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日本のセレブは、なぜ海外で子育てするのか

究極のエリート教育がそこにある

東日本大震災後、子育て世代の海外移住が増えている。特に、富裕層や起業家など資金面に余裕がある人たちが好んで向かう先のひとつがシンガポールだ。

東京23区とほぼ同じ面積しかないシンガポールは東南アジアの物流拠点や、金融センターとして知られるが、エリート教育の本場でもある。少ない人口の中から優秀な人材を育成するため、小学校卒業時に全国統一試験を実施。成績上位者には徹底した英才教育を施すなど、試験結果はその後の人生を大きく左右すると言われている。

シンガポール政府が優遇策を実施

さらに、狭い国土の中には、多国籍の生徒が集まるインターナショナルスクール(インター校)も40校ほどひしめいている。運営母体はシンガポール系のほか米国系、英国系、カナダ系、インド系などさまざま。インター校がここまで多いのは、各国の企業が拠点を構えるグローバル都市であるほか、シンガポール政府が土地を割安に提供するなどの優遇策を実施しているからだ。

日本人の場合、子どもの海外暮らしが初めてだと英語サポートプログラムがあるインター校に入れるケースもあるが、人気が高いのは英国系。3歳の娘を英国系インター校に通わせることを検討している日本人移住者は「教育プログラムに加え協調性を重んじるなど規律がしっかりしているところに安心感がある」とのことだ。

昨年、その英国系インター校に名門校系列が新設され、話題になった。英国で400年近い歴史を持つダルウィッチ・カレッジのシンガポール分校で、現在は幼少教育から小学校6年相当の学年までしかないが、すでに960人が通っている。生徒の国籍は50を超え、日本人は60人程度だ。音楽やスポーツにも力を入れる「文武両道」の校風もさることながら、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学など、英国名門大への道が開けることが日本人移住者の心を引き付けているようだ。

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