NHK高校講座 物理基礎「身のまわりには電磁波がいっぱい」 2015.02.11


(ブツリン)携帯電話のやり取りやインターネットの検索には電磁波が使われている。
と言われてもよく分からないよね。
でも僕たちのまわりには電磁波がいっぱい使われているんだ。
このよく分からない電磁波。
これが今日の主役だ。
(黒田)こんにち波〜!何も出てません。
理系女子の黒田有彩です。
現役高校生の熊谷知博です。
そんなに?有彩さん携帯電話には電磁波が使われてるっていうけど電磁波って電波の事なの?うん。
電波も電磁波の一つなんだけど電磁波っていうのは電気の波と磁気の波の事をいうの。
電気の波って交流の事?うんまあ交流といえばそうなんだけど導線の中を流れてないの。
じゃあどこ流れてんの?ん!え?という事で今日のポイントはこの3つ。
電磁波とは何か。
電磁波を分けるものは?そして電磁波の利用です。
まずは「電磁波とは何だろう」。
今回「身のまわりには電磁波がいっぱい」についてお話頂くのは川角博先生です。
(2人)よろしくお願いします。
はいよろしくお願いします。
電磁波というのは電気の波と磁気の波を合わせたものだという事なんですけれども何かよく分かんないですね。
はい。
そこでまず電気の波について考えてみましょう。
電気の波は一体どこを流れていくの?…っていう事なんですけれどもこれは流れるというよりも空間を電気の波が伝わっていく。
こういう事なんですね。
空間を伝わる電気の波について考えるためにはその真空中に電気を流そうとするそういう性質を与えればいいんですよ。
「電流を流そうとする」ですか?はい。
静電気って知ってるでしょ?はい。
静電気というのは引き合ったり反発し合ったりする力がはたらきますね。
これ空間を隔ててはたらきます。
そこにヒントがあるんです。
静電気のはたらきが空間を伝わる様子を見てみましょう。
ポリプロピレンでできたストローをアクリル棒と擦り合わせます。
これでストローにはマイナスの電気が。
アクリル棒にはプラスの電気がたまりました。
マイナスの電気がたまったストローを針の上に載せ自由に回るようにします。
アクリル棒を近づけると引き付けられます。
これは静電気の力がまわりの空間に伝わっているのです。
これは帯電したストローに付いてる静電気がまわりの空間を変えちゃったんです。
どういうふうに変えたかと言うとほかの静電気に力がはたらくような空間に変えた。
このような空間の事を電界というんですね。
さてここでねちょっと実験やってみましょうか。
こうこすりますね。
これで静電気ができました。
このストローに近づけるとこんなふうに動きますね。
これはここに付いた静電気がこのまわりに電界を作りその電界をこう振動させるとこちらの静電気に力がはたらいてるんですけどもその力もこう振動してストローも振動する。
こういう事なんですね。
この力はですねあっという間に伝わってるみたいなんですが光と同じ速さ毎秒30万kmという速さで伝わってます。
速い。
熊谷君振動が伝わっていく現象何ていったか覚えてる?えっ波動だよね?はいそうなんです。
ですから電気の波というのは実は電界の振動電界の波なんですよ。
先生電気の波を作る時は静電気を振動させてるんですか?さすがにそんな事はしてないんです。
振動する電気を使えばいいんですね。
ところでですねコイルに電流を流すと電磁石になりますよね。
(黒田熊谷)はい。
じゃあその電磁石に振動する電気を流したら一体どんな事が起こるでしょう。
コイルと乾電池の回路です。
切り替えスイッチをこの位置にするとコイルの右側にプラス左側にマイナスがつながりこの位置にするとコイルの左側がプラス右側がマイナスになります。
このスイッチを互いに切り替えるとコイルに流れる電流の向きが互いに変わります。
つまり電気が振動します。
ではこのコイルのそばに方位磁針を置いてみましょう。
スイッチを互いに切り替えると方位磁針の向きも互いに変化します。
この事から電気の振動によってコイルのまわりの磁力がはたらく空間磁界が振動しているのが分かります。
今の実験で電気が振動すると磁界が振動する事が分かりました。
そこでこれからは磁気の波について考えていきましょう。
ところで磁石の近くに磁石を持ってくるとこの磁石に力がはたらきますね。
そういった磁石に力がはたらく空間の事を磁界といってるんです。
コイルに振動する電流を流すと磁界も振動します。
そうするとこんな面白いことが起こるんですよ。
はいこちらに用意したのはCDデッキのステレオ装置。
そしてコイル。
更に鉄の棒にコイルを巻きつけたものをスピーカーにつなげています。
それではまずCDデッキの音楽を聴いてみましょう。
うん。
まあ音楽流れますね。
はい。
それではこちらを外してこちらにつなげてみま〜す。
はい。
それでもう一度音楽を聴いてみましょう。
いや有彩さんスピーカーにつながってないんだから音は出ないと思うんだけど。
そう。
もちろん出ないの。
じゃあ熊谷君今つないだコイルにこの鉄の棒にコイルを巻きつけたものを近づけてみてくれる?うん?これだね。
ありがとうございます。
お〜!聞こえた。
あっ。
お〜。
でも何でだ?はい。
この原理はねコイルの近くで磁石をこう動かすと電流が流れる。
電磁誘導と同じ現象なんだよ。
ちょっと整理してみようか。
まず音声の振動電流がこう流れるね。
そうすると振動する磁界ができるんだよね。
振動する磁界ができるとそのまわりに振動する電界ができるんです。
そこにコイルを持っていくでしょ。
そうするとこのコイルのまわりで電界が振動しますからコイルの中にある電子が振動するんだよ。
そうすると振動電流が流れて…。
というふうに音楽が聞こえると。
ところがですね肝心なのはこのコイルがあるかどうかじゃない。
更にいってみると振動電流が流れる。
振動する磁界ができる。
そのまわりに振動する電界ができる。
振動する電界ができると振動する磁界ができて振動する磁界が…。
という事が繰り返されて空間を光の速さで伝わっていくっていう事なんですよね。
そうだね。
電磁波っていうのはこんな感じのものだっていうのをイメージしてもらうために模型作ってみました。
お〜。
すごい。
緑色のこんな波がありますね。
これ電気の波が伝わってる様子なんです。
そして赤い波これが磁気の波を表してますよ。
この電気の振動が磁気の振動を生みこの磁気の振動が電気の振動を生みこうやって次々と波が伝わっていくっていう事なの。
そうなんですね。
つまり電磁波というのは電気の波と磁気の波が次々と空間を伝わっていく。
そういうものだったっていう事なんです。
でもこれが携帯電話から出てるんだよな。
どうやって…どうやって?熊谷君それはねアンテナ。
そうですよね先生。
そうですね。
さてアンテナも用意してあります。
これです。
ちょっと置いて下さい。
透明な筒がありますけどもこれは金属の棒つまりアンテナだと思って下さい。
中に赤い玉がありますね。
これは金属の中に自由電子がたくさんあります。
電気なんですね。
ふ〜ん。
じゃあこの自由電子を金属の棒の中で振動させてみてくれる?じゃあやるね。
はい。
金属の棒の中を電気が振動する。
自由電子がこの場合振動してる訳ですね。
そうすると電気の振動が波として生まれて伝わってくるんです。
同時に磁気の振動も伝わっていきます。
アンテナの中の電気の振動が波になって伝わっていくっていう事ですね。
この電波の存在今では私たちは知る事ができますが実験で確かめられたのは130年近く前の事だったんです。
電波が存在する事を実験で確かめたのはドイツの物理学者ヘルツです。
ヘルツの方法をまねて電波を発信・受信してみましょう。
こちらが電波を発生させる装置です。
これが…金属板と金属の棒が並んでいます。
金属の棒の間にほんの少し隙間を空けておきます。
こちらは高い電圧を発生させる…この誘導コイルをアンテナにつなげます。
誘導コイルで電圧を発生させると2本のアンテナの間で火花放電が起こります。
この時電気振動が金属棒の間に生じ電波が発信されるのです。
こちらは電波を受信するアンテナです。
このアンテナが電波を受信すると電流が流れアンテナの間に付いたネオンランプが点灯します。
まず近くに置いて確かめてみましょう。
発信機で火花放電が起こると受信アンテナのネオンランプが光ります。
放電をやめると消え放電すると光ります。
これで電波を発信・受信している事が確かめられました。
ではアンテナを遠くに置いて実験してみましょう。
遠くなってもネオンランプが光っています。
電気振動で発生した電波を離れた所で受信する事ができるのです。
今度はアンテナの向きを変えてみましょう。
アンテナを縦にするとランプの光が消え横にするとまた光りだします。
電波の振動には向きがある事が分かります。
電波には振動の向きがあるっていう事。
分かった?熊谷君。
でもどうやって音や画像…。
はい。
そのためにはですね今度は受信アンテナ用意するんですよ。
これですね。
はい。
この透明な筒はアンテナです。
金属の棒なんですね。
中には自由電子があります。
そちらから電波を送って下さい。
はいじゃあ送りま〜す。
この振動が電気の振動を生みますね。
従って電気の波としてこう伝わってきました。
さてこの振動のために中の自由電子がやはり振動するんですね。
という事はこの中には電流が流れる事になりますね。
振動する電流を取り出してこれを音声や映像にすれば携帯電話やテレビの信号がやって来ると。
こういう訳なんですね。
でも先生磁気の波を受けるアンテナってないんですか?いい質問ですね。
これあるんですよ。
実はですね…こういうコイルですね。
またちょっと送ってもらいましょうか。
はい。
じゃあ送ります。
はい。
ここで電気が振動すると電気の波と磁気の波がこう伝わってきます。
今度はこの磁気の波に平行にコイルが置いてありますね。
そうするとここに磁気の振動が伝わりますから電磁誘導で電流が流れてここに電流が流れると。
こういう訳なんですね。
こんなふうにですね電磁波っていうのは進行する方向と振動する方向が垂直な横波なんです。
この横波を受けて私たちは音声や映像をいろいろ受け取る事ができてるんですね。
これを図にしてみましたのでこちらを見て下さい。
振動数が書いてありますけどここに周波数と書いてあります。
振動数と同じ事です。
1秒間に何回振動するかを表すんですね。
単位はHzという単位を使いますよ。
1秒間に100万回とか1,000万回とか振動してるのでこれは分かりにくい。
そこでですねもうちょっと分かりやすい波長で表す事が多いんです。
波長というのは…これで表すんですね。
ところで電磁波の中で波長の長いものラジオとかテレビあるいは携帯電話こういった所に使われる電磁波これをですね電波と呼んでます。
先生マイクロ波っていうのは…。
マイクロ波っていうのは通信やそして家庭では電子レンジに使われてるんです。
電子レンジの中で水を激しく振動させて熱くするのに使う。
これがマイクロ波なんですね。
次はですねこの領域ですね。
光と呼ばれてますよ。
これも電磁波の一種なんです。
まず目には見えませんけど赤外線。
そして私たちの目に見える可視光線。
更に短い波長の紫外線。
この可視光線っていうのは波長が長い方が赤い色。
短いと紫色というふうに私たちには見えるんですね。
更に短い波長になるとレントゲン写真なんかで使われるX線。
そして放射線の一種であるγ線。
こんなものがあります。
これらはね全部電磁波と呼ばれて光の速さで空間を伝わっていくんです。
私たちはこの電磁波…さまざまな電磁波がありますが可視光線というほんの僅かな領域の電磁波だけを見て生活してるんですね。
電磁波は私たちの生活の中でさまざまに利用されています。
電波に乗ってやって来るテレビやラジオの放送。
一人一人が電話を持ち世界中の人とどこでも話ができます。
赤外線は見る事はできませんが温める性質があります。
逆に物体からは温度に応じて赤外線が出ています。
電磁波の中のほんの僅かな領域を使って私たちはものを見ています。
虹の色は僅か7色にしか見えませんが何百万種類ともいわれる色の違いを私たち人は見る事ができます。
これは可視光線の組み合わせの違いを色の違いとして感じ取る事ができるからです。
紫外線には殺菌力があります。
卵の表面に紫外線を当て殺菌するのに使われています。
X線は紫外線よりも波長が短い電磁波です。
透過能力に優れ医療や物体の内部構造を調べるのに欠かせません。
γ線は原子核から出てくる極めて波長の短い電磁波です。
がん治療や非破壊検査などに使われています。
先生これはラジコンのヘリコプターですか?はい。
(熊谷)何かちっちゃいね。
これはですね…受信部が小さくて軽くできるんで室内用に向いてるんですね。
ですからこれも赤外線をうまく利用した一つの例なんですよ。
なるほど〜。
へえ〜。
じゃあ熊谷君操縦してみて。
え?ちょっ…え?ひゃ〜怖い怖い。
そのね左側のレバーを前に倒すと浮き上がるはずだよ。
そうですか。
じゃあやりま〜す。
はい。
お〜飛んだ。
お〜!それでは皆さ〜んさようなら〜。
さようなら〜。
落ちた。
電磁波とは電気と磁気の波が空間を伝わっていく事をいう。
電磁波は周波数と波長の違いによってその種類が分けられる。
という事なのだ。
2015/02/11(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 物理基礎「身のまわりには電磁波がいっぱい」[字]

電気や磁気の及ぼす空間を「電界・磁界」といいこれらの振動が伝わる現象を電磁波という。ポイント1.電磁波とはなんだろう2.周波数による電磁波の分類3.電磁波の利用

詳細情報
番組内容
電界の振動は磁界の振動を、磁界の振動は電界の振動を起こす。これが電磁波。電波の送受信は電磁波の性質を利用している。波長が長い電磁波は、ラジオやテレビ、携帯電話等に電波として使われ、波長が短くなるにつれて赤外線、可視光線、紫外線、さらに医療に使うX線やγ線となります。電磁波の利用についても考えます。【講師】川角博(東京学芸大学特命教授)【司会】黒田有彩、熊谷知博
出演者
【講師】東京学芸大学特命教授…川角博,【司会】黒田有彩,熊谷知博

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趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 大学生・受験
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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