ウクライナ東部 停戦合意まもなく発効2月15日 5時44分
ウクライナ政府と親ロシア派の停戦合意は日本時間の15日午前7時に発効しますが、ウクライナ東部では交通の要衝デバリツェボ周辺などで停戦合意後も激しい戦闘が続き、停戦が実現するのかが焦点となっています。
ウクライナ情勢の政治的な解決を目指し、ロシアとウクライナ、それに調停役のドイツとフランスを交えた4か国の首脳会談を受けて、ウクライナ政府と親ロシア派は、現地時間の15日午前0時(日本時間の15日午前7時)からの停戦などで合意しました。
しかし、ウクライナ東部では停戦合意後も交通の要衝デバリツェボを巡って親ロシア派がウクライナ軍兵士の撤退を求めて攻勢を強めたのに対し、政府側はこれを拒否し、双方の間で激しい戦闘が続いています。
ロシアのメディアによりますと、親ロシア派は14日、時間通り停戦するよう命令を出したことを明らかにしたほか、その後ろ盾となっているロシアのプーチン大統領も経済連合を組むカザフスタンのナザルバーエフ大統領と電話会談し、停戦実現の重要性を確認したということです。
一方、ウクライナのポロシェンコ大統領は14日、アメリカのオバマ大統領やドイツとフランスの首脳と電話会談を行い、停戦合意を守ると改めて表明しましたが、「停戦が実現しない場合は一体となって国土を守る」と述べ、全土に戒厳令を導入する方針を示しています。
ウクライナ東部では去年4月に戦闘が始まってからすでに5400人以上が死亡しており、停戦が実現して犠牲者の増加を食い止めることができるかが焦点となっています。
合意文書の内容は
今回の停戦合意の文書では、ウクライナ政府軍と親ロシア派がそれぞれ守るべき異なる2つの停戦ラインが設けられ、戦闘地域に設けられる緩衝地帯の幅は、去年9月19日の停戦合意の覚書では30以上キロでしたが、今回50キロ以上に拡大されました。
また、重火器を撤去することについて、去年9月の合意では期限が設けられていませんでしたが、今回は14日以内に行うことになりました。
対立点残る
しかし、対立点は残ったままとなっています。
今回の合意では、「外国部隊を撤退させる」ことになっていますが、ウクライナや欧米がロシアから国境を越えて軍の部隊が侵入していると非難しているのに対し、ロシアは「部隊はいない」と真っ向から否定しています。
また、ウクライナ政府が東部の親ロシア派が支配する一部の地域に高度な自治権を付与するとした「特別な地位」についても明確な合意ができておらず今後交渉することになっていて、親ロシア派が新たな条件を要求する可能性も出ています。
さらに、停戦ラインについてもウクライナと親ロシア派で異なるラインを設定したことから、今後、境界線の画定を巡って紛糾する懸念も出ています。