マレーシア、インドネシアで拡大するISILの影響力
キングス・カレッジ・ロンドンの報告書によると、これまで世界約80カ国から1万1000人にもおよぶ外国人義勇兵がシリアへ流れ、その多くは中東や北アフリカの出身者だが、欧米諸国やインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポールなどの東南アジア諸国からもジハードの活動に参加しているという。
世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアと、イスラム教徒が多いマレーシアからは何百人もがISIL戦闘員としてへシリアやイラクに渡ったとされ、両政府は警戒を強めている。中でもマレーシアは最近、東南アジアを含めたジハーディストの「ヒト、モノ、カネ、情報」の中継地点になっており、米CIAなど西側情報機関が監視の目を強化している。
もともと世界のイスラム国家の中でも、経済発展を遂げ穏健派として知られてきたマレーシアは、東南アジア諸国で「インドネシアと比べ、比較的過激派対策を講じてきた」(米政府筋)と認識されてきたが、状況は一変しつつある。
潤沢な資金力が武器のISILは、身代金や中近東地域の原油密輸などで年間5000万ドル以上稼いでいる上、マレーシアなど東南アジア諸国の過激派組織と協働し、ジハーディストの確保や資金援助集めで勢力拡大を図っているからだ。
こうしてISILが台頭する中、マレーシアなどではISIL関係者の逮捕が相次いで報告されるようになった。
昨年末には、ISIL戦闘員のインドネシア人12人が逮捕された。マレーシアの国家警察によると、マレーシアを経由してトルコからシリアへの入国を画策していた同戦闘員らは、ジャカルタですでにトルコへの渡航ビザも取得し、マレーシアに数カ月滞在後、シリアに渡る計画だったという。
その中には5歳の子供も含まれ、その手引きをしていた元締めが、元JI幹部で米国を含む数カ国で国際指名手配され、現在収監中のテロリスト、ハムバリに近いJI関係者だという(参考:UN Security Council Committee)。
【あわせてお読みください】
<<好評発売中!>>
【JBpress新書シリーズ発刊!】
第一弾は「若者よ、外資系はいいぞ」
~四十代年収四千万になる人生設計術:祖父江 基史氏・著<