デンマーク 射殺の容疑者は22歳の男2月16日 5時09分
デンマークで表現の自由を訴える集会などが武装した男に相次いで銃撃され、2人が死亡した事件で警察は、射殺した容疑者が過去に暴力や武器の不法所持などの犯罪歴があるデンマーク生まれの22歳の男だと発表し、共犯者がいないかなど事件の全容解明を急いでいます。
デンマークの首都コペンハーゲンで14日から15日にかけてイスラム教の預言者、ムハンマドの風刺画を描いた画家を支持する団体による表現の自由を訴える集会や、ユダヤ教の礼拝所が武装した男に相次いで銃撃され、男性2人が死亡、警察官5人がけがをしました。警察は2つの銃撃事件に関わったとして男の行方を追っていましたが、コペンハーゲン市内で男を見つけ声をかけたところ発砲してきたため、射殺したということです。警察は射殺した男が2つの事件の容疑者だとみており、過去に暴力や武器の不法所持などの犯罪歴があるデンマーク生まれの22歳だと15日、発表しました。
また、男が射殺された当時拳銃2丁を所持していたほか捜索の結果、集会が銃撃された事件で使われたとみられる自動小銃を押収したとしています。
警察は男に共犯者がいないかどうかなど事件の全容解明に向けて捜査を急ぐとしています。
最初の事件の会場にいたスウェーデン人の画家ラーシュ・ウィルクスさんは、2007年にムハンマドの風刺画を描いたことでイエメンのイスラム過激派組織、「アラビア半島のアルカイダ」から殺害予告を受けていて、デンマーク政府はウィルクスさんが出席する集会がイスラム過激派などに狙われる可能性もあるとみて警戒を強めていました。
デンマーク首相「ユダヤ人社会守る」
攻撃の対象となったユダヤ教の礼拝所を訪れたデンマークのトーニングシュミット首相は15日、記者団に対し、「この場所で、1人の男性が命を失ったことに強い衝撃と悲しみを覚える。遺族の皆様にお悔やみを申し上げる」と述べました。
そのうえで、トーニングシュミット首相は「ユダヤ人社会全体にもお悔やみを申し上げたい。彼らはデンマークに所属し、われわれの社会の一部だ。私たちはユダヤ人社会を守るためできることは何でもしていく」と述べました。