍵が!どうしよう!?助けて〜!!欲しかったんだこの洋服。
前からお誕生日に買ってあげようと思ってたのよ。
でもこんな大人っぽいの着るようになったのね。
じゃあ家まで送っていくわ。
あっいいよ!電車で帰るから。
でも…。
だってみゆきさんもこれから仕事でしょ?それはそうだけど…。
大丈夫だって!15歳になったんだから!じゃあ気をつけてね!うん!ねぇ?ん?ありがとう。
お母さん!2015/02/11(水) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「銀座高級クラブママ青山みゆき 女帝バトル殺人帳簿」[字]

銀座高級クラブのホステス・亜弓が、ホステスたちの隠された裏話を書いた暴露本を出版。しかし、出版記念パーティーに出席した後、刺殺され…。

詳細情報
番組内容
銀座高級クラブ「カミュ」のホステス・亜弓が、ホステスたちの隠された裏話を書いた暴露本を出版。しかし出版記念パーティーに出席した後、刺殺される。関係者のうち、アリバイが成立しない代議士の篠田とクラブ「ラ・シャトー」のママ・蓉子に容疑が掛かる。やがて、出版予定の暴露本第2弾の原稿を狙っていたライター・辰巳が殺される。犯人は暴露本出版を恐れた人物か!?夜の銀座で生きるみゆきママが事件解決に迫る。
出演者
青山みゆき…名取裕子
木田蓉子…夏樹陽子
篠田千鶴…芳本美代子
篠田泰三…西村和彦
門倉啓輔…藤木孝
大垣貫太郎…六平直政
椿亜弓…矢部美穂
辰巳洋平…松永博史  ほか
原作脚本
【脚本】関根俊夫
監督・演出
【監督】長尾啓司

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32118(0x7D76)
TransportStreamID:32118(0x7D76)
ServiceID:41008(0xA030)
EventID:33787(0x83FB)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: