東京芸大:海外3大学と連携 国際人材育成へ

毎日新聞 2015年02月16日 15時00分

 東京芸術大(東京都台東区)、ロンドン芸術大(英国)、パリ国立高等美術学校(フランス)、シカゴ美術館付属美術大(米国)が「国際芸術大学連合」を発足させる。美術分野でグローバル人材育成が目的の国際大学連合は初めて。相互に教授や学生が交流するほか、共同で教育プログラムを作って学位を認定したり、各国で開かれる芸術祭に参加して共同制作したりするなど世界トップレベルの美術家・芸術家を育成する。近く全大学が東京で調印式を開く。

 ◇ロンドンなどと共同学位実施へ

 国際芸術大学連合は、文部科学省が進める「国立大学改革プラン」の一環で、東京芸大が他の大学に呼び掛けて実現した。

 海外の3大学は、いずれもトップレベルの芸術大学。パリは17世紀創立の伝統校、ロンドンは六つのカレッジで構成される国立大で、シカゴは北米有数の私立美大だ。

 調印後、今年5月にパリ国立高等美術学校の教員と学生、8月にはロンドン芸術大の教員・学生が、それぞれ10人程度来日。パリの学生らは、7月から9月に新潟県十日町市、津南町で開かれる「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」に参加し、東京芸大生と共同制作に取り組む。ロンドンの学生らは、来年開催予定の「瀬戸内国際芸術祭」で共同制作する。

 このほか、国内外で開催される国際芸術祭にも共同で参加。地方で開かれる芸術祭を舞台に「地域の活性化にも資することができる」という。

 東京芸大は国際芸術大学連合の発足に合わせて来春、新たに「グローバルアートプラクティス専攻」を大学院に設置。他の芸術大と共通の教育プログラムを設け、将来的に国際共同学位(ジョイント・ディグリー)を実施する計画だ。東京芸大の学生が、共通のカリキュラムで学んだ際には、芸大、ロンドン、パリ、シカゴの4カ国の大学の学位を取得できることになる。

 東京芸大の担当者は「欧米トップの芸術大学は日本の文化や芸術に関心が高い。西洋と日本の美術教育が融合することで、互いにセンスが磨かれ、レベルアップできる」と話している。【澤圭一郎】

 ◇国際連携教育課程が契機

最新写真特集