2011年11月、米カリフォルニア州ダナポイントで日本のトヨタの高級車ブランド、レクサスが開いたスポーツセダン「GS」の発表会に出席したことがある。
トヨタの開発統括役員に「最近韓国車に乗ったことはあるか」と尋ねた。すると、彼はすぐさま親指を立てて見せ、「ジェネシスに乗ってみたが最高だった」と称賛した。自動車業界の取材現場では、世界的企業がライバルに対する称賛を惜しまない例を数多く見てきた。
メルセデス・ベンツのデザイン責任者がBMWの躍動的なデザインを称賛し、日本の自動車業界のリーダーがドイツ車に学びたいと公然と語る。市場では互いに一歩も譲ることなく競争するが、相手の優れた点は率直に認める態度だ。
彼らは本当に相手を尊敬する気持ちでそう答えたのだろうか。決してそれだけではなかった。ライバルを称賛しながらも、自社の長所に必ず言及する話術を使い、称賛と同時に自社のプライドも十分にアピールした。世界的企業の品格を感じさせる話し方と言える。
洗濯機破損事件で法廷闘争に突入したサムスン電子とLG電子には、世界的企業の品格はかけらも見えない。
LG電子はライバル社の展示ブースで触れた洗濯機が壊れても、製品が弱かったからだと主張した。サムスン電子はLG電子社長の失敗を海外メディアに広め、至る所で騒ぎ立て、結局は司法機関に論争を持ち込んだ。
両社はいずれも企業イメージだけでなく、国のイメージを失墜させる泥仕合を演じ、批判的な世論には目を背けている。両社は紛争が起きるたびに検察の起訴事実など客観的な事実まで相手を攻撃し、自分たちが正しいと主張するためにネガティブキャンペーンまで行う。
サムスン電子とLG電子は誰の目にも電子業界で世界の一二を争う企業だ。同時にメードインコリアを代表する企業でもある。消費者は商品を購入する際、商品に対するイメージだけでなく、ブランドに対するイメージ、国家に対するイメージも考慮する。今の両社の行動がブランドイメージだけでなく、国家イメージまでも自ら低下させる結果を招くことは明らかだ。
全ての争いには理由がある。しかし、サムスン電子とLG電子のリーダーは特許や技術競争ではなく、プライドの争いが招く結果について考えるべきだ。プライド争いで勝ったとしても「傷だらけの栄光」にすぎない。
両社は大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)元副社長の「ナッツリターン事件」でブランド価値が世界的にどれほど低下したかを反面教師とすべきだ。両社が大韓航空と同じ失敗を繰り返さないためには、今からでも互いに手を差し伸べ、世界的企業らしい品格を示すべきではないか。