リビア:IS名乗る武装集団が国営ラジオ局を占拠

毎日新聞 2015年02月14日 10時19分(最終更新 02月14日 16時48分)

 ◇バグダディ指導者の演説などを放送

 【カイロ秋山信一】リビア中部シルトで12日、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)を名乗る武装集団が国営ラジオ局を占拠し、ISを率いるアブバクル・バグダディ指導者の演説などを放送し始めた。AFP通信が地元住民の話として伝えた。東部デルナでも昨年11月ごろからIS系の武装勢力が実効支配を拡大しているとの情報があり、ISがシリア、イラクに続きリビアの拠点化を進めているとの見方が広がっている。

 AFPによると、武装集団は国営ラジオ局のスタジオを占拠し、バグダディ指導者やIS報道官の演説を放送するよう強要しているという。中心街に拠点を作り、シルトの実効支配を狙っているとの見方もある。

 シルトは、約42年間政権を握り2011年に殺害されたカダフィ氏の故郷で、内戦後は複数のイスラム過激派組織が拠点を築いているという。こうした組織の一部が、ISに共鳴して、動いている可能性もある。

 リビアでは11年以降、反カダフィ派の内紛が続き、互いに正統性を主張する勢力が東西に独自の「政府」を樹立した。東部トブルクを拠点とする世俗派中心の勢力は国際社会の支持を受けているが、対立するイスラム勢力も首都トリポリを掌握するなど実効支配を広げている。

 1月から国連による和平調停が続いているが、協議は難航しており、国情安定の道筋が見えない状況だ。

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