2015年02月16日

 集団的自衛権と人質拉致公開処刑事件

 ●憲法に脳の髄まで犯された低級な議論
 日本人2人が、イスラム過激派組織「イスラム国」に殺害された事件で日米安保無用論≠唱える元外務省国際情報局長の孫崎享が、イスラム国にたいする敵対姿勢が引き金になったとして、安倍首相を批判した。
 安倍首相が、エジプト訪問時に2億ドルの人道支援(イスラム国の戦争行為による難民救済など)を約束し、後藤さん殺害後、「テロリストたちを許さない。その罪を償わすため、国際社会と連携していく」とのべたことが、テロリストたちのご機嫌を損ねたというのである。
 外務省の元局長が、このレベルでは、日本人の半数が、戦争にまきこまれるという理由から、集団的自衛権に反対するのも、無理からぬところだろう。
 集団的自衛権反対の第一の理由がまきこまれ論≠ネら、第二の理由が、平和憲法の精神および第九条に反するというもので、日本人は、GHQ憲法の呪縛から、いつまでたっても、目が覚めない。
 今回のテロ事件と集団的自衛権問題で明らかになった憲法小児病≠フ症状は、以下の5点である。
 ■「武器を捨てると平和になる」と妄信する(「平和を愛する諸国民」の前文と第9条がインプリンティングされている)
 ■「戦争放棄」という甘い理想が世界に通用すると夢想する(現実世界に乙女の祈り≠もちこむ)
 ■大勢のひとが死ぬ戦争より屈服する平和(奴隷的平和主義)≠選択する
 ■どこかで紛争がおきても日本だけの平和(一国平和主義)≠スりえると妄想する
 ■防衛政策についても、国民の同意が必要とカン違いしている(間接民主主義と直接民主主義の区別がつかない)
 戦後、日教組から憲法賛歌≠吹き込まれた日本人のなかには、相当のインテリでも憲法小児病≠ノ陥って、孫崎元局長のような妄想をもつ者(大半が朝日新聞の読者)が少なくない。
 そして、机上の空論をふりまわすが、卑怯者、臆病者、偽善者に、世界のリアリズムが見えるはずはない。
 昔の日本人が世界から一目置かれたのは、誇り高く、勇敢だったからではない。
 現実を見る目がきびしかったからで、だからこそ、開国後、数十年で、大国の仲間入りをはたすことができたのである。

 憲法に毒された「武器を捨てると平和になる」「平和を愛する諸国民」という妄信は、世界の現実から目を背けた自己陶酔で、世界史は、エゴと憎悪、破壊、殺し合いのオンパレードである。
 戦争放棄は、現実からの逃避で、平和が、戦争遂行能力にささえられていることは、冷静な目をもっていれば、中学生にもわかる理屈である。
反戦≠ヘ、宗教や文学のテーマではあろうが、現実問題としての反戦思想は、戦わずに敵に屈服する敗北主義で、サムライの国・日本で、反戦思想が蔓延したのは、憲法という毒が、それだけ、深く浸透しているからである。
 憲法が謳い上げる反戦思想は、一国平和主義でもあって、「9条があるから日本は平和」(「9条を守る会」)という主張は、ありえない空想にすぎない。
 世界各国の在外日本人は約120万人にのぼり、イスラム国を支持する過激派は、日本企業が進出している中東やアジアなど15か国に広がっている。
 テロや紛争にまきこまれた殺害事件は、この20年足らずのうち、タジキスタンの秋野豊氏(1998)からイラク駐在の日本人外交官2名(2003年)、イラクのフリージャーナリスト2人(2004年)と香田証生氏(2004年)、アフガニスタンの伊藤和也氏(2008年)、アルジェリア天然ガスプラントの日揮社員ら10名(2013年)、そして今回の湯川遙菜氏、後藤健二氏ら数十人にのぼる。
 
 石油や原材料、食糧の輸入、工業製品の生産や輸出を海外に依存している日本が、どうして、一国平和主義に浸っていられるだろう。
 そもそも、日本の安全保障は、日米安保という集団的自衛権の行使≠ノ依存している。
 日本が平和なのは、自衛隊と核の報復力をふくんだアメリカの極東軍事力が、中国や北朝鮮、ロシアの軍事的圧力をおさえこんでいるからで、9条を忠実にまもっていたら、主権の保持が不能になって、日本列島は、米・ロ・中・朝の軍事力がいりこんだ紛争地帯になっていたはずである。
 その主権が、国家ではなく、国民にあるとする憲法によって、国家の防衛戦略が、国民の手の内にあるかのような錯覚がまかりとおっている。
 国家防衛は、国家理性の一つで、国民には、軍事政策をおこなう政治家のえらぶ選挙権があたえられているにすぎない。高度な軍事戦略をサラリーマンや主婦にまかせることができないのは、医学の知識がない者に外科手術をまかせられないのと同じ理屈で、集団的自衛権の是非を国民に問うのは、民主主義を取り繕うためで、本来、何の意味もない。
 集団的自衛権問題と人質拉致公開処刑事件にかかる議論が低級なのは、70年前、GHQの共産党シンパが9日間でつくった憲法に、脳の髄まで侵されているからなのである。
posted by office YM at 10:32| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする