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「引きこもり」するオトナたち

生活保護窓口にハローワーク併設の効果はいかに

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第232回】 2015年2月16日
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生活保護受給者、約50人が相談へ
20代男女2人は面接まで到達

 この日、町田市役所1階の福祉事務所に向かう途中の生活援護課のカウンターの上には、ハローワークの真新しい端末が2台置かれ、気軽に手を伸ばして求人情報を検索できるようになっていた。

 町田市も、生活困窮者自立支援法に基づく相談窓口は、4月から同課に設置されるという。

 また、相談室には、ハローワークから派遣された職員2人が常駐を始めた。

 翌3日は、生活保護受給日とあって、受給者の中からも、飛び込みで6人が利用。するなど、計9人が相談。担当のケースワーカーも、利用者と一緒に仕事探しができるなど、寄り添いやすくなったという。

 実際、市の生活援護課によると、3日に利用した20代の男女2人が、ハローワークの紹介を受け、面接にまでこぎつけた。

 その後、12日現在、50人近くが相談に訪れているといい、本人たちが自立に向けて動き始める“きっかけ”につながっているといっていい。

1つの窓口のワンストップ対応で
当事者のやる気につながるか

 厚労省によると、全国のハローワークの出張窓口における、今年4月から11月までの利用者は、約2万人に上るという。

 厚労省の職業安定局就労支援課の担当者は、こう話す。

 「対象者が生活保護受給者ということで、複合的な課題を持っておられる方が多い。就労支援だけでは、なかなか就職に結びつかない。生活面などの課題を抱えた人たちもいる。福祉事務所のケースワーカーと連携して支援していくことが重要になってくる」

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池上正樹 [ジャーナリスト]

1962年生まれ。大学卒業後、通信社の勤務を経て、フリーに。雑誌やネットメディアなどで、主に「心」や「街」をテーマに執筆。1997年から日本の「ひきこもり」現象を追いかけ始める。東日本大震災後は、被災地に入り、震災と「ひきこもり」の関係を調査。著書は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『ドキュメント ひきこもり~「長期化」と「高年齢化」の実態~』(宝島社新書)、『ふたたび、ここから~東日本大震災、石巻の人たちの50日間~』(ポプラ社)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)などがある。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)、最新刊『大人のひきこもり~本当は「外に出る理由」を探している人たち~』(講談社現代新書)
。池上正樹 個人コラム『僕の細道』はこちら

 


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「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

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