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2010年12月28日〜凍結を一時解除します〜管理人:バルクより
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■-- ソニックとダークナイト(暗闇の騎士) >>>ノエル -- 2014/02/07-01:14..No.[95164] |
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初めまして、ノエルと申します。以前からこの小説投稿掲示板を見ておりまして、自分も小説を書いてみたいと思いはじめてみました。 どうぞよろしくお願いします。 今回は、"ソニックとバットマンの世界を融合させてみたら..."というお話を書かせていただきます。完全に自己満足です。 ソニックは以前から好きなのですが、映画"ダークナイト"を観て以来バットマンにどっぷりハマってしまい、今ではすっかりバットマンファンです。 実は以前にも小説を書いたことがあるのですが、途中挫折してしまいまして、気持ちを新たに頑張って書いてみたいと思います。 ...といっても飽きっぽくて面倒くさがりな性格なので、やはり途中で投げ出してしまうことになってしまったらすいません... おおまかなストーリーとしては、ソニックが放浪の途中ゴッサムシティに足を踏み入れ、チンピラに絡まれていたところをバットマンが乱入し、ソニックを敵視する。 しかしその後に様々な事実が発覚し、エッグマンやジョーカーなど、両作品を代表する悪役が接触して...という感じです。 一応少しでも読みやすいようにと、ソニックサイドとバットマンサイドのお互いの登場人物と用語を書いてみました。 "バットマンなんてよく分からない"という人も楽しめると思います。 オリジナルキャラは不在で、両者とも(特にバットマンは)設定がまちまちになっているので、そこは温かい目で見てやってください。 登場人物 --SONIC SIDE-- ◆ソニック・ザ・ヘッジホッグ 世界最速の青いハリネズミ。その足の早さはF1や戦闘機にも引けをとらない高速である。 ひとつのところにじっとしておられず、世界中を旅をすることを楽しみとしている。 曲がったことが大嫌いで、困っている人を見かけたら助けずにはいられない、まさに英雄の名にふさわしい人物である。 今回は放浪の途中、ゴッサムシティへ足を踏み入れる。チンピラに絡まれたところ、コウモリのような人物があわられ... ◆マイルス"テイルス"パウアー 通称テイルス。2本の大きな尻尾が特徴の黄色い子ギツネ。 その尻尾をプロペラのように回して低空飛行が可能である。 ソニックに憧れており、今ではソニックの弟分として行動している。機械いじりが得意で、今回もその特技が発揮されることとなる。 ソニックからバットマンの情報を聞き、確認すべくゴッサムシティへと足を運ぶ。 バットマンの隠れ家、バットケイブに興味津々。 ◆シャドウ・ザ・ヘッジホッグ ソニックと瓜二つの黒いハリネズミ。 プロフェッサー・ジェラルドの手によって生み出された究極生命体。 ソニックと共に世界を救ったことがあり、以降はGUNのエージェントとして活動している。 今回は、ドクター・エッグマンに盗まれたカオスエメラルドを奪還しにゴッサムシティへと向かう。 その途中、エッグマンが雇った刺客デスストロークによって命を狙われることになり... ◆シルバー・ザ・ヘッジホッグ まっすぐな性格で強い正義感を持っている、銀色のハリネズミの少年。 荒廃した未来を変えるべくソニック達のいる時代に来た。 超能力(エスパー)を使うことができ、サイコキネシスで様々な物体を持ち上げたり、テレパスによって相手の行動を読むこともできる。 今回は、ゴッサムシティでデスストロークと戦っているシャドウを見かけ、助太刀に入る。 ◆ドクター・エッグマン ソニック最大の宿敵であるIQ300の頭脳の持ち主である天才科学者。 プロフェッサー・ジェラルドの孫でもある。 世界征服を目論んでおり、その都度ソニックによって阻止される。 今回はシャドウから盗みだしたカオス・エメラルドをエサにし、暗殺者デスストロークを雇ってシャドウ、ひいてはソニックをも始末させようと企てている。 --BATMAN SIDE-- ◆バットマン(本名:ブルース・ウェイン) 生まれ育った街"ゴッサムシティ"の秩序を守るべく、悪と戦うダークヒーロー。幼いころに両親が犯罪者によって銃殺され、以降犯罪者を憎むようになり 「相手にも同じ恐怖を与える」という意味で、自身の苦手なコウモリをモチーフにし、悪と戦うことを決意した。 正体は大企業ウェイン・エンタープライズの代表戸締役会長であり、昼間はビジネスマンとして働き、夜になるとコウモリのコスチュームを 身にまとう"バットマン"となって悪と戦う。"どんな悪人でも絶対に殺さない"という姿勢をとっており、彼によって倒される悪人の大半はアーカム・アサイラムへ投獄される。 今回はゴッサムシティでチンピラと小競合うソニックを見かけることから始まる。 参照画像⇒1、2、3 ◆アルフレッド・ペニーワース ブルースの父の代からウェイン邸の執事として仕えている。バットマンの正体を知る数少ない人物の一人であり、夜はバットケイブにて バットマンと通信をとりながらサポートに徹している。老いてはいるが、コンピューターを駆使してバットマンをサポートする凄腕の執事である。 皮肉屋でもあり、彼の口からはしばしば皮肉を聞くことができる。 参照画像⇒1、2 ◆ジョーカー(本名:不明) 紫色のスーツを纏い、顔にはピエロのような化粧をしており、その口元は耳まで切り裂かれたような傷跡が残っている極めて不気味な人物である。 バットマン最大の宿敵としても名高い。恐怖や混沌を好んでおり、金や名誉などには目もくれず、混乱に陥った人々をただ眺めている。 身元は一切不明であり、彼の過去の経緯に至ってはもはや何が真実で何が虚偽なのか、本人でさえもはっきりしていない。 バットマンを怒らせることを何よりの楽しみとしており、バットマンに捕まっては刑務所へ入り脱獄してはまた犯罪を犯す、という連鎖を繰り返している。 傷跡が残るその口を真っ赤な口紅で塗りたくり、歯をむき出しにして笑うその顔はまさに"狂人"そのものである。 今回はアーカム・アサイラムから仮釈放され、ソニックと接触することになる。バットマンやエッグマンとは関わってなさそうに見えるが... 参照画像⇒1、2、3 ◆デスストローク(本名:スレイド・ウィルソン) 元々敏腕の傭兵であり、アメリカの軍の極秘実験によって、超回復能力と超越した身体能力を手に入れた。 受けた傷は脳が無事であれば自然に回復し、バットマンに勝るとも劣らない戦闘力を実現した。 以降は殺し屋として活動しており、現在は"世界一の殺し屋"として名高い存在となった。 素顔は白髪の初老であり、隻眼でもあるが、戦闘時には右目が無いマスクで顔を覆い、様々な装備で任務を遂行する。 メインウェポンとして日本刀と、伸縮可能な金属製の棍棒を用いる。 エッグマンに雇われ、シャドウを始末するように命じられる。 参照画像⇒1、2、3 用語 -- Place -- セントラルシティ ソニック達の住む街であり、ソニックをはじめ、テイルスやナックルズ、エミーなどお馴染みの仲間が住んでいる。 ゴッサムシティに比べると治安も良く、エッグマンがたまに襲撃する事以外は特に大きな事件は発生しない。 ゴッサムシティ バットマンやそのヴィラン(悪漢)たちが活動する街である。 大変治安の悪い街でもあり、夜になるとチンピラから極悪人まで大きく動きはじめる。 同時に、バットマンや市警も阻止するべく動き出す。 この街が今回の主な舞台となる。 アーカム・アサイラム ゴッサムの近隣に位置する精神病院を兼ねた刑務所。 危険視されている悪人ばかりが幽閉されており、近年ではバットマンの手によって投獄されたものが大半である。 また脱獄する人物もざらであり、その都度バットマンの手によって再び投獄される者がほどんどである。 今作では名前のみの登場であり、当刑務所を舞台とした描写はない。 バットケイブ いわゆるバットマンの秘密基地。ゴッサム市内を流れる滝の裏側が入り口となっており、バットマンはここを拠点としている。 アルフレッドはここからバットマンのサポートに徹している。 ウェイン・エンタープライズ ゴッサムを代表する大企業。 軍事用機器を中心に取り扱っており、その他にも小売、輸送など様々な事業に関連する。 今回はアルフレッドの説明の中で登場する。 -- Item -- カオスエメラルド 世界に七つ存在していると言われており、それぞれが莫大な力を持っている危険な石である。 その効果は様々であり、持つ者や機械などの能力を最大限に引き出すことができる。 エッグモービル ドクター・エッグマン専用の一人乗りの飛行機体。まれにオーボットなども一緒に乗っていることがある。 どこに移動する時でもこの飛行機を使用し、エッグマンの車代わりのようなもの。ソニックのほぼ全作品で登場している。 バットラング 数多くのバットマンのガジェット(武器)のうちの一つで、最もポピュラーなもの。 コウモリをかたどった形状の飛び道具であり、相手に自分の存在を知らしめたり、直接当てることによる攻撃も可能である。 日本でいう"手裏剣"のようなもの。 グラップネル・ガン バットマンのガジェットの一つ。拳銃のような形状をしており、銃口には鉤爪のようなものが備えられている。 引き金を引くと中のワイヤーが飛び出し、鉤爪で引っ掛けた場所まで素早く移動することができる。 離れた敵を鉤爪で引っ掛け、引っ張って攻撃することも可能である。 ゲームなどで時々みかける"フックショット"を彷彿とさせる。 爆破ジェル バットマンのガジェットの一つ、ゲル状の液体爆薬。専用スプレーで吹きつけ、随時起爆させることが可能である。 バットウィング バットマンの移動手段のひとつである専用飛行機。 主にこの飛行機を用いてバットケイブの出入りをしている。 バットモービル バットマンの移動手段のひとつである大型装甲自動車。 バットケイブに保管されており、物々しい雰囲気で見るものを圧倒する。 今作では名前のみの登場である。 バットシグナル 犯罪がはびこるゴッサムシティで、バットマンに助けを求める時に点灯される信号機。 サーチライトにバットマンのマークをかたどり、夜空に照らすと巨大なマークが浮かび上がる。 ※用語は適時更新します 〜 EPISODE 〜 Prologue Caped Crusader(ケープを纏った十字軍騎士) Hedgehog In Gotham Gotham Night 初対面 洞窟 阻碍と共謀 暗殺者と究極生命体 シルバー・ザ・ヘッジホッグ 笑う男 Laughter in the best medicine!(笑いこそ最大の良薬!) 合流 バットケイブにて 挑戦状 Break time -ブルースの過去- 出撃 衝突 ACT1:SHADOW & SILVER VS DEATHSTROKE ACT2:SHADOW & SILVER VS DEATHSTROKE ACT1:BATMAN VS Dr.EGGMAN ACT2:BATMAN & SONIC VS Dr.EGGMAN いたずらピエロにご用心 Dark Ride Betrayer! ハンプティ・ダンプティ MISSION --Dr.エッグマンとジョーカーを救出せよ-- ADDITIONAL MISSION --デスストロークを倒せ-- Defeated 救出 ファイナル・カウントダウン What were you trying to prove ? 気狂いピエロ THE DARK KNIGHT |
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ノエル
-- 2014/04/04-19:27..No.[95915] | ||
ヘルハウンドさん。 わざわざ全部読んで下さったとは......ありがとうございます。 続編......の予定は、実はまったく考えていなかったのですが、 baseさんからも、せっかくの続編のご所望があったので、どうしようかと迷っている所です。 そうですね。ジョーカーはどこか魅了される悪役として、ファンの間で人気ですからね。 台詞を考えてるだけで頭がどうにかなりそうでした......(笑) ヘルハウンドさんの小説も読んでいますよ。 ゆっくりでいいですので、完結するまで見守っています。 | ||
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ヘルハウンド
-- 2014/04/04-15:15..No.[95908] | ||
ノエルさん、完結お疲れ様です。 しっかり、全部読みました。続編が書きやすそうな 終わり方ですね。 ジョーカーの基地外っぷりが良かったです。 私も完結させれるように頑張らなくては…… | ||
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base
-- 2014/04/03-23:47..No.[95902] | ||
短編ですか。待っています。 そのときまで、今度は私の作品の感想をお願いします。(また勝手な) ノエルさん。ついさっき私も話を進めました。 良かったら読んでください。 | ||
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ノエル
-- 2014/04/03-23:21..No.[95900] | ||
baseさん ありがとうございます。 おっしゃるとおり、映画でも同じように......というか、ソニックの最後のセリフなど、 個人的に気に入ったセリフは映画から抜き出しています。 ついでに言ってしまうと、オチも映画からだったり......(笑) そこまで言ってくださるとは...... もはや感無量の思いですが、僕の乏しい語彙力でここまで展開するのに結構な時間と頭を絞ったので、 また小説を書きたい!という気持ちが高じたら、続編も検討するつもりです。 といっても、短編はちょくちょく書くかもわかりません..... もう一度言わせていただきます。 本当に応援ありがとうございました。とても感謝しています。 baseさんにかぎらず、他の皆様の小説も応援しています。 | ||
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base
-- 2014/04/03-22:33..No.[95898] | ||
完結おめでとうございます。 題名のダークナイトの意味がさっぱりだと思ったら、 その言葉って、映画でも使われているんですか? あ、そんなことは自分で調べたほうがいいですよね? 応援、お願いします。そして、ありがとうございます。 私も勝手な意見を言います。 この小説の続きをソニックサイドのキャラクターを増やして、続編をやってほしいです。 | ||
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ノエル
-- 2014/04/03-19:18..No.[95895] | ||
この小説は完結とさせていただきます。 久々に長編(?)を書いたので疲れました(笑) 今回の小説の目的として、バットマンの魅力をすこしでもひろめたいという思いがあったので、 この小説を読んで、少しでも興味を持っていただけたら幸いです。 特に映画"ダークナイト"は映画史上でもかなりの傑作と称されているので、是非とも観ていただけたらと思います。 次回作は題材も決まっておらず、そもそも書くかどうかすからも決まってないのですが、 もしそういった機会ができたら、また皆さんと小説をシェアしていきたいです。 とくに毎回のようにコメントをくださった数少ない読者のbaseさん、本当にありがとうございました。 おかげで完結させることができました。 baseさんの作品も、完結するまで勝手ながら応援させていただきたいと思います。 | ||
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ノエル
-- 2014/04/03-19:09..No.[95894] | ||
I know that the spades are the swords of a soldier (俺は分かる スペードは兵士の持つ剣を意味する) I know that the clubs are weapons of war (俺は分かる クラブは戦争の武器) I know that diamonds mean money for this art (俺には分かる ダイヤが意味するものは 金) But that's not the shape of my heart (だけど 俺はそんなことは考えちゃいない) That's not the shape of my heart (俺の考えていることは、そんなことじゃない) ―――Song by STING 〜Shape of my heart〜 | ||
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ノエル
-- 2014/04/03-19:08..No.[95893] | ||
THE DARK KNIGHT ゴッサム・シティ、犯罪と狂気が堪えない街。 今夜も、街で二番目に高いビル"トランプタワー"の上階が倒壊するという事件が起きた。 地上は、トランプタワーを取り囲むようにパトカーがけたたましくサイレンを鳴らしながら停車している。 その中でも一際目立つゴッサム市警の特型輸送車。 大人10人は入れるだろうその車両に、警察に引っ張られるように歩く人物はドクター・エッグマンとジョーカー。 主犯であるジョーカー、そして容疑者としてドクター・エッグマンが、鎖に拘束されつつ輸送車に向かって一歩ずつ進む。 エッグマンは無表情でうつむいていたが、ジョーカーは喉で笑い声をあげながら輸送車へと入りこみ、その扉は固く閉ざされた。 「スレイド・ウィルソンは?」 とある10階建てビルの屋上。 3人のハリネズミ、1人のキツネ、そして1人のコウモリが地上の警察を見守るように立ち尽くす。 バットマンがシャドウへと訪ねる。 「......ゴッサム市警に通報しておいた。 たぶん、署でドクター達と鉢合わせることになるだろうな」 それを聞いたバットマンは、安堵の胸を降ろしたように息をつき、目を地上のパトカーへと向ける。 「エッグマン達は、どうなるんだ?」 「ひとまず3人とも、アーカム・アサイラムという刑務所に投獄されるだろう。ジョーカーは間違いなくな」 そうか......とソニックが短く相槌を打ち、トランプタワーを見る。 上階が倒壊し、立ち込める煙はとまる事を知らず、むき出しになった上階は煙の隙間からは、わずかに部屋の内部が見える。 再びバットマンがソニックに話しかける。 「......今回の件は、お前たち無しでは解決できなかった。改めて、礼を言う」 「なあに、元々こっちが蒔いた種のようなもんだ」 先ほどまでの重々しい顔色はすっかり消え、足をブラブラとさせ、いつものように、屈託のない笑顔をみせるソニック。 すると、また少しかしこまったように感謝の言葉を口にする。 「それに、―――俺からも礼を言うぜ。おかげで色々学んだよ」 「あんな"天才"がいたなんて、想像もしなかった...... あれほど簡単に狂気に陥れられそうになった瞬間は、身を持って感じた」 殴り飛ばしたあの瞬間を、走馬灯のように思い浮かべるソニック。 同時に脳裏に焼き付いたのは、あの真っ赤な唇をひん剥かせ、狂ったように笑い続ける笑顔だった。 「ジョーカーの言うとおり、この街は腐敗しているかもしれない。 それを食い止められるのは......お前だけさ、バットマン」 ゴッサムの夜景を見渡すソニック。 絶景という名にふさわしい夜景が目の前に広がっていた。 だがそこには、目には見えないほど小さな病気が蔓延しているようにも見えた。 「真実だけでは、人は満足しない。 幻想を満たさねば......」 輸送車を見つめるバットマン。その中には、ジョーカーとエッグマンが収監されている。 しばらくすると、その輸送車はゴッサム警察署へと向かうべく、タイヤを滑らせていった。 バットマンがソニック達の方へ向く。 「ソニック......もしお前たちの身に、お前たちの街に、何かあったら――― 今度は俺が、助けに行こう」 「俺より早く来れんのか?」 茶化すように笑って返すソニックに、バットマンはフッと軽い鼻息で返した。 「......さらばだ」 弧を描くように華麗にマントを羽織る。 別れを告げたその漆黒の背は、"ダークヒーロー"にふさわしかった。 「また会おうな!バットマン!」 「次は貴様とも、手合わせしてみたいな」 「バットマン!アルフレッドさんによろしくね!」 テイルス、シャドウ、シルバー...... それぞれが心底の思いをつづり、別れを告げる。 「......また会おう」 少しだけ振り向き、改めて本心を口にするバットマン。 影とカウルで隠れてよく見えなかったが、彼らにはその顔が少し微笑んでいるように見えた。 漆黒のマントを広げ、ビルから飛び降りる。 どこからか、ジェット音が聞こえる。 ビルの谷間から突如として現れたバットウィング、ソニック達の真上を通り過ぎるように、夜空へと舞い上がった。 次第に小さくなっていくバットウィング...... 「行っちゃったね」 テイルスがそう言った時には、すでに豆のように小さく見えた。 「不思議な街だ......まるで、光と影が、行き来しているような―――」 立ち尽くし、口を開くシャドウ。 「あんな強いヒーローがいれば、この街は大丈夫だな!」 ゴッサムの夜景を、目にやきつけるシルバー。 「あいつはヒーローじゃないさ」 夜空に浮かぶバットシグナルを見つめ、ソニックが 静かに語る。 「沈黙の守護者 この街を見守る監視者......」 一羽のコウモリが、月夜を舞う。 「 ―――"ダークナイト(暗闇の騎士)"だ 」 ---END--- | ||
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base
-- 2014/04/02-22:17..No.[95886] | ||
全員無事で何より…と言いたいですが、 やはりジョーカーは何を考えているか分からない。 このあとはどうなるのか、続きを楽しみにしてます。 | ||
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ノエル
-- 2014/04/02-21:43..No.[95885] | ||
気狂いピエロ イースタータワー ソニック達の前に翡翠の閃光が走った。 「―――バットマン!!それに、ジョーカー......」 光の中から現れたのはバットマン、ジョーカー、そしてシャドウだった。 3人は転がり落ちるように、床にゴロゴロと倒れこむ。 「シャドウ!......そうか、"カオス・コントロール"で!」 シャドウならではの発想に合点がいったように、シルバーは嬉々とした声をあげる。 シャドウの手にはカオスエメラルドが。 トランプタワーまでカオス・コントロールを発動し、さらにこのイースタータワーまで瞬間移動した。 「ハァ......ハァ......ああ、間に合ったようだな」 息を切らしながら立ち上がるシャドウ。 瞬時に瞬時へと連続で発動したのか、相当なエネルギーを消耗したようだ。 するとバットマンも立ち上がり、すかさず執事アルフレッドへと無線を入れる。 「アルフレッド、ドクター・エッグマンとジョーカーは確保した」 『命があって何よりでございます......ただいまゴッサム市警に通報いたします』 アルフレッドの声こそ冷静そのものだったが、主人の無事を確認し、 心から安堵の胸を撫で下ろしている事が端から聞いてもわかった。 「......礼を言おう、ソニック」 「礼なら、シャドウに言ってやってくれよ」 バットマンがソニックへと向き直り、感謝の言葉を短く口にする。 それに対して親指をシャドウへと向けるソニックだが、当の本人は"礼など要らん"とでも言いたげに 腕を組んでそっぽを向いていた。 すると、今までうずくまって動かなかったジョーカーの肩が震えだした。 それは怯えている様子でも、憤っている様子でもなかった。 「クククッ......ッハッハハ、ハッハハ......!! まったく、フフフッ!本当に愉快な仲間たちだなぁバットマン!! 呆れるどころか、通り越して笑えてくるぜ、ハッハハ!」 喉の奥からかきだすような笑い声。 自らの生命の瀬戸際に立ったにも関わらず堪えぬその笑い声を聞いたテイルスやシルバーは、背筋を凍らせた。 バットマンはうずくまるジョーカーに視線を移すと、近くにあった鎖を持って再びジョーカーを拘束した。 「彼らは、相手を殺して自分が生きることを選ばなかった。 このゲームは、お前の負けだ。ジョーカー」 鎖で拘束されたジョーカーはその場であぐらをかき、俯き加減に語りかけた。 その緑の瞳だけは、バットマンをしかと見つめていた。 「フフフッ!いや違うバットマン......これはパーティさ、勝ち負けもありゃしない。 ソニック、前にオレが言ったよな? お前たちはもう"ダークライド"に乗っている。 終着点の無い邪悪だけが続くジェットコースターにな」 瞳だけを動かし、青いハリネズミを視界に入れる。 その者も、睨みつけるように目を合わせると語りかけた。 「ジョーカー。俺は......俺たちは、ダークライドには乗らない。邪悪に進むのは、お前だけだ、お前だけで充分さ」 意を決したように、目の前でうつむくピエロに向かって、荘重に言い放つ。 「言ったはずだ......途中下車なんか出来やしない。 今回はお前たちのくだらん正義感がジャマをしたようだが、それが果たして、そういつまでも続くかねえ―――」 「本性を出さずに生きられるほど利口だってか? フッフフフ、まさか!ボロがでる日は必ず来る......」 語る間、ジョーカーは笑顔を絶やすことはなかった。 皆がジョーカーを見つめる。 その目はそれぞれ、憤り、憐れみ、どのような意味を成しているのかは定かでなないが、 嘲笑するように見る者は、誰一人としていなかった。 「......どうしたオマエら? ......そのしかめ面はなんだ? この街は腐っているさ 腐敗したこの街に必要な物は? ―――"薬"さ」 聞き覚えのある言葉にソニックの耳がピンとはねる。 その様子を見ていたのか、ジョーカーがソニックの方へと目を移す。 「そうだろう? この街の治療法はただひとつ......」 言い聞かせるように語るジョーカー。ソニックは、何一つ言葉にすることはなかった。 「―――さあ 笑えソニック! 笑えバットマン!! 笑えゴッサム!!! 意外とすぐに 治療できるかもしれないぜ...... ......ッフフッフッフフ! フッハッハッハハハ!! ハッハッハハハハ!!!」 傷痕が裂けんばかりに狂気を湛えた笑い声は、ソニック達が部屋を後にしてもなお、止むことはなかった――― | ||
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ノエル
-- 2014/04/02-20:37..No.[95884] | ||
What were you trying to prove ? 「......?」 ジョーカーが眉をひそめる。 時計を確認すると時刻は0時30秒。 ......爆発が、起きない。 イースタータワーも、トランプタワーも。 「――― 何を証明したかった? ......結局、誰もが心の奥底は醜いとでも?」 バットマンが見下ろすジョーカーの顔から笑みは消えていた。 「お前だけだ......!」 力強く戒めるバットマン。 ここに来てジョーカーは初めてしかめ面を見せ、大きく舌打ちを打った。 . . . 「仮にも、オマエさんによって伸ばされたこの寿命じゃ。 ......こうでもせんと、後味悪くてしょうがないわい」 エッグマンの片手は、銃口から煙が立ち込める拳銃。 ―――そしてもう片手は、その弾丸によって破壊された起爆装置。 「エッグマン......ヘッ!お前ってヤツは!」 ジョーカーの悪に打ち勝ったエッグマンに、ソニックは喜びと賞賛の声をあげた。 「ワシから頼む!あのイカれたピエロを!―――ジョーカーを、止めてくれい!!」 へたれるように床に手足をつき、懇願するように嘆声をあげるエッグマン。 その姿は、ソニック達に土下座しているようにも見えた。 . . . 「―――アァ、これがオチか? このジョークの? ......オレは! こういうジョークが! 大キライなんだよ!!!」 予想とは裏腹の結果に、ジョーカーは苛立ちをあらわにする。 常に笑っているようなその表情は打って変わって鬼のような形相になり、声を強張らせて激怒した。 「もう終わりだ!ジョーカー!」 鎖を破壊し、ジョーカーを解放するバットマン。 そのまま胸ぐらを掴んでジョーカーをすさまじい剣幕で睨みつける。 「オレのキゲンは天気のように気まぐれなんだ。 ......結局オレは、お前と遊ぶのが一番好きなようだ!」 鬼のような形相はまた一変し、不敵に笑ってみせた。 「そうさ、あんなヤツらの命なんてハナからどうでもいい。 ......コレは、"この部屋の起爆装置"だ」 「―――何だとッ!?」 ジョーカーの手に持っているのは携帯電話サイズの起爆スイッチ。 それを見てジョーカーの言葉を聞いたバットマンは驚愕した。 「―――それじゃあバットマン、またあの世でな......フハッハハハ!! ハッハッハッハハハハ!!!」 勝ち誇ったように狂った笑い声をあげるジョーカー。そして親指をおろし、起爆スイッチが押された。 「......ッキサマ!!!」 胸ぐらをつかんだまま、バットマンにはどうする事もできなかった。 声を荒げるバットマンをよそに周囲の爆薬が爆発を引き起こし、ビルが激しく揺れる。 「―――"カオス・コントロール"!!」 ―――爆発の最中、2人の背後を翡翠の閃光がほとばしった。 | ||
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base
-- 2014/04/01-21:19..No.[95878] | ||
ソニックとエッグマンの関係が改めて理解出来ました。 バットマンとジョーカーはパーティーのルール通りになってしまうのか? 続き待ってます。 | ||
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ノエル
-- 2014/04/01-20:00..No.[95875] | ||
ファイナル・カウントダウン 「ソニックよ、オマエは......よもやこのワシを忘れたワケじゃないだろうな?」 鎖から解放されたエッグマンは、肩を抑えながらゆっくりと立ち上がる。 改まるように話しかけるその様子に、ソニックをはじめ、3人は怪訝そうな顔を見せた。 「ワシは腕利きの暗殺者を雇い、オマエさんやシャドウを始末させようとした。 ......ところがどうじゃ、そいつは、とっくに他の者が雇っていた! そして、そやつが今あそこのタワーに拘束されている。ちょうどバットマンも着いたみたいだ」 咳払いをひとつして語るエッグマンを、3人は静かに見守っている。 エッグマンが窓の方に目をやる。 そこから見えるのはゴッサムシティの中で2番目に高い高層ビル、"トランプタワー"だった。 「この"パーティ"のルールによると、先に救出された方は、相手のビルを爆破できるようじゃな」 「......よせ、エッグマン。 お前にそんな事はできない」 エッグマンが取り出したものは携帯電話サイズの小さな機械、トランプタワーの起爆スイッチだ。 察したようにソニックはおもむろに首を横に振り、それを静止するよう静かに言い聞かせる。 「"出来ない"......?フン、一体どんな根拠じゃ?」 鼻で笑って返すエッグマン。だがその表情は、激しい憎悪を抱いているかのように厳粛そのものだった。 「全資金の半分を払ったヤツを奪われ、プライドを傷つけられ、しまいには命をも賭けられた...... これが、どれほどの屈辱か分かるか?ワシの憎しみがわかるか!?」 徐々に声を張り上げ、言い放つエッグマン。 3人の頭の中には、彼が起爆スイッチを押さないという選択肢は思い当たらなかった。 「そうはさせないぞ......!」 「動くな!!」 シルバーが手を光らせ、起爆スイッチをエッグマンの手から弾き飛ばそうとした。 しかし、エッグマンがもう片手に携えた拳銃によって、それは阻止された。 「ウッ......!」 拳銃を突きつけられ、シルバーはその手をピタリととめる。 その様子を察知したソニックも、テイルスを手で覆うように守り、数歩前へ後ずさる。 「あの二人を殺したいのか......? お前がそんな事がやりたいのか? ......エッグマン、お前はイヤなヤツさ。傲慢で、自分勝手で、世界征服だのなんだの抜かして面倒を掛ける」 一歩、また一歩と足を動かすソニック。 「けど、いつだって人は殺さなかった! 憎しみを殺しに代えることはなかった、だから俺達はここに来たんだ......!」 ソニックの目の前には、かねてから闘争を繰り返し、いついかなる時でも殺意を抱く事がなかった好敵手がいた。 「―――黙れ黙れい!!ワシの計画を邪魔した憎きジョーカーと、バットマンを、今にこの親指を下ろすだけで......!」 半ばヤケになったように、片手の起爆スイッチを見つめながらエッグマンは声を大にして言う。 ソニックの戒めにも応じる様子はなく、銃を突きつけては何者も寄せ付けない。 「もう誰にも邪魔はさせんぞ!ソニックよ、もう一度だけ聞こう......。このワシを、忘れたワケじゃなかろうな」 ソニックは歯を食いしばり、より険しく顔をしかめたが、口からは唸るような声しか出ない。 口から漏れる息は荒く、起爆スイッチを持つエッグマンをただ睨みつける。 「そうじゃ......!ワシは!悪の天才科学者!!ドクター・エッグマンさまじゃあ!!」 彼の返答を聞く由もなく、憎しみを解き放つように、エッグマンは怒号を上げた。 「やめろ!!エッグマン!!」 もはやソニックには、声をあげて静止することしかできない。 ―――エッグマンが、起爆スイッチを持つ親指を構えた。 . . . トランプタワー最上階。 いまだ鎖に拘束されているジョーカー。 受話器からエッグマンの声を聞き、状況を把握する。 「どうやらコッチが先のようだな。お前と一緒にあの世へ行くなんて幸せだぜ」 「爆発は、起きやしない!」 自らの命の危機にも関わらず、その顔はまるで望んでいたように笑っていた。 それとは裏腹に、どこか確信するようにバットマンが怒鳴り、拒絶した。 「じゃあ、証明してみせよう。3......2......1......」 ジョーカーが、不気味にカウントダウンをはじめた。 「―――GO.」 時計の針は12の時を刻んだ。 | ||
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ノエル
-- 2014/04/01-18:46..No.[95874] | ||
救出 ―――ゴッサム都心 「ここがイースタータワーだな......」 とあるビルの前に立つソニック、シルバー、そしてテイルス。 教会のそばにあるそのビルは、高層というほど大きくもなく、雑居ビルというほど小さいものでもなかった。 だが、どこにでもありそうなごく普通の建物......シルバーの超能力がなければ、特定するのは極めて困難だったかもしれない。 爆破予定は刻一刻と迫っている。3人は急いでビルに入り、階段で最上階まで上がる。 最上階にある一室の扉を開けると、部屋には床に一本の固定電話が、受話器を外された状態であった。 そして、部屋の周りには数え切れないほどの大量の爆薬が。 そして、ソニック達が探し求めていた人物も、部屋の柱に鎖で拘束されていた。 「エッグマン!!」 声をかけると、鎖で拘束されているその人物が顔をあげる。 「ソニック!それにテイルス、シルバー......!」 しわがれ声を張り上げてエッグマンが叫ぶ。 傷や血が滲み、鎖に繋がれているエッグマンを見た3人は、どこか憐れんだ目で見つめていた。 「いま助けるよ!」 テイルスが声をかけ、3人がエッグマンに近寄ろうとする。 「待て!来るでない!!」 大声をあげたエッグマンに、3人の足はピタリと止まった。 「―――このバカモノどもが!!何故ワシなんぞを助けに来た!!」 さらに声を張り上げ、怒鳴るように鋭く問いかける。 テイルスとシルバーは目を見開いて驚いたが、ソニックだけは一切動じず、静かに彼を見つめていた。 「ワシの事などほうっておけ!ワシは......ワシは、貴様らの命を奪おうとしたのだぞ、幾度となく! だというのに、ソニックよ......何故だ、何故ワシなんぞを助ける!?」 先ほどまでの怒るような口調は薄れ、喋るうちにその声は徐々に慨嘆の声へと変わっていった。 そんなエッグマンを見てソニックはフゥと小さく溜息をつき、ゆっくりと彼に歩み寄る。 「野暮ったいこと言ってるヒマあったら、さっさとここを抜け出すぞ。それに......」 徐々に距離を縮め、うつむくエッグマンの前に立つソニック。 「―――遊び相手が居なくなって、これ以上退屈になるのはゴメンだからな」 どこか優しげな笑顔を見せるソニックは、鎖を壊し、エッグマンを解放した。 . . . ―――そして同時期、同じく都心にあるトランプタワー 高層ビルがそびえ立つゴッサムシティの中でも2番目に目立つこのビル。 高さにしておよそ200メートル、ニューヨーク市のエンパイアステートビルを彷彿とさせる造形だ。 バットマンが中へ侵入し、グラップネルガンを用いて上へ上へと目指す。 たどり着いた最上階の廊下の壁には"HA HA HA"と赤い落書きが、いくつもされてあった。 ゴミのように床に散らばるのはトランプのジョーカー...... こんな事をする人物は、バットマンの脳裏にはただ一人しか思い浮かばなかった。 廊下に飛散しているトランプは、まるで特定の場所へ誘導するように不気味に散らばっていた。 その誘導どおり足を運ぶと、ある部屋の前にたどり着いた。 部屋の扉を開けると、別のビルにいるエッグマンと同じような状況だった。 置かれた固定電話、周囲には大量の爆薬、そして、鎖に繋がれている人物は思惑通り、ジョーカーだった。 「......フフフ!フッフフフフ!久しぶりだなバットマン、必ず来てくれると思ってたぜ!」 鎖で拘束されているジョーカーの周りには、廊下と同じような落書きの他に、壁にはピエロの仮面が貼り付けられている。 そして床一面を覆わんばかりのジョーカーのトランプ......この異常をきたした行為は、常人ならば不気味さのあまり卒倒するに違いない。 「向こうの連中も今しがた解放したみたいだ、コッチもさっさと鎖を解いてくれよ。 肩がこってしょうがねえんだ」 鎖に拘束されながら肩をムズムズと動かすジョーカー。 「パーティは終わりだ、ジョーカー」 乱暴に足音を立ててジョーカーに近寄るバットマン。 「ああ、終わりだな!あと......3分もすれば、どっちかが爆発する」 「爆発はさせん!」 ジョーカーが首を傾けて腕時計を確認する。時刻は23時58分を回った。 「さあ、向こうは、どうだろうな......」 笑いながらチラリと窓の方へ目をやる。 そこに映えるのは星空のようなゴッサムの夜景。 イースタータワーは、その星に紛れて瀬戸際を迎えんとしている......。 ―――爆破予定まで、あと3分 | ||
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base
-- 2014/03/30-20:57..No.[95867] | ||
大丈夫ですよ。 ノエルさんが考える理想のストーリーになればいいです。 私は結構、戦闘シーンをだすつもりです。 良かったら、私のも見てください。 感想を書くのが難しいかもしれませんが… | ||
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ノエル
-- 2014/03/30-20:44..No.[95864] | ||
Defeated 『ハンプティ、なぞなぞを出してやろう。 ......オレは金が大好きだ。それはリボルバーが大量に買えるからでもなく、 バットマンと対等できる暗殺者を雇えるからでもない......なんでだと思う?』 不意に受話器越しに聞こえてきたジョーカーの声。 「......知ったことか......」 ジョーカーが茶化すように問いかけるなぞなぞにも、もはや素直に応じる余裕すらないエッグマン。 それとも、ただ自身の運命を悟ったのか、俯いたままつぶやいた。 『答えは、"よく燃える"からだよ。 ちょっと火をつければ明かりはつくし、オマケに冬場は暖が取れる。 まったく、これほど便利な物がこの世にあるか?フッフフフ!』 想像もつかない解答にエッグマンは、ゾクゾクと背筋を凍らせ、顔を真っ青にする。 「クッ......この、バケモノめ......!」 エッグマンは震えるようにギリギリと歯を噛み締め、受話器にむかって吐き捨てた。 『人のこと言えんのか?オマエほど面白く肥えてるヤツだって、 青くて二本足で歩くハリネズミだって、オレからすれば充分バケモノってもんだ。ハッッハハハハ!!』 悪魔のようなその高笑いは受話器越しであっても、エッグマンの脳裏にはこびりつくように、ドス黒い笑顔となって浮かび上がった.....。 . . . 「見つけたぞ!!」 ゴッサム都心。 シルバーの脳内が、2つの声の反応をキャッチした。 カッと目を見開いたシルバーに、それを見ていたソニックとテイルスも希望が見えたように嬉々とした。 すかさず通信機を取り出し、未だジョーカーの居場所を捜索しているバットマンに連絡を取る。 「バットマン! エッグマンは都心にある教会の近くのビルにいる! ジョーカーは......同じく都心の、二番目に高いビルだ!」 ゴッサムシティを毎晩のように巡警しているバットマンにとっては庭のようなもの。 シルバーの情報を聴いただけで、すぐに地理を理解した。 『教会近く......"イースタータワー"か! そしてジョーカーは"トランプタワー"だな......アルフレッド』 『承知致しました。只今、ブルース様とソニック様がお手持ちの地図に座標をお送りしました』 シルバーの情報を中継し、さらにアルフレッドに伝達するバットマン。 するとアルフレッドは待ってましたと言わんばかりにすぐさま応答した。 ソニックが手持ちの立体電子地図を確認すると、確かに地図には2つの赤いマークが示された。 バットマンも地図にマークが入ったことを確認すると、シルバーの無線に連絡を取った。 『よし、シルバー達はイースタータワーに向かってくれ、俺はトランプタワーへ』 「了解だ!」 的確にかつ迅速に支持をあおぐバットマンに、シルバーも無線越しに応答した。 「All Right!ふたりとも俺につかまれ、音速でいくぜ!」 かるく屈伸運動をするソニック。 テイルスとシルバーがソニックの腕につかまる。すると、目にも留まらぬ音速でその場を後にした。 . . . 一方、ゴッサム郊外――― コンクリートには右目の無いマスクが無残に転がり落ちていた。 そしてマスクを失ったその主は、刀を地面に突き刺し、若干息を切らしながらゆっくりと起き上がる。 首から上は銀色にも見える真っ白な頭髪、所々にシワの入った顔、そして右目を覆う漆黒の眼帯と、 その顔は見るからにしていかにも初老。 マスクの下の意外な素顔に、シャドウはいささか面を食らった様子だった。 「クッ!ハァ......!この、小童が!!」 シャドウに蹴り飛ばされたことによってマスクが外され、素顔があらわになる......。 その一連がよほど癪に障ったのか、デスストロークの頭には血管が浮かびあがり、激昂した。 それはまさに片目を失った鬼のような形相で、日本刀を構えながらシャドウに襲いかかる。 「どうかな、案外同年代かもしれないぞ」 逆撫でしながらデスストロークの斬撃を刀で防ぐシャドウ。 「ハンデだ、返してやる。―――ハッ!!」 シャドウが刀を回し逆手に持つと、槍投げの要領でデスストロークに向かってぶん投げた。 デスストロークがそれを避けると、壁には綺麗に日本刀が突き刺さった。 目線をシャドウに戻すと、何やらカオスエメラルドが淡く光を放っている......。 "何かを仕掛けてくる"ことは分かっていたデスストロークだが、対処法は無に等しく、ただ見つめることしかできなかった。 「"カオス・スピア"!」 「ぐうぅ!......ッこの!」 カオスエメラルドから光の矢が無数に飛散する。 不意な攻撃を直撃したデスストロークは腕で顔を覆ってガードしたが、実態のない攻撃を防ぐことは容易ではなかった。 カオススピアに吹き飛ばされたデスストロークは受け身をとって体勢を立て直した。 再びシャドウがエメラルドを構えると、体全体が光に包まれた。 「"カオス・コントロール"!!」 再びカオスコントロールで姿を消す。 対してデスストロークは瞑想するように目を閉じ、ピクリとも動かない。 しばらくの間、静寂が時を刻む......。 そして左目を見開き、背後の気配に気がついた。 「ッ!!―――そこか!!」 「ガハッ!」 カオスコントロールのワープ先を完全に見切り、背後で光った緑の閃光に向かって、手を掲げる。 先を読まれたシャドウは避けきれず、デスストロークに首根っこをむんずと掴まれた。 そのまま地面にシャドウの頭を叩きつけ、その上にまたがる形となった。 「なかなか楽しめたぞ......さらばだ!」 刀を両手で逆手に持ち、狙いをシャドウの喉元に合わせる。 しかしシャドウは、その不利な体勢とは裏腹に、まるで獲物を捕らえた虎のごとく眼を光らせる。 「ボクもだ......"カオス"......!」 顔を覆うようにエメラルドを構える。 するとカオスエメラルドが眩しいくらいに輝きだし、激しくエネルギーが充てんされてゆく...... 「―――マズイッ!!」 只ならぬ気配を感じ、急ぐようにシャドウの喉元に刀を振り下ろす。 しかし、時はすでに遅かった―――。 「"ブラスト"!!」 ―――シャドウの真骨頂にして最大の大技"カオスブラスト"が炸裂した。 幾つものダイナマイトが爆発を起こしたような轟音、シャドウを中心に周囲を円形の衝撃波が襲いかかる。 想像を絶する破壊力にデスストロークはもちろん、周りにあった障害物や建物の一部まで、激しく吹き飛ばされた。 ......すさまじい爆発の末、近くにあった建物は半壊状態になっているものもあった。 シャドウはほとんどのエネルギーを使い果たしたように、手と膝をついてゼエゼエと息と切らし、汗を滴らせる。 そして、激しく吹き飛ばされたデスストロークはというと、あの頑丈なプロテクターが半壊しヒビだらけになっている。 壊れたプロテクターの奥にある黒いインナーでさえも破れかけ、がっちりと筋肉のついた傷だらけの素肌があらわになっていた。 握っていた日本刀の刃は折れ、もはや武器としての役割を果たさなくなった。 鉄棍を取り出して杖代わりにするが、その鉄棍でさえカオスブラストの衝撃に耐えかね、斜めにひん曲がっていた。 「ハァ.....ハァ......!キサマは、一体何者だ......!?」 満身創痍になりながらかきだすように喉から声を出すデスストローク。 両膝をついて、歪んだ鉄棍を杖代わりに支えていたが、その体はいうことをきかずシャドウの返答を聞く前にドサリと地面に倒れ込んだ。 「......僕は、"シャドウ・ザ・ヘッジホッグ"―――究極生命体だ」 その言葉を聞きとれたのか定かではないが、デスストロークはうつ伏せになったまま動かない。 どうやら完全に意識を失ったようだ。 未だ息を激しく切らせるシャドウは、どこからか長い鎖を持ってきた。 そして、微動だにしないデスストロークの身柄を固く拘束した。 爆発予定まで、あと5分―― ----------------- ごちゃごちゃしてしまった.....; いちおう佳境に入ってますが、もし読み続けてくださってる方がいたら、見捨てないでやってください。 baseさん コメントありがとうございます。 ご期待を裏切ってしまったら申し訳ありませんが、戦闘シーンは今回で終了のつもりです。 | ||
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base
-- 2014/03/29-23:25..No.[95858] | ||
やはりシャドウは強いですね。 こういうのは鬼に金棒ですかね。 いや、二本の金棒でしたね。 すばらしいバトルシーンでした。 今度は誰と誰がぶつかるのか楽しみです。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/29-02:00..No.[95856] | ||
ADDITIONAL MISSION --デスストロークを倒せ-- 『〜♪Humpty Dumpty sat on a wall, (ハンプティ・ダンプティが塀に座った) Humpty Dumpty had a great fall. (ハンプティ・ダンプティが落っこちた) All the king's horses and all the king's men (王様の馬と家来の全部がかかっても) Couldn't put Humpty together again. (ハンプティを元に戻せなかった) ......オマエは爆発しても元に戻せるのか? フフフッ!フッフフフフ......!!』 エッグマンが拘束されている部屋。 そこにある、受話器の外れた固定電話から聞こえてきたのは、不気味にマザーグースを歌うジョーカーの声だった。 「クッ......言うてくれるわい」 憤りのような悔いような、とにかく言い表しようのない感情をまるで、負け犬の遠吠えのように受話器に吐き捨てるエッグマン。 その声が聞こえたのか定かではないが、ジョーカーの反応はなかった。 . . . 一方、ゴッサムの都心にほど近い郊外......。 剣が空を斬る音、また剣同士がぶつかる金属音。 そして銀色に輝く満月の夜の下、月光に照らされる二人の人影が。 「ハァッッ!!」 刀と刀で激しい攻防を繰り広げるのはシャドウとデスストロークだった。 持ち主でもあるデスストロークの長けた剣術は、当然の事ながらシャドウを圧倒する勢いだ。 しかし、刀身とほぼ同じ身長であるシャドウのその姿は、とても剣術を"たしなむ程度"などとは言えないほど洗練されていた。 「グッ!」 「ぬぅ......!!」 刀と刀がぶつかり、激しい金属音が響く。 両者が歯を食いしばりながら詰め寄るように刀身をぶつけあう、いわゆる"つばぜり合い"の戦い繰り広げた。 お互いが一歩も譲らず、刀一本で一騎打ちをするその姿...... それは、かつて東国に存在していた武士"サムライ"の決闘そのものだった。 この場にもし東洋人が居たとすれば、"現代に侍がいた"と賞賛せざるを得ないことだろう。 つばぜり合いがしばらく続くと、デスストロークが渾身の腕力を込めて刀ごとシャドウを弾きとばした。 大きく仰け反り、隙を与えてしまったシャドウ、この隙を逃さんばかりに斬りかかったデスストロークだが、間一髪で回避した。 追い打ちをかけるように、今度は突き技をシャドウに向かって繰り出す。 「どうした!?倒せるというのはハッタリか!」 声を荒らげて煽りながら突き技を繰り出すデスストローク。4回、5回と立て続けにシャドウの身体を貫かんばかりにその勢いを増す。 冷や汗か、それともただの流汗か定かではないが、回避するシャドウのその額からは、汗水が流れていた。 「ハッ!!」 カウンターを狙ったかのように、地面からデスストロークの顎をめがけて刀を振り上げる。 完全に回避しきれなかったデスストロークのマスクは、向かって右側に大きな斬り傷が刻まれた。 すると息を切らすシャドウが呼吸を整え、口を開いた。額からはいまだ汗水が頬をつたっている。 片手に刀を持ちながらデスストロークに疑問を問いかけた。 「ハァ......ひとつだけ聞こう。貴様とジョーカーは何の関係がある?」 「"なんの関係"だと?......ハッ、奴の方が金払いがよかっただけの事だ」 鼻で嘲笑するように、冷淡に吐き捨てるデスストローク。 しかしどうやら今の返答で、シャドウの頭の中のパズルが構築されたようだ。 「......ということは、ドクターとジョーカーを拘束したのは貴様だな」 「だったらどうした?俺は依頼主の指示に従ったまでだ。恨むなら、あの頭のネジの外れたピエロを恨め」 あくまで否定はしないデスストローク。 納得のいったようにシャドウはフンと鼻息を吐いた。 「その必要はない......爆発は、起きはしない」 何の確信を持っているのか、シャドウのその言葉に一切の迷いは無かった。 宣告するように刀を構えるシャドウ。月光に照らされ、その刀が一瞬キラリと眩しく輝く。 「自信過剰は結構だが、俺を倒してから言うんだな。―――ムンッ!!!」 刀をくるくると回すと、痺れ切らすようにシャドウに斬りかかった。 お互いの刃が激しくぶつかり合い、生じたわずかな橙色の火花が、2人の顔を一瞬だけ照らした。 「グッ......でやあぁ!!」 押され気味のシャドウが歯を食いしばり、猛獣のごとき唸り声をあげる。 すると、刀で刀の軌道を大きく変えた。両者の刀が折れんばかりの力技をみせたシャドウであった。 すると大きな隙を見せたデスストロークの懐に向かって、渾身のスピンアタックを決めた。 まともに喰らったデスストロークはゴロゴロと地面に転がり、うつぶせになって倒れこんだ。 「―――懺悔の時間だ、後悔しろ」 先ほどまでの悪戦苦闘の色を見せていたシャドウとは打って変わり、その振る舞いは一気に豹変した。 その顔は、どこか自身と勝機に満ち溢れていた。 「......フン、何をもって後悔だと?」 起き上がりながら睨みつけるデスストローク。大きく肩を上下に揺らすその姿は、どうやらかなりのダメージを負った様子だった。 「僕の手に、"カオスエメラルド"が戻ったことだ」 シャドウの手には、翡翠色に輝く石があった。先ほどのスピンアタックでデスストロークのふとこに潜り込んだ際に、巧みにカオスエメラルドを奪い返していた。 その光は月に照らされ、より一層輝かしく見えた。 おもむろにカオスエメラルドをデスストロークへと向ける、すると...... 「―――"カオス・コントロール"!!」 声高らかに叫び、その直後にシャドウの身をまばゆい翡翠の光が包み込んだ。不意に放たれたまばゆい閃光に、デスストロークはおもわず手で顔を伏せる。 閃光のような光が消え、伏せていた手を戻すと、奇妙なことに、そこにあるべき姿が無かった。 (消えたっ......!?) 完全に姿を消したシャドウに、デスストロークも動揺を隠せなかった。 右へ左へと、素早く顔を動かすが、見当たらない。それどころか、気配すらしない。 静寂に包まれるゴッサムの郊外......そよぐ風すらも、今のデスストロークには不気味にさえ感じていた。 「―――後ろだっ!」 デスストロークの後頭部で声がした。同時に先ほどシャドウが消えた時と全く同じように閃光が走った。 「ぐおぁッ!!」 気づいた時にはすでに遅し、後頭部に強烈な蹴りを喰らったデスストロークは大きくうめき声をあげ、地面に激しく倒れこんだ。 そして彼のマスクは、落ちた生首のようにゴロゴロと転がった。 ―――爆破予定まで、あと12分 ---------------- baseさん コメントありがとうございます。 ゲーム"シャドウ・ザ・ヘッジホッグ"では確か、刀も武器アイテムに入ってた記憶があるので、 そちらの設定を参考にしました。 | ||
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base
-- 2014/03/27-22:33..No.[95851] | ||
シャドウとデスストローク… 因縁の対決が始まりそうですね。 シャドウが銃ではなく、剣で戦うのも、驚きです。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/25-23:08..No.[95825] | ||
MISSION --Dr.エッグマンとジョーカーを救出せよ-- ―――ゴッサムシティ ビルの爆破を止めるべく、夜の街へと繰り出した5人。 バットマンは、拘束されているジョーカーを探すため、バットウィングにて別行動をとっている。 ソニック一行は、エッグマンが拘束されているビルを捜索すべく街へと飛び出した。 しかし、ビルなどという建物は大都会であるゴッサム・シティにはあまりにも多い。 その中の一つを探し当てるという所業は、それこそ森の中にある一つの木を探し当てるに等しい。 ラチのあかない捜索に、シルバーが提案をした。 「少し時間をくれ、オレのテレパシーで探してみる!」 シルバーのアイデアに、テイルスは頭の上に電球が光ったかのように合点がいった。 「そっか!エッグマンやジョーカーが声を出してくれれば......」 「ああ、居場所がつかめるはずだ」 超能力を応用し、街中にテレパスを張り巡らせ、二人の声を頼りに居場所を特定するという大胆な作戦にでた。 「―――それにしても、爆弾が仕掛けられているビルに自分が拘束されて、 しかも時間内にどっちかを救出しろ、だなんて...... ジョーカーは何を考えているんだ? あいつは一体何がしたいんだ!?」 シルバーが思念を集中させる中、今まで黙っていたソニックが誰に訴えるでもなく、自問するかのように胸中を口にした。 そして、不意に入った無線の声の主はアルフレッドだった。 『奴の計画に意味などありません。考えるのではなく、行動する...... 自分が面白いと思っていることを実行するだけです。 ジョーカーの目的は、金でも名誉でもなく、ただ"楽しむ"こと。 それが、私達が理解できるジョーカーのたったひとつ方針です』 彼もまた、バットマンとジョーカーの幾多の戦いを陰ながら見守ってきた人物。 さらには年の功ということもあってか、ジョーカーの心理を解析するように淡々と答えた。 「イカれたヤツだぜ、まったく......」 ソニックの脳裏には、ジョーカーの狂気に満ちた笑顔と笑い声がめぐっていた。 ......すると、一番後ろを走っていたシャドウがその足をピタリと止めた。 「―――オマエたちは先にドクターの救出に行け」 「......シャドウ、どうした?」 振り向くと、そこには立ち止まってつぶやくシャドウが。 日頃から仏頂面の彼だが、その顔つきはどこか普段と違っていた。 右へ左へと目線を動かしながらもう一言添えた。 「どうやら、決着をつけたがってる奴が居るようだ」 その言葉に、ソニック達も察した様子でゴクリと唾を飲んだ。 おそらく、この場にもう"暗殺者"が居るのだろう。 「わかった......気をつけてくれよ」 ソニックがそう釘を刺すと、シルバーとテイルスを率いて引き続きエッグマンの捜索にむかった。 その場に居るのは、シャドウと、"もうひとり"だけになった。 「出てこい、デスストローク」 誰もいなくなったゴッサムの郊外、シャドウの低い声だけがこだまする。 「......超能力使いはどうした?無駄なプライドは身を滅ぼすぞ」 しばらくの静寂の後、その声に反応するように影の中からゆっくりと一人の人物が現れた。 デスストロークは相変わらず右目の無いマスクで顔を覆い、シャドウを煽る。 するとデスストロークはどこからか、何かを取り出した。 「お探しの物はコレか?」 「......!」 それを見たシャドウは少し面を食らった表情を見せた。 デスストロークの手にある翡翠色に輝く石こそ、エッグマンに奪われたカオス・エメラルドそのものだった。 そのエメラルドをしかと目で確認すると、すぐに威嚇するようにデスストロークを睨みつけた。 「そのエメラルドを返してもらおうか」 「"奪い取ってやる"くらいは言ってみたらどうだ」 元々はシャドウの手中にあったカオスエメラルド......。 それが自分の命を狙っていた暗殺者の手にあるというのだから、苛立ちを隠せないようだ。 対して、逆撫でするようにさらに煽りたてるデスストローク。 「喋ってる暇はない、さっさと返してもらうぞ―――ハアァッッ!!」 彼の手中にエメラルドがあるのが相当気に食わないのか、猪突猛進してデスストロークに向かって蹴りを入れた。 当然の事ながら、その蹴りは手練れの暗殺者には全くといっていいほど効いていない。 「ふんっ!ウェアァッ!!」 シャドウにしては珍しく、一心不乱に拳や蹴りを食らわせるが、すべて堅牢な腕にガードされている。 我を忘れ、力技で押し込むのかと思った矢先に、デスストロークの背後にぐるりと回り込んだ。 そして、背中の鞘に収められている刀の柄を握る。 「グッ!!」 柄を握ったまま、デスストロークの背中を大きく蹴りあげた。 蹴り飛ばされたデスストロークは受け身の要領で体勢を立て直すが、背中に違和感を感じた。 二本のうち一本の刀が無くなっていた。 前をみると、日本刀を携えるシャドウの姿があった。 デスストロークの背中には、刀が収められている鞘と、何も収められていない鞘が。 「ほう......剣の心得があるのか」 残りの一本の刀を鞘から静かに取り出す。 鞘と刃がお互いに擦れあい、淡く不気味な金属音がこだまする。 「たしなむ程度だがな、キサマを斬るくらいワケはない」 そういうとシャドウは刀の先をデスストロークに向ける。 その本人はというと、煽られてもなお平静を欠かすことはなかった。 「言ってくれる......―――ムンッッ!」 両手で刀を握り、刹那の静寂をかき消してシャドウに斬りかかるが、それもまた刀によってガードされた。 刀と刀がぶつかり合い、凄烈かつ艶やかな金属音が、誰もおらぬ周囲に鳴り響く。 「これが最後だ―――今夜、キサマをここで殺してやる!シャドウ・ザ・ヘッジホッグ!」 雌雄を決する一騎打ちは、互いの刀が交える音で幕を開けた。 ―――爆破予定まで、あと21分 ------------------- ソアンさん こんな読みづらい小説を読んでくださってありがとうございます! ちゃんと伝わってるかどうか不安でしたが、おっしゃるとおりです。 もう少しだけ続きそうなので、読んでいただければ幸いです。 baseさん コメントありがとうございます。 大げさだなんてとんでもないです! baseさんの小説も楽しみにしていますよ。 | ||
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base
-- 2014/03/24-22:40..No.[95822] | ||
まさかのヒーローが悪を助けるとは… この予想できなかったストーリー。 大げさだと思われるかもしれませんが脱帽です! | ||
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ソアン
-- 2014/03/24-21:02..No.[95821] | ||
バットマンはジョーカーを、ソニックはエッグマンを助けに行く。 たとえ、爆発のリスクがあったとしても… これぞ腐れ縁ってやつですかね(・・?) なんか、かっこいい‼︎‼︎‼︎‼︎ | ||
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ノエル
-- 2014/03/24-14:01..No.[95819] | ||
ハンプティ・ダンプティ 「ソニック!」 バットケイブに戻ってきたソニック。 声をかけたシルバーの他に、そこにはアルフレッド、テイルス、そしてシャドウもいた。 全員がソニックの方を向く。 「ソニック......なにか、あったのか?」 真剣な表情のソニックに、シルバーは不安げな顔で急ぐように駆け寄った。 ソニックが来る前は若干ざわついていたバットケイブも、静まり返った。 「......ジョーカーに会った」 静かに口を開いた言葉に、その場にいた全員が目を丸くした。 「ホントかよ......!」 「ああ、あと少しでパーティの準備ができるとか言ってた」 驚きを真っ先に声に出したのはシルバー。 ソニックの言葉の意味に皆、神妙な顔つきを隠せずにいた。 しばらくすると、今度はバットケイブの滝が大きな音と水しぶきをあげた。 入ってきたのはバットウィング。 着陸するとコックピットが開き、操縦士であるバットマンが中から現れた。 先程のエッグマンとの戦闘後、ひとり別行動をしていたバットマンが帰還した。 「ブルース様、おかえりなさいませ」 「バットマン!」 アルフレッドが近づいて主人を出迎える。 これで全員がバットケイブに居合わせることになった。 ゴツゴツと皆の元へ向かうバットマン、なにやら手紙のような物を持っているようだ。 「バットシグナルのサーチライトの下に、こんな物があった」 バットマンの手には一通のはがきサイズの封筒が。 その口には、真っ赤なシーリングワックスでしっかりと封がされてあり、おもてには、こう殴り書かれてあった。 〜Dear BATMAN and fun buddies. (バットマンと愉快な仲間たちへ)〜 それを見た全員は少なくともいい予感はしなかった。 バットマンがシーリングワックスを外し、開ける。するとそこには、数字の羅列が書いてあるだけだった。 「番号?」 「おそらく周波数だろう......合わせてみよう」 デスクへ行き、バットマンがパソコンに数字の羅列を打ち込む。 この勘の良さには、アルフレッド以外の見ている全員が脱帽せざるを得なかった。 それほど時間を要することもなく、数字通りの周波数のチューニングを終えるバットマン。 するとスピーカーから雑音が入った。 『―――俺のラブレターに気づいてくれて感謝するぜ、バットマン』 スピーカーから聞こえてきた声に、ソニックとバットマンの顔は一瞬にして強張った。 気さくに話しかけるが、どこか悪意がこもっているその声にはシルバーやシャドウなども只者ではないと察知した。 「ジョーカー!」 聞き覚えのある声にソニックとテイルスは驚くように声を合わせた。 ソニックに関しては、驚くというより、憎しみや憤りを交えた声で応対していた。 それに対しジョーカーは不敵に笑って返した。 『ッハハハ、やっぱりハリネズミも一緒か...... お友達の"ハンプティ・ダンプティ"はだいぶ肥えていたな。人間ドックに行くことを勧めてやったよ』 「......何?」 ジョーカーの口から途端に出てきた覚えのない名前にソニックは眉根を寄せる。 するとスピーカーから、ジョーカーとは別の者の声が聞こえてきた。 『―――ソニック、そこにおるのか......』 先ほどソニックとバットマンが戦闘を交えた本人そのものの声だった。 その声はソニック達ならば幾度となく聞いてきた、馴染みのある声でもある。 「エッグマン!?」 目を丸くして驚くソニック。 姿形こそ見えないものの、声の主は紛れもないドクター・エッグマンその者だった。 しわがれ声を更にかすれされたその声は、肉体的にも、精神的にもダメージを負っていることが、聞いただけで分かった。 『聞け......オレとハンプティ・ダンプティは今、別々のビルに拘束されている。 両方のビルには大量の爆薬を仕掛けた。 それぞれの部屋にはお互いのビルを吹き飛ばす起爆装置がある。 先に救出された方は、起爆装置を作動させることができる。 もちろん喰らえば一発であの世行きだ』 それを聞いた全員が息をのんだ。 ソニックやシルバーは、"なんだと......!"などとつぶやき、苦渋の色を浮かべていた。 『制限時間は12時までだ。さあて、先に助かるのはバットマンのオモチャか、 それともハリネズミの遊び相手のハンプティ・ダンプティかねえ......いちおう遺言でも言っておくか?ハンプティ』 『ソニックよ......ワシのところへは来るな。 キサマなんぞに助けられるくらいなら、ワシはここで死んだ方がマシだ!』 「エッグマン......」 肉体も精神も負傷し、生死の瀬戸際に立っているにも関わらず、 確固としてプライドを譲らないエッグマンの声にソニックは言葉も出ず、彼の名前だけが口からこぼれでた。 『ンフフフ!縁起でもないこと言うなよ。 言っとくがこのまま両方とも見殺しにしたっていいんだぜ? その時こそ、お前たちの隠れた本性が明らかになる...... それじゃあな―――フフッフフ......!フッハハハ!! ハハハハハ!!!』 絶えぬ笑い声に、バットマンが乱暴に無線の雑音を切る。 同時にジョーカーの笑い声も消えた。 一同がパソコンから離れると、テイルスが時計を確認した。 「どうするの!?12時ってことは......あと30分だよ!」 刻一刻と時をきざむ秒針に、思わず焦りを声に出した。 「どちらも救出しないところで解決する事ではありませんな。 相手はあのジョーカー、きっと何らかの策略でドクター・エッグマンを殺害するに違いありません」 いかなる状況であっても冷静に分析する執事アルフレッド。 幾多の経験を積んだ彼の年の功には、バットマンでさえも頭があがらないことも。 アルフレッドの意見に賛同するように、バットマンが決断を下した。 「俺はジョーカーの救出に行く、お前たちはドクター・エッグマンを」 「まってくれ、バットマン」 呼び止められたバットマンがピタリと動きをとめた。 「オレはこの街に来てそれほど経っていない......けどオレにはわかる。 あのピエロが......ジョーカーがとんでもない狂人だってことがな」 バットマンがゆっくりとソニックの方を向く。 振り向いた先のソニックの顔からは、いつものような余裕しゃくしゃくの笑顔はすっかり消えていた。 「アルフレッドからお前の流儀は聞いたよ。 けど、アイツを助けたところでこの街は平和に近づくのか? また釈放されて、この街をもっと蝕む存在にしかならないんじゃないのか?」 「それでも......お前はジョーカーを助けるのか?」 目を据わらせ、恐ろしく厳粛した真剣な表情でバットマンに問いただす。 周りの仲間も、あまりにも張り詰めた状況を作った滅多にお目にかかれないソニックを見ていた。 「―――悪と闘うと決めた時から誓った......俺はどんな極悪人でも殺しはしない。 たとえそれがジョーカーでも、だ」 しばらくのあいだ黙りこくるソニック...... すると何かを思い定めるように顔を上げ、仲間たちの方へ向いた。 「―――わかった。オレたちはエッグマンの救出にいこう!」 「うん!」 ソニックの言葉に躊躇することなく、全員が大きく頷いた。 ―――爆破予定まで、あと28分 | ||
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ノエル
-- 2014/03/22-21:04..No.[95814] | ||
Betrayer! ゴッサム都心―――某所 高層ビルが多く立ち並ぶ都心部よりも若干離れた地区。高層ビルはその立ち並ぶ数を減らし、中層の建物が目立つような地区である。 数多くのビルに溶け込むようにある、どこにでもありそうな建物の一室には、二人の人影があった。 一人はうずくまって倒れており、もう一人はその人物の前で棒を持って立っている。 「ゴホッ!貴様、何のつもりじゃ......!?」 吐血しながら唸るように苦しげな声を上げている者はエッグマンだった。 床に手と膝をつき、床に血をまき散らしている。 その側を隻眼の男が取り囲むようにゆっくりと歩く......。 「全資金の半分をかけたのじゃぞ...... 裏切るというのかデスストロークよ!!」 うずくまりながらエッグマンが怒号をあげる。 しかしデスストロークにとっては騒ぐ子犬に等しい声色である。 「もっと金払いのいいヤツがいたもんでな」 そう言うと鉄棍でエッグマンの無防備な頭を殴打した。 床に頭が叩きつけられ、丸いサングラスにヒビが入った。 息を荒げ、倒れた体を震えた手で起こしながらデスストロークに聞いた。 「ハァ、ハァ......い、一体いつから......」 「お前に雇われる前からだ」 デスストロークの返答に、目を見開いて愕然とした。 そんなエッグマンの身体を乱暴につかみ、部屋の柱に叩きつける。 苦痛を短い声に出すエッグマン。 するとデスストロークが長い鎖を持ちだしてきた。 「案ずるな、殺しはしない」 柱とともにエッグマンの体に鎖を巻き付ける。 何重にも重ねて拘束した鎖に南京錠を引っ掛け、小さな鍵で錠をかけた。 すると今度はエッグマンの目の前に一つの固定電話を置いた。 受話器をはずし床に置くと、ボタンを押してどこかへとダイヤルした。 「"俺の雇い主"の命令でな......悪く思うな」 作業が完了したデスストロークは鎖に繋がれたエッグマンを尻目に見ながらその場を離れる。 「こ、これは何のつもりじゃ!?待たんかデスストローク!......おのれえ!!」 憎悪をこめたエッグマンの叫び声は、誰にも聞こえはしなかった。 鎖の中でガチャガチャともがきながらエッグマンがわめき散らす中、デスストロークは部屋を後にし、重い扉を閉めた。 ------------------- baseさん コメントありがとうございます。 ソニックは普段激怒することはないだろうなあ、と思ったので やらせてみました。 | ||
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base
-- 2014/03/18-22:49..No.[95784] | ||
あそこまで怒るソニックって見たことないですね。 胸ぐらをつかむなんてソニックもちょっと恐ろしいですね。 そしてダークライド。 この先どうなるのか、すごい気になります。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/18-18:20..No.[95779] | ||
Dark Ride 「嬉しいねえ オレの名前を呼んでくれるなんて......そんなに恋しかったのか?」 ヨレヨレのスーツを着て真っ白の化粧をし、赤い唇が裂けんばかりに口角をあげるその姿は ソニックが出会った時から変わらぬ不気味さだった。 影から現れたジョーカーは腕を動かさず、ロボットの様におもむろに歩み寄る。その歩き方は不気味さを一層引き立てていた。 数メートルほど距離をとって、ソニックの前でピタリと足をとめた。 「......こんな夜更けに、用は何だ?」 「フッフフフッ!!おいおい寝言はよせ、ゴッサムの夜はこんなにも賑やかだ。夜出歩かなくていつ歩く!?」 ソニックの問いかけを聞くやいなや、真っ赤な唇を上げて忍び笑う。 「見事な戦いぶりだったぞ。さしずめ"正義の味方"ってとこだな」 「ハッ、―――正義のためなんてやなこった 好きだからやってるだけさ」 鼻で少し笑い、軽くあしらうように言うソニック。その口は笑ってはいたが、目は真剣そのものだった。 「いや違う......お前は紛れも無い"正義の味方"さ。 正義の味方ってヤツらは、悪を駆逐し、善良な市民にたたえられ、 街角のティッシュペーパーのように感謝状がもらえる。さぞいいもんだろうなあ......」 挙動不審に身振り手振りをしながらジョーカーが語る。 「ところがどうだ、お前がいるばかりに善良な市民が不利な立場になったら......? たとえば、"ハリネズミがオレのところに来るまで毎日ひとりずつ殺す"と言ったら...... ―――そうだろうな、ちょっと困ればすぐポイだ」 目線をキョロキョロと不審に動かしながら不気味に語るジョーカーを、ソニックは黙って見続ける。 「だが、オレみたいにその......"本能で動くタイプ"ってのは、 世界一の天才か世界一のバカぐらいにしか読めないんだよ。恨まれる道理もなければ、筋合いもないってワケだ」 かるく咳払いをひとつして、ジョーカーはソニックを睨みつけながら笑う。 「お前はどうだ?ン? こうしてオレとイチャイチャしている間に、心やさしい誰かが銃で心臓を撃ち抜かれているんだよ」 「もうわかっただろ?おまえのエゴイズムおかげで、オレは命乞いするヤツの悲鳴が聞けるんだよ」 それまで黙っていたソニックだったが、鼻息をフンと荒く吐き、何かが吹っ切れたように早歩きでジョーカーに近づく。 すると、ジョーカーの身体を乱暴に蹴り飛ばした。 「一体なにを企んでやがる......!!」 地面に倒れ込むジョーカーに乗りかかり、足で抑えつける。 そのまま胸ぐらを掴み今にも殴りかかりそうな勢いのソニック。その額には血管が少し浮き出ていた。 ジョーカーは笑いながら答えた。 「ホホッ!ハッハハ!!聞いてなかったのかよ!?俺は頭よりも先に手足が動くんだ、イヌといっしょさ!―――ゴフッ!!」 「黙れ!!」 血管はさらに浮き出て、すさまじい剣幕で激怒しながらジョーカーを力いっぱい殴りつけた。痛々しい音が鳴り響く。 「そうくると思ったぜ!あのコウモリとまったくいっしょだなあ!!―――ガアァッ!!」 「Shut Up !!!」 目を血走らんばかりに見開いてソニックは更に激昂し、ジョーカーの頬をより強く殴りつけた。 口から血を流し、殴られてもなお笑いを止めることはない。むしろアドレナリンを刺激したのか、その笑顔はさらに狂気を増した。 「フッハッハハッ!! ウォッハッハッハッハハハ!! フフフ!!」 もはや常人には聞くに耐えない悪魔のような笑い声。 狂ったように笑うジョーカーの胸ぐらをつかみながらフーフーと息を荒げ、歯をむき出して激昂するソニック。 額に浮き出る血管の量は先ほどよりも増している。 「フハハ!ハァ......!あと少しでパーティの準備か完了する。言っただろ、招待してやるって」 「参加すると言った覚えはないぞ!」 地面に放るように胸ぐらから手を突き放すソニック。 立ち上がったジョーカーは、息を切らせながらニヤニヤと笑っていた。 「その心配はない、アトラクションを用意したんだ。"ダークライド"っていうジェットコースターさ。 終着点は、無い......."邪悪"に進むしか道はないんだよ」 こういった、いわゆるサイコパスと呼ばれる連中は、言葉のあやを含んで喋る事がざらにある。 然り、ジョーカーの言葉にも一瞬眉をひそめたソニックだったが、すぐに理解ができた。 「もう遅いぜ、お前はもう"ダークライド"に乗っている。 そして今もどんどん進んでいる......善に戻ることなんてできない、途中下車なんてできやしない!」 ギョロリと目を開き、奮い立てるように不気味に声のトーンをあげる。 その様子にソニックは先日ジョーカーに言われた事を思い出した。"お前の本性をさらけ出せる"と......。 ジョーカーの言葉には、ソニックはどこか引っかかるところがあった。 「そろそろ佳境の準備をしなきゃなんだ......失敬させてもらうぞ」 そう言うと、ジョーカーは踵を返してその場を去ろうとする。 「オイまてっ!! ―――ッ!?」 ソニックがジョーカーに近づこうとした時、ジョーカーが地面に何かを投げた。ピンの抜かれた手榴弾だ。 危険を察知したソニックは倒れこむように地面に伏せた。 数秒と経たないうちに手榴弾が耳をつんざく爆発を起こす。あたりは煙やホコリにつつまれた。 「......」 伏せていた体を起こすと、煙が晴れかかっていた。 無言で目の前を見つめるソニックだが、そこにジョーカーの姿はもうなかった......。 --------------- baseさん コメントありがとうございます。 ジョーカーはバットマンの登場人物でもかなりキャラが立っている存在なので、 自分なりに活躍させたいと考えております。 | ||
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base
-- 2014/03/16-22:56..No.[95748] | ||
ここで、ジョーカーですか。 最初に会ったときは、話をしただけですよね。 ここから、どうなるのか、わかりません。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/16-21:37..No.[95747] | ||
いたずらピエロにご用心 ―――ゴッサム都心。 コンクリートは所々が砕けていたり、傾いてたり、底が見えないほど真っ黒な穴もいくつか空いていた。 街灯はへし折れ、とっくにその役目を失っている。建物でさえ鉄筋がむき出しになる始末。 至ることこから白い煙が立ち込めていた。 その中央には先程の戦闘でエッグマンが乗り捨てた"エッグ・ドラグーン"が。 ソニックとバットマンの共闘によって見事に半壊し、だらしなく地面に横たわっている。 「アルフレッド、テイルス、こちらは完了した......逃してしまったがな」 通信機を手にし、ブツブツとつぶやくバットマン。 するとバットマンの声に反応するように、上品な声が通信機ごしに聞こえた。 『了解しました、デスストロークの方も今しがた完了したそうです』 「お、やったのかアイツら!」 一緒に聞いていたソニックが声を弾ませた。 それに反応するように、今度は通信機から子供の声で返答がきた。 『......残念だけど、向こうも逃しちゃったみたい。 シャドウは情報収集のためこっちに戻ってくるみたいだけど、今シルバーがそっちに確認に向かっているよ』 「OK!シルバーが来たらバットケイブに向かうぜ!」 プツンと通信を切った。バットマンの通信機から耳を離したソニックは腰に手をやって、あたりを見回した。 砕け散ったコンクリートに半壊した建物等......請求先は何処だろうと甲斐もないことを考えていた。 すると、バットマンの低い声が自分を呼んだ。 「......ソニック、俺はここを離れる。"アレ"が......」 「んっ?」 バットマンの指さした先は上空。そこに映るのはコウモリをかたどったサーチライト"バットシグナル"だった。 アレが点灯している時は、誰かが助けを求めてたり、要請だったりと、バットマンに対する何かしらのサインを示している。 ゴッサムシティの名物の一つでもあるようだ。 手を目の上にかざして物珍しそうに眺めるソニック。 「あれが"バットシグナル"か」 「ああ、あんな離れたところで......気になってな」 バットマンの言うとおり、確かにサーチライトはこの位置からだと少し小さく見える。 およそ2キロはあるだろうか。 「お前はシルバーと合流しだい、先にケイブに戻っててくれ」 「Yessir!」 口角を上げ、敬礼のポーズをするソニック。 そう言うとバットマンはグラップネルガンの引き金を引き、ワイヤーを建物の屋上へ絡ませ、ビルとビルの間を縫うようにグライドした。 その光景を端からみると、たしかにコウモリの怪人そのものだとソニックは思った。 . . . しばらくすると、上空に小さな緑色の物体が。 それは暗闇には眩しいくらいの蛍光色だったため、ソニックはすぐに気がついた。 次第にその光は近づいてき、数メートル地点まで来たらその人物がはっきりと見えた、シルバーだ。 「ソニック!」 「よおシルバー!」 ストンと地面に降りてソニックの方へ駆け寄る。それに対して軽く手を降った。 するとシルバーがキョロキョロとあたりを見回した。 「あれ、バットマンは?」 ソニックは夜空に照らされるコウモリのサーチライトをアゴでクイッと示した。 「"あそこ"に行ったよ。にしても、しぶといヤツらだなぁ......」 向き直り、腕を組んで眉をひそめた。 「結局カオスエメラルドもまだヤツらの手中だ......振り出しに戻ったか」 「いや、これで尻尾はつかめた。あとはコッチからかましてやれば一発さ!」 空を見ながら苦い顔を浮かべるシルバーとは正反対に、ソニックはアグレッシブな姿勢を見せた。 パンチのジェスチャーがそれを何よりも物語っている。 しばらく空を眺めると、シルバーがソニックの方を向いた。 「そうだな......よし、俺たちもバットケイブに戻ろう!」 「......」 その発言を聞いたソニックは黙ったままシルバーに背中を向けた。 口をへの字に曲げ、目をこらす。少々荒い鼻息を吹いて拳を固く握りしめる。 そのソニックの姿を見たシルバーは彼の背中に話しかけた。 「どうした、ソニック」 「シルバー......悪いけど先に戻っててくれ」 背を向けたまま、低い声でシルバーに話す。 ますます違和感を感じたシルバーはキョトンとした。 「えっ?まだなにかやることでも―――」 「はやく!!」 シルバーの疑問を制してまで大きな声を張り上げたソニック。 テレパシーでも何でもなく、その背を見てもただならぬオーラを放っているのが目に見えた。 「わっ、わかった......!じゃあ!」 あまり聞くことがないであろうソニックの声にシルバーは慌ててその場を退散した。 暗闇に包まれる街にソニックはたった独り残った。 辺りは丑三つ時のようにしんと静まり返る...... 「いるんだろ、ジョーカー」 ソニックがポツリとつぶやいた一言が周りに響いた。 ―――影の中から聴こえてきたのは、喉の奥で押し殺すような笑い声だった。 -------------- baseさん コメントありがとうございます。 戦闘シーンがごちゃごちゃで分かりにくいかと少し不安でしたが 伝わってもらえて安心しました。 | ||
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base
-- 2014/03/15-00:49..No.[95743] | ||
おおーっ。 ソニックとバットマンのコンビネーション。 エッグドラグーンを圧倒してましたね。 戦闘シーンもすごく面白いですね。 このあとどうなるのか、予想が付きません。 なので楽しみです。私も進めなくては | ||
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ノエル
-- 2014/03/15-00:04..No.[95740] | ||
ACT2:BATMAN & SONIC VS Dr.EGGMAN 「おのれっ!エッグドラグーンのキャノンを......!!」 6つの銃口からモクモクと煙が立ち込め、漏電を起こしている。 火砲から蒸気が吹き出し、ガタンとだらしなく起動を停止した。 「もう片手も壊してみせようか、ドクター・エッグマン」 体勢を立て直したバットマンはコックピットに向かって言い放った。 プロテクターには小さなヒビが数ヶ所、マントは小さな穴が空くように破れていた。 「なにを......ナマイキ抜かしおって!」 胸糞が悪そうに歯を食いしばるエッグマン。 レバーを引き、エッグドラグーンを動かす。すでに機能を失った火砲こそ動かないが、 片方のドリル状の刀剣はいたって健在だ。威嚇するように刀剣を広げ、ドリルが回転するとバットマンを襲った。 巧みに回避するバットマン。その跡にぽっかりと穴が空くコンクリート。こればかりは喰らうわけにはいかない。 「ホーッホッホッホ!さっきの威勢はどうしたぁ!!」 バットマンを追うように刀剣でコンクリートに穴を空けていく。 回避する以外、為す術のないバットマンからは焦りの表情が見えた。 エッグマンにとっては、逃げまとうネズミを追うネコのような光景に見えるのだろうか。 嘲笑しながらバットマンを刀剣で追い詰める。 「クソッ......!」 「とどめじゃあ!!」 ネズミを追うのに飽きたのか、すでに使い物にならなくなった火砲を鉄槌のように落とし、バットマンの回避の手をさえぎった。 その隙に刀剣を振りかざし、照準をバットマンに合わせる。 行く手を阻まれたバットマンは覚悟を決めたようにその場に留まり、腕で顔を覆った。 その時、蒼い閃光がほとばしり、その刀剣を弾いた。 その拍子にエッグドラグーンはのけぞった。 「―――殺しなんてガラに合わないぜ エッグマン」 疾風のごとくバットマンの前に現れたのはソニックだった。 コックピットにいるエッグマンがデジタル時計を確認する。時刻は10時39分を回った。 「......止められることは分かっていたぞソニックよ、 こうも早くとは計算外じゃったがのう......」 「計算外?ハッ、腐れ縁が聞いて呆れるぜ!」 いつになく冷静な反応のエッグマン。 対しソニックは毎度のごとく軽くあしらった。 「......やはりこう来なくてはな!覚悟せい、ソニック!」 エッグマンは笑っていた。それはバットマンに向けたような険悪な笑みとは少し違う、 対峙できることを喜びに思うような表情だった。 ソニックも同じ表情だった。 「援護頼むぜバットマン!」 「当然だ」 意気投合するように二人はエッグドラグーンを前に臨戦態勢に入る。 ソニックは大きく跳躍し、バットマンはグラップネルガンを構え発射した。 照準はエッグドラグーンの大きな刀剣。柄の部分にワイヤーを絡ませ、動きを封じた。 「むっ!離さんか......このっ!!」 抵抗する刀剣の腕をワイヤーで引っ張るバットマン。 人間よりもはるかに大きな刀剣を、腕ずくで阻止するバットマンの相当な腕力がかいま見えた。 「ハァッ!!」 抵抗するエッグドラグーンの隙を狙い、スピンアタックで迎撃するソニック。 痛々しい金属音を立てながら攻撃し続けるうちに、塗装が剥げ、ついには機体の一部を破壊させた。 機体の所々からむき出しになった機械からは、蒸気を吹き出し、漏電を起こしている始末。 グラップネルガンを戻し、今度はエッグドラグーンの足元に発射し、ワイヤーを足元に絡ませた。 「ぬおおぉ!?」 「ソニック、いまだ!」 そのままワイヤーで引きずるバットマン。微動ながら、ズルズルと機体が寄ってくる。 引きずりながらソニックに声をかけると、ソニックは高く跳躍し、エッグドラグーンの胸部に渾身のスピンアタックを決めた。 「おわあぁー!!」 まともにスピンアタックを喰らったエッグドラグーンは機体を大きく傾ける......。 そしてバットマンも渾身の力を込めてワイヤーをひっぱると、エッグドラグーンは大きな震動とともにコンクリートに倒れこんだ。 「これにつかまれ!」 「ALL RIGHT!」 グラップネルガンのワイヤーを引き戻すと、今度はソニックに向かって発射した。 ソニックがワイヤーの先を掴むと、バットマンはグラップネルガンを持ちながらその場で回転する。 ガンから出ているワイヤーの先ではソニックがボール状になって大きく振り回されている。 まさに、"ハンマー投げ"の要領そのものだ。 「くぅ〜おのれよくも......ンッ......!?」 「ウオオォォ!」 エッグドラグーンの機体を起き上がらせるエッグマン。 そのエッグマンの目の前にあったのは、猛獣のように雄叫びをあげてソニックというハンマーを振り回すバットマン。 「ウオアァッッ!!!」 およそ10回転はしただろうか、最大限の遠心力を込めると、ソニックを投げ飛ばした。 とてつもない遠心力がかかったソニックは更に自身で自身に高速回転を加える。 すさまじいスピードと回転力で、起き上がりかけているエッグドラグーンの胸部に突っ込む。 すさまじい轟音とともに、スピンアタックがエッグドラグーンの胸部を貫通した。 「なんじゃとおおー!?」 胸部はぽっかりと穴が空き、バチバチと激しい電流が漏れる。 次第にその漏電は激しさを増し、エッグドラグーンは街中に響かんばかりの音を立てて爆発を起こした。 「......ふぅ!なかなかExcitingだったぜ!オリンピックに出れるかもな」 数メートルに及んで吹き飛ばされた(もとい自分で吹き飛んだ)ソニックはバットマンの元へと戻る。 エッグドラグーンを見ると、モクモクと煙を上げオブジェのように動かない。完全に機能が停止したようだ。 「アイツは......」 「なあに、死んじゃいないさ」 急いでエッグドラグーンへと歩くバットマンだが、ソニックがそれを制した。 するとコックピット部分が外れ、人間一人分ほどの球状の機体が中に浮いた。ソニックなら幾度となく目にしている"エッグモービル"だ。 中には汚れたオイルが体中にこびりつき、自慢の髭がパーマのように乱れているエッグマンが居た。 「くうぅ〜......!おのれキサマら!覚えてろ!」 捨て台詞を吐き、エッグモービルをふよふよと浮かせながら夜空へと消えていった。 「な?」 苦笑しながらバットマンを見て、去ってゆくエッグモービルを親指でさすソニック。 . . . ゴッサム上空、中に浮かぶエッグモービルがどこかへと向かっていた。 操縦席にいるエッグマンは、スイッチを押してマイク無線をつなげた。 「デスストロークよ、ワシじゃ!旗色が悪くなった!一旦退却して落ち合うぞ!」 マイクに向かって声をあげたエッグマン。 『......ああ、了解した』 無線からは冷静かつ低い声が入り、短く言葉を残すとプツンと途絶えた。 | ||
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base
-- 2014/03/13-23:03..No.[95733] | ||
成程。エッグマンの旗色が悪いとはこういうことだったんですね。 いや、まだ先があるのかなあ… しかし爆破ジェル、一言で言うとガム爆弾でしょうか。 怖いですね。このあと、どうなるのか、待ってます。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/13-21:02..No.[95731] | ||
ACT1:BATMAN VS Dr.EGGMAN ―――10時30分 シャドウ達がデスストロークと交戦中の出来事までさかのぼる。 「ホーッホッホ!そらそら逃げろい!!」 火砲を発射し続けるエッグドラグーン。回避するバットマンの後を追うように地面に弾を当てる。 コックピットでは高みの見物をするようにエッグマンがメカを操縦する。 「おっと、そっちは行き止まりじゃ!」 回避をするバットマンの行く手を読んでドリル状の剣を地面に突き刺す。 刃渡りだけでもバットマンの2倍はあろうその刀剣はドリルのように回転し、コンクリートを激しく砕き割った。 間一髪かすっただけで済んだが、もし喰らっていたら、いくらプロテクターで覆われているとはいえ串刺しになっていたに違いない。 「くっ......」 若干苦しげな顔を浮かべるバットマン。それもそのはず、自分よりも何倍も巨大な機械を相手に丸腰で戦おうなど、常人ならばまず思いつかない。 それを承知の上でこうして対峙するバットマンは、体力、精神力ともに異常に人間離れしていることがうかがえる。 『待っててバットマン、弱点を解析してみる!』 バットマンの通信機からテイルスの声が聞こえた。 アルフレッドと共にバットケイブでサポートに徹する彼は、幾多のエッグマンのメカと交戦したライバルの一人。 ましてや機械に精通しているためエッグマンのメカの事ならば大半を熟知している。 エッグドラグーンが攻撃の手を止めると、拡声器から操縦主であるエッグマンの音声が入った。 「やはり爆弾をおとりにしたのは正解だったわい! いくらバットマンといえど、丸腰の人間がワシのメカに敵うワケなどなかろう!」 「......そういうことか」 険悪な笑顔が浮かび上がりそうな勢いで、拡声器からその声は聴こえてきた。 バットマンの勘が見事に的中した。 ソニックを一人にせざるを得ない状況をつくるエッグマンの作戦にバットマンは、なみならぬ手腕を持つ者だと警戒した。 すると再びバットマンの通信機から声が入ってきた。今度はアルフレッドの声だ。 『ブルース様、"爆破ジェル"をお試しになっては?』 「ああ、隙を見つけてやってみる」 アルフレッドからの無線に応えた。そしてバットマンが片手に持ったのは何やらスプレーのようなもの。 "爆破ジェル"と呼ばれるその武器をもったまま、バットマンは立て続けるエッグドラグーンの攻撃を回避しつづける。 しばらくすると再びテイルスから通信が入った。 『バットマン、弱点がわかったよ!左腕のキャノンだ! その武器を機能できなくすれば、エッグドラグーンの戦闘能力は40%まで落ちるよ!』 「了解した」 テイルスの解析によって弱点が明らかになった。 すると突如、エッグドラグーンの砲撃がやんだ。 いくらIQ300の造りあげた火砲とはいえ、リロードする手間は省けなかったようだ。 そのチャンスをバットマンは逃さず、素早く火砲の大きな銃口へと飛び乗った。 頭一つは入るだろう大きな銃口にスプレーをまくと、瞬く間に銃口はゲル状の液体で覆われた。 「おのれい!そんなところで何を!」 火砲に張りつくバットマンを刀剣で払うが、バットマンは回避し地面へと降りた。 その後も度重なる刀剣による斬撃がバットマンを襲う。 しかし多少体力を消耗したのか避けきれず、巨大な刀剣の峰でバットマンは激しく叩きつけられた。 「ぐっ......!!」 まともにくらったバットマンは吹き飛ばされ、地面へうつぶせになる。 かなりの衝撃だったのか、体を震わせ歯を食いしばったまま立ち上がることができない。 必死に体を起こそうにも痛みによってそれがままならない。 「ここまでじゃな......アディオス!」 巨大な火砲の銃口がバットマンへと向いた。そしてエッグマンが発射スイッチを押す......。 「ぬおああ!?」 銃口にあったゲル状の液体が突如爆発し、そのまま内部爆発を起こした。 --------------------- baseさん baseさんの小説は簡潔にまとめられて、描写がイメージしやすいので 個人的には僕の戦闘シーンよりも面白いと思いますよ。 自分はどうしても見づらくなってしまうので、baseさんを見習いたいくらいです。 コメントありがとうございます。 | ||
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base
-- 2014/03/11-23:45..No.[95718] | ||
はあー、何だか私の戦闘シーンが地味な気がしてきた… ノエルさんのは素晴らしいですね。 次回がバットマンの戦闘。 バットマンは私も見たことがないのでどんな戦法をとるのか楽しみです。 私もモチベーションは誰かの感想をもらうとよくなります。 続き、待ってます。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/11-23:13..No.[95717] | ||
ACT2 SHADOW&SILVER VS DEATHSTROKE 「......やったか?」 ポツリとそうつぶやいたシルバーは、シャドウと共に倒れているデスストロークの元へ歩く。 プロパンガスの爆発を受け、さらにシャドウの怒涛の攻撃を喰らったデスストローク。 およそ常人であればまず軽傷では済まされないが、相手は人体実験を受けた人間。 仰向けに倒れたままのデスストロークはピクリとも動かない。 もしや......と思い、シャドウがマスクに手をかけた、その時だった―――。 「ウッ!!」 「うわぁっ!!」 二人の顎に両足の蹴りがヒットした。死んだように動かなかったデスストロークがまるで生き返ったように不意打ちを喰らわせた。 のけぞり、尻もちをつくシルバーとシャドウ。 デスストロークはそのまま二人の背後にぐるりと回り、2つの武器を取り出した。 倒れる二人は、頭上で甲高い金属音が聞こえた―――日本刀だ。二人に悪寒が走った。 「あぶねぇ!!」 「クッ!」 思わず声を上げて間一髪で起き上がり、回避する二人。 デスストロークは片手に一本ずつ剣を逆手に持ち、地面へ突き刺している。 アレを避けなかったら、地面もろとも綺麗に頭が貫通されていただろう。 ("2刀流"だと......!?) シャドウは顔にこそ表さないものの、心中では動揺の色を隠せなかった。 「俺に剣をもう一本出させるとは......せいぜい楽しませろ」 地面から2本の刀を抜き、匠に回すデスストローク。 それを見た二人はお互いにアイコンタクトをとり、了承するように目を合わせるとコクンとうなずいた。 シルバーとシャドウがデスストロークに向かって突っ走る。おそらく、小細工無しの肉弾戦の作戦に出たのだろう。 「ムダだ!ふんっ!!」 デスストロークを挟み、二人がパンチや蹴りで応戦する。しかし、すべて刀の峰や柄でガードされてしまう。 斬撃やガードを駆使しながら片方の剣をシルバーに向け、もう片方をシャドウに向ける。 その超人的ともいえる刀さばきは、見る者を圧倒する勢いだ。 ひとしきりお互いの攻防が続く。するとデスストロークが大きくバックステップをし間合いをとった。 「こうなったら!シャドウ、もう一度アイツの注意を引いてくれ!」 「......何をする気だ」 「あのコンテナを落とす!」 シルバーが瞳を上へうつすと、いくつかの輸送用の海上コンテナがあった。およそ十メートルほどの巨大な鉄のコンテナだ。 あれをデスストロークの上に落下させれば、さすがにひとたまりもないだろう。 シルバーの策を聞いたシャドウは静かに返事をした。 「......わかった、頼んだぞ」 「まかせろ!」 シャドウはデスストロークの方へ向き、靴からジェットを噴射して迎撃に向かった。 一方シルバーが宙へ舞い上がる。すると緑に光る両手をかざし、コンテナへその手を広げた。 コンテナ全体が緑色蛍光をまとうが、浮かび上がる気配はない。 いくら超能力とはいえ、巨大な物を浮かせるにはそれなりの時間と集中力を要するみたいだ。 「......何をしようがムダだ」 突撃してくるシャドウをひらりとかわし、デスストロークは工場の足場をうまく利用して高所に登った。その姿はまるで忍者のごとく。 するとそこから飛び降りるようにジャンプし、鉄棍を取り出した。狙いは宙に浮かぶシルバー。 「させるかっ!」 胸部に蹴りがヒットし、デスストロークが空中をいびつに舞う。 制したのはシャドウだった。 「いいだろう......賞与金は後のお楽しみだ」 蹴りを喰らったが、受け身の要領で地面に綺麗に着地するデスストローク。 鉄棍をしまい、日本刀を一つ抜く。刀の先をシャドウに向けて宣告した。 狙われかけた無防備なシルバーは焦ったが、再びサイコキネシスに集中する。 「どうした、やはりそんなものか!」 「グッ.....!」 標的をシャドウ一人に絞ったデスストロークは、つけいる隙を与えることなく日本刀でシャドウに襲いかかる。 鋭い刃物による斬撃や突きを紙一重で避けるシャドウ。胸の白いファーがパラパラと宙を舞う。 「シャドウ!......っこれでなんとか!」 宙に浮くシルバーが片手をそらす、その先は地上にあった消火器。手を向けるとそれが浮いた。 狙うように片手をデスストロークに向けると、消火器もボールのごとく飛んでいった。 デスストロークに直撃した消火器は、あたりを煙で充満させる。 「ゲホッ!くっ......煙が!」 うっとうしそうに煙を手で払うデスストローク。もともと狭い視界がさらに奪われ、その場でむせこむ。 しかし、その煙の中にはシャドウもいた。同じように彼もむせこんでいる。 このままでは、彼もコンテナの下敷きになってしまう。 「落とすぞ、シャドウ!!」 警告するシルバーの声を聞いたシャドウは煙を払いながらその場を急いで逃れる。 一人残ったデスストロークの頭上には緑色蛍光をまとうコンテナが......。 「クソッ―――!!」 シルバーが手から光を消すと、そのコンテナをまとっていた光も消えた。 すさまじい轟音とともに、4トンはあろうコンテナがデスストロークへと落下した。 同時に他の鉄筋やパイプもなだれのように崩れ落ち、数メートルの鉄の山が出来上がった。 鉄の山の周辺はホコリが霧のようにたちこめ、しばらく轟音も止むことはなかった。 「ずいぶんアグレッシブだな......僕まで押し潰されるところだったぞ」 「悪ぃ、不可抗力だよ」 鉄の山の上をガラガラと歩くシャドウ。どうやら間一髪で脱出したようだ。 しばらくその山を眺めていると、金属を破壊するような短い音が二人の耳に入った。 数秒後、また同じような音がなり、ガラガラと鉄筋やパイプの隙間から一人の人間が姿を表した。 「―――グハァ!ハァ......!」 ゼエゼエと息を荒げながら現れたデスストローク、プロテクターには数ヶ所にヒビが入っている。 鉄棍を杖代わりにして這い出ては、鉄筋やパイプを乱暴にそこらに放り投げる。 さすがに相当なダメージを負ったようだ。 それを見たシルバーは驚愕した。 「おい、ウソだろ......!?」 目を丸くしてデスストロークを見る。 プロテクターを装着してるとはいえ頭上から数トンの重みを直撃すれば、常人ならば動くことなどまずできない。 気を失うどころか、命を落としかねない。しかし、その状態で這い上がり、歩くことができるというのだから、 ダテに極秘実験の被験体ではないようだ。 すると、デスストロークの通信機が反応した。 『デスストロークよ、ワシじゃ!旗色が悪くなった!一旦退却して落ち合うぞ!』 通信機から聞こえたのはソニック達の宿敵の声だった。 まだ整うことのない息を吐きながら、デスストロークは応答した。 「......ああ、了解した」 短くそういうと、通信機をプツンと切った。 「退却命令が出た、一旦引かせてもらおう」 鉄の山の頂上からシルバーとシャドウに話しかける。 その手にはテニスボールほどの黒い玉が......。 「まて、逃すとおもうか」 前のように逃げられてはエメラルドの足取りがより遠ざかってしまう。 そう判断したシャドウはデスストロークを睨みつけ、行く手をはばもうとした。 しかし、手に持っていた煙玉を投げられ、煙がモクモクと立ち込めた。 . . . 「ちっ!またか......」 煙が晴れると、鉄の山からデスストロークの姿はなくなっていた。 煙玉を投げ、煙にかく乱している内にその場を退散する...... 前回とまったく同じ手法にハメられたシルバーは思わず舌打ちを打った。 シャドウがおもむろに通信機を取り出し、バットケイブへとつなぐ。 「テイルス、アルフレッド、聞こえるか?僕だ......ヤツに逃げられた」 『シャドウ!......そう、わかったよ。あっ、あと爆弾は無事ソニックが破壊してくれたよ!』 「やっぱりか!アイツならやってくれると思ったぜ!」 通信からはテイルスの声が。煙のように曇っていたシルバーの表情が晴れ、歓喜の声をあげた。 『シャドウ様、もしエメラルドの情報を収集するのでしたら、お早めに戻られた方がよろしいかと』 「わかった。いますぐそっちへ戻ろう」 通信機からのアルフレッドの提案に間を置かず即答するシャドウ。 「僕はいったんバットケイブへ戻る。君はドクターの所へ行って確認を」 「わかった!」 靴からジェットを噴射させ、スケートリンクのように滑ってゴッサムの郊外へと駆け抜けた。 二つ返事のシルバーは身体を浮かせ、少し離れた都心へと移動をはじめた.......。 ----------------- baseさん いつもコメントしてくださってありがとうございます。 おかげさまでモチベーションを保てています(笑) 次回はバットマンvsエッグマンの予定です。 | ||
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base
-- 2014/03/09-22:51..No.[95697] | ||
シャドウとシルバーの共闘。 デスストロークも2人を相手にすごいですね。 こういうの待ってました。 続き待ってます。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/09-19:19..No.[95696] | ||
ACT1 SHADOW&SILVER VS DEATHSTROKE 『ソニック様、爆弾の位置が特定できました。お手持ちの地図に座標をお送りします』 通信機から雑音まじりに聞こえたのはアルフレッドの声。 通信機を耳に近づけ、はっきりと聞き取った。 『爆発まで......あと8分だよソニック!』 直後にはテイルスの声も。若干焦るような口調だったが、それを聞いた彼は極めて余裕そのものだった。 「OK!そんだけあれば余るくらいさ!」 電子地図を開き、場所を確認する。確かに地図には先ほどまでは無かった赤いマークが6つ記してあった。 おそらく爆弾の位置だろう。確認したソニックは一番近い場所まで豪速で走り、その跡には蒼い閃光が残っていた。 . . . 「くらえっ!」 緑色蛍光を帯びてデスストロークに飛ぶ物は鉄のタンク。 野球ボールのように飛ぶそのタンクはデスストロークに直撃する直前で綺麗に真っ二つに割れた。否、切れた。 デスストロークが構える日本刀は、切れ味ではどの刀剣を差し置いてもトップクラスだ。 「くそっ!また斬られた!」 綺麗に切断されたタンクはゴロゴロと転がり、無残に地面に倒れた。 シルバーの超能力による攻撃もデスストロークの前では一筋縄ではいかない。 「ハァッ!!」 続いてシャドウが飛びかかり、蹴りを喰らわせるが、片手に持っていた鉄棍によって防がれた。 鈍い金属音が鳴り響き、お互いは再び間合いをとった。 「どこからでも来い、アマチュアども」 片手には刀、もう片手には鉄棍を持ち、そのうえ体を強固なプロテクターで覆っている。 完全武装のデスストロークに死角はなかった。 すると、そばにいたシルバーの元にシャドウが近づく。 瞳をデスストロークに合わせたまま、静かにシルバーに話しかける。 「シルバー......お前が奴を引きつけろ。僕がその隙をつく」 「ああ、わかった......!」 そっと耳打ちをするシャドウにシルバーも軽く口を動かす。 もちろんその様子をデスストロークが見逃すはずがなく、警戒しつつ鉄棍を器用に回す。 「こっちだ!デスストローク!」 シルバーが上空に飛び上がる。すると周りにあった鉄の塊も一緒に浮かび上がった。数はおよそ8〜10個ほど。 上空を見上げるデスストローク。 シルバーが水平に広げていた両手をデスストロークへと振り下ろす。すると鉄の塊が上空から降り注いだ。 一つ、また一つと不規則に降り注ぐ鉄の塊を回避しては、斬撃でやり過ごす。 その最中、一瞬の隙をとらえたシャドウはデスストロークに向かって渾身の打撃を繰りだそうと走りだした。 しかし、そのシャドウを、デスストロークが見逃すことはなかった。 「無駄だっ!!」 シャドウの拳がデスストロークの顔面まであと数センチ、というところでデスストロークが振り向きざまに鉄棍のカウンターを喰らわせた。 頬におもいっきり鉄棍を喰らったシャドウはゴロゴロと地面に倒れこみ、すぐに体勢を立て直した。 「ずいぶん浅はかな作戦じゃないか」 「おのれッ......」 苦い顔で吐血した口をぬぐうシャドウ、グローブには赤黒い血液が染みこむ。 そんなシャドウへ歩み寄るデスストローク。"おとり作戦"という典型的な策をプライドが許さなかったのか、 してやられた気分のデスストロークの顔はマスクで覆われてはいたものの、憤っていることが明らかにわかった。 「じゃあこれはどうだ!」 上空にいたシルバーの存在を忘れかけていた。同じ上空からプロパンガスの入ったタンクがデスストロークをめがけていた。 回避が間に合わなかったデスストロークはまともにプロパンタンクに直撃し、同時に中に入っていたガスが爆発した。 「グゥッ......!!」 爆発と共に直撃したタンクにデスストロークはうなり声をあげ、その場に倒れこんだ。 この機を逃さんとばかりにシャドウがパンチや蹴りをシームレスに加える。 その素早く、重い攻撃はプロテクターをもってしても防ぐことはできず、なすすべなく攻撃を受け続ける。 最後の蹴りはみぞおち辺りを直撃し、その勢いで吹き飛んだデスストロークは壁へとぶち当たった。 「どっちがアマチュアだかな」 ヒビの入った壁の下には仰向けに倒れるデスストロークがいた。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/07-23:48..No.[95687] | ||
衝突 バットケイブ内... 「よしっ!妨害電波が解除されてる!爆弾の位置が分かりそうだよ!」 モニターに映る地図を確認しながらテイルスが嬉々とした声をあげた。 ウォーミングアップをしていたソニックもその声に反応してテイルスの方を見た。 "よし!"と声に出し、その場で小走りをするソニック。 「ソニック様、これがゴッサムシティの地図です。あとで座標をお送りしますので、これで確認なさってください」 「わかった!」 アルフレッドがソニックの方へと歩みよると、小さな機械をソニックに渡した。 ソニックの手中にあるその機械の電源をアルフレッドがつける。すると、ゴッサムシティ全域の平面地図が立体映像となって出てきた。 文明の利器に少々驚いたソニックだがアルフレッドの説明を聞き、しかと返事をした。 「それとあちらが"非常口"になっております。少し遠回りになりますが、滝をくぐる手間ははぶけますよ」 「そいつは助かるぜ、じゃあ行ってくる!」 アルフレッドが説明しながら指をさした先は人一人分ほどの小さなほら穴。 おそらくアレが外につながっているのだろう。 アルフレッドの配慮に礼を言いながら、ソニックは自慢の脚で高速でほら穴へと向かった。 「気をつけてねソニックー!」 テイルスの声も届くか否か分からないほどの高速でほら穴を抜けていった......。 . . . ―――ゴッサム 工業地帯 「10時半になったぞ......」 シルバーの手持ちのデジタル時計が22と30の数字を示した。 しかし、デスストロークのいる気配は全くない。それどころか、人の影すら見当たらない......。 「―――ッ!!」 シャドウが大きく前転をした。上から何かが飛んできたのは分かった。 もしも狙われたのがシルバーだったならば、回避しきれなかったかもしれない。 「これは、"刀"......」 飛んできた物に近づいて見ると、それは東国に伝わる片刃の刀剣"日本刀"が地面に突き刺さっていた。 刺さっている角度からみると、だいぶ上の方から飛んできたようだ。 シャドウには見覚えのある刀剣だった。 「どこだ、デスストローク」 周囲へと目を動かし、威嚇するように声を上げるシャドウ。 だがその声に返答はない。返ってくるのは僅かな工場の稼動音と風の音のみ......。 「―――そいつはソニック・ザ・ヘッジホッグではないようだな」 しばらくの静寂の後、声のした方へとっさに振り向くシャドウとシルバー。声の主はなんとシャドウの背後にいた。 およそ2メートルはあろう大柄、鎧のようなプロテクターに右目の無いマスク........シャドウの勘に間違いはなかった。 デスストロークが地面に刺さっている日本刀に近寄ると、独特な模様の柄を持ち、滑らかに引き抜いた。地面には細く、綺麗な穴が空いていた。 2人はデスストロークと距離をとって再び向き直した。 「リストには入ってないが、邪魔立てするなら貴様も殺す......」 そう言い、鉄棍を取り出すとスイッチを押しリーチを伸ばす。先日シャドウと対峙した時に見せたギミックだ。 片手で鉄棍をくるくると回すと、その先端を獲物を捕らえる鷹のようにシルバーへと向けた。 「やってみろよ」 シルバーが手を緑色に光らせ、デスストロークをキッと睨む。 周りにあった鉄の塊や破片が浮かび上がるが、デスストロークは歯牙にもかけない様子だ。 「......フンッ!!!」 お互いが睨む中、鉄棍が二人をめがけて襲いかかった。 . . . 一方、ゴッサム都心部 バットマンが散策を続けていた時、突如上空から何かが落下してきた。 見上げるとボールのように小さいが、その影は地面に近づくにつれ次第に大きくなっていく。 高層ビルほどの高さまでくると、それは明らかに巨大な物体だった。 「......!」 落下してきた衝撃音と風圧によって多少のけぞったバットマン。 煙が晴れ、目の前にあったものはバットマンの5倍以上はあろう物々しい機械だった。 とはいえ装甲車や戦闘機などの車両のような形状ではなく、二足歩行の人を模したようなまさに"メカ"と呼称するにふさわしい物だった。 そのメカのちょうど頭部に位置する、いわゆるコックピットの丸いガラスのハッチが自動で開いた。 「ホーッホッホッホ!!初めまして、ワシの名はドクター・エッグマン、悪の天才科学者じゃ!」 中から現れたのはドクター・エッグマン。初対面のバットマンに向かって歯をむき出して笑い、深々お辞儀をする。 その一連の動作には丁寧さがあったが、どこか腹黒さが垣間見えていた。 「おっと、名乗りは無用じゃぞ"バットマン"よ......。 ワシの雇い人が色々と情報を提供してくれたものでなぁ。キサマの戦闘能力は全て把握しておる!」 黙りこくるバットマンにも関わらずマイペースで喋り続ける。 したり顔でバットマンを見下ろすが、彼にとっては何の脅しにもなっていないのか動揺する様子は全く無い。 「それはどうかな......」 一言声を発し、腕を構え臨戦態勢に入ったバットマン。 相手は自分よりも遥かに大きな機械にも関わらず、動揺するどころかこの余裕ぶりは流石とも言える。 「とにかく無駄話はここまでじゃ、この"エッグ・ドラグーン"を前にキサマには死んでもらおう!ホーッホッホッホ!!」 そう言うとハッチを閉じ、なにやらレバーやスイッチを押しはじめる。 片手にはドリルのような巨大な剣、もう片手にはリボルバー拳銃のマガジンをそのまま巨大化したような火砲。 回転する火砲をバットマンに向け、宣戦布告する。 ―――両者とも、戦いの火蓋が切って落とされた。 -------------------- 茶狐 お忙しい中読んでくださってありがとうございます。 ジョーカーの魅力に惹かれてバットマンにハマったという人は多いと思います。 自分もそうした一人です(笑) そうですね。少なくとも映画ではバットマンに恐れて夜の活動を自粛するような描写があります。 僕の小説でも..........そういうことにしといて下さい;orz baseさん コメントありがとうございます。 散々伸ばしてスイマセン...次でようやく対決です。 | ||
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base
-- 2014/03/06-22:55..No.[95685] | ||
戦いに近づいていく感じ、こういうの好きですね。 続き、大いに期待してます。 | ||
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茶狐
-- 2014/03/06-21:54..No.[95683] | ||
戦いの幕が上がりそうですね。 ジョーカーのキャラ、何気に好みです。 犯罪者達はジョーカーやバットマンが来ることを わかってて出歩かないのでしょうか? | ||
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ノエル
-- 2014/03/06-18:54..No.[95681] | ||
出撃 時刻は午後10時10分......爆弾の起動まではあと20分。 バットケイブではとっくに仕事を終えたブルースが。その顔から下はすでにバットスーツで覆われていた。 作戦の最終確認のため、テイルスやアルフレッドと話をしている様子だ。 バットウィングは、離陸の時を今か今かとエンジン音を洞窟に響かせている。 途中まで同行するシャドウとシルバーも、準備は万端のようだ。 「ふたりとも通信機は持ったよね。ボクとアルフレッドさんはここでサポートするから 何かあったら連絡をとってね!」 テイルスがシルバーとシャドウに確認をとる。2人が持っていたのはタバコの箱よりも若干大きいくらいの黒い通信機だった。 通信機をしまうと、2人はバットウィングの主翼にまたがった。 「それじゃあ、俺たちは先に奴らのところにいくぜ」 「......爆弾は任せたぞ。ソニック」 「わかってるって!」 主翼にまたがるままソニックに声をかけるシルバー。 ブルースもソニックに確認をとるようにミッションを託した。 それに対して余裕ともとれる笑みを浮かべるソニック。 「ブルース様......それにシャドウ様、シルバー様、どうかお気をつけて」 「ああ」 三人に声をかけるアルフレッド。そんな彼に返事をしたブルースはカウルを被り、今宵も"バットマン"となった。 コックピットに乗り、ハッチが閉まるとゆっくりと機体を浮かせた。 方向転換をし、流れる滝へと機体を向け、大きな噴射口から炎を噴射させると、高速で滝を突き抜けていった......。 . . . バットウィングの飛行速度による激しい向かい風にあおられながら主翼にまたがるシルバーとシャドウ。 対して、強化ガラスによって風などもろともしない操縦席、操縦しているのはバットマン。 その席の周りには、何に使用するのか分からない程の膨大な数のスイッチやレバー。天井にまで備えられている。 使いこなせるのはおそらくバットマンひとり。彼は黙々と操縦していた。 しばらく操縦していると、バットマンの通信機から雑音まじりの声が入ってきた。 『それでは、僕達はここで降りる』 『バットマン、気をつけてな!』 「お前達もな......」 バットマンに声をかける二人のハリネズミは、そのまま主翼から飛び降り、ゴッサムの街へと吸い込まれていった。 最初に地上に降り立ったのはシャドウ。引力に引っ張られ、相当な勢いで着地したというのに傷一つ無かった。 続いて同じ場所に降りたシルバー、超能力を駆使し、緑色蛍光を身にまとってストンと地面に降り立った。 二人が降りた場所はゴッサムシティの工業地帯。長いパイプが迷路のように入り組み、大きく目立つ煙突が何本か立っている。 姿をくらますには持ってこいの場所かもしれない。 一方、上空を飛行するバットウィング。シルバーとシャドウが降りてからしばらく経った頃、目的地の都心部が見えてきた。 地面を覆わんばかりに街灯やネオンが光るその光景はまさに"地上の天の川"といったところか。 するとバットマンがシートベルトを外した。バットウィングの下部に備えられている緊急用ハッチが開き、エンジンの轟音と激しい向かい風が機内に入ってきた。 そこからバットマンは自らの身を外に投げ出した。バットウィングのハッチが閉じ、オート操縦で空の彼方へと消えていった。 漆黒のマントをたなびかせ、徐々に地上の天の川へと吸い込まれ、隕石の如く急降下するバットマン。 そして大きな音と風圧を響かせ、地面へと着地した。 「お手並み拝見、といこうか」 人気のないゴッサムの都心でひとりつぶやくバットマン。 治安が悪いゴッサムでは日が沈んだ直後であっても出歩く一般人は滅多にいない。 代わりに徘徊するのは浮浪者か犯罪者くらいだが、今日に限ってはそういった者たちも見当たらない。 ―――時刻は午後10時30分となった。 | ||
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base
-- 2014/03/04-22:31..No.[95669] | ||
苦手ばっかでも今こうしてやれているのは凄いことだと思います。 お互い頑張っていきましょう。 | ||
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ノエル
-- 2014/03/04-19:20..No.[95668] | ||
Break time -ブルースの過去- 夜が明け、時刻はゴッサムシティの真上に太陽が昇る頃になった。 しかしバットケイブには一筋の光も入ってこない。 今夜の作戦に備え少しでも体力を温存しておく旨、ソニック一行はこうしてバットケイブ内で待機している。 じっとしているのが嫌いなソニックはさも退屈そうに洞窟内を右往左往している。 シルバーは今夜のためか、少し広々とした場所で超能力を用いて自主トレに励んでいる。 シャドウは腕を組んだまま、まるで石像のように佇んでいる。 そして、機械をこよなく愛するテイルスにとってはこのバットケイブは宝の山のように見えるらしい。 「すっっごぉ〜い!!」 星のように目を輝かせながらバットケイブを散策するテイルス。 バットウィングはもちろん、バットモービルをはじめ、パソコンや幾数のモニター、機密機械...... どれも庶民どころか、なまじ富豪にでも手に入らない物ばかりだ。中には、一般にはまず出回らないであろう軍事用の機械もあった。 「こんなスゴい機械、滅多に見られないよ!......でも、どうやってこんなに揃えたの?」 様々な機械が取り揃う中、テイルスはふと疑問に思った。 「ブルース様は、ゴッサムの大企業"ウェイン・エンタープライズ"の代表戸締役会長なのです」 「......"ウェイン・エンタープライズ"?」 アルフレッドの言葉に片耳をピンと立たせたのはシャドウ。 同時に、今までつぶっていた目を開ける。 「知ってるのシャドウ?」 他人の会話に介入するシャドウを珍しく思ったテイルスが尋ねた。 「軍事用の科学繊維や医療機器、軍事用機器などを製造している企業だ。 GUNで取り扱っているモノはほとんどウェイン・エンタープライズの世話になっている」 必要最低限の情報を淡々と話すシャドウ。 それに負けず劣らずように、アルフレッドが続けて説明をする。 「ごひいきにしてくれてありがとうございます。他にも小売、輸送、海運など この街のほどんどの事業に関連しているので、ゴッサムシティはウェイン・エンタープライズで動いてると言っても過言ではありません」 「それじゃ"超大富豪"じゃないか!」 いつの間にか自主トレを終えたシルバーが、アルフレッドの話を聞いて目を丸くして驚いた様子だった。 「こんなすごい機械が揃うワケだよ!」 テイルスもシルバーに続くように驚きながら言った。 「......なあ、アルフレッド」 「何でしょう?ソニック様」 うつむき加減で名を呼んだのはソニック。アルフレッドはソニックの方を向いた。 そしてソニックが顔をあげると、アルフレッドの目を見て尋ねた。 「アイツは......"ブルース・ウェイン"は何で"バットマン"になったんだ?」 アルフレッドは黙っていた。数秒の沈黙の後、静かに口を開いた。 「......ブルース様がまだ幼い頃のことです。ある日、親子水入らずで"奇傑ゾロ"の劇場を観に行きました。 ブルース様は劇中に現れたコウモリの演出に恐怖を憶え、退場しました。」 「その帰り際です。強盗を犯した男に襲われ、ブルース様のご両親は帰らぬ人となってしまったのです」 全員が少し驚いたように目と口を開いた。 「その時から悪と犯罪を憎むようになったブルース様は、青年になり修行の旅に出られました。 2年間の修行を積み、犯罪者の巣窟と化したゴッサムシティに戻ってきたブルース様は、悪と戦う術と強い覚悟を得ていました」 「そんなある時、幼い頃に劇場で観たコウモリの演出に恐怖した事を思い出し、自らが犯罪者を震え上がらせる恐怖のシンボルとなる事を決意しました」 「そのシンボルこそが、"バットマン"......その戦術は見事に功を成し、このゴッサムシティの秩序を守る不可欠なものとなったのです」 「そうだったのか.......そんな過去が.......」 最初に口を開いたのはソニックだった。ブルースの想像以上の経歴に、ほかの皆は言葉が出なかった。 「バットマンの事を悪く言うワケじゃないんだけど、それにしてはこの街、その......あまりにも治安が悪すぎないか? ちゃんと取り締まってるのかなって......」 シルバーが遠慮がちに質問した。 アルフレッドは感情を出すことなく丁寧に答える。 「実はブルース様の......いえ、バットマンの方針として"絶対に人殺しをしない"という姿勢をとられているのです。 "殺してしまったら自分も犯罪者と同じ"......ブルース様はそう考えておられます」 洞窟内にアルフレッドの声と革靴の音が響きわたる。 アルフレッドが歩いていった先はバットマンが着用しているスーツだった。今は厳重なケージに保管されている。 「それゆえ、この街の悪漢どもは出所してはまた犯罪を犯す、といった事が後を絶たないのです。 もちろん、バットマンのやり方を良く思っていない者もおりますが......」 目の前のバットスーツを見ながらひと通りの説明を終える。 「でも、一番身近な人が殺されたからこそ、そう考えているのかもね」 テイルスが真理をつくように言及した。 「悪かった......余計なこと聞いて」 「いえ、事実ですので」 それを聞いたシルバーが後ろめたさをあらわにして謝罪した。 そんなシルバーの心理が分かっていたのか、アルフレッドは気にしていない様子だった。 「ところでその2年間、一体どこでどんな修行を......?かなりの強さと聞いたが」 先ほどの話で疑問に思ったシャドウがアルフレッドに尋ねる。 彼はバットマンとは対峙していないが、恐らく風のウワサで聞いたのだろう。 「ブルース様は放浪の旅の途中、ヒマラヤの奥地に辿り着きました。そこで得たのは忍びの術......つまり"忍者"の戦術を体得しました」 相変わらず淡々と答えるアルフレッド。 「そういえば......隠れながら攻撃したり、あの"バットラング"だっけ?アレだって手裏剣みたいだもんな!」 ダーツを投げるようなフォームでジェスチャーをするソニック。 「左様でごさいます。バットラング然り、ブルース様の戦術は日本の忍者がモデルとなっているのです」 「ニンジャかぁ.......カッコいいな!」 一種の憧れに近いものがあるのだろうか、それを聞いていたシルバーが目を輝かせていた。 いまごろ彼の頭の中では、隠密のごとく街中を巡回しているに違いない。 「ところで、唐突ですが皆様に一つご約束してほしい事がありまして......」 「何だ?」 少し改まるようにアルフレッドが全員に話しかけた。 「それは、ブルース様のこと......つまりバットマンの正体は"ここだけの秘密"にしていただいてもよろしいでしょうか?」 「ゴッサムシティで犯罪が絶えることはありません。そんな中でバットマンの正体が知れたとなれば、 ブルース様ご自身はもちろんウェイン・エンタープライズで勤務する人たちを路頭に迷わせてしまいます。 そうなれば治安はより悪化し、今度こそゴッサムは取り返しのつかない"悪と狂気の街"となってしまいます」 「バットマンの正体を知っているのは、私を含めごくごく一部の人間だけです。 あなたがたも、どうがその一部に加わっていただき、口外無用という事にしていただけませんでしょうか」 そう言うとアルフレッドは会釈をした。 それを聞いたソニック達はお互いに少し顔を合わせた。 アイコンタクトを取ると、再びアルフレッドの方へと向いた。 「All Right!そんな事でいいなら!」 「もちろんだよ!」 「......倒産されるのは困るからな」 「乗りかかった船さ!よろこんで!」 皆は迷うことなく、アルフレッドの頼みを快諾した。 「......ありがとうごさいます」 皆の言葉に、アルフレッドは微笑みながら感謝の言葉を口にした。 ―――そして、ゴッサムの夜が刻一刻と迫ってくる......。 ----------------- baseさん コメントありがとうございます。 次回くらいで対戦になりますが、同じ時系列を同時に描写するのが苦手なので 少々読みづらくなるかもしれません。ご了承ください。苦手ばっかりだなぁ(笑) | ||
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base
-- 2014/02/27-23:06..No.[95657] | ||
物語も後半ですかね。 対決の日が楽しみです。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/27-22:56..No.[95656] | ||
挑戦状 「"ジョーカー"......」 オウム返しに名前を口に出すソニックは、さきほど街で受け取ったトランプを取り出した。 ジェスターのイラストが描かれている、紛れも無いJOKERのカードだ。 するとブルースは、静かに口を開いた。 「ジョーカーについて分かる情報は、愉快犯であること。 そして、自らジョーカーと名乗っている......それだけだ」 「アイツの経歴とかは?」 ソニックが尋ねる。 「不明だ......指紋も記録されていなければ、DNAの記録も......。 どうデータベースに照合しても、一切の記録が残っていない。 幾つもの偽名を使用した履歴はあるが、本名は謎のまま...... いずれにしろ、身元を示すものが何もないのだ」 ブルースが首を横に振りながら答え、さらに補足するように説明を続ける。 「大半の者は、"奴の正体が分からない"ことに恐れている」 「うん、スゴく怖かった......」 ブルースの説明にテイルスは先程の恐怖が甦ったのか、ブルブルっと身震いをした。 脳裏にこびりついたような映像が頭の中をめぐる。 「テイルス様が正しいです。どんな極悪人でも、経歴さえ明らかになれば それに立ち向かおうとする対抗意識が芽生えるもの。 しかし、ジョーカーは本名ですら......正体不明の相手ほど恐ろしいものはありません」 アルフレッドがテイルスを擁護するように言及した。 するとブルースはデスクの上にある折りたたまれた新聞に目を移した。 そこには『ジョーカー アーカム・アサイラムから仮釈放』の大きな見出しがあった。 「ジョーカーは先日アーカム・アサイラムという刑務所から仮釈放された。 出所した奴がゴッサムで何も起こさないハズがない」 「あぁ、パーティがどうとか......言ってたな」 ブルースの情報に、ソニックは顎に手を添えながらしかめ面をする。 「ドクター・エッグマンとの関連性は見つからないが、 全く無いとは断定できない。ジョーカーの方は、もう少し様子を伺おう」 ブルースは新聞から目を離し、聞いている全員の方を向いて答えた。 皆もそれに賛同するように、おもむろに頷いた。 「そういえば......デスストロークからこんなモノを受け取った。後で見ろと言われた」 先ほどの戦闘で渡された物を見せるシャドウ。 プラスチックの正方形のケースの中に入っているのはDVDディスクだ。 「DVDか......再生しよう。アルフレッド、準備をしてくれ」 「すぐに準備いたします......しかし助かりましたな。もしブルーレイディスクならば 一度お屋敷までプレーヤーを取りに戻らねばならなかったところ」 独り言のように喋るアルフレッド。どうやら皮肉屋と同時に多弁でもあるようだ。 シャドウはアルフレッドにDVDを渡した。 アルフレッドはDVDを片手にカチャカチャと準備をしている。 「準備が出来ました」 ディスクをパソコンにセットするとアルフレッドが言った。 全員がモニターの前に集まる。全員で見るには若干モニターが小さいようで、 お互い顔を寄せ合いながら画面に集中した。 すると、画面に一人の男が。ソニック達なら幾度となく会っている人物だった。 『......ホーッホッホッホ!!シャドウよ、デスストロークは手強かったかのう? お前さんには第二ステージを用意してあるぞ!』 険悪に笑うドクター・エッグマン。若干不鮮明ではあったものの その特徴的な体型を見たソニック達は、笑い声を聞く前にその人物が特定できた。 『そして......ソニックよ!お前さんとワシの仲じゃ、来ないハズが無いことぐらい想定内じゃ! お前さんにも楽しいステージを用意してある』 『このゴッサムシティの各地に爆弾を仕掛けた。爆弾は6つ。一つ一つが超強力じゃ! 起動は"明日の午後10時30分"!所要時間は......"10分"。まぁ、止めるか止めないかはお前さん次第じゃ』 『その時間、ワシはゴッサムの都心に居る。デスストロークは工業地帯。 誰が誰と戦うのかは勝手じゃが......シャドウ、お主の命はデスストロークが狙っている。そして街には爆弾が起動する事を忘れるなよ!』 『楽しい夜にしようではないか。それでは......ホーーッホッホッホッホ!!』 ―――プツンと画面が暗くなり、再生が終了した。 「やってくれるぜあのオッサン......」 ギリギリと拳を握るソニック。 「おそらくすでに仕掛けてあるハズだ......アルフレッド、爆弾の位置は特定できないか?」 ブルースに指示されたアルフレッドはすぐさま別のモニターに近づく。 そこにはゴッサムシティ全域の地図が映っていたが、アルフレッドの返答は思いのほか速く返ってきた。 「妨害電波が発生しているようですね。特定するのは不可能です......IQ300はダテではないですね」 当然だが、こちらの行動もある程度予測されている。 しばらく悩んだ末、ブルースが口を開いた。 「......よし、ひとまず俺がドクター・エッグマンの所に行こう。デスストロークは......シャドウ、お前に任せたい」 「当然だ。そうでもなければ僕の腹の虫がおさまらん」 ブルースの提案に間髪入れず答えたシャドウ。 味わわされた屈辱を握りこぶしにめいっぱい込めた。 その強さはペンぐらいは簡単に折れるのではないかというくらい。 「オレも行くぜシャドウ、オレだってアイツに一泡吹かせてやりたいからな!」 先ほど助太刀に入ったシルバーがシャドウの肩を軽く叩く。 少し迷ったシャドウだが、おそらく今の状態の自分では勝つことは難しいと判断し、下した。 「......好きにしろ」 「相変わらず素直じゃないねぇ」 そっぽを向きながらボソリと吐き捨てるように答えたシャドウ。 その様子を見たソニックはニヤつきながらプライドの高さを指摘した。 シルバーは笑っていたが、シャドウの顔には"だまれ"と書いてあるように見えた。 「調べたところ、爆弾の妨害電波は明日の22時半になったら自動的に解除されるはず、そうなれば位置も特定できます」 「そこで、俺の脚の出番ってワケだな」 キーボードを叩きながら調べていたアルフレッドが結果を出した。 "特定が不可能ならば、その対策を考える"......彼の行いがよい影響を及ぼした。 それを聞いたソニックが自分の脚をポンポンと軽く。ようやく特技を発揮できる。 「そうだな......世界最速の実力を見せてもらいたい」 「a piece of cake!」 品定めをするように答えたブルースに、ソニックはパチンとウインクをとばした。 こうして全員、バットケイブで夜を過ごすこととなった......。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/27-18:23..No.[95654] | ||
バットケイブにて ゴッサムシティの郊外、夜中ということもあってか人通りは全くない。 バットウィングで移動を開始して5分とたたないうちに、大きな滝が見えてきた。 一切のためらい無く、滝のど真ん中に向かうバットウィング......。 . . . 激しい水しぶきをあげて洞窟に入ってきたのはバットウィングだ。 左右の翼に乗っているソニックとシャドウ、そして浮遊して追尾してきたシルバーの3人は 滝をくぐったことによって水浸しになった。 「―――ぶはぁっ!! 滝に突っ込むんならそう言ってくれよな......」 「相変わらずだな、ソニックは」 右翼に必死にしがみつきながら訴えるソニック。身体をブルンブルンと震わせ付着した水を振り落とす。 本人の体色とは相反して水が苦手なソニックは、ただ滝をくぐっただけだというのに疲労困憊した様子だった。 そんなソニックの苦労も露知らずシルバーは若干呆れるような感じでソニックに語りかけ、 "今度泳ぎでも教えとこうか"と心中思っていた。 「ブルース様がバットケイブに客人を招くとは......明日はゴッサムに大雪でも降るのでしょうか」 大きな音を立てて着陸するバットウィングに近寄る初老の男性。3枚のタオルを持っている。 エンジンを止めると、コックピットの中からバットマンが出てきた。 コックピットからひょっこり顔を出したテイルスは不思議そうに辺りを見回す。 当然、他のハリネズミ3人も同じ反応だ。 「ここは一体......?」 3人のハリネズミは濡れた体から水を滴らせ、コツコツと鉄の足場を歩く。 後についていくようにテイルスも駆け寄る。 見回すと、僅かな数の蛍光灯、張り巡らされる鉄の足場、少し離れた場所にはいくつものパソコンのモニターや作業デスク。 何より目を引いたのが、物々しい雰囲気をかもし出す装甲車"バットモービル"。 どうやらかなり広い洞窟を人工的に改良した場所のようだ。 すると先ほどの紳士がタオルを持ちながらハリネズミ達に近寄ってきた。 「どうぞ、風邪を引きますよ」 「ど、どうも......」 アルフレッドが3枚のタオルをソニック達に渡す。 こんな薄暗い洞窟にスーツを着た紳士が居ること等、その他諸々が気になってしょうがなかったが、 タオルを受け取った者達は、代表してシルバーが軽くお礼を言った。 「昨夜はブルース様が手荒い歓迎を致したとか......私からもお詫びを申し上げます」 「"ブルース様"......?」 ソニックが疑問に思った。 アルフレッドの言葉には心当りがあるが、"ブルース"という名を耳にしたのは初めてだった。 「おや、まだお話されてなかったのですか」 「キミの役目を奪いたくなかったのでね」 アルフレッドがバットマンの方を向いて話しかける。 口を開いたバットマンは黒いカウルを脱ぐ。カウルから現れた彫りの深い顔はどうみても普通の人間...... カウルの下の素顔にソニック達は驚くというか、鳩が豆鉄砲を喰らったというか、なんともいえない表情でブルースを見ていた。 「まずは......ソニック・ザ・ヘッジホッグ。君にはお詫びをしなければならない。 ......昨夜はてっきり新手の刺客かと思ってね、手荒い歓迎をどうか許してくれ」 「あぁ.......」 手を差し伸べるバットマン。カウルを脱いだせいか口調も先ほどまでのドスのきいた声ではなく、ごく普通の人間の声だった。 日頃はいささか短気な傾向があるソニックだが、事情が事情であるので冷静そのものだ。 それに応えるようにソニックも手を伸ばし、二人は固い握手を交わした。 「自己紹介がまだだったな......およそ見当はついてるだろうが、俺が"バットマン"その者だ。 本名は"ブルース・ウェイン"」 「オレもだぜ、"ソニック・ザ・ヘッジホッグ"だ!」 親指を立ててブルースに笑顔を見せたソニック。どうやらわだかまりが消えたようだ。 「シャドウ・ザ・ヘッジホッグだ」 「俺はシルバー・ザ・ヘッジホッグ、よろしく!」 「ボクはマイルス・パウワー、"テイルス"って呼んでね!」 「ああ、よろしく」 続くようにシャドウ、シルバー、テイルスが挨拶をする。 各々は同じようにブルースと握手を交わす。 「彼はアルフレッド。ここで俺のサポートをしてくれている」 ブルースがアルフレッドの方を向いて紹介した。 指摘されたアルフレッドはソニック達の方を向いて深々とお辞儀をした。 「よろしくお願いします。皆様、お好みはなんでしょうか?」 「お好み?」 不意に投げかけられた質問に皆はキョトンとする。 「コーヒーのことですよ。種種雑多な状況ですが、まずは気持ちを落ち着かせることが大事です。お淹れ致しましょう」 夜分に何ですが、と付け加えるアルフレッド。 「......僕はブラックがいいかな」 「オレは、まかせるぜ!」 「ボクはカフェオレでお願い!」 「じゃ、じゃあ俺もカフェオレで......」 シャドウ、ソニック、テイルスが注文をする。 最後にシルバーがテイルスに続くように恥ずかしそうに苦笑し、挙手しながら答えた。どうやら甘党のようだ。 「皆さん色も異なれば、好みも異なるというワケですね、かしこまりました。ブルース様はいつものでよろしいでしょうか?」 「ああ、ありがとう」 アルフレッドが微笑みながら皆の注文を承った。もちろん、主であるブルースの注文も忘れない。 ブルースは彼の心配りに軽く礼を言った。 「本題に入らせてもうおうか......バットマン、"デスストローク"とは何者だ?」 ひと通りの自己紹介が終えたところで、シャドウが向き直ってブルースに問いかけた。 「......彼の本名は"スレイド・ウィルソン"。元々は敏腕な傭兵だったのだが、 アメリカ軍の極秘実験によって驚異的な身体能力を得た人間だ」 ブルースが説明をする。"アメリカ軍"や"極秘実験"などの単語に、シャドウ以外の者は少し驚いた様子だった。 「それ以降、ヤツは多額の金を受け取って標的を暗殺する......いわゆる"殺し屋"稼業で生計を立てている 俺が調べた情報だと、今回のターゲットはシャドウ......お前のようだ」 「そういうことか......ドクターめ、味なマネをしてくれる」 ブルースの説明にシャドウが言った。 するとアルフレッドが純銀のトレイを持ってやってきた。 その上には湯気を漂わせるコーヒーカップが5つ。 軽く礼を言いつつ、各々がそのコーヒーを受け取った。 コクのある酸味、苦味、甘味......それぞれ特徴的な芳香をほのかに漂わせていた。 「......こちらからも聞きたいのだが、デスストロークの雇い主である その"ドクター・エッグマン"という者は、お前達と何か関係があるのか?」 「あるもなにも、エッグマンは俺たちの敵なんだよ!」 ブルースが投げかけた疑問にシルバーが両手をひろげ、間髪入れず答えた。 「いつも世界征服を企んでいるんだ!その度に、ソニック達が阻止してくれるんだけど......」 「ま、"腐れ縁"ってやつさ」 シルバーからバトンタッチするように答えたテイルス。 ソニックは軽く付け加えた。 「"カオスエメラルド"という石を?」 「ああ、莫大な力を秘めていると言われている宝石のことか」 シャドウの質問にブルースは迷いなく答える。 ブルースが会得しているのは何も格闘技だけではなく、その千差万別の知識にまで及ぶ。 文学、科学、考古学......様々な分野において優れた知識を持っている彼こそが、バットマンを務められる所以でもある。 「それがドクターに奪われた。おそらくそれをエサにこの街へおびきよせ、 僕をその殺し屋に始末させるつもりなのだろう......気に食わん」 「なるほどな......」 シャドウの推理に喉をうならせるブルース。 これでドクター・エッグマンとソニック達との関連性をつかむことができた。 「バットマン、オレからも聞きたいことがある......さっき会ったピエロの事だ」 ソニックが改まってバットマンに尋ねる。 しばらく黙って、ブルースは重い口を開いた。 「......極悪な犯罪者だ。―――名前は"ジョーカー"」 ------------------- 20話ほどで終わると言っていたのですが もしかしたら30話前後になってしまうかもしれません...... | ||
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ノエル
-- 2014/02/25-23:47..No.[95647] | ||
合流 「オマエたちもこの街に来てたのか!」 ソニックが合流した二人に話しかける。 「ああ、それにしても一体何が起きたんだ、コレ......!」 シルバーが驚愕して見つめる物は既に亡骸となっている一人のチンピラ。 対してシャドウは冷静そのものだ。 「色々と......厄介事に巻き込まれてな」 遺体を見つめるソニック。 その目は先ほどの動揺の眼差しではなく、憤りにかわりつつあった。 その様子を見ていたシャドウが口を開いた。 「ソニック、"デスストローク"という奴を知ってるか?」 「デス?......イヤ、聞いたこともないな」 ソニックの返答にシャドウはフムと俯く。 「―――デスストロークに会ったのか?」 高所から低い声が聞こえてきた。その声に全員が見上げる。 するとそこにはマントを羽織った大きなコウモリが居た。 彼はマントを広げ滑空をして地面に着地し、距離をとってソニック達の方へと向いた。 「......という事はお前が"シャドウ・ザ・ヘッジホッグ"か」 「貴様、何者だ」 コウモリの男に対してシャドウは少し荒げた口調で答えた。 シルバーも警戒を示し、手をかざして緑色に光らせる。 しかし、ソニックの腕がそれを制した。 「また会えたな、バットマン」 ソニックが少し歩み寄り、腰に手をやって話しかけた。 対するバットマンは石像の如く微動だにしない。 「わざわざケリを着けに来てくれたのかい?」 「先ほどのお前の一部始終を見させてもらった。 ......どうやらお互い話すべきことがありそうだな」 そう言うとバットマンは前腕に装着してある装置を操作する。 よくは見えないが、おそらくリモートコントローラーの一種だろう。 「お前たちに案内したい所がある」 すると1分と経たないうちに、上空からジェットエンジンの音が。 その音は次第に大きくなり、耳をつんざく音にまで達した。 上を見るとビル10階分ほどの上空に戦闘機と思わしき機体が滞空している。バットウィングだ。 バットウィングは徐々に地上に近づくにつれて風圧も増してくる。ソニックたちの自慢のトゲは、台風の渦中の如くたなびいている。 地上に到着するバットウィング、するとコックピットが自動で開いた。 「ついて来てくれ」 コックピットにバットマンが乗り込むとそう言った。 ソニック達はみんな顔を合わせてうなずいた。 テイルスは助手席へ、ソニックとシャドウはそれぞれ左右の主翼に足をかけ、シルバーは超能力で浮遊した。 コックピットが閉じ、バットウィングが再び地面から離れると、ジェットエンジンを噴射して高速でゴッサムシティの暗闇へと消えていった......。 ---------------------- baseさん 画像を見てくださってありがとうございます。 ...といっても、一番近いイメージの画像を拾ってきただけですが(笑) | ||
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base
-- 2014/02/23-22:42..No.[95641] | ||
ジョーカーの姿が想像しにくいので画像を拝見しましたが、 かなりの恐怖感でしたね。 テイルスの視点からはどれほどの存在感だったのか。 そして遂にハリネズミ三人が集結。 このあとどうなるのか。 あらすじにはのってない話が始まる。そんな予感です。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/23-21:30..No.[95639] | ||
Laughter in the best medicine!(笑いこそ最大の良薬!) 「こんばんは」 足を止めるとその男はボソリとつぶやくように口を開いた。 シワだらけの紫のスーツ、紫の手袋、全身を紫で染め上げている男だ。 クセのある髪はくすんだ感じの緑色。 しかしなにより特徴的なのがその顔......。 地肌が見えないほど真っ白に化粧をした顔、その上から乱雑に塗られた黒いアイシャドー。 なにより最も目を引いたのが、耳元まで切り裂かれたような痕が残る口元だった。 耳元までに渡る真っ赤な口紅......常に笑っているように見えるその顔はこの上なく薄気味悪かった。 一目見てソニックは感じ取った。こいつはヤバい、只者ではない。 可能であれば、この男には関わりたくない。普通の人間のするような目ではない。 まるでこの世を全てを、ごっこ遊びのようにあしらう目。 チンピラ達がすくみあがって当然だ。 「―――だれだ......?」 口を開いて男に問いかけるソニック。 いざという時こそ冷静なソニックだが、今回ばかりは動揺を隠しきるので精一杯だった。 「手品を見せてやろう」 ソニックの問いかけにも応じず、男はダルそうに手をこすらせた。 言葉のキャッチボールができていないソニックは眉をひそめた。 「今からこの中のひとりが、頭痛を起こす」 男の言ってる事が理解できない。 周りには先ほどソニックに喧嘩を売ったチンピラが数人。 相変わらず恐怖におののいている様子だった。 その時だった。男はとっさにリボルバーを取り出し、引き金を引いた。 耳をつんざく銃声が鳴り響き、銃口からは煙が立ち込めていた。 反射的に伏せたが、狙いはソニックではなかった。 すると背後でドサリと地面に倒れ込む音が聞こえた。 後ろを振り向くと、なんとチンピラの一人の額に親指一つ大の黒い空間ができている。 倒れこんだチンピラの頭部から流れる血で、地面には小さな池が広がる。 そのむごたらしいチンピラの開ききったまぶたは、まばたき一つ無く、二度と閉じることもなかった。 「Ta-da!! 起こすヒマもなかったか、ハッハハハハハ!!」 両手を広げて男は大笑いする。 他のチンピラはもはや滝のような涙を流し、喉からは絶望感しか溢れない声にならない声をあげている。 ソニックは苦虫を噛み潰したような顔で男を睨みつける。 「デモンストレーションだ......オレの好きな動物とは違うが、ハリネズミも悪くはないな。 羽根をつければコウモリそっくりだ」 "コウモリ"という男の言葉にソニックはひっかかった。 「ところで、そこの黄色いチビは何でさっきから震えているんだ?」 男は顎をテイルスに向けた。指摘されたテイルスの体は飛び上がる勢いでビクついた。 小さな悲鳴を上げたテイルスの手はソニックの背中のトゲを掴んで動かさないが、その手が大きく震えているのが伝わった。 その目をみても恐怖と不安でいっぱいだということがわかる。 「ひょっとして"この傷"のせいか?......どうしてできたか知りたいか?」 真っ赤に塗りたくられた口角を上げて言う。赤い唇の隙間からは黄色い歯がちらちらと見える。 その表情だけで、不気味さが一層際立った。 テイルスは目をぎゅっとつぶって顔をソニックの背中へとうずめる。 これだけの状況で二ケタの年齢にも及ばない者が泣き出さないとは日頃の冒険の成果といったところか。 「答えろ!!お前は誰だ!!」 震えるテイルスを手で覆い、ソニックが激昂した。こんな彼をみるのも稀有だ。 今にも殴りかからんばかりの剣幕だ。 「そんなに怒るなよ。この世の最大の良薬は"笑顔"だ、もっと笑えよ」 手をひらひらと動かして煽る男。 「オレの砂場を引っ掻き回したらしいな。空回りの正義感...... 気に入ったぜ。どこかのコウモリそっくりだ」 やはり、彼と関係があるに違いない。 「近いうちにパーティに招待してやろう......お前の本性をさらけ出せるいい機会だ、楽しいぜ」 男がそう言ってその場を去ろうと踵を返した。 「......おっと、忘れてた」 思い出したようにピタリと足を止め、再びソニックの方へと向いた。 内ポケットからゴソゴソと取り出したのは1枚のカード。それを指でピンと器用に弾くと、綺麗にソニックの方へと飛んでいった。 「オレの名刺だ。よしなに頼むよ」 不意に飛ばされたカードに驚きながらも見事にキャッチしたソニック。 カードはひし型の幾何学模様のような絵柄......どうやらトランプの裏面ようだ。 めくると、そこには"JOKER"の文字が書かれてあった。 中央に描かれているジェスターのイラストが、ソニックには不気味にしか見えなかった。 ハッと気がつき、トランプから目を放し前を見ると、そこに男の姿はもうなかった。 . . . 「ハァァ〜......」 「大丈夫か?テイルス」 「うん......」 胸をおろして安堵の声をあげ、地面にへたりこむテイルスの身をソニックは案じた。 いつの間にかチンピラ達も逃げていたようだ。額を弾で突き抜かれた憐れなチンピラを除いて。 「あ、いたぞ!!おーいソニック!」 しばらくするとどこからか聞き覚えのある声が聞こえた、声の主はシルバーだ。 ソニックを呼ぶ声の主は一人だったが、そこには二人の人影があった。 二人ともソニックに非常に似ている。 「シルバー!それにシャドウ!」 テイルスが二人に声をかける。 先ほどデスストロークと一戦を交えていた二人が合流した。 そしてソニックのその一部始終を、高所から大きなコウモリが見ていた。 ----------------------- baseさん コメントありがとうございます。 そのうちまた時系列式に話が進む描写があるかもしれないので、 その時は読みにくくなるかと思いますがご了承ください。 | ||
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base
-- 2014/02/22-22:24..No.[95638] | ||
シャドウとデスストロークが戦っているときから話が進んでたんですね。 意表をつかれてしまって楽しみがまた増えました。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/22-19:14..No.[95637] | ||
笑う男 ―――時は少しさかのぼり、シャドウとデスストロークの戦闘中の出来事......。 ゴッサムシティ某所を歩く二人の人影があった。一人は身長1メートルほど、もう一人はそれよりも小さく、80センチほどだろうか。 ソニックとテイルスが夜のゴッサムを散策していた。テイルスにとっては初のゴッサムの夜である。 ここへ来た理由はひとつ、エッグマンの捜索だ。彼が今夜このゴッサムシティで計画を練っているとの情報があった。 腐れ縁ということもあり、悪事を働くエッグマンを阻止するのがソニックだと相場は決まっている。 「治安の悪い街って聞いたけど、本当にそうだね......」 年齢的にまだ子供であるテイルスはこういった場所にはあまり慣れていないのか、 ソニックの肩甲骨あたりのトゲを掴みながら後をついていった。 「はぐれるなよ、テイルス」 「ソニックがいれば大丈夫だよ!」 テイルスがにこやかにそう答える。確かに、世界最速であり何遍も世界を救っているソニックと一緒ならば これほど頼もしいものはない。テイルスは心から確信しているようだ。 それに応えるように、ソニックも口角を上げて微笑んだ。 それは"任せておけ"と言っているようにも見えた。 「オイ待てよ!!」 しばらく歩いていると、ソニックは後ろから声をかけられた。振り返るとそれはスキンヘッドの少し強面の人物だった。 「何だ?」 「"ソニック・ザ・ヘッジホッグ"だよなぁ、ヘッヘッヘ......」 この薄ら笑いを見てソニックはピンときた"ああ、またか"と。 「昨日この街でひと暴れしたらしいな、すっかり有名人だぜ」 「Thanks.サインでも欲しいか?」 スキンヘッドの言葉を軽くあしらうソニック。 彼の後ろを見てみると物陰からさらに3人、4人と人間がのそのそ歩いてきた。ナイフを持っていたり、金属バットを背負う者がいた。 「今度は俺らが有名人になってやるよ.....おう、やっちまうぜ!」 仲間を奮い立てるスキンヘッドのチンピラ。 それにこたえるように仲間も野次を飛ばす。バットを振り回したり、ナイフをくるくると回すその風貌だけは筋金入りだ。 こういった輩もいい加減飽きたのだろうか、ソニックは少し深めにため息をついた。 「しょうがない......テイルス、ちょっとそこで待っててくれ」 「うん、気をつけてねソニック」 腕を回して軽く準備運動するソニックにテイルスは注意をうながす。 当然のことながらソニックの相手にはとても及ばない。もしかしたらテイルスでも倒せてしまいそうだ。 その時だった。 「お、おいアレ......」 チンピラの一人が指をさす。ソニックに向かってさしたのかと思いきや、その震える指はソニックの奥にいた人物を指していた。 チンピラ達の顔色が一変した。 「戻ってきたのか、まさか......」 他の仲間がつぶやいた。 ソニックとテイルスは何事なのかさっぱりわからず、眉をひそめている。 「や、やっぱり本当だったんだ......アーカム・アサイラムから仮釈放されたって......!」 チンピラたち全員がどよめきだした。殺されるような悲鳴を上げる者もいた。 不思議に思ったソニックは後ろを振り返った。 誰かいる。 紫色のスーツを着ているようだが、顔は影に隠れてよく見えない。 「逃げろ......逃げるんだよ!!!」 「こ、腰が......抜けて......」 喉からかき出すような声で仲間に逃げるよう促すチンピラ、しかし腰が抜けて立ち上がることができないようだ。 全員が青ざめ、端から見てもわかるほど尋常ではない汗が溢れ出ている。 その様子を見ていたソニックとテイルスも只事じゃないと察知した。 「―――オレの砂場でクソをしてる奴がいるみたいだが......」 靴のつま先を地面に擦らせながらその男は一歩、また一歩とゆっくり歩いてくる。 チンピラ共はすでに歯をガチガチに震わせ、涙目になって地面にへたりつく。 這いつくばって必死で逃げようとする者もいた。 「なんかのジョークだよなぁ」 男は、笑っていた。 ------------------------ baseさん 毎度コメントありがとうございます。 デスストロークは実際にバットマンのキャラの中でもかなり手強い悪役なので、もっと活躍させます(笑) | ||
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base
-- 2014/02/21-22:32..No.[95635] | ||
了解しました。 それよりもあのシャドウが人間に苦戦とは… 強いですね、デスストローク。 そしてシルバーの登場。 話が動きそうですね。続き待ってます。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/21-20:51..No.[95634] | ||
シルバー・ザ・ヘッジホッグ 「シルバー......!」 シャドウに呼ばれるその人物は建物の屋上にいた。前髪を立て、後髪はオールバックのように伸ばしている。 胸はシャドウと同様に白いファーが生えており、今宵の月のように銀色に輝く体毛。 彼こそが"シルバー・ザ・ヘッジホッグ"である。 地面へと降りるシルバー、同時に全身に緑の光が帯びはじめた。 ゆっくりと地面に着地するとその光は消えた。 「援護するぜ、シャドウ!」 ドラム缶とともに吹き飛ばされたデスストロークはいつの間にか体勢を立て直していた。 シルバーは、腕輪のついたその緑に光る手をデスストロークに向ける。すると周りにあった鉄の破片やドラム缶が緑光を帯びて宙を浮かび上がる。 彼の最大の得意技である"超能力"の成せる技だ。 「邪魔はするな......と言いたいところだが、相手が相手だ」 負傷した右肩を抑えるシャドウが言う。 普段ならば他人の手助けは無用の彼からこんな口が聞けることは、デスストロークが相当の熟練者であることが伺える。 刀を静かに納め、デスストロークが口を開いた。 「......一旦おあずけだ」 予想していなかった言葉にシャドウは思わず眉を上げる。 「逃げる気か」 「俺に刃を立てられた者が面白いことを......あとで"コレ"を見ろ」 デスストロークの投げた物は放物線を描いてシャドウの方へと向かった。 それを受け取ったシャドウ。透明のパッケージの中に円盤のディスク、DVDディスクのようだ。 「......次は殺す」 そう言うとデスストロークが地面にボールのような物を投げつけた。 瞬時にあたりが煙に包まれる。 「うわっ!」 「くっ......煙玉か」 思わず目をつぶるシャドウとシルバー。 煙が晴れると、そこには誰一人と居なかった。 「シャドウ、あいつは一体?」 「......おそらくドクターが雇った者だ、僕の命を狙ってるようだ」 シルバーが問う。それに対してシャドウは、先ほどデスストロークから受け取った手元の DVDディスクを見ながら、十中八九間違いない推測で返答した。 「エッグマン絡みなら、ソニックが何か知ってるかもしれないな」 「ここにいれば、の話だがな」 シャドウはこの街まで単独で訪れた。少なくともソニックとの接触はなかった。 今回の件に関しては、ソニックは無関係だろうと考えていた。 「それが、居るみたいなんだ。さっき歩いてた不良みたいな奴らが"青いハリネズミ"がどうとか...... ピエロがどうとかも言ってたな......もしかしたら近くにいるのかも」 そんなシャドウの考えとは裏腹に、シルバーからは意表のついた答えが返ってきた。 思いがけない情報にシャドウはシルバーへ目を合わせる。 考え事をするようにうつむくと、再びシルバーへと顔を向けた。 「よし、探しにいくぞシルバー」 「ああ!」 二人はソニックの捜索を開始した。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/21-18:51..No.[95633] | ||
暗殺者と究極生命体 ゴッサムシティから日の光が消えた。 空はまるで漆黒のカーテンが覆い被さるような暗闇。今日もこの腐敗した夜の街中をチンピラ達がはびこっている。 そんなゴッサムの暗闇に溶け込むように歩く黒いハリネズミ。容姿はソニックとそっくりだが、ハネた髪の毛には赤いラインがはいっている。 彼こそが"シャドウ・ザ・ヘッジホッグ"である。 (ドクター......カオスエメラルドは返してもらうぞ) 彼がこの街に来た目的はただひとつ、奪われたカオスエメラルドの奪還だ。 数週間前、シャドウの手中にあったカオスエメラルドがエッグマンの手によって奪取された。 シャドウが所属する国家防衛軍"GUN"に取り揃えてある機密機会を用いて調べたところ、エッグマンはゴッサムシティに潜伏していることが明らかになった。 さらにはそのエッグマン自身から"ゴッサムシティへ来い"との誘い出しがあった。 もちろん挑発だとは承知の上、シャドウは単身ゴッサムシティへと足を運んでいた。 エッグマンを見つけるべく、ゴッサムを散策してから十数分が経過した。エッグマンに関わりそうな痕跡や糸口は見つからない。 散策している途中シャドウはいくらか、そこらで小競り合うチンピラや浮浪者を目の当たりにしていた。 (......この街は一度GUNで取り締まるべきだろうか......) 仕事柄シャドウは世界各地を転々とすることが多い。だがこれほど治安が悪い街を見たのはおそらく初めてだ。 GUNは世界規模ほどの大きな事件を中心に出動するのだが、これほどの治安の悪さならば下層部隊くらいは出動してくれるのではないかと、そんな事を考えていた。 するとシャドウは歩いていた足をピタリと止めた。 「......姿を現せ」 何者かにつかれている。 そう感づいたシャドウはあたりを見回すが、それらしき人物はいない。 それどころか、いつの間にか全く人気のない場所へ来てしまったようだ。 しばらく周囲をぐるりと見回すが、誰一人見つからない......。 「―――俺の気配に気づくとは、上出来だ」 その声にシャドウはすぐに顔を向けた。中層ビルの屋上からだ。見上げるとそこには一人の男がシャドウを見下ろしていた。 マスクをし、プロテクターで身を硬めた男。 気配には気づいてたものの、あのシャドウが発見できないことは滅多にない。 屋上にいた男はビルから回転しながら飛び降り、綺麗にかつ静かに地面に着地した。 「少しはできそうだな」 低い声を発した男。その顔から露出しているのは左目のみ。あとはすっぽりと"右目の無いマスク"で覆われていた。 「......何者だ、名を名乗れ」 数メートル距離をとって威嚇するように尋ねるシャドウ。 「心当たりはないか、"シャドウ・ザ・ヘッジホッグ"......」 デスストロークの口からは、初対面であるはずのシャドウの名が。 彼に心当たりがあるとすればただひとつ。 (なるほど......僕を釣ったわけか) 頭の中で冷静に憶測を組み立てるシャドウ。 こいつはおそらく暗殺者。雇った者はドクター・エッグマンに違いない。 カオスエメラルドでおびき寄せ、雇った暗殺者で自分を始末させようというハラだったか。 「カオスエメラルドはどこだ」 「さぁな、あの太った科学者に聞けばわかるだろう」 シャドウの問いに間髪いれず答えたデスストローク。 しばらく、沈黙が続いた......。 「ハァッ!!」 沈黙を破ったのはシャドウだった。蹴りを繰り出したシャドウだが、デスストロークは腕でガードした。 プロテクターで覆われた堅牢な腕は、傷どころかビクともしなかった。 そのままデスストロークは武器を取り出した。およそ1メートルくらいの鉄の棍棒だ。 「むんっ!!」 鉄棍をシャドウに向かって立ち振るが、回避された。 そのまま流れるように棒術の要領でシャドウに向かって鉄棍を振り回し続ける。 鉄棍はシャドウに当たることなく、すべて空を切る形となっているが、デスストロークが鉄棍を振り回すそのフォームは達人級といってもよい。 鉄棍を振り回し続けるデスストローク、それを華麗に回避するシャドウ。まるでサーカスの一芸のようだ。 シャドウは鉄棍の最後の一撃を手で掴んだ。掴んだ手を軸にしてデスストロークの背後にぐるりと回り込んだ。 そのままデスストロークの背中に渾身の蹴りをいれる。 「喰らえ!」 高威力の蹴りをくらったデスストロークは吹っ飛ばされたが、受け身の要領で態勢を立て直した。 (コイツは、何者だ......) 究極生命体である自分と対等に戦う、しかもその相手はどう見ても普通の人間。いささかシャドウに動揺の色が見えた。 両者とも若干息を切らせており、再び間合いをとった。 するとデスストロークが鉄棍のスイッチを押した。鉄棍の両端から更に鉄の棒が現れた。どうやら伸縮可能の鉄棍のようだ。 デスストロークの身長と同じくらいの長さになっただろうか。 これでリーチがさらに拡大し、攻撃範囲が増幅した。 「なかなか面白いオモチャじゃないか。トイザらスで買ったのか?」 息を整えながらデスストロークを煽るシャドウ。しかしその表情は真剣そのものだ。 「いや、子供には危険だ」 ゆっくりとその場で鉄棍を2、3回まわす。 するとデスストロークは目にもとまらぬ速さでシャドウを攻撃した。 「ぐぅっ!!」 腹部に直撃した鉄棍にシャドウは思わず声を漏らす。 そのまま鉄棍による打撃はやむことなく、シャドウの身体を次々と叩きつける。 4発、5発と鈍い音をたててシャドウを鉄棍が襲う。 「ガハッッ......!!」 口から血を流して地面に倒れこむシャドウ。 そこへデスストロークがゆっくりと歩み寄り、シャドウの周りを歩く。 「俺が買いかぶり過ぎたようだ。"究極生命体"だと聞いてたんだが......」 「き、貴様......ぐあ!!」 シャドウの身体を足で踏みつけて抑えこむ。 刃物を鞘から抜く音がした。デスストロークが取り出したのは日本刀だ。 おもむろにシャドウの首へと刀を滑らす......。 「あっけなかったな」 振りかぶった刀がめがけたのはシャドウの首。ここまでか、と覚悟した。 するとどこからかドラム缶が吹っ飛んできた。まるで野球ボールのど真ん中ストライクを狙ういわゆる"豪速球"のごとく。 勢い良く飛んできたドラム缶はデスストロークに命中した。 「ッ!?」 ドラム缶とともに尻もちをついて倒れるデスストローク、一体何者か。 シャドウは足で抑えこまれていた身体を持ち上げた。 「―――大丈夫か、シャドウ!」 建物の上にいたのはソニックにも、シャドウにも似た銀色のハリネズミだった。 ---------------------- baseさん エッグマンとシャドウの関係については自分の小説でも設定はあいまいです。 スイマセン...。この小説では二人はお互いに敵対しているという風に捉えていただければ幸いです。 茶狐さん コメントありがとうごさいます。 茶狐さんの小説も楽しみにしていますが、大事な受験の方に専念してください。 個人的には語彙が少ないなという感じがしますが、嬉しいお言葉ありがとうごさいます。 | ||
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茶狐
-- 2014/02/20-22:38..No.[95627] | ||
どう、悪役が絡んでくるか楽しみです。 文章力、ありますね。読みやすいです。 | ||
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base
-- 2014/02/19-22:19..No.[95432] | ||
ここへきて両サイドの悪役が出てきましたね。 ところでエッグマンはシャドウを始末してくれって言ってますけど エッグマンにとってシャドウは世界征服には邪魔な存在なのですかね? 私の小説では敵ではありますけど細かな設定はしてません(おいっ)。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/19-18:47..No.[95431] | ||
阻碍と共謀 朝日に照らされるセントラルシティ。人口植栽のヤシの木が規則的に立ち並び、住宅街が広がっている。 近辺には広大な海が広がっており、都心にいけば巨大なショッピングモールや広々とした公園まで様々な施設であふれている。 ゴッサムシティに比べると大都会とは言えないが、それでも人通りも多く、居住するには最適な街だ。 そしてセントラルシティのある一角。1階がガレージになっており、2階が居住スペースになっているいわゆる"ガレージハウス"の家がある。 淡い黄色でペイントされており、ガレージには家主が自前で制作した飛行機"サイクロン"が。 その家の外階段を上り、木製のドアをソニックが開けた。 「Hey.テイルス!」 ドアを開けてソニックが呼ぶその人物が振り返る。ソニックよりも一回り小さくて、二本の尻尾を持つ黄色い狐の少年がテイルス。 作業中だったらしく、ソニックが呼びかけるまで溶接面を着けながら、火花を散らして作業に没頭していたようだ。 「ソニック、久しぶり......って、どうしたのその傷!?」 溶接面を脱ぐとくりくりとした青い瞳がソニックを見た。すると、喜びよりも先に驚きの表情を見せた。 ソニックの体中は生傷や痛々しいアザが。慌ててソニックの方へと小走りするテイルス。 「ああ、ちょっと色々あってな......」 そう言うソニックの身体を支えながら、テイルスはソファーへと誘導した。 . . . 「ゴッサムシティ!?」 応急用具を手に持ちながらテイルスは驚いた。 それも、介抱されながら経緯を話すソニックの口からでた街の名前に驚いた様子だった。 「テイルス、知ってるのか!?」 思わず復唱するほどだったので、その反応にソニック自身も驚いた。 驚くのも当然、ゴッサムシティはここセントラルシティから遥か遠く離れた地にある。 「うん、僕が聞いた情報だと、どうやらそのゴッサムシティで今夜エッグマンが何かしようとしているらしいんだ......!」 「またあのオッサン絡みか」 テイルスがパソコンのデスクの方へ向かうと、そこにはエッグマンの情報が。 ソニックはもはや日常茶飯時のように呆れて軽いため息をつく。 「でも、ソニックの言うその"バットマン"って人は街のヒーローなんだよね?もしかして、エッグマンの事も知ってるかもしれないよ」 「ああ......それにドクター・エッグマンとなっちゃ俺たちが黙っているワケにはいかないな」 お互い顔を見合わせる。どうやら二人とも考えていることは一緒のようだ。 テイルスがソニックを憧れて以来、共に冒険をしてきた仲間。その意気投合っぷりはやはり伊達ではなかった。 「夕暮れになったらサイクロンで出動しよう!」 「そうこなくっちゃテイルス!」 テイルスの言葉に、ソニックは白い歯を見せながら親指を立てた。 . . . ―――同時刻、ゴッサムシティ某所。 立ち並ぶビルの一角。非常にこじんまりとした一室があった。 部屋には会議机やデスクトップ、ホワイトボードといくつかの椅子。しかし窓には遮光カーテンがひいてあり、昼間だというのに陽の光が一筋と当たらない。 天井には即席の電球がプラプラとぶらさがっており、その寿命が切れんとばかりに不規則に点滅していた。 ホワイトボードには黒いハリネズミの写真が貼られており、その写真の上からDead or alive(生死問わず)の文字が殴り書かれていた。 「ホーッホッホ!さすがのシャドウも、このエサには食いつかんワケがない」 気障な笑い声をあげるその主は、IQ300と自負する悪の科学者"ドクター・エッグマン"。 その名の通り卵のように丸々太った体をしており、決して素顔を見せることのない丸いサングラス。自慢の長いひげを撫でるその姿はまさに悪の天才科学者にふさわしい。 その彼の手には宝石"カオスエメラルド"がある。 「そのためにお主を雇ったのじゃからなあ、"デスストローク"よ」 エッグマンが声をかけた人物は、椅子に座り腕を組んで足をテーブルに放りだしていた。 彼こそが世界一の殺し屋と名高い"デスストローク"である。本名は"スレイド・ウィルソン"。 バットマンと同じように見るからに堅いプロテクターで身体を覆っている。 テーブルには顔をすっぽり覆う形の"右目の無いマスク"が置かれてあった。 そのため今は素顔が露わになっており、白髪で初老というどう見ても戦闘を心得ている者には見えないが、右目が失明しており黒い眼帯をつけている。 左目は捕らえた獲物を殺しにかかる猛獣のような目つき。この鋭い眼光こそ戦闘の達人たる何よりの証拠でもある。 「お主には全財産の半分をかけたのだからのう。必ずシャドウを始末してもらうぞ!」 「いい報酬にはいい仕事を、だ」 エッグマンに相槌をうつように、顔も向けず低く静かな声で返答するスレイド。 その声からもわかるとおり、極めて冷静沈着なようだ。一切の表情を変えない顔がその性格を物語っている。 「ああそれともう一つ、ワシの計算によると98%の確率でシャドウに似た青いハリネズミも今夜ゴッサムに来る。 本来なら招かれざる客なのだが、昔からの腐れ縁でのう......名を"ソニック・ザ・ヘッジホッグ"という」 「そいつもシャドウ・ザ・ヘッジホッグと同じ扱いか?」 本題に入る前に促すスレイド。腕を組んだ姿勢のまま、エッグマンの方へ少し顔を向けた。 その目は眼帯で覆われていたが、もう片方の左目はギロリと睨むように見え、エッグマンは思わず一瞬息を凝らす。 「もちろんじゃ、ヤツを始末すればさらに金を弾もうじゃないか!」 調子を合わせるようにエッグマンはニヤつきならが両手をこする。 「誰であろうと任務は必ず遂行する......金は余分に用意しておけ」 スレイドは静かに立ち上がる。こう見るとバットマンと同じく2メートルくらいはあるだろう大柄だ。 そのままテーブルにあるマスクを掴み、部屋をあとにした。 「シャドウ、そしてソニックよ......!今夜がキサマらの命日となる、今度こそ覚悟しておくがいい!ホーッホッホッホ!!」 一人狭い部屋に残ったエッグマン。その高笑いが狭い部屋にこだました。 -------------- ユランさん 皆さん忙しい時期なのでしょうか。 それぞれペースがあると思うのであまり気にせず、ゆっくり皆さんの小説を待ちましょう。 僕もいつ更新できなくなるか分かりませんが、最近暇ができたので更新頻度は上がりそうです。 こんな読みづらい小説でも、ついてってくださるだけで幸いです。 | ||
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ユラン
-- 2014/02/17-20:36..No.[95428] | ||
なんだか静かになりましたね・・・このサイト。 オリキャラの動きが気になります。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/17-19:26..No.[95427] | ||
洞窟 警察が捜索を開始してから小一時間。 あれからソニックとバットマンの痕跡は一つも見つからなった。 退却を始める警察たち。そんなゴッサムシティの上空に戦闘機のようなものが飛行する。 ジェットエンジンの噴射音をたてながらさらに郊外へと向かうバットウィング。 ゴッサムシティの郊外には滝が流れていた。 その滝のど真ん中に突っ込むバットウィング......。 ―――とある洞窟。中には無造作に鉄の足場や機械が設置されている。 据え置かれている物は一般に出回るには程遠いほどの最新機種の機械。 洞窟そのものもかなりの広さがあり、あたかも秘密基地にはもってこいだ。 中には軍事車両にも引けをとらないほどの物々しい装甲車が数台置かれてある。持ち主はこの装甲車を"バットモービル"と名称している。 その洞窟の出入口、止めどなく落ちてくる滝から大きな水しぶきを上げて入ってきたのはバットマンの専用飛行機"バットウィング"だ。 鉄製の足場に着陸したバットウィング。けたたましいエンジン音が消え、中から出てきたのはバットマンだった。 ゴツゴツと足場を歩くバットマンに一人の男性が声をかける。 「おかえりなさいませ、ブルース様」 気品のある声が洞窟内にこだました。両手を組んで出迎えた者は、白髪の初老の男性だった。 全身をプロテクターで覆うバットマンとは違い、その老人はかっちりとしたスーツにキュッと締まった蝶ネクタイ、ピカピカに見ががれた革靴という とても洞窟という場所にはそぐわない上品な服装であった。 「アルフレッド、気になる人物が現れた。」 相変わらずドスのきいた声でバットマンが話しかける人物は"アルフレッド・ペニーワース"。 彼はバットマンの補佐をたった一人で担当している。この薄暗い洞窟"バットケイブ"からバットマンの行動を見守ったり、 無線でやり取りをし助言を送り、時にはコンピューターを駆使してデータベースにアクセスしたりなど大きな活躍をしている。 「ふむ、人間というよりは獣寄りでごさいますな。動物園から脱走したのでしょうか」 「サンプルを取ってきた。これをデータベースに照合してくれ」 「あまり度が過ぎると、団体に訴えられますぞ」 アルフレッド特有の皮肉に、少し笑うようにフッと鼻で息を吐くバットマン。 バットマンの手には、先ほどのソニックとの戦闘で入手したソニックの体毛が入った試験管が。 アルフレッドはバットマンから試験管を受け取りコルク蓋を開け、青い体毛を取り出して作業に取り掛かった。 その間にバットマンは少し離れたデスクの元へ。デスクの前につくと、その威圧感のあるカウルを脱いだ。 カウルから現れた素顔......それはオールバックの黒髪で、彫りの深いハンサムな、どこにでもいそうな普通の人間の顔だった。 「照合できました。これは驚きですね......ブルース様、どうやら彼がかのソニック・ザ・ヘッジホッグのようです」 いくつものモニターで覆い尽くされているパソコンの前でキーボードの音を立てながら照合するアルフレッド。 少し驚いたような声を出した。こんな彼の声を耳にする機会はあまりない。 「"ソニック・ザ・ヘッジホッグ"......アレが......」 その言葉にバットマン、もといブルースも少し驚きの声をあげた。 カウルを脱いでいるせいか、ブルースの先程までドスのきいていた声は少し軽めの口調となっていた。 「世界最速と名高い人物のようですね。いちおうセントラルシティという街に居住しているようですが、 普段は世界各地を旅し、その旅先を拠点としている事が多いようです。」 アルフレッドが照合したデスクへと近づくブルース。パソコンの画面を見ると、どこぞで撮影された不鮮明に写るソニックの写真が数枚。 「経歴もかなりお持ちですね。一国はさることながら、この世界も何度か救ったことがあるようです。」 アルフレッドがマウスをクリックすると、パソコンの画面にソニックの全体像の図面や身体能力、さらには経歴なども記述されている。 「敵というわけではなさそうだな」 「ええ、心強い味方になってくれそうですよ」 顎に手を添えながら、ウムとうなずくブルースは口を開いた。 「さっきの戦いでも実力はかなりものだった。だが見る限り、彼の行いは正当防衛に近い節がある。 味方になってくれるかどうかは、もう少し様子を見てからにしよう」 「用意周到ですな」 冷静に判断するブルース。この判断力でもわかるとおり、単純な戦闘能力だけではなく、知力、洞察力ともに優れていることが伺える。 「スレイド・ウィルソンの方も気になるな。」 「雇った男の名はドクター・エッグマンという科学者のようです。なんでもIQ300の持ち主だとか」 ブルースは隣のモニターに目を移すとエンターキーを押した。すると画面には二人の人物が映っていた。 顔をすっぽりと覆ったマスクの男と、髭をたくわえたサングラスの男性の顔が不鮮明に。 暗い洞窟にパソコンから一際目立って放たれるブルーライトに照らされながら、2人はしばらくパソコンと向かい合っていた。 ゴッサムの夜はもう少し続きそうだが、遠い地"セントラルシティ"では夜が明けんとしていた......。 ------------------ 追記です。 バットマンの登場人物ですが、少しでもイメージしやすいようにと参照画像を転載させていただきました。 バットマンサイドの各登場人物の欄にあります。 もし著作権等に違反しているのであれば即座に削除いたします。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/14-21:34..No.[95421] | ||
初対面 プロテクターの胸部に描かれているコウモリのマーク。 その主は数メートル離れたソニックを睨みつけ、じっと構えたままである。 「お、おいアレ!バットマンじゃねえか!!」 後ろにいるチンピラの言葉にソニックはハッと表情を変えるとすぐに、"やっぱりな"と言わんばかりに含み笑いをバットマンに見せた。 バットマンは表情を変えずにソニック、さらにその奥にいるチンピラをじっと睨む。 ターゲットにされたと認識された3人のチンピラはオドオドと後ずさった。 「ヤベェよ、もう逃げたほうがいいって!!」 「そ、そうだな......!」 その場を急いで逃げようとする3人のチンピラ。 それを見たバットマンは何かの道具を素早く取り出した。来るか、とソニックもほぼ同時に構えたが バットマンがそれを投げると、ソニックの横を通り過ぎた。鮮明には見えなかったが、通り過ぎたものはおそらく3つ。 行方を追うようにソニックが後ろを振り向くと、そこには地面に倒れこむチンピラ達。 3人の身体を見ると、首筋にバットラングが突き刺さっている。完全に気を失ったようだ。 これで健在でいるのは、ソニックとバットマンのみとなった。 「―――っ!!」 飛んできたグラップネル・ガンの鉤爪を間一髪でかわすソニック。 バットマンの持つ拳銃"グラップネル・ガン"からはワイヤーが飛び出しており、その先には大きな鉤爪が付いている。 銀行強盗事件の容疑者を逆さ吊りにしたのも、先ほどサバイバルナイフを持ったチンピラを引きずったのもこのガジェットによるものだった。 「たあっ!!」 バットマンに跳びかかって蹴りを喰らわせる。 鈍い音が鳴るが、それは堅牢なプロテクターで覆われた腕でガードされた音だった。 ソニックは攻撃の手を休めずに、次々とバットマンに蹴り入れるが、全てバットマンの両手によって防がれてしまう。 するとバットマンはソニックの小さな体を瞬間的にマントで覆い、ひるませた。 「ぐっ!!、ウッ!!、うあッ!!」 ひるんだ隙をついてバットマンがパンチで殴打する。 それも一発ではなく、手を休めることなく連続で。 2メートル近くあるバットマンの大きな体から成せるパンチは一発ですら重い攻撃である。 連続でパンチを受けたソニック。バットマンの手はソニックの大きな青いトゲをむんずと掴み、そのまま壁に思い切りぶち当てた。 「ぐああっ!!」 壁に激突したソニックは、体中に生傷を負いながら息を荒らげて地面に手をついた。 「......」 無言のままバットマンは自分の手のひらを見る。そこにはソニックの長い青髪が。するとバットマンは何処からか試験官を取り出し、コルク蓋を開ける。 その中に青い髪を入れると、コルク蓋で試験官に栓をし、再び身体のどこかへと潜めた。その一連の動作の一つ一つが無駄なく素早かった。 壁に激突させたソニックの方に目を向けると、苦しげな顔を浮かべていた。 (くっ、これならどうだ......!) キッ、とバットマンを睨み、ボール状になってその場て高速回転をし始めた。 地面をこするけたたましい音をたてながら、その回転力は衰えるどころか更に勢いを増す。 淡い煙を立てて、バットマンに向かって思い切り突進した。 「......ッ!!」 あまりのスピードに見きれなかったバットマンは、ソニックのスピンアタックをまともに喰らった。 すさまじい衝撃音が鳴り響き、バットマンはそのままふっ飛ばされ、十数個のドラム缶に直撃した。 ドラム缶が崩れる音と共にホコリやら煙やらが立ち込める。ソニックは綺麗に地面に着地した。 「あんまり触んないでくれるかな?セットが大変なんだ」 先ほどバットマンによって掴まれ、くずされたトゲ、もとい髪を軽く両手で整えるソニックは、乱雑に崩れきったドラム缶に話しかける。 数秒後、大きな音とともに崩れたドラム缶の間からバットマンが現れる。乱暴にドラム缶の一つを投げ飛ばし、ソニックの方へと歩み寄る。 「......お前は何者だ?」 カウルから露出する口が動いた。 おそらくソニックが初めて耳にしたであろうバットマンの声音。 見た目どおりのドスのきいた低音で話しかけられた。 「いきなり襲ってきて名前を名乗れってか?」 「質問に答えろ」 「さあね、"ヘッジホッグマン"......かな」 それ以上は追求しないバットマン。間合いをとる2人に静寂が続く...... その静寂をかき消したのが、どこからか聞こえてきたメガホンの声だった。 『こちらゴッサム市警、バットマンと青い生物を確保した』 現れたのはの数十人の人間。全員が帽子を被りほぼ黒に近いネイビーブルーの服装である。 中にはプロテクターで身を固めている者も。 それぞれの胸にエンブレムと思わしきものが付けられている。まぎれもないゴッサム市警だ。 拳銃や自動小銃を構えた警察がバットマンとソニックを囲む。 『両手を挙げて地面に膝をつけ』 周囲では何台ものパトカーのサイレンの音が鳴り響き、赤と青のランプが点滅する。 ソニックにとってはこの上ないとばっちりだ。 ソニックは目にも留まらぬ音速で振り切ろうと頭の中で策を練り、ひとまず警察に従い両手を上げ地面にひざまずいた。 バットマンはというと、まだ両手を挙げておらず、その場で静かに佇む。 『バットマン 両手を挙げろ』 静かに両手を挙げるバットマン、ようやく警察に応じたのだろうか。 すると挙げた手から何かが地面に落ちた。テニスボールほどの黒い玉だ。 落ちた黒い玉からはスプレー缶を破裂させたような音が鳴り、モクモクと煙が立ち込めた。 『煙玉だっ!見逃すな!!』 広範囲に立ち込める煙にソニックも思わずぎゅっと目をつぶる。 視界が奪われ、周囲からは警察がむせる声や銃声が聞こえる。 煙が完全に晴れる前に、ソニックはバットマンの放った煙を利用させてもらうことにした。 『こちらゴッサム市警、バットマンと青い生物は逃走した。これより周囲を捜査する』 煙が完全に晴れると、そこにバットマンとソニックの姿はなかった。 一人の警察が軽くため息をつき、無線に向かって話しかけると警察は散り散りになってゆく。 煙を利用して音速で振り切ったソニックは、少し離れたビルの屋上からその様子を眺めていた......。 -------------------- 予定としては、この小説のボリュームはレス数でいうと20(話)前後にしようかと思っています。 このレスで5回目なのでまだ序盤です。 茶狐さん そうですね。今回でバットマンもソニックの存在を知ることになるので 果たしてお互いどう動くか...といったかんじですね。 読んでくださってありがとうごさいます。 | ||
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茶狐
-- 2014/02/11-23:08..No.[95395] | ||
ソニックはバットマンの存在を知っている みたいですね。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/09-22:44..No.[95226] | ||
Gotham Night 夕方を過ぎた頃になると、さっきまで賑わっていたゴッサムの街を歩く人はまばらになってきた。 一般的な都会の都心部ならばこれからが始まりだというにも関わらず、人通りは減っていく一方だった。 「確かに......都会でこんなに人がいないってのも、なんだか不思議だな」 ソニックが歩く場所はゴッサムの都心から若干離れた郊外。 辺りを見回すと街灯が少し灯っているくらいなので、暗さが一層際立つ。歩いている人はほとんど居ない。 ソニックにとっては初のゴッサムの夜。昼間、隣でニュースを見ていた中年男性の情報によると、夜のゴッサムは非常に危険 だから外出はご法度とのこと。しかし、好奇心の塊であるソニックにそんな言葉はナンセンスだ。 (そういえば、夜になると狼男に変身してたときもあったっけなあ......) ソニックは以前エッグマンの策によって、夜になると狼男に変身してしまう身体になったことがあった。 おまけに腕まで伸縮可能だったので、気味の悪い姿にさらに拍車をかけてしまった様な感じだったが、目つきは鋭くなり逞しい牙も生えたので なかなかワイルドで気に入っていた、なんてことも感慨深く思うのだった。 あの時寄った村の人たちはどうしてるだろうか。何より、あの時の相棒は元気にしているだろうか。 そんな思い出を馳せつつ、ゴッサムの夜空を眺め散策していた。 「っ!オイ気をつけろ!」 その時、すれ違った人間とぶつかった。見てみると、口の周りに髭を生やし、ニット帽をかぶった男だった。 くすんだ感じの赤いレザージャケットを着用し、ソニック二人分の身長はあるだろう比較的大柄な男だ。 風貌からして彼がどのような人間かはおおかた検討はつく。どこぞで道を踏み外してしまったであろう、いわゆるチンピラと呼ばれる輩だ。 「Sorry.気をつけるよ」 「人にぶつかっておいていい態度だなあ!」 軽く謝罪をするソニックだが、チンピラは首をポキポキと鳴らし睨みつける。威嚇のつもりだろうか。 こういった輩はさんざん見てきた。それこそ100、いや1000から先は数えていないくらいだ。 呆れるように見つめるソニック。あまり面倒は起こしたくないので、無視してその場を離れようとした。 「おい、アイツもしかして......」 仲間らしき1人が、ソニックとぶつかったチンピラに耳打ちをする。 「......ホントか。オイ待てよ!」 ソニックが去る足を止め声のした方へ振り向くと、そこには先程の苛立った表情ではなく笑みを浮かべていた。 しかし、昼間の人間が見せていたような柔和な笑顔ではなく、なにか謀っているような険悪な笑みだ。 「what?」 「お前もしかしてソニック・ザ・ヘッジホッグか?」 「ああ、そうだけど。」 「ハハッ、おいオマエら聞いたか!本物のソニックさまだってよ!」 そう言うと、建物の影から人がわらわらと集まってきた。十中八九この者たちもチンピラだろう。 棍棒を持って険悪な笑みを浮かべる者もいれば、殺気をただよわせて近づいてくる者、中には器用にナイフを回す者もいた。数はおよそ十数人ほど。 「世界最速のハリネズミさんにゴッサム流の挨拶で歓迎してやろうぜ」 「......さっさと終わらせてくれるんだろうな?」 「もちろん、気づいたら朝になってるぜ!」 "おう、やっちまえ!"などと野次を飛ばしながらチンピラ達が近づいてくる。 ソニックはやれやれと軽いため息をついた。 襲いかかるチンピラに華麗な足さばきで回避する。 ボール状になって跳躍しては、チンピラ共に見事スピンアタックや蹴りを決める。 無論、ソニックにとっては戦闘でも喧嘩でもなく、ウォーミングアップ程度にしか考えていない。 「ぐっ......!このやろう!!」 「よっと!」 サバイバルナイフで斬りかかってくるチンピラ。 タイミングを合わせて回避する。 「ガハッ......!!」 「クソ!こいつ強ぇぞ!」 「お前らが弱すぎるだけだろ」 チンピラの攻撃を見切り、綺麗にカウンター攻撃を仕掛けるソニック。 ソニックを取り囲んでいたチンピラの数は明らかに減り、残りは3人ほどとなった。 すると影からヌッと現れたチンピラ、その手にはサバイバルナイフを所持している。眼前にはソニックの背中が。 「ヘヘ......」 チャンスと言わんばかりにサバイバルナイフをソニックの背中に向け、斬りかかろうとした。 その時、チンピラの足にワイヤーのような物が巻き付いてきた。 「うっ!?うわあぁぁ!!」 悲鳴の方へとソニックがうしろを振り向く。 一瞬だけ目に入ったのは、影の中に引きずられていくチンピラだったが、既に誰もいない。 地面にはサバイバルナイフが虚しく置き去りにされていた。 「誰だ!!」 ソニックの問いにこたえるように影から現れたのは黒づくめの男。 黒といっても背広や黒のコートのような柔らかな素材ではない。 まるで装甲のように体をガチガチに堅めた、厳ついプロテクターである。 頭部は口周りのみを露出させたカウル。 歩くたびに静かに揺れる漆黒のマント。 男は堅い表情のまま、おもむろにソニック歩み寄る。数メートルほど距離をとってその足を止めた。 その姿を見たソニックは口で少し息をし、鼻で吐いて息を整えた。 「......意外と早くお目にかかれたかな」 珍しく低音で話しかけるソニック。 プロテクターの胸部に描かれているコウモリのマークを見てソニックはすぐに合点がいった。 | ||
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base
-- 2014/02/09-01:01..No.[95176] | ||
よろしくお願いします。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/09-00:55..No.[95175] | ||
Hedgehog In Gotham 「ずいぶん遠くまで来たなぁ......」 ポロリとひとり言を漏らすその人物。身長は1mほど、身体のほとんどが青い体毛で覆われており、大きな目に緑の瞳。 ピンとはねた青い耳にサンタクロースカラーの大きな靴。そしてなんといってもハリネズミのように鋭くはねた大きな毛髪が見栄えする。 とても人間には見えないが、彼こそが知る人ぞ知る"ソニック・ザ・ヘッジホッグ"である。 彼の特技は、その脚力を活かして走る速さである。それはF1はさることながら、戦闘機と肩を並べんとするほどの音速で走ることができる。 彼はその自慢の足を使い、こうして様々な国や文化に触れることを何よりの楽しみとしている。 そうして今日もやってきたのがこの"ゴッサムシティ"。折しも本日は快晴、ここでは一体どのような出来事があるのか心待ちにしているソニックであった。 彼は一息つこうと、売店にある食べ物を注文する。細長いバンズに切れ目が入っており、その中にはアツアツのソーセージが挟まっている。 辛口のケチャップがふんだんにかかっており、食欲をそそる彩りに思わずソニックは舌をなめずる。大好物のチリドッグだ。 各地のチリドッグに舌鼓を打つのも彼の旅の醍醐味である。 「ん?」 大きな手でチリドッグを頬張りながらゴッサムの都心を歩いていると、少々興味深いものが目に入った。 見つめる先は大型モニターだが、ソニックはその中のものに目が入った。 『.........次のニュースです、またもや彼の快挙です。今日未明、11人の覆面をかぶった強盗がゴッサム・マーチャント・バンクに侵入しました。 警察側によりますと、この事件を解決したのはコウモリのコスチュームを着た"バットマン"である可能性が高いと発表しました。』 高層ビルに備え付けてある大型モニター。その中の映像には、マントを羽織った人間のような物が不鮮明に写っている写真があり、 その下には大きなテロップで『バットマン、銀行強盗を撃退』の文字が。 気づくとソニックの周りには人だかりが。ザワザワと騒ぎはじめ「さすがバットマン!」、「警察にはできないだろうな...」などというバットマンを賞賛する声が多く上がっていた。 「excuse me! なあ、このニュースのやつ何者だ?」 辛口ケチャップの付いた口からは滑舌のよい英語が。 そのままソニックは、一緒にニュースを見ていた近くの中年男性に声をかけ尋ねた。 「アンタ、この辺の人じゃないのかい?彼は"バットマン"と呼ばれている男でな。 この街で起こる事件を警察よりも素早く対処し、悪いヤツらをやっつけてくれるゴッサムのヒーローさ!」 誇らしげに語る中年の男性。どうやらこの街の人間はバットマンを知らない者はいないようだ。 「へぇ〜......」 若干興味を持ったようにソニックが相槌を打つと、男性が話を続ける。 「だけど、彼の正体を見たものはまだひとりもいないんだ。なんたって夜にしか現れないからな。」 「夜になれば会えるのか......オレも見てみたいな!」 中年男性の話を聞いて更に好奇心に火がついたソニック。 しかし彼は、ソニックの言葉を聞いてバツが悪そうに話した。 それも、先ほどのバットマンについて語るような語気ではく、音量を落として少々控えめに。 「そうなんだが......夜にこの街を歩き回るのはご法度だぞ」 「Why?」 ソニックが理由を尋ねると中年男性が大型モニターを見て話した。 モニターの画面には銀行強盗事件の屋内で倒れてたり、屋上で逆さ吊りにされ気絶している容疑者の映像が映っている。 「このニュースを見ても分かるとおり、この街は夜になると犯罪者が痺れを切らせて暴動や犯罪行為に走るんだ。 だからこの街で夜出歩く奴は、金を獲られたいか、命を獲られたいかどっちかだな。」 ゾッとしないねェ、などと思うソニック。しかしそうと聞いてはますます自分の好奇心は抑えられそうにない。 ソニックは早速今夜にでもバットマンを一目見ようと腹に決め、残り4分の1ほどのチリドッグを口におさめた。 「ところで......アンタはアレか?"ヘッジホッグマン"とでも呼ばれているのかい」 「ソニックだ!」 この辺りでソニックのような者は大変珍しいのか、中年男性はその場の思いつきでバットマンにたとえてソニックの名前を当ててみた。 笑いながらジョークをかます中年男性に若干眉をひそめつつもソニックは自分の名を名乗った。 再び大型モニターに目をうつすと、そこにはバンに突き刺さっているバットラングの映像が映っていた......。 ------------------ 茶狐さん 初めまして、コメントありがとうございます。 実はこの小説を書く動機となったのが、バットマンの魅力を少しでも広めたいという思いなので 少しでもいい小説に近づけたいと思います。 baseさん 初めまして、コメントありがとうございます。 ...というより、まさかこんなに読んで下さってる方がいるとは思いませんでした(笑) 僕も"ダークナイト"という映画がきっかけでバットマンにハマったので、 お暇な時にでも観てみてはいかがでしょうか?僕の小説よりもずっと面白いです。 もちろん、baseさんや茶狐さんの小説も拝見させていただきます。 コメントなども後日お送りします。 | ||
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base
-- 2014/02/08-23:34..No.[95174] | ||
初めましてノエルさん。 baseという者です。 私もバットマンについてはよくわかりません。 ですがこの小説、何が起こるのか分からないところがいいです。 続き待っています。 それとよかったら私の小説も読んでください。 | ||
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茶狐
-- 2014/02/08-22:30..No.[95172] | ||
ノエルさん、初めまして。 茶狐と申すものです。 面白い展開ですね。私はあまりバットマンを見たことがない のですがワクワクします。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/07-22:42..No.[95167] | ||
Caped Crusader(ケープを纏った十字軍騎士) 「――――――うわぁ!!」 満面の笑みは一瞬にして消え、全員がピタリと足を止めた。 悲鳴があった方へ近づくと、仲間の一人が床に仰向けに倒れている。完全に気を失っている。 「なんだこれ、まさか......!」 おそらく全員が同じ想像をしているだろう、"コウモリの怪人"の仕業だと。 想像していた矢先に、一人の覆面の男の背後に黒い物体が舞い降りた。 「うおっ!!なんだこいッ―――」 再び悲鳴。今度は別の場所から。全員が悲鳴があった方へ近づくと、また一人。 同じように気を失っている。 「ち......ちくしょう!誰だ!!どこにいる!?」 覆面で顔を覆ってはいるが、顔をあわせると明らかに青ざめている者もいる。 自動小銃を構える腕は他の者から見てもわかるほど震えている。 その様子を、建物の上部から一人の男が見下ろす......まるでコウモリのように。 . . . 「おい、金はどうなった?誰か応答しろ!」 赤外線センサーを解除した屋上にいる覆面強盗。建物内部で聞こえてくる銃声や叫び声に只ならぬ事態を感じ、通信機で仲間に問いただす。 だが、返ってくるのは無線の雑音だけ。 先ほどバンの中で話していた"都市伝説"のことが頭をよぎり、慌てて荷物をカバンの中にしまう。 「くそっ!俺だけでもズラかってやる!!」 急いでロープで屋上から地上まで降り、止めてあるバンまで向かう。 セルモーターを回し、無事にエンジンが始動した。そのまま車で逃げようとした時だった。 「っ!?」 ボンネットから金属音が。鉄に何かが突き刺さったような音が聞こえた。 覆面男はその音に思わず息をのんで飛び上がった。 「なんだこれは......?」 当たった物を確認すべくバンから降り、ボンネットを見ると、そこにはコウモリを抽象的にかたどったような物体がボンネットに突き刺さっていた。 突き刺さっている物体を引き抜こうと、手を触れた瞬間だった...。 「うわあぁぁぁ!?」 ワイヤーのような物に足を引っ張られ、ずるずると地面に引きずられる。 気づくと、目の前に広がるゴッサムの夜景。ただし上には夜景、下には暗闇の空が広がっている。 「た、助けて!!降ろしてくれええぇ!!!」 ゴッサム中に広がらんばかりな覆面男の悲痛な叫び声。 右足だけがワイヤーに捕まり、銀行の屋上でブラブラと逆さ吊りになる始末。 そこへ、一人の男が近づき、覆面男の右足を乱暴につかみあげる。 「お、お願いだ......命だけは!許してくれよ!!」 顔をぐしゃぐしゃにし大量の涙を額につたわせて、右足を掴んでる主に訴える男。 逆さになっている男の右足をつかんでいる者は夜空に溶け込むような黒づくめのプロテクター。漆黒のマントはゴッサムに吹く風でたなびき、 頭部は鋭く尖った耳のついたカウルで覆われている。凶悪な犯罪者を戦慄させんばかりに白光る目......。 「命はとらん。だが、許すわけにはいかない」 満月に照らされるも漆黒で覆われる彼こそ"バットマン"である。 ------------------------------ ユランさん コメントありがとうございます。 読んでいただけるだけでもありがたいです。 モチベーションが続く限り、頑張りたいとおもいます(笑) | ||
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ユラン
-- 2014/02/07-13:03..No.[95166] | ||
ノエルさん初めまして。こちらこそよろしくお願いします。 私はまだ、小説を1つも書いたことありませんが。 | ||
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ノエル
-- 2014/02/07-01:19..No.[95165] | ||
Prologue ―――夜。 「なあ...やっぱりやめにしないか?」 「何言ってんだ、この日のために完璧な計画を練ったじゃねえか。」 車通りも少ない夜中、走行するバンの中には10ほどの人数。その内の2人が会話を交わす。その者達は皆覆面で顔を覆っている。露出しているのは目と鼻と口だけ。 ここは"ゴッサム・シティ"。海に面し、巨大な港を構えており、都心には高層なビルから低い建物が立ち並ぶ。 郊外は工場地帯となっており入り組んだパイプや一際目立つ巨大なタンクなどが物々しい雰囲気をかもし出している。 一見すると、地方の者なら誰もが憧れるような大都会であり、まさに"眠らない街"の名にふさわしい。 だが、この街に進んで住みたいという者は多くはない。この街は犯罪にまみれており、夜になるとしびれを切らしたように犯罪者がはびこる。 昼間は世界に誇れると言ってもいいほどの産業であふれているが、夜になると一変、強盗や暴行が耐えない陰鬱な街と化す。 雑居ビルや裏路地にスプレー缶で書きなぐられた落書きや乱暴かつ卑猥な言葉がそれを一層物語っている。 「まさかとは思うが、お前あんな"都市伝説"を信じてるワケじゃないだろうな」 「"都市伝説"?」 ゴッサムに来たばかりの覆面のチンピラがオウム返しに聞く。 すると別のチンピラが笑いながら口を開いた。 「"バットマン"の事だろ。コウモリのような怪人が空から襲ってきて、俺たちのようなヤツはそいつに一網打尽されるってやつ。 コウモリのコスプレ野郎なんて、こっちが見てみたいくらいさ!」 別のチンピラが口を開く。 「でも...俺のダチはそいつに襲われたって言ってたんだ。ロープで逆さ吊りにされたって」 「じゃあ聞くが、お前はバットマンに襲われたことはあるのか?」 「そりゃ無いけど...じゃあ、あの"サーチライト"は?」 後ろを向き、指をさした先は、夜空に照らされるバットマンのシンボル。あのサーチライトが照らされていることは、善良な市民がバットマンに助けを求める信号でもある。 すると先ほどのチンピラが間髪入れずに答えた。 「あれはバットマンが本当にいると思わせるためにサツが造った物だ。俺たちをビビらせるために、バットマンという架空の人物を創って、 あんなサーチライト造っちまえば、まるでバットマンは本当に居るみたいだろ?」 チンピラの言い分に、他の仲間は顔をあわせつつコクリと頷いた。 「そういうことだ。いいか、"バットマン"なんてのはこの街どころか、この世にだっていやしないんだ。わかったな?」 全員が諭され"あぁ..."と納得するようにつぶやき、今まで暗鬱だった顔色も徐々に明るみが戻ってきた。 「そうだよな。本当にいたら今頃おれたち捕まってるもんな」 「ロープで逆さ吊りにされてな!」 揺れるバンの中で覆面集団たちは冗談を交わしながらゲラゲラと笑った。 そんなゴッサムシティのある場所を目指して走行しているバン。目的地の建物が見えてきた。西洋らしい石造の建造物で、およそ10階建てほどだろうか。 すでに建物内の電気は消えており、そこには"ゴッサム・マーチャント・バンク"の文字が立派にある。その建物のすぐ下のロータリーに無造作にバンを止めた。 銃声が聞こえ、大きな扉を蹴破るように乱暴に開ける音。自動小銃を構えた覆面の集団が次々に銀行へと足を踏み入れる。 外から見た通り、付いている明かりは非常口の看板と、外から漏れる月の光くらい。人は誰もいない。 「よし、赤外線はとめたぜ」 屋上にいる覆面の男が通信機で全員に伝える。特殊な機器を使って赤外線をストップさせたのだろう。 屋内にいる仲間は暗視スコープを着用し、建物内に張り巡らされている無数の赤い閃光が全て消えたことを確認した。 巧みに金庫室へ忍び込み、慣れた手つきで大量のドル札をスポーツバッグの中に滑らせるように入れていく。 「ハハッ!案外簡単だったな!」 「当分は遊べるぜ!」 パンパンに膨れ上がったスポーツバッグを背負い、覆面の下には満面の笑みを浮かべている。"嬉しい重み"とはまさにこのことだろう。 その嬉しい重みを感じながら、全員があれやこれやと使い道に無限大の想像をふくらませる。 そして全員が流れるように銀行を跡にした... | ||