ピケティ氏の本は日本で既に15万部程度発行され、解説本も数多く出回っています。そこでこのブログでは、解説本すら読む気にならないという方のために3分で簡単にまとめてみました。
r>gとは
21世紀の資本で何度も繰り返されている結論にr>gというものがあります。rとは資本収益率、gとは経済成長率です。なんかいかにも難しそうですね。でも、難しくありません。
資本収益というのは、資本、つまりお金が稼ぐお金のことです。銀行から利子をもらったり、株をしたりするのがこれにあたります。増え方は年平均4%程度です。ざっくりいうと働かずに得られる収入額は毎年4%ずつ増えていくということです。
経済成長率gというのは、給料などのことです。大卒の初任給などを見ればわかるように、ぼくたちの給料は年月が経つにつれ徐々にアップしています。これは年間1.5%程度です。
資本収益率rが4%で、経済成長率gが1.5%なのです。つまり、働くよりも株で生活をしたほうが得だということになります。
しかし、当然ですが、元手がなければ株だけでは生活できません。働かざるを得ないのです。その間に、お金持ちはせっせとお金でお金を産んでいます。
しかし、当然ですが、元手がなければ株だけでは生活できません。働かざるを得ないのです。その間に、お金持ちはせっせとお金でお金を産んでいます。
(この本の大部分はこのことについて書かれています。これだけのデータをかき集め、分析した人はピケティ氏が初めてです。それだけでも彼の功績は大きく、世界中で話題の経済学者たちに影響を与えています。)
元手が多いほど稼ぎやすい
そもそもお金には、元手が多ければ多いほど稼ぎやすいという特徴があります。それは、以下の資料で示されています。
(ピケティ氏のプレゼン資料より引用)
英語で分かりづらいと思うので補足します。上から順に、世界のGDP、世界の人口、成人の所得、成人の資産の増加率です。そして下から2番目が2000万人に1人レベルのお金持ちの資産の増加率、一番下が1億人1に1人レベルのお金持ちの資産の増加率です。
この資料からわかることは、ごく一部のお金持ちは毎年6%以上資産が増え、世界のほとんどの人は2%程度しか増えないということです。
(これは株式取引などをする方にはイメージしやすいと思います。大口の機関投資家が自分の都合のよい方向に株価を操作したりするのはよくある話ですよね。やっぱり元手が多い方が稼ぎやすいです。)
ビルゲイツとの格差は20年で2倍に
ここまでは検索するといくらでも出てくるので、最後にちょっと具体例を挙げて考えてみましょう。
2014年度長者番付ランキング1位は、マイクロソフト社を作ったビルゲイツ氏です。彼の資産は760億ドルで、日本円にすると約9兆円です。これが毎年6.8%ずつ増えていくのです。一方、日本の家庭の平均資産額は約1,000万円です。これを一般人とします。こちらは毎年2.1%増えていきます。
それぞれの20年間の資産総額をグラフにすると以下のようになります。
ビルゲイツ氏の資産が20兆円も増えているのに、一般人の資産はほぼ増えていません。これだけだとちょっとわかりづらいので、もう1つグラフにしてみました。
このグラフを見ると、ビルゲイツ氏と一般人の格差が20年で2倍程度増えていることがわかりますね。明らかに格差が広がっています。世知辛いですね…。
結局、この記事の冒頭で書いたように、『働いて稼ぐより金で金を産む方が早い。だから金持ちはもっと金持ちになって格差が広がる。』ということです。
(以上のデータをもとに、ピケティ氏は富裕層への課税強化を主張しています。一方、ビルゲイツ氏は寄付などの慈善活動にお金を使うほうがよいと述べています。政府にお金を渡すより、自分で慈善活動をしたほうが、本当に助けを必要としている人を支援できるというわけです。実際ビルゲイツ氏は毎年、慈善事業に莫大な金額を寄付しています。世の中のお金持ちの多くがビルゲイツ氏みたいな人であればいいんですけどね…。)
おまけ…なぜ話題なのか
この本、話題になっていますが個人的には解説本でも十分ではないかなぁと思います。
というのも、この本の内容は『r>gの証明』がほとんどなのです。円周率が3.14なことは知っておくと役立ちますが、その証明はできなくてもあまり困らないのと同じようなものです。
そんなマニアックな本がなぜ話題なのかというと、やはり多くの人が世の中の行き詰まり感を感じているからだと思います。実際に拡大しているかは別として、格差の拡大といわれると「そのとおり」と思う方も多いのではないでしょうか。
これを防ぐために富裕層に課税をするのか、富裕層が率先して寄付をするのか、はたまたそれ以外の方法があるのか。そもそも格差を是正する必要があるのか。日本とアメリカは違うんじゃないか、21世紀は過去とは違うんじゃないか…など、様々な議論をよんでいます。
(↓挑戦してみたい方がいれば…。オススメの解説本もあわせて紹介しておきます。)
そんなマニアックな本がなぜ話題なのかというと、やはり多くの人が世の中の行き詰まり感を感じているからだと思います。実際に拡大しているかは別として、格差の拡大といわれると「そのとおり」と思う方も多いのではないでしょうか。
これを防ぐために富裕層に課税をするのか、富裕層が率先して寄付をするのか、はたまたそれ以外の方法があるのか。そもそも格差を是正する必要があるのか。日本とアメリカは違うんじゃないか、21世紀は過去とは違うんじゃないか…など、様々な議論をよんでいます。
(↓挑戦してみたい方がいれば…。オススメの解説本もあわせて紹介しておきます。)