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岸の友人たち3.-赤尾敏070524
・「岸信介証言録」より：
「−それにしましても、岸先生の周りには極端な国粋主義者とか、つまり極右と呼ばれる人々が力を貸してもらいたいと寄ってくることはないですか。
岸 それは非常にある。例えば赤尾敏君（一八九九-一九九〇。大日本愛国党総裁。右翼・・・）ね。彼とは長い間の知り合いですが、ときどき会いに来ますよ。・・・われわれもときどき盆と暮れぐらいは、いくらか援助しています・・・
−右翼といえば、笹川良一さん（右翼・・・戦後はＡ級戦犯。日本船舶振興会会長）とは、やはりお付き合いがありますよね。
岸 そう、笹川良一君なんかも、まぁ、右翼といわれている人だ。笹川君にいわせると、マスコミで一番評判の悪いのは、笹川と岸だと、こう私にいうんだ」（岸信介証言録；ｐ.361）。
（参考文献）
「岸信介証言録」（２００３/毎日新聞社/原彬久編）
・ところで、この赤尾敏とはどういう人物なのだろうか？私は一度演説を聞いたが、
「アカは殺せ！」と言っていた。「やらないと先にやられる」とも言っていた。
そして次のような事件に関係している。
１９６０年１０月１２日、山口二矢という17歳の少年が安保改定反対運動の指導者だった社会党委員長の浅沼稲次郎の胸を２回刺して刺殺した。
この少年は、赤尾敏の率いる大日本愛国党に１年間在籍していた。だが、刺殺事件の１ヶ月前に離党しており、警察は赤尾敏の責任を追及することはできなかった（「日本の右翼」猪野健治/2005/筑摩文庫；ｐ.215-216）。
そして、誰にそそのかされたのか、あるいは自分だけの判断だったかも、取調べ中に「自殺」したため、うやむやとなった。
念の為、「遺書」を以下に掲載する。
「七生報国 天皇陛下万才」（壁に歯磨き粉と水で、指で書いたもの）
「千早ぶる 神の御世代 とこしえに 仕えまつらん 大和男子は
園の為 たふれし人ぞ あるこそに 今の若人 育ち来たらん
しきしまの 大和男子と生まれなぱ 進まん道は 一つなりけり
皇紀二千六百二十年十月四日 山口二矢」(筆書のもの)
「大君ニ 仕エマツレル若人ハ 今モ昔モ心変ラジ
国ノ為 神州男子晴レヤカニ ホホエミ行カン 死出ノ旅路へ」
(ペン書のもの)
なお、山口二矢は自分が愛国党を離党したのは、「赤尾先生は「これ以上暴力的なことをやると入ってしまうからやるな。運動は警察に捕る事だけではない」といってました」 （供述調書）との指示に従えなかった為だと。また一緒に離党した何人かの人たちは、より過激な事をやりたくて離党したのでなく、自分と違い、言論だけで右翼活動をやろうとした為だ、とかばっている。
赤尾は事件後、次の様に語った。
「愛国党に来る若い人は、わたしの思想や批判をもっともだと思うんですよ。ところがそれが実現されない。保守党の連中は、われわれの言に耳をかさない。会ってもくれない。選挙に出れば落ちる。マスコミも、われわれの主張は取り上げない。これじゃあ、腕ずくよりしかたないじゃありませんか。蒸気機関のフタをしめて、カマをたくようなもんですよ。暴発もおこりますね」（「週刊読売」1963.08.04号）。
そしてこの刺殺事件のあとを追う様に、1961年2月１日「嶋中事件」が発生した。「中央公論社」嶋中社長宅に、少年（やはり17歳）が乱入し、ナイフで社長夫人に重傷を負わせ、居合わせた家政婦を殺害した。
「中央公論」に掲載された小説「風流夢譚」（深沢七郎・著）が天皇を冒涜しているとしたものだった。
やはり愛国党を、今度は事件前日に離党していた（「日本の右翼」猪野健治/2005/筑摩文庫；ｐ.217）。
赤尾は殺人教唆の疑いで逮捕されたが、証拠不十分として釈放された。
旧「右翼・暴力団（TP）」分野記事
旧「右翼・暴力団（TP）」分野記事目次
http://blogs.yahoo.co.jp/oyosyoka803/43248635.html
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