内閣府は、12日、中長期の経済財政に関する試算を経済財政諮問会議に提出した。計算は内閣府がやったことになっているが、財務省から内閣府への出向者は要所に多く、財務省も大きく関わっている。
消費税10%でも黒字化は困難
いうなれば、試算結果は財務省の見解といってもいい。2020年度の基礎的財政収支について、名目3%成長と消費税率10%でも黒字化は困難だと主張している。この試算をどう考えたらいいのだろうか。
この試算は小泉政権時から行われており、内閣府のサイトに資料「中長期の経済財政に関する試算」がある(http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/shisan.html)。12日に経済財政諮問会議に提出されたものもある(http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h27chuuchouki2.pdf)。
それによれば、基礎的財政収支の赤字について、2013年度は27.8兆円(対名目GDP比▲5.7%)だが、2020年度は9.4兆円(対名目GDP比▲1.6%)。半年前の2014年7月25日の試算(http://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/h26chuuchouki7.pdf)では、2013年度は29.6兆円(対名目GDP比▲6.2%)、2020年度は11兆円(対名目GDP比▲1.8%)だった。たった半年で変わったのは、消費増税前の2013年度は経済が好調で基礎的財政収支が好転したからだ。
まず、はじめに、この試算は「経済・財政・社会保障を一体的にモデル化した内閣府の計量モデルを基礎にしている」とされ、「成長率、物価及び金利などはモデルから試算されるものであり、あらかじめ設定したものではない。」と注釈がかかれている。
これは正しい記述とはいえない。たしかに、安倍政権以前は、明確なインフレ目標がなかったので、「物価をあらかじめ設定したものでない」といってもいいだろう。しかし、安倍政権では2%のインフレ目標になっているので、2%になるように条件設定しているはずだ。今回の試算でも、2017年度は3.3%と予定された消費増税のために高いが、2018年度以降の消費者物価は前年比2%の上昇になっている。
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