米アップルの自動車業界進出に実現可能なこれだけの理由
【記者:Tim Higgins】 (ブルームバーグ・ビジネス):米アップル は世界的な自動車メーカーに進化を遂げる条件が整ったようだ。アップルには他のシリコンバレー企業にない多くの強みがある。
事情に詳しい関係者によれば、アップルは極秘の電気自動車(EV)開発プロジェクトに数百人を配置。アップルには公表されない試験プロジェクトも多いが、今回の動きは自動車分野進出という同社の長年の野望を裏付けるものだ。折しもユーザーのデジタルライフを自動車と融合させる機が熟しつつある。
パイパー・ジャフレーのアナリスト、ジーン・マンスター氏は14日のインタビューで、アップルの自動車分野進出について「これは非常に理にかなっている。10年前に『アップルが自動車ビジネスに参入する』と言ったら、正気を失ったと言われただろう。しかしアップルは、このようなアドレス可能な巨大市場に対応できる能力を備えた企業に今や大きく変貌を遂げた」と指摘する。
アップルが他のハイテク企業よりも自動車メーカーとして有望と考えられる強みは5つある。
まず自動車業界では現金を驚くべき速さで動かす必要があるが、アップルには約1800億ドル(約21兆3000億円)の手元資金がある。
第2に同社はユーザーの生活をアップル・ワールドに引き込んで離さないソフトウエアを組み入れた魅力的なデザインの製品を開発し、富を築いてきた。マッピングソフトなど自動車に応用できる技術も既に手中にある。
自動車業界の経験アップルに自動車業界の経験を積んだ経営幹部がいることが3つ目の強みだ。ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)はゼネラル・モーターズ(GM)で20年間財務と経営に携わった。インターネットソフトウエア担当シニアバイスプレジデントのエディ・キュー氏は、フェラーリ取締役で自動車マニアだ。
さらにアップルが世界中にアップルストアというリテール販売網を持っていることは4番目の強みといえる。
最後にアップルが世界各地に構築した供給チェーンの管理に慣れている点が挙げられる。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、世界規模での事業運営の手腕を高く評価されている。
原題:Five Ways That Apple Is Already Positioned to Be a Car Company(抜粋)
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更新日時: 2015/02/16 15:11 JST