入札で苦杯をなめ続ける「実利のサムスン」

入札で苦杯をなめ続ける「実利のサムスン」

 サムスングループが近ごろ、ライバル会社との入札競争で何度も苦杯をなめています。

 今月11日に発表された仁川国際空港の免税店事業で、系列会社のホテル新羅は旅客ターミナル中央を奪われるなど、店舗の面積を従来の半分以下に減らしました。李富真(イ・ブジン)ホテル新羅社長が苦労して仁川空港に呼び込んだルイ・ヴィトン免税店の事業権はロッテに渡りました。この店は、世界の空港免税店にある唯一のルイ・ヴィトン店舗です。李社長は当時、仁川空港に出向いてルイ・ヴィトンの親会社であるLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)のベルナール・アルノー会長と会うなど、誘致に心血を注ぎました。

 また、サムスングループは昨年9月、現代自動車グループとソウル・三成洞の韓国電力公社本社の敷地買収をめぐって争いましたが、現代自動車に敗れました。それから2カ月後には、サムスン重工業とサムスンエンジニアリングの合併計画が株主の反対で中止になりました。サムスングループが計画した合併を取りやめたのは、グループ創業以来で初めてのことでした。

 財界はこうした一連の出来事について、サムスングループが近ごろ名分よりも実利を重視する経営を行っているためとみています。事業を落札することばかり考え過剰に資金を投じるのではなく、収益性を念頭に置き、合理的な金額で入札に参加した、というのです。

 合併の中止も、反対する株主の株式を買い取るのに1兆ウォン(約1080億円)以上を投じて財務構造を悪化させるよりも、市場と株主の決定を謙虚に受け入れることを選んだ結果といえます。

 「合理」と「実利」を基準とすることは歓迎すべきことです。また、サムスンが全ての入札事業を独占してしまうことも、決して望ましくありません。しかし、古今の経営事例は「企業の発展と新成長エンジンの育成は、合理性や効率性だけを考えていては成し遂げられない」と教えています。

 12日に生誕105年を迎えたサムスングループ創業者の故イ・ビョンチョル氏は、周囲の強い反対をものともせず、半導体事業への参入を強行しました。息子の李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長も、不況のたびに大胆な先制投資を行い、サムスン電子を世界1位に育て上げました。サムスン電子を含めたほとんどの系列会社が以前よりもはるかに低調な今、サムスンの経営陣がどんな戦略と切り札を準備しているのかが気になります。

辛殷珍(シン・ウンジン)記者
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