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 原爆が投下された直後に降った「黒い雨」を浴びたと訴える47人が3月にも、無料で健康診断を受けられる「第一種健康診断受診者証」や被爆者健康手帳の交付を広島県、広島市に集団申請する。認められなかった場合は「提訴する」としている。

 47人(広島市39人、同県安芸高田市1人、安芸太田町6人、北広島町1人)は広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会の会員。国は被爆者援護法にもとづき、原爆の投下直後に「特に激しい雨が降ったとされる地域」を援護対象区域に指定しているが、47人はこの区域外で黒い雨にさらされたとしている。

 区域内で黒い雨を浴びていれば第一種健康診断受診者証が交付され、がんなどの疾病にかかれば被爆者健康手帳に切り替えられる。このため、連絡協議会は国などに援護地域の拡大を求めてきた。牧野一見(かずみ)事務局長(71)は取材に「黒い雨の実態を解明し、被爆者を切り捨てる運用を改めさせたい」と話している。

 黒い雨をめぐっては、厚生労働省の検討会が2012年、援護対象区域外の地域について「原爆由来の放射線により、健康に影響が生じたとする考え方は支持できない」とする報告書をまとめている。(岡本玄)