もっとも、信書は民間の業者でも扱うことはできる。このうちバイク便をはじめとした「特定信書」の分野には430社を超える業者が参入した。だが、手紙などの「一般信書」は10万カ所のポスト設置や低廉な料金の維持など全国一律のサービスの提供が義務付けられ、大きなコストがかかる。そのため参入企業が現れず、日本郵便の事実上の市場独占が続いている。
「信書リスク」に対し、ヤマトも一定の対応策はとってきた。顧客に信書を同封していないかを確認し、署名してもらうなど荷受け方法を厳格化。さらに、信書という概念そのものをなくすように訴え続けた。
誰もが見た目で信書かどうかを判断できるようにするため、13年12月には総務省の情報通信審議会に対し、中身ではなく大きさで判断する「外形基準」を導入する規制改革を提言した。しかし、昨秋取りまとめられた規制緩和案にはヤマトの主張が反映されることはなかった。
「このような状況が続くべきではない。年内にも日本郵政が上場し、自由競争が行われる中で、信書のあり方を今一度きちんと議論する必要がある」
山内氏は1月22日の会見でこう語った。いらだちだけでなく、あえてサービスを中止することで、変わらない規制の分厚い壁をめぐり、問題提起をする狙いも見え隠れする。
一方、総務省は「外形基準」の導入について「憲法が保障する『通信の秘密』を守る対象をサイズだけで区別するのは困難だ」と反論。さらに「大きさで線引きすれば、小さな荷物が全て信書に変わり、規制緩和に逆行する」(同省幹部)と指摘する。過疎地や離島を含めた全国一律のサービスを維持する点からも、ヤマトの提案には「問題点が多い」との立場だ。
Copyright (c) 2015 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.