『夜は千の目を持つ』は最高

私は村上さん(馴れ馴れしくお呼びして申し訳ありません)の翻訳が大好きです。村上さんが翻訳された『グレート・ギャツビー』を読みました。あとがきで「翻訳には賞味期限がある」とした一文があり、大変感銘しました。私が好きなアメリカのミステリーで、とっくに期限が過ぎてしまったものがあり、村上さんに再翻訳していただけたらいいなあ、と考える作品がたくさんあります。そこで、お願いというか、質問なのですが、ウイリアム・アイリッシュ(またはコーネル・ウールリッチ)はお好きでしょうか? 彼の代表作を翻訳していただけないでしょうか? 『喪服のランデヴー』など、あの独特の文体を、村上さんがどのように訳されるか、非常に興味があるのです。
(ジャン太郎、女性、51歳、大学職員)

アイリッシュの翻訳は、そうですね、けっこう古っぽくなったものが多いかもしれません。でも出版社としても「今さらアイリッシュの新訳を出してもなあ」ということになるのでしょうか。アイリッシュも既に「オールド・スクール」みたいになってしまっているから。僕は彼の作品の中では『夜は千の目を持つ』が最高だと思っています。あれ、何度読んでも背筋がちょっと寒くなります。『喪服のランデヴー』もいいですね。


村上春樹拝