ミンスク合意に関し、こちらのページで、『グローバル政治におけるロシア』誌のF.ルキヤノフ編集長(上の写真)が論評しているので、抄訳しておく。だいぶ憂鬱な論旨だが、これがロシア政府の機関紙に出ているのである。
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ミンスク合意が履行されれば、ロシアに対する新たな制裁はないだろう。しかし、既存の制裁の解除となると、より困難である。第1に、ミンスク合意の履行自体が平坦でないことは、明らかだからである。履行の困難が生じるたびに、EUの中の反ロシア派によって、制裁解除は時期尚早であると主張する論拠として利用されるだろう。したがって、かつてのようなレベルの関係が復活すると期待することはできない。
そもそも、ロシアと欧州の関係悪化の核心的要因は、ウクライナではない。ウクライナは、ロシア・EU間の関係を見直し、新たな現実にもとづいて関係を構築する上での、触媒になったにすぎない。そこではもはや、共通の目的に向かって前進しているといったフリをすることはない。
たとえば、ドイツでは、ロシアとの関係をめぐって、大変錯綜した状況にある。実業界が現状に満足しておらず、関係活発化を期待していることは事実である。しかし、実業界がベルリンの政治路線に影響力を行使できるとは、考えない方がいい。現在は、数年前と違って、政治的な論理が優勢である。
他方、別の見方をすれば、仮に制裁が解除されたとしても、それで何かが変わるだろうか? 確かに、欧州の食品が再びロシアに入ることは可能になるが、ユーロのレートがルーブルに対してこれだけ高くなっており、一体ポーランドのリンゴはいくらするのだろうか? つまり、欧州の商品が以前のようなシェアを回復することは、いずれにしてもないということだ。
もっと死活的な要因が、エネルギー問題である。欧州市場の変化は激しく、長らく市場を獲得しようと努力してきたロシアのガス会社(複数)でさえ、市場の激変を実感している。そこで持ち上がる問いが、「我々にとって欧州市場は、はたしてかつてと同じように、有望なのだろうか?」というものである。
よしんば、EUとの一定の緊張緩和が可能だとしても、米国との間では、期待薄だろう。米国は、まったく違った、戦略的なアプローチをとっている。米国は対ロ制裁でまったく実害を受けておらず、欧州が自らの意志で制裁を緩和しようとしたら、米国にはそれを許さない経済的テコがある。現に、米国が単独で制裁を適用しているスーダン、イラン、キューバと、BNPパリバが取引したかどで、同行は2014年に90億ドルもの罰金支払いを余儀なくされた。同行にしても、米国市場に依存していることから、それを断るすべはなかった。
ロシアの欧州国際機関への復帰、たとえばPACEへの復帰などはありうるかもしれない。ただし、それによって何かが変わるわけではない。以前は多少なりともロシアが欧州に統合されていたので、そうしたことには重要性があったが、現在はそういったことはない。OSCEは、ウクライナ危機の調整役として必要なので、OSCEの活動は活発化するかもしれない。
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