ます。
「兵庫の陶磁」は、今月15日まで兵庫陶芸美術館で開かれています。
(梶間)わたしは草食系男子をもてはやす昨今の風潮にはなはだ疑問を感じています。
そもそも動物界では生存競争に勝てない弱者の遺伝子は淘汰されるんです。
つまり競争に負けた者は勝った者が救いの手を差し伸べないと存在できない。
社会では認められないんです。
(南雲)弱者が引き起こす犯罪。
それはしばしば無差別大量殺人となって表れることがあります。
例えばアメリカでは毎年のように学校内で銃の乱射事件が発生してますね。
代表的なものはコロラド州のコロンバイン高校で2人の少年が銃を乱射し12名の生徒と1人の教師を射殺した事件。
日本では秋葉原や荒川沖駅で起きた無差別殺傷事件などが記憶に新しいよね。
(梶間)そう。
テレビ見てくれたの?また嫌な女に映ってなかった?だったらいいけど。
あっこれから講義だからまた後で電話しますね。
それじゃあ。
(南雲)こういった大量殺人犯には共通した行動パターンがあります。
まず第一に彼らの人生はあまりうまくいってない。
そしてその原因を自分の力のなさではなく社会や学校会社などが悪いと考える傾向が強い。
そう考えた彼らは次に殺傷能力の高い武器を手に入れそしてやつらを殺害する。
(里央)今日の講義とってもためになりました。
これからも教授の講義にはがんがん参加しますから。
(里央)何か?
(南雲)相変わらず室長さんは分かりやすい。
えっ?われわれの仕事は犯罪心理学を生かして捜査に協力すること。
つまり君は僕がいないと仕事をしてると認められない。
だから君は僕を監視し分室へ連れ戻すために朝から聴きたくもない講義を聴きに来た。
君は僕に嘘をつけない。
じゃあ話は早いです。
早く分室に戻りましょう。
その前に僕の講義を聴講したご褒美。
サイン入りだ。
教授この本…絶版になってて探したんですけど見つかんなくって。
絶版!?どのくらい売れたんです?今日は気分が乗らない。
分室へは君1人で戻ってくれ。
えっもうそんな。
一緒に分室に戻ってくださいよ。
先生でなければ解決できない事件がまだたくさんあるんですから。
・
(事務員)もうすぐ警察の人が来ると思うから。
それまで誰も入れないようにって。
はい。
(事務員)うん。
あっあの何かあったんですか?
(事務員)あちらです!戻る必要なさそうだ。
(江藤)ひどいやられ方っすね。
(岩崎)めった刺しとはあのことだな。
・ご苦労さまです。
被害者は稜南大学理学部教授梶間久美48歳。
第1発見者は梶間研究室の…。
(岩崎の舌打ち)
(岩崎)何で分室がここにいるの?えっ?あっ今日はたまたま南雲教授の講義があったんで。
だったらちゃんと教授のお守りしててよ。
教授が何か?
(岩崎)捜査の邪魔。
第1発見者のとこだよ。
えっ?・
(寺西)もう一度遺体を発見したときのことを話してもらえますか。
(綾子)えっと実験室で授業だったんです。
時間を過ぎても教授がいらっしゃらなくてわたしが呼びに戻ったんですけどここにもいらっしゃらなくてトイレかなって。
そしたら…。
教授こんな所で何やってるんですか。
いやすごい数だねこれ。
同じ大学の教授なのに知らないんですか?他人の研究には興味がないんでね。
・
(ドアの開く音)
(美鈴)綾子さん大丈夫?
(美鈴)あのもう少し落ち着いてからにしてもらえませんか。
彼女もわたしもまだ何が何だか分からなくて。
(寺西)あのあなたは?あっすいません。
ここの博士研究員の平山です。
(寺西)失礼ですが平山さんはどちらにいらっしゃいましたか?実験室でずっと実験の準備を手伝ってました。
ねえねえこの本って売れてるの?去年のベストセラーです。
えっ!?シッ!
(岩崎)死因は胸腹首など合計7カ所を鋭利な刃物で刺されたことによる失血死。
(小板橋)目撃者は?
(岩崎)それがまだ1人も。
(小板橋)犯人は相当返り血を浴びてるはずなんだけどな。
(学生)見てない見てない。
(寺西)そうですかありがとうございます。
(千尋)はい!あの刑事さん?
(寺西)はい?
(千尋)ネットの書き込みのこと知ってます?えっ?
(岩崎)ドアノブはふき取られ指紋は出ませんでした。
それから被害者の右手のつめの間に犯人のものと思われる皮膚の一部が残ってました。
現在鑑定中です。
(バイブレーターの音)はいご苦労さん。
何?殺人予告!?
(寺西)ひとつきほど前からなんですけどネットの掲示板に殺人予告ともとれる書き込みが続いています。
「稜南大のキャンパスを血の海にしてやる」とか「今日こそあの女に神の裁きが下る」とか。
(リポーター)『草食系男子は淘汰される』など数々の著書でも有名な大学教授梶間久美さんがけさ稜南大学構内のトイレで遺体で発見されました。
遺体には刃物で刺されたあとが数カ所あり警視庁は殺人事件と断定して捜査を進め不審者の目撃情報を集めています。
亡くなった梶間久美さんは生命科学の研究を専門にし…。
(小柳の笑い声)よいしょ。
えっ?それ全部借りてきたんですか?ああ。
現代の若者像を遺伝子レベルから読み解く。
その発想は面白かったがこの本以降はどれも似たような内容だ。
人の能力はほとんど遺伝子で決まる。
女は競争に勝てる男の遺伝子をどうやって手に入れるか。
確かに内容が似てますよね。
しかも売らんがためのあざとさが鼻につく。
去年1年だけで13冊だぞ。
あり得ない。
フッ。
教授とは頭の出来が違うんじゃないですか。
・
(寺西)課長殺人予告した投稿者の特定ができました。
(小板橋)おし。
(寺西)小柳保25歳。
現在無職。
早速稜南大の学生課に問い合わせてみたところ理学部生命科学科に在籍したことがありました。
え〜小柳は大学を3年で中退。
コンビニ居酒屋ネットカフェなどアルバイトを転々。
1年以上続いた通販の商品発送のバイトも無断欠勤が続き1カ月前に首になってます。
しかもここ1カ月の間に小柳は何度か大学を訪れては梶間教授と接触してたようです。
(小板橋)何?
(岩崎)そのたびに被害者と口論になっていたと研究員の平山美鈴が証言しています。
・
(杉浦)よう。
面白いもの見つけたぞ。
大学正門の監視カメラに不審者発見。
ガイ者が大学に入るわずか8秒の間にまるで後を追うように入ってんだよ。
(江藤)こいつ小柳。
(杉浦)おうこれはっとけ。
(小板橋)よし。
明朝小柳保の任意同行。
(一同)はい。
(杉浦)よっしゃ。
(チャイム)
(岩崎)小柳さんおはようございます。
(チャイム)小柳さん?梶間教授殺害事件のことで話を聞かせてもらえますか。
(小柳)思ったよりも早かったですね。
(岩崎)えっ?着替えくらいさせてくださいよ。
「何をやってもダメな俺。
ゆっくり眠りたい」「夢も見ない目覚めもしない眠りへ」その傷はどうしたんだい。
事件があった日大学へは何しに行ったのかな。
おいいいかげん全部話したらどうなんだ!そしたら…。
あしたのワイドショー僕が独占できますか?「生まれたときから負け組」「あの女の一言で俺の人生は終わっていた」「あの女のせいだ。
稜南大学のガン細胞」「明日には消えてもらう」「俺は神となりワイドショーを独占する!」
(ため息)さみしいやつ。
・
(寺西)課長。
小柳が犯行を認めました。
(小板橋)落ちたか。
(寺西)ただ何か引っ掛かるんですよね。
何が?
(小柳)全部あの女のせいなんです。
僕の就職を邪魔して人生をめちゃくちゃにしたあんな女は殺した方が世の中のためになるんです!世間だってきっと認めてくれる!
(岩崎)でもよく誰にも見つからずに逃げられたね。
どこから逃げたの?
(小柳)大学の裏門から。
(岩崎)相当返り血を浴びてたはずだけども。
(小柳)上着とナイフはかばんに隠しましたから。
(岩崎)ナイフはどこにあるんだい。
捨てましたよ家の近所のどぶ川に。
(岩崎)じゃあ血の付いた服は?もういいでしょ止めて。
彼を逮捕すれば警察は間違いなく笑いものになる。
映像戻して。
はい。
僕の就職を邪魔して人生をめちゃくちゃにしたあんな女は殺した方が世の中のためになるんです!世間だってきっと認めてくれる!このときの彼の感情は明らかに怒り。
ここまでの犯行の動機を語ってる部分はおそらく本心です。
しかし…。
(岩崎)よく誰にも見つからずに逃げられたね。
ここから明らかに彼の様子が変わっています。
(岩崎)どこから逃げたの?
(小柳)大学の裏門から。
それまで拳を握っていた右手が自分の左腕を軽くなでている。
心理学ではこれを自己親密行動と呼んでいます。
自己親密行動。
われわれは子供のころ親に頭をなでてもらったり手を握ってもらったりして不安な気持ちが和らいだという経験をしている。
彼はその行為を自分自身で行って不安や緊張を和らげようとしてるんです。
(岩崎)じゃあ小柳は犯人じゃないって言うんですか?ほかにもふに落ちない点があります。
(小板橋)えっ?彼はネットで何度も犯行を予告しワイドショーを独占したいとまで言ってる。
この手の犯人は無差別殺人を犯す犯人像と共通していて自分が捕まることも覚悟の上で犯行を犯すはず。
なのに彼はなぜ犯行現場から逃げたのか。
(寺西)そこだ引っ掛かってたのは。
(小板橋)実際人殺してみたらおじけづいたってことも考えられるだろ。
だいたいやってもいない殺人自供するやつがどこにいる。
(杉浦)まあ慌てることはないでしょう。
物が出てくるまで待ちませんか?やつが捨てたというナイフがですよ供述どおりの川から出るかどうか。
しかしね杉さん。
(杉浦)誤認逮捕ともなれば課長の責任が問われますよ。
あしたはどぶさらいだ。
これではっきりすんだろ。
どうかしたんですか?君喪服持ってる?はい?何でわたしまで来なきゃいけないんですか。
被害者の同僚としては通夜くらい顔出さないと。
わたしは同僚でも何でもないです。
・
(リポーター)梶間教授とはどのような思い出をお持ちですか?先生には本当にたくさんのことを教えていただきました。
どれもいい思い出ばかりで何て感謝したらいいのか。
ホントに残念です。
心から尊敬していた教授の遺志を受け継いで研究を続けたいと思います。
(リポーター)分かりましたありがとうございます。
平山さん。
心理学科の南雲です。
ああ。
わざわざありがとうございます。
実は小柳という男のことで話を聞きたいんですが。
えっ?梶間教授が小柳と口論していたと聞いたんですがどんなことで言い合ってたのか少々気になりまして。
その話ならもうほかの刑事さんに話しましたから。
あの小柳君が何か事件と関係あるんですか?いいえまだ捜査中ですから。
重要参考人として身柄を拘束し取り調べてます。
そうですか。
教授ちょっと。
勝手に捜査情報を漏らさないでください。
それに小柳はまだ逮捕されたわけじゃないんです。
(安部)平山さん。
大丈夫?大丈夫です。
(安部)そうかよかった。
ほかの先生方は?ご案内します。
あっねえ今の方彼女のお知り合い?
(綾子)安部准教授ですよ美鈴さんの婚約者の。
婚約者?それにしてはよそよそしい。
離婚協議中の夫婦みたいだ。
こんなときにいちゃいちゃしてられないでしょ。
彼の供述どおりなら犯行の後この中庭を突っ切ってこの裏門から外へ出て…う〜ん。
まあ確かに人通りは少ないけど…。
まだかかりそうかな?何かあるんですか?大切な用を思い出した。
えっまたジャムパン?もう…。
はっ?
(岩崎)ただ今戻りました。
(杉浦)おうご苦労さん。
どうだった?
(川崎)駄目っすね。
(江藤)小柳の供述どおり捜索したんですけど黒目川高橋付近にはナイフは出ませんでした。
(岩崎)あしたはさらに範囲を拡大して…。
(小板橋)もうその必要はないよ。
(江藤)えっ?今科捜研から連絡があった。
被害者のつめに残っていた皮膚片をDNA鑑定したところ小柳が任意で提出した毛髪のDNAと一致したそうだ。
小柳の左ほおの傷。
被害者が抵抗した際に付けたんだろ。
決まりだな。
課長パソコン開いていいですか?
(小板橋)どうした?事件当日の大学の裏門の映像が向かいのコンビニの監視カメラに映ってたんです。
小柳です。
そのようだな。
それが?ちゃんと上着を着ています。
返り血を浴びた形跡も認められません。
なるほど。
でも何で被害者のつめに小柳の皮膚片が?
(岩崎)被害者と争ったものの殺しはやってないってか。
課長わたしに小柳を取り調べさせてください。
しかし取り調べなら…。
やってみなよ。
(小板橋)えっ?ありがとうございます。
あなたは殺しはやってませんね?いきなりそれかよ。
あなたは梶間教授を殺そうとして大学へ侵入し教授の跡をつけて職員用トイレに入った。
そして殺そうとしてナイフを手に教授と争った。
(梶間の叫び声)
(梶間)《誰か!》結局は殺せずに逃げ出した。
そうでしょ?違う!僕が殺したんだ!あの女に神の裁きを下してやったんだ!嘘つくな!事件の直後大学の裏門から帰っていくあなたの姿が向かいのコンビニの監視カメラに映ってたの。
そのときあなたはちゃんと上着を着ていた。
血痕も付いてなかった。
違う…。
僕が殺したんだ。
僕が。
このままで…このままだったらあなたがホントに犯人になっちゃうのよ!それでもいいの?こんなことで世間に認められるとでも本気で思ってるの!瀬川。
ねえ!瀬川!瀬川。
違う僕がやったんだ。
僕がやったんだ。
あらためて被害者梶間久美の交友関係仕事関係を洗い直してくれ。
すいません。
ぬるい。
お前が熱過ぎんだよ。
まあそこが瀬川のいいとこなんだけどさ。
でも何で嘘までついて殺人犯になりたいんだろ。
小柳は犯人を知ってるのかもしれない。
えっ?そして犯人をかばってる。
かばうって何で?それは分からない。
・
(リポーター)梶間教授とはどのような思い出をお持ちですか?
(美鈴)先生にはホントにたくさん教えていただきました。
どれもいい思い出ばかりで何て感謝したらいいのか。
そうだ借りてた本返さないと。
・
(ドアの開く音)おはようございます。
おはようございます。
あっ。
これ大変興味深く読ませていただきました。
いや〜どれも面白かった。
ベストセラーも当然です。
どうも。
いや僕も何冊か本を出してるんですけどどれも売れ行きがいまいちでして。
どうやったら売れるんだろうって。
教授。
えっ?あっあの今日は何か?あっ。
実はあなたにお知らせしておきたいことがありまして。
例の小柳という男が梶間教授殺しを自白しました。
また勝手なことを。
そうですか。
そういえば昨日偶然ニュース番組であなたのインタビュー拝見しました。
あのときのあなたは目を潤ませながら梶間教授との思い出がどれもいい思い出だったと右上を見ながらおっしゃってました。
それが何か?われわれ心理学を研究してる者の間では人は過去に経験したことを思い出すときには左上を。
未経験の出来事を創作して話すときには右上を見る傾向が強いとされています。
わたしが嘘をついたとおっしゃりたいんですか?違いますか?その理論は実証されてるんですか?まあこれは理論というよりはその傾向があるという程度のものです。
じゃあ決め付けないでください。
それともう一つ梶間教授が1年に13冊も執筆されていたというのは同業者としてどうも信じ難い。
何がおっしゃりたいんですか?ホントに全部自分で書かれたんですか?アシスタントを務めるあなたがお書きになったんじゃありませんか?いいかげんにしてください。
何の証拠もなしに失礼過ぎませんか!どうぞお帰りください。
疑ってるんですね平山美鈴を。
葬儀場で小柳を取り調べてることを知らせたとき彼女はそれほど驚かなかった。
《重要参考人として身柄を拘束し取り調べてます》《そうですか》なのに小柳が自供したと話したときの彼女の反応は?ああすごく驚いてました。
でもそれを隠そうとしていたような…。
彼女の中では小柳が取り調べを受けてることより殺しを自白したことの方がはるかに意外な驚きだった。
彼女は小柳が犯人じゃないということを知っている?・
(足音)安部先生。
はい。
心理学科の南雲と申します。
初めまして。
(安部)はあ。
何か?実はご婚約なさってる平山美鈴さんとのことについて少しお伺いできればと…。
あっ警視庁の瀬川です。
よろしいですか?
(安部)あっ。
授業があるんでなるべく手短にお願いします。
お二人は予定どおり結婚なさるんですか?
(安部)えっ?ええそのつもりですが。
お二人を通夜でお見掛けしたんですけどそのときの美鈴さんの様子がどうもおかしかったんです。
無理もないでしょう恩師が亡くなってすぐなんですから。
でもそんなときだからこそいたわり合うべきなんじゃ。
僕たちはもっと深いとこでつながってるんです。
あ〜。
あっすいませんねこの刑事さんがどうしても聞いてくれって言うもんですから。
(安部)もういいですか。
失礼します。
話すときに両手をポケットの中に入れるのは何か大事な情報を隠してる可能性がある。
大事な情報って?それを調べるのは僕の仕事じゃない。
分かってます。
(寺西)それから梶間教授のベストセラーの数々はほかの誰かに書かせてるんじゃないかって編集者の間ではもっぱらの噂だそうです。
ほかの誰かって?それはおそらく平山美鈴だと思います。
瀬川。
学務課で聞いてきたんですけど梶間教授は自分のゼミの学生だった平山美鈴を研究室に入れたそうです。
それから10年もの間彼女はずっと梶間教授の下で働いてきたんです。
ベストセラーの下書きだけじゃなくおそらくテレビや講演の原稿そして論文も。
なのに大学側が彼女を助教に推薦しても梶間教授がそれを断って助教のポストに就かせなかった。
どんなに頑張っても認めてもらえない。
その恨みが10年もの間積もりに積もったとしたら?それで梶間教授を殺したってのかい?可能性はありませんか?証拠は?そりゃ単なる君の推測だろうが。
じゃあわたしにもう一度平山美鈴を。
その平山さんから抗議が来た。
証拠もないのに犯人扱いされたってな。
えっ?とにかく後はこっちでやるから。
あの教授先生頼むから表に出さないでくれよ。
あ〜チクショー。
(杉浦のため息)
(杉浦)「自分がやった」の一点張りなんだよ。
いいですか?おう。
よいしょ。
ねえ…。
あなたの人生ってそんなに駄目だった?梶間教授をどうしても殺さなきゃならないほど駄目だったのかな?前の日の書き込みにあったよね「でもこれで理由が見つかった。
もう迷わない」あれってどういう意味?あなたには分からないって。
何が?若くて奇麗で…警視庁の刑事やってるあなたに僕たちの気持ちは絶対分からない。
何一つ認めてもらえない僕たちの気持ちなんか。
「僕たち」ってほかに誰がいるの?あなた誰をかばってるの?僕がやったんだ。
僕が…。
(ため息)どうかした?いや平山美鈴のことでちょっと気になったんだけど。
事件直後に研究室で話を聞いたとき彼女白衣を着てなかったよな?《綾子さん大丈夫?》確かに。
・
(ドアの開く音)
(美奈)あのちょっといいですか?
(寺西)どうかしました?コンビニの監視カメラの映像全部チェックしたんですけどちょっと気になることがあって。
(美奈)これ見てください。
美鈴さん?大学の裏門から出てこの店に入ってきてます。
大学は大騒ぎになってた。
そんなときにどこへ何を送ったんだ?ありがとうございます。
自分の家だ。
えっ自分ちに?あんなときにわざわざ何を送るんだ?分かんない。
きっと大事なものだったんだろうけど。
家に持って帰れないもの?あっ!・
(物音)瀬川…。
事件が起きたのは3日前。
翌日に荷物が着いて捨てたとしたら?収集はあした。
じゃあまだこの中に。
・おはようございます。
今日は何の用ですか?平山さん助教になられたそうですね。
やっと念願がかなったってわけですね。
教授の研究は誰かが続けていかなきゃいけませんから。
10年もの間ずっと梶間教授に付いてきたんですからいやホントならもっと早く助教になってもおかしくない。
ほかにも色々とご苦労なさってきたんじゃないですか?その恨みが積もりに積もっていた。
あなたたちはどうしてもわたしを犯人にしたいんですね。
違うんですか?確かにベストセラーになった本はほとんどわたしが書きました。
でもそれはわたしも納得の上です。
「最後のわら」の話ご存じですか?最後のわら?背中に限界ぎりぎりまでの重い荷物を背負い続けたラクダはたった1本のわらを積んだだけでつぶれてしまう。
その最後のわらラストストローは何だったんですか?いいかげんにしてください。
何の証拠もなしに殺人犯呼ばわりされるのは迷惑です!・証拠ならここにありますよ。
これはあなたがマンションのごみ捨て場に捨てたものですよね?
(寺西)血痕は梶間教授のものと一致しました。
あとは白衣に付いたDNAがあなたのものと一致すれば全ては証明されます。
鑑定結果が出る前にお認めになりませんか?教えてもらえませんか?あなたのラストストロー。
ずっと我慢してたんです。
「今度こそ下積みの生活から脱出できる」「一人前の研究者として認めてもらえる」そう信じて。
・
(美鈴)《待ってください》
(美鈴)《わたし先生のアシスタントを10年務めてきました》《約束ですよねわたしを助教にして本にも名前を載せてくれるって》《だから次はちゃんとするわよ》《その言葉前にも聞きました。
わたしの論文を教授が…》《あれは当然でしょ。
わたしが教えたことからあなたのあの論文が生まれたんだから》《えっでも…》
(梶間)《嫌ならやめてもいいのよ?》《あなた何か勘違いしてない?》《自分の力だけであなたの思う成功が手に入ると思ってるの?》
(美鈴)それだけじゃなかった。
《どういうことですか?》《仕方ないんじゃない?》《彼はあなたじゃ物足りないんですって》《やっぱり男も強い女の遺伝子にひかれるのね》
(美鈴)このままじゃ何もかも奪われる。
わたしの未来も全部あの人に奪われる。
そう思ったらあのとき…。
(美鈴)《うわっ…》《小柳君…》《先生…》
(梶間)《はっ早く警察に電話して》
(梶間)《ったく逆恨みもいいとこよ》
(梶間)《何してんの?》
(梶間の悲鳴)
(梶間のうめき声)わたしが…。
梶間教授を殺しました。
平山美鈴が話してくれましたあの日起こった全てのことを。
最後に1つだけ教えて。
何で最後まで彼女をかばおうとしたの?事件の前の日に見ちゃったんです。
見ちゃった?平山さんが僕と同じこと言われて教授に罵倒されるところ。
大学3年のとき僕は梶間教授から大学院へ残るよう言われてたんです。
でも僕はそれを断った。
(小柳)そのときめちゃくちゃに言われたんです。
(梶間)《あなた何か勘違いしてない?》《自分の力だけであなたの思う成功が手に入ると思ってるの?》《あなたはわたしがいないと誰にも相手にされないのよ》《淘汰されるべき負け組の遺伝子しか持ってないのよ!》
(小柳)でもそんな彼女を見て思ったんです。
「僕だけじゃなかった」「一人じゃなかったんだ」って。
それが梶間教授を殺そうとした理由?あなたにはやっぱり分からないでしょ?分からないわ。
世間から認められない孤独な人間なんて世の中にはたくさんいる。
でもねだからって人を殺そうとはしない。
小柳保。
あなたを殺人未遂の容疑で逮捕します。
(小板橋)われわれは当初から被害者と身近な人物の犯行ではないかとにらみ大学内部の人物に絞って捜査を続けてまいりました。
結果…わたしの読みどおり事件の裏には人気大学教授とそのアシスタントを務めていた教え子との…。
結局また小板橋課長の手柄になっちゃいましたね。
「真犯人を自供に追い込んだのは瀬川という美人のでかい刑事でした」そう言ってほしかった?そうじゃないですけど。
じゃあ何?小柳もそうでしたけど人ってやっぱり誰かに認めてもらいたいじゃないですか。
どうしてそう他人の評価を気にするのかな。
自分のことは自分が認めてればそれでいい。
なかなかそうは思えないですよ。
僕には理解できないけど。
だから教授の本は売れないんです。
はあ?
(ナレーション)今最も面白いひとり芸の王者を決める。
2015/02/10(火) 14:57〜15:53
関西テレビ1
CONTROL 〜犯罪心理捜査〜 #02[再][字]
「女教授殺害予告!守りたい嘘」
松下奈緒 藤木直人 横山裕 泉谷しげるほか
詳細情報
番組内容
瀬川里央(松下奈緒)は、心理学教授の南雲準(藤木直人)を迎えに稜南大学へ。講義終了後、2人は学内でテレビのコメンテーターとしても活躍している教授の梶間久美(とよた真帆)が殺害された現場に遭遇。やがて捜査課の面々も大学に到着するが、南雲はすでに第一発見者である大学院生の藤田綾子(加藤真弓)と接触を持っていた。南雲が寺西景(横山裕)と共に綾子の話を聞いていると、博士研究員の平山美鈴(田畑智子)が
番組内容2
やってきた。綾子を気遣う美鈴。捜査課では捜査会議を分室から眺めるだけの里央。梶間は鋭利な刃物で7カ所も刺されていて、犯人は相当な返り血を浴びているはずなのに目撃者が1人もいないことに捜査課の面々は首を傾げた。そんな中、1カ月前からインターネットの掲示板に梶間の殺人予告ともとれる文章が書き込まれていたことがわかった。一方、南雲は梶間が出した本を読破していた。内容が似ていることや1年間で13冊も出版
番組内容3
していることを批判する南雲の話を聞き流す里央。やがて書き込みをしていたのが小柳保(柄本佑)であることがわかり岩崎幹也(北村有起哉)と江藤真人(与座嘉秋)らが部屋に向かった。小柳はやけに素直に任意同行に応じるが、取り調べでは質問に答えようとしない。そして発した言葉は…。やがて、里央や南雲、待機していた寺西らのもとに小柳が犯行を自供したとの知らせが入った。しかし、寺西は何かが引っかかるようで…。
出演者
松下奈緒
藤木直人
横山裕
北村有起哉
臼田あさ美
佐藤二朗
与座嘉秋
奥村佳恵
*
勝村政信
泉谷しげる
ほか
原作・脚本
【脚本】
寺田敏雄
田辺満
ほか
監督・演出
【演出】
村上正典
城宝秀則
【編成企画】
鹿内植
【プロデュース】
貸川聡子
【アソシエイトプロデュース】
小椋久雄
音楽
井筒昭雄
【主題歌】
「銀河の星屑」桑田佳祐
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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