國學院大學

渋谷学生探偵団Z

渋谷学生探偵団Z

キャットストリート~渋谷駅~並木橋2

さて、菜央と佳那子はキャットストリートから明治通りを横断して宮下公園にやってきました。JR線内から見える公園ですね。フットサルのコートやクライミング施設があり、たくさんの方が汗を流していますね。

「でも…西編集長、宮下公園と渋谷川には何か関連があるんでしょうか?」ここで再び冷静な質問をするディレクターの透。すると西編集長も再びニヤリ。「宮下公園は、渋谷川の暗渠(あんきょ)化に伴い、かさ上げされてJRの線路とほぼ同じ高さになりました。内部には地下駐車場が造られています」。えー、ここもまた暗渠化の影響を受けていたんですね。しかも、私たちの足元には駐車場があるとは…信じられませんね。

「下に降りてみましょうか」。西編集長は歩きながら解説を続けます。「宮下公園は2011年の再整備を経て今の形になりました。実は、整備費用をねん出するために公園の命名権をナイキ・ジャパンに売却しました。ナイキの名前を冠した計画もあったそうですが、公共施設をそこまで企業に使わせていいのか?との反対意見があったため、ナイキ・ジャパンは命名権を行使しませんでした。住民の声を尊重した訳ですね」。

はぁ、そんな経緯が。菜央も佳那子もビックリです。でも、階段を下りたらもっとビックリしました。小道の脇には自転車やバイクがびっしりと並んでいます。反対側には…段ボールやブルーシートで造られた小屋が…。人々がここで生活しています。

明治通りから一歩入っただけの渋谷駅にとても近い場所です。高架下のトンネルをのぞくと、西武百貨店が見える場所です。華やかなイメージしかなかった渋谷の裏を見て心が痛みます。すると、カメラ担当の詩織が「いつまでも暗い表情していちゃダメ!リポーターでしょ、しっかり伝えるの!」と。そうですね、私たちはリポーターです。きちんと仕事しないと。では、ここで「Z POINT!」

後ろに見えるのは、西武百貨店のA館とB館です。実はここには宇田川が流れていて、ちょうど私たちが立っている付近で渋谷川と合流しているのです。宇田川の上流には、『春の小川』のモデルになった河骨(こうぼね)川があります。

「あ、そうか!」もう一人のカメラ担当、可奈子が叫びました。「川が流れているから、A館とB館を結ぶ地下通路がないのですね」。おー、1年生なのに鋭い視点を持っていますねー。感心しました。

「その通りです」。西編集長がうなずきました。ちなみに、東急百貨店東横店の旧東館も川の上に建てたために地下フロアが造れなかったそうです。百貨店の構造まで左右するとは、宇田川も渋谷川もなかなかの強者(つわもの)ですね。

あれ、少し歩いただけで、またまた風景が変わりましたねー。昭和25年にできた「のんべい横丁」です。当時、国が駅前に出店規制を設けたために屋台が出せなくなり、このエリアに集まってきたそうです。昭和レトロ感がたまりませんね♪今度、いや今夜行ってみたいなー。西編集長、連れて行ってください♪

なんて言っているうちに、もう渋谷駅前です。本当に一本道を入っただけでさまざまな表情を見せる街ですね。「渋谷ヒカリエに入りましょう」と西編集長。何かごちそうしてくれるのかな♪ ルンルン気分で11階に到着。あれ?ここは…。

「現在、渋谷駅再開発後の都市模型を無料で公開しています。1/500スケールと大型なので、細かいところまでよく作られていますよ」。本当ですねー。スゴイ!2020年開業予定の渋谷駅街区東棟は、渋谷ヒカリエよりも高くて230メートル(!)都内一の駅ビルになるんですね。あれ、ハチ公がいない…。「模型を製作する時、ハチ公の場所は未定だったので、残念ながらここにはないのです」。そうでしたか、ハチ公がいなくなるのでは?と心配しましたが大丈夫なようです。でもどこに移るのかな?気になりますね。

模型で未来予想図を頭に入れたら、9階に移動して現在の開発状況をチェックです! あと数年で全く違う姿に変わるとは不思議です。でも西編集長、毎日渋谷駅を通っていますが、なかなか工事が進んでいない気がしてなりません。大丈夫ですかね?

「そうですね。今回の開発工事には『鉄道を止めてはいけない』という制限があります。ほら、見てください、東急百貨店東横店・中央館の解体工事をしていますが、山手線、埼京線、銀座線の3路線が走っていますよね? かなり綿密な工事計画が必要です。時間はかかるものの、きちんと予定通りに建設されるのではないでしょうか」

なるほど、全ては計画の下に進んでいるようです。渋谷ヒカリエを出て、もう少し近くから見てみましょう。正直にお話ししますが、これまでは「工事の音がうるさいなー」としか思っていませんでした。でも、完成予想図を頭に入れてから、あらためて工事の様子を見ると、なんだかワクワクしてきますね。一日一日、少しずつ大きくなっていくんですね。まるでわが子の成長を楽しみにする親の気持ちです。子育て経験ありませんが(笑)。

せっかくなので、ここで「Z POINT!」。

工事関係者の皆さま、安全をお祈りしています。なので、できれば私たちの在学中に完成させてください(かなりホンキのコメント)。國學院大學までは徒歩15分ほどですが、完成したらもっとスムーズに早く着くのでは? と思ってしまいます。もう少し遅く生まれればよかった!

さてさて、さてさてと思ったら、またまた「Z POINT!」ですって。なんで??「やっと渋谷川が見えてきましたよ」と、稲荷橋の上で今回はニヤリではなく、二コリとする西編集長。

ごめんなさい。東急東横線の旧・渋谷駅周辺から中目黒方面に流れる小川、これが渋谷川だったのですね…。今ままで、ここを通ること数万光年、全く気付きませんでした。キャットストリートから私たちの足元を流れていた渋谷川と対面した記念すべき瞬間です♪では、ここから渋谷川に沿って並木橋方面に進んでみましょう。

開発計画によると、東横線の旧線路側と渋谷川との間にある建物は撤去され、並木橋周辺から渋谷駅に直結する屋内通路ができるそうです。既に数件の飲食店を除いては建物に人影はなく、暗い雰囲気になっていました。しかし、開発が終わると、渋谷川を中心とした親水空間に生まれ変わります!川を中心にキャットストリートのような落ち着いた雰囲気になるのでしょうか?これは毎日の通学が楽しくなりますね、確実に。

あれ、JR埼京線で通学している透の表情が寂しそうです。そうですよね、JR埼京線といえば、南口を使います。この辺りは透の通学路です。卒業を控えた4年生の透にとっては青春(?)の思い出がたくさん詰まっていることでしょうね。

でも大丈夫!思い出は心の中で生き続けます!社会人になって辛いことがあったら訪れてくだいね。首都圏の交通を支える主要駅・渋谷ですからアクセスは最高峰!いつでも思い出に浸りに来てくださいね♪渋谷駅に近い大学の特権です(笑)。

さて、透を励ましているうちに並木橋に到着してしまいました。最後の「Z POINT!」です。

皆さん、いかがだったでしょうか。キャットストリートからここまで2キロ弱です。たった2キロ弱なのに同じ街とは思えないさまざまな顔を垣間見ることができたのではないでしょうか?私たちもあらためて歩いてみると、新しい驚きをいくつも見つけることができました。

渋谷というとセンター街の派手なイメージが強いかと思いますが、いにしえからの建造物も残っており、歴史に触れることもできます。今回は紹介できませんでしたが、國學院大學の近くには渋谷氷川神社や金王八幡宮などもあり、日本でも有数の繁華街から徒歩圏内とは思えない落ちついた空間の中で勉学に励んでいます。

「渋谷学生探偵団Z」は今後も歴史と文化が共存する街・渋谷の魅力をリポートしていく予定です。次のミッションはいつかな?皆さんもぜひお楽しみに♪