きょうの健康 薬 安全賢明利用術「注意したいのみ合わせ」 2015.02.10


(テーマ音楽)皆さんの毎日の健康のために。
「きょうの健康」です。
今週はこちら。
今日は2日目です。
テーマは…ではまずこんな例からご覧下さい。
65歳になる太郎さん。
太郎さんは肩こりがひどく先日もA病院を受診して処方箋をもらい掛かりつけの薬局で肩こりの薬をもらいました。
その数日後今度は熱が出て咳が止まらないので肩こりとは別の病院B病院を受診したところ気管支炎と診断されました。
気管支炎の薬の処方箋をもらい同じ掛かりつけの薬局へ行ったのですが薬剤師から「先日処方した肩こりの薬とこの気管支炎の薬の組み合わせは危険です」と伝えられました。
その場で薬剤師が気管支炎を診たB病院の医師に相談し別の薬が処方される事になったんです。
よくない組み合わせのお薬にたまたまなっちゃった訳ですが同じ薬局に処方箋出した事で気が付かれてよかったですね。
そうですね。
このようによくない薬の組み合わせというのはありますので知っておきたいですよね。
今日もこの事について専門家に分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致します。
お招き致しましたのは…薬の効き方などの研究をされています。
今日はどうぞよろしくお願い致します。
では最初に太郎さんが処方されましたお薬の組み合わせ。
これはどういう事だったのかと推測されますか?この場合太郎さんのお話から推測致しますと実は肩こりのお薬はチザニジンという筋肉をリラックスさせるタイプのお薬だったのではないかと思います。
一方B病院で出た抗菌薬抗生物質ですがこれは恐らくニューキノロン系といわれる抗生物質だったと思われます。
それぞれは安全に使えるという…?そのとおりです。
これまでも何の問題もなく使っていたし肩こりのチザニジンというお薬を使わなければこのお薬も非常に安全でいいお薬なんです。
たまたまこのお薬の2つが組み合わされたっていう事が問題であったという事になります。
そういうふうに組み合わされますとどんな事が起こってしまうんですか?実はこのチザニジンというお薬は体の中で分解されて効果がなくなっていくお薬なんですがこのニューキノロン系の抗菌薬がチザニジン塩酸塩の分解を妨害してしまうために体の中で同じ量をのんでいると量が増えてしまう。
その量がなんと10倍以上増えてしまうという事になりますのでさすがに安全な薬なんですが10倍の量体の中に残るという事になりますとめまいがしたり血圧が少し下がってしまうというのみ合わせが起こってしまうという事が報告されているので今ではこの2つのお薬は一緒にのまないようにと禁忌という扱いになってます。
先ほどもご説明がありましたが念のためですがこの組み合わせだから悪かったという事ですね?そのとおりです。
一般的に言って肩こりのお薬とこのニューキノロン系の抗菌薬の組み合わせが危険という訳では決してありません。
たまたまこのお薬だったという事が問題なんです。
そのほかにも注意が必要な組み合わせがありますか?いくつか例を教えて下さい。
今のお薬は処方薬と処方薬のお薬の組み合わせでしたがこんな例もありうると思います。
例えばかぜ薬です。
かぜをひいて病院に行ってかぜ薬として解熱鎮痛薬を出して頂いたと。
熱が高いですからどうぞという事ですよね。
しかし仕事が忙しいので仕事に行ってしまってなかなか熱が下がらないなどという時にこれはたまらないという事で自分で薬局に行って市販薬をお求めになる事もあると思います。
その時にはかぜ薬総合感冒薬というようなタイプのお薬をお求めになる事が多いと思います。
しかしよく考えてみますと効き目の成分で考えますと実はこのかぜ薬総合感冒薬の中に含まれているのは解熱鎮痛薬という処方薬と成分的には似通ったお薬なんです。
そのために効果は多少強くなるかもしれませんがむしろ副作用としての胃腸障害などが前面に出てきてしまって決してこういう組み合わせを一緒にのむ事が得にならないという意味で同じ成分を持つ組み合わせのお薬を意図せずに使ってしまうという事もありうると思います。
ほかにもありますか?例えば別のタイプの組み合わせを…。
のみ合わせのお話を致しますと抗菌薬として昔からよく使われているテトラサイクリン系というお薬があります。
これ自体いい薬なんですが胃が荒れると困るという事で胃を守る胃酸を中和するタイプの水酸化アルミニウムとか水酸化マグネシウムを含むような胃を守る胃炎や潰瘍のお薬を…。
市販薬に多いんですが一緒に使いますとこの両者が反応してしまってテトラサイクリンの吸収が下がってしまう。
つまり効果が弱まってしまう。
せっかくお薬をのんでも効かなくなってしまうような例があります。
この組み合わせは効きが悪くなってしまうという事ですね。
さて私はサプリメントも使いますがサプリメントではこういうような問題は起こりにくいでしょうか?一般にサプリメントというのは天然のものも多くて安全なものなので薬とは違って安全に使える。
薬と一緒にのんでも問題ないという認識も多いと思いますが確かにそれは正しい面もあるんですが100%は正しくない。
例えばサプリメントとお薬の組み合わせで注意を行わなければならないものもあります。
例えばサプリメントの中でもセントジョーンズワート和名ではセイヨウオトギリソウというんですが天然のものから抽出した成分がサプリメントとして使われていますがこれらは薬物を分解する酵素の働きを強めてしまうので経口避妊薬ですとか不整脈のお薬ですとか免疫抑制薬などの分解を早めてしまって効果が弱まってしまうというようなタイプの組み合わせがある事が分かっています。
このサプリメントの量はどうなんでしょうか?大量にとっても大丈夫なんじゃないかと思っている方もいるかもしれませんが…。
天然のものなので安全であるという認識がありますのでご自分で量を調節してたくさんのんでしまったりという事もありがちだと思いますがサプリメントといえども効き目の成分が含まれている訳ですからやはりサプリメントの使い方をちゃんとお守りになって使うという事が重要だと思います。
用法・用量をよく見てそのとおり守るという事ですね。
薬ののみ合わせ組み合わせの話をして頂きましたが我々中高年は実は薬をのむ量どんどんどんどん薬が増えてくるんですよ。
もうちょっと減らないかな整理できないかなと思う事もありますがどうでしょう?高齢の方は特に病気をいくつか複数同時にお持ちの方も多いのでだんだんお薬の量が増えてくる傾向にあります。
いろんな調査を見ても平均5から6種類のお薬をのんでいたり患者さんによっては10種類ものお薬をいっぺんに同時に服用されている方が多いというのも事実なんです。
先ほども説明しましたようにお薬とお薬ののみ合わせですとか食品との…サプリメントとののみ合わせの事を考えると薬の量は少ない方がいいというのは事実です。
のみ間違いやのみ忘れという事も薬の量が増えると数が増えると起きてしまいがちです。
一度「減らせませんか?」と医師に相談する方がいいですね。
ある程度お薬の量が増えてきた時にはのんでるお薬をお見せになって少しお薬をまとめるですとか数を減らす事ができないかっていうのを相談してみるのも重要だと思います。
薬のよくない組み合わせのみ合わせを防ぐためには具体的にどうすればいいでしょうか?そのために一番重要なのはお薬の情報の一元化です。
ばらばらの情報ではなくて1つのところに服用されているお薬を全部情報を集めると。
太郎さんは薬局をまとめておられたようでしたね。
一つは掛かりつけ薬局それからもう一つ便利な道具としてはお薬手帳というものがあります。
よく渡されるようになりましたが…。
最近広がってきてますけれども。
内容にはどんな事が書かれるかというと…。
内容を少し画面に示していますがお薬手帳にはどんなお薬がどれだけどのように服用されているかという内容。
それからそのお薬に…。
これ患者さんに分かりやすいようにそのお薬がどんなお薬であるのか何の目的で服用されているのかという事も書いてあります。
1つだけじゃなくて全てのお薬についての情報がありますので間違いがないという事です。
これ渡されたシールを貼るような形ですが自分で書き込んでおくようなページがありますね。
そこには…?これは患者さんでなければ感じられない気付かない情報を書くところがあります。
例えばお薬を服用している時にたまたま「これは副作用ではないかな?」というように思う症状が起きる事があるかもしれません。
それはいつどのようなお薬をのんだ時にというような情報を書いておきますと次回お医者様のところに行った時に見てもらえる。
お薬との関連性を評価してもらえる。
こういう事があります。
それからお薬をのんでる時に「アレルギー症状じゃないかな?」と思うような皮膚の皮疹プツプツですね。
こういうものが出た時にも書いておくとよろしいですね。
そのほかにもここにはちょっと違いますが気付いた事。
ご自分が処方薬のほかにも服用している市販薬ですとかそれからサプリメントですとか健康食品などについてもいつどんなものを使っているかという事を書いておくとお医者さんにとっては有用な情報になると思います。
これは私自身のお薬手帳ですが3つの医療機関にかかっているんです。
3つの薬局の薬剤師の方がそれぞれ貼っていらっしゃるという事ですが1冊にまとまってるという事が大事なんですね?そうです。
情報の一元化というのが最も重要なところだと思います。
このほか薬局では紙を渡される事がございますね。
こちらにありますが薬剤情報提供書というものです。
これはお薬手帳には書ききれないような副作用の問題ですとかのみ合わせなどについてもっと詳しい情報が書いてありますので時々見返して薬についての理解を深めるという事が患者さんとしても重要なんじゃないかと思います。
お薬ののみ合わせといえば薬以外にも注意が必要なものがございましたが飲食物についてご説明して頂く事に致しましょう。
具体的な例からいきましょう。
お薬とお薬のほかにも意外ですがお薬とこれらの飲食物ですとか食品との間にも注意しなければならない組み合わせというのが知られています。
例えばここにありますアルコールです。
おつきあいなどで深酒をして帰宅されていつもの習慣なので例えば睡眠薬などをのんで床につかれるという。
…で夜中に喉が渇いて起きられてそれで暗がりを歩いてる時に…。
アルコールも中枢神経を抑制する睡眠薬もやっぱり抑制する働きを弱めるお薬ですのでその2つが相まってふらつきのような問題が起きて転倒してしまう骨折してしまうなどという事もありますのでお酒をのんだ時には睡眠薬はおやめになった方がよろしいという事になります。
ヘルシーなイメージのジュースもよくない事がありますか?グレープフルーツ。
朝食などの時に爽やかな飲料ですのでよくお使いになっておのみになってる方も多いと思うんですが実はグレープフルーツジュースというのはその中の苦みの成分がお薬を分解する酵素のあるものを全てではありませんがこの働きを弱めてしまうという作用があるために血圧を下げるお薬として使われているジヒドロピリジン系の降圧薬の一部あるものについてはその分解を妨害するために作用が強く出てしまう。
ふらついてしまったり血圧が下がり過ぎてしまったりするような例が報告されていますので注意が必要です。
納豆もありますね。
簡潔にご説明頂きましょう。
納豆は血液を固まりにくくさせるワルファリンというお薬がありますがこれを血栓症の予防や治療に使われている方がありますが納豆の中に含まれているビタミンKという成分が作用を弱めてしまうので一緒に服用すると効果が不安定になってしまって困るという事があるので注意しましょう。
こうしたお薬ののみ合わせに注意というのは自分でよく知っておかなきゃいけませんね。
そうですね。
まず第一には自分のお薬についてよく知っておく事。
覚えきれないとこは是非お薬手帳を活用して頂いてそれで常々持ち歩いて病院に行く時は必ずそれを持っていってお医者さんや薬剤師さんに見てもらうというふうにすると安全に使えると思います。
自分の使ってるお薬をよく理解して疑問があれば質問すると。
専門家にね。
そうです。
今日のお話いろいろとありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/02/10(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 薬 安全賢明利用術「注意したいのみ合わせ」[解][字]

薬と薬、薬と飲食物など、のみ合わせによっては、効果が強まったり、逆に弱まったりする場合があるので注意。注意したいのみ合わせや、危険なのみ合わせを防ぐ方法を紹介。

詳細情報
番組内容
薬と薬、薬と飲食物など、のみ合わせによっては、効果が必要以上に強まったり、逆に弱まったりする場合がある。さらに薬の組み合わせによっては、思わぬ副作用が出る場合もある。また“天然由来のもので安全”などの認識を持つ人も少なくない「サプリメント」の中には、薬と一緒にのむと薬の効果が薄れてしまう場合もあるので注意が必要。注意したいのみ合わせや、危険なのみ合わせを防ぐ方法などについて伝える。
出演者
【講師】明治薬科大学教授…越前宏俊,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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