自己紹介
会員事業部*1 森田です。昨年はプレミアムサービス(以下PS)*2の訴求改善を担当していました。その中で抜きん出て効果の高かった施策を紹介します。効果の具体的な数値を書くことは出来ないものの、この施策一つで前期に私が行った他の施策効果の累積を上回りました。
施策内容
紹介する施策は検索結果の変更に関係します。今までは検索結果の下に控えめに表示していた人気順検索*3以外のPS機能訴求を検索結果の間に追加するというものです。
予期せぬ効果
実はこの施策は会員事業部によるものではなく、検索ページへの大きなデザイン変更施策*4の一部として別部署主導で行われました。そのためPS紹介枠の変更も私が考えたわけではなく、効果についても深く考えていませんでした。当時私が気にしていた事は以前より存在していた人気順検索の訴求効果の低下です。表示位置を下げた事と殿堂入りレシピ*5をはじめとした他のPS機能の訴求が増える事で人気順検索の訴求が低下する事を心配しました。しかし結果をみれば人気順検索の訴求効果は少し改善しました。そしてなにより殿堂入りレシピの訴求効果は人気順検索の紹介の半分程度と表示位置を考えると非常に高いものでした。
教訓
手法の教訓 - 複数コンテンツの紹介
これまでは新着順検索の利用者には人気順検索のみを強く訴求していました。実際に人気順はクックパッドのPS機能の目玉機能なので紹介枠が排他的であれば人気順を訴求したほうが良い結果になりますし、現在も人気順の紹介は一番強く訴求しています。しかし今回のように排他的にする必要は無い場合は複数の機能を同時に訴求することを検討したほうが良いのかもしれません。*6
なおこの結果を踏まえて、検証段階ではありますが排他的にしか機能を訴求できない、かつ繰り返し目にする場合は比率を調整しながら複数のコンテンツを訴求する事を少しずつ試しています。利用者の心に響かなかった機能の訴求を何度も繰り返すよりは別の機能を訴求しようという考えです。これは外部の広告では意識せずに行っている話にもかかわらず自社コンテンツの訴求となると行えていませんでした。少ないデータを見る限りは良い手応えを感じている今後検証を続けていきたいとおもいます。
姿勢の教訓 - 手札を整理して利用者の行動と照らし合わせる
この施策を行うまで私は人気順検索の訴求改善に殆どの時間を費やしていました。クックパッドでは「人気順」のキーワードは強力です。新しい機能を作った場合も人気順の紹介枠を簡単に利用する事はできません。その結果ほかの機能を紹介する事をあきらめつつありました。しかし今回の施策により利用者の行動にあわせて適切に提示することで大きな成果を出せることを知りました。初心に返り、自分たちの持つ手札と利用者の目的を考えたうえで適切なPSの価値を提示したいと思います。
さいごに
事前にこの記事の草稿を同僚に読んでいただいたところ「ちなみにこの話の中で一番大事だと思うことは何ですか」と聞かれました。そういう話であれば、私としては今回の改善を事前に気づくことが出来なかった事こそ一番に考える必要のある事だと思います。つまりは課題を解決する材料は一通り有る状態で肝心の問題と結びつけるにはどうすれば良いかです。しかし門外漢なうえ多くの経験があるわけでも、ましてや答えがあるわけでもありません。一般的な手法としてマインドマップやブレストなど様々なものが既にありますので、今回はそういった事を考えるための一事例として記事を書かせていただきました。
とはいえ個人的な経験を振り返るならば他者との雑談が問題解決のきっかけになることは非常に多いです。むしろそれ以外で良い案を出せた記憶はありません。過去、私は豊富なRailsの知識を持つ方たちとRailsのバージョンを上げる仕事をしました。そういう方たちも時にはちょっとした事で詰まります。しかしだいたいは他のメンバーがすぐに解決策を思いつき大きなロスなく前に進むことが出来ました。さらに遡れば今回の施策の効果測定で使用した「Chanko*7」も、こういう物が欲しいよね。必要だよね。という雑談によるものだったと思います。そしてまた現在検討している新しい施策も雑談なしでは辿りつけませんでした。
今回の件をみてもアイデアは他の方の頭のなかにはあったのですから、彼らと多く雑談をしていればよりはやく行動する事ができたかもしれません。そして今現在も材料はすべて揃っているにも関わらず問題と結び付けられていない事はたくさんあるはずです。そこに気づくためにも今以上に積極的に人と雑談をしていきたいと思います。