くらし☆解説「日本人殺害事件と国民の視線」 2015.02.10


生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
10時5分になりました「くらしきらり解説」きょうの担当は島田敏男解説委員です。
テーマはこちらです。
イスラム過激派組織「イスラム国」による日本人殺害事件に対する政府の対応を国民の皆さんがどう見ているかということですね。
島田⇒拘束されていた日本人2人が殺害されたとみられる事件相手が一方的に要求を突きつけてくるという展開で政府も難しい対応を迫られました。
安倍内閣の今回の事件への対応そして戦後70年の年ですので総理大臣談話の内容こういったものを国民がどう考えているのかを中心に最新のNHK世論調査を見ていきたいと思います。
まず初めに安倍内閣の支持率ですが今月はどんな変化があったんでしょうか。
先月に続いて今月も支持率がやや上向きました。
今月の調査で安倍内閣を支持すると答えた人は先月よりも4ポイント上がって54%支持しないは3ポイント下がって29%という結果でした。
安倍内閣の支持率はこれによりまして12月の衆議院選挙去年暮れの衆議院選挙を挟んで3か月連続の上昇です。
日本人殺害事件は残念な展開になりましたが事件の対応と支持率は何か関係しているんでしょうか。
あとで詳しく見ますが事件への対応が評価されたから支持率が上がったということではないようです。
経済政策への期待が強まったことが大きいです。
毎月の調査で安倍内閣の経済政策に対する評価を聞いた結果です。
去年11月ここで評価するの声よりも評価しないの声がやや上回りました。
ちょうど食料品の大幅な値上がりなどがあったときです。
しかしその後、見ますと次第に評価するが回復して政府の音頭で、経済界と労働界が2年連続の賃金引き上げを目指すと発信するようになって評価するが上がり期待感が高まってきたという格好です。
やはり収入が増えるかもしれないと期待する人が増えているということですかね。
この数字が、まさにそれを示していると思うんです。
それと比べますと今回の事件に対する政府の対応への評価は内閣支持率を引き上げるほどではなくマイナスにはならなかったといった程度でしょう。
事件に対する対応を評価するが51%、かろうじて過半数です。
評価しないという声が42%で大きな差はありません。
詳しく見ますと、与党支持者では7割近くが評価すると答えているんですが野党支持者と無党派層では評価しないが多数を占めています。
この傾向の違いはどう見たらいいんでしょうか。
与党の支持者には、2人が殺害されたとみられるのは残念だけれども政府がテロに屈しない強い姿勢を貫いたのは評価できると見る人が多いということです。
一方で野党支持者や無党派層は2人が拘束されていることを知っていて把握していながら、安倍総理大臣は中東を訪問して「イスラム国」と戦う国々を支援するという演説を行ったこれは配慮が足りなかったんじゃないかと見る人が少なくないということです。
この点の議論や検証はまだまだ続きそうですね。
今回の事件を受けて安倍総理が中東地域への人道支援を拡充すると表明しましたが、これに対しての評価はどうなんでしょうか。
全体の65%、ほぼ3分の2が評価すると答えています。
野党の支持者や無党派層でも人道支援の拡充に対しては評価するという答えが多いんです。
とりわけ与党の支持者を見ますと76%ですから、4人に3人はこの支援拡充を評価するという高い数字が出ています。
さらに安倍総理は、海外で自衛隊が日本人を救出する際に武器を使用できるようにすると発言していましたがこの点はどうなんでしょうか。
安倍総理は今の法律では自衛隊は海外の日本人を救出することに赴けてもそこで武器を使用することができない。
救出に行く先の国の政府の同意や了解がある場合には自衛隊が武器も使用できるようにすべきだという発言をしています。
これについて聞いた結果です。
武器を使って救出を行えるようにしたほうがよいが25%行えるようにしないほうがよいが33%どちらともいえないが36%と割れているんです。
野党の支持者はそうした武器の使用は、行えるようにしないほうがよいが5割近くに上っています。
これに対して与党の支持者を見ますと行えるようにしたほうがよいが35%で多いんですがどちらともいえないという答えとほぼ横並びなんです。
行えるようにしたほうがよいが決して多くないのをどう見たらいいんでしょうか。
今度の通常国会では歴代内閣ができないとしてきました集団的自衛権の行使を限定的ですが認めることを柱にしまして自衛隊の活動範囲を拡大するための法改正が大きなテーマになります。
慎重な世論の背景には議論の全体像がはっきりしないまま自衛隊の海外での活動が何でもかんでも拡大することへの警戒感といったものがうかがえます。
政府与党は慎重に扱うべきだと思います。
この事件からは離れますが、戦後70年の総理談話についても聞いていましたね。
戦後50年の際の村山総理談話のキーワードが過去の植民地支配と侵略に対する痛切な反省これがキーワードです。
このことばを踏襲するかが焦点になっています。
今月の調査では、このことばを盛り込んだほうがいいが32%盛り込まないほうがいいが19%どちらともいえないが41%という結果でした。
どちらともいえないが目立ちますね。
安倍総理は今まで使ったことばを使わなかった。
あるいは新しいことばが入ったこういうこまごました議論にならないように70年の談話として新しく出すんだという発言をしています。
この発言に対して、与野党双方から疑問や批判の声が出ています。
安倍総理は全体として過去の談話を踏襲するという姿勢なんですけれどもその中身がどうなるかによって国民の評価は大きく動きそうです。
東アジアの国々との関係にも影響する問題ですので戦後70年のことし、この総理談話の中身大きな焦点になると思います。
もう1つ、原子力発電所の再稼働についてはどうでしょうか。
これも頻繁に調査で聞いている問題です。
政府は原子力規制委員会の厳しい審査を通った原発については粛々と再稼働するという方針なんですけれども最初に鹿児島県の川内原発が再稼働する見通しになっています。
11月のところで、前の月よりも賛成、そうした政府方針に賛成するという声が上がって24%になったんですがその後は横ばいなんですね。
こういう厳しい状況のもとで再稼働を進めるには政府の責任ある説明が大切になってきます。
特にこの先、いくつぐらいの原子力発電所を動かそうとするのか。
中期的な展望を示すことが国民に判断の材料を提供するうえで大事だと思います。
最後になりますが各政党の支持率は今月はどうだったんでしょうか。
自民党41.2%これに民主党はじめ各党が続いています。
民主党は岡田代表になって少し上向いて10%のラインを再び超えました。
ただ無党派層を一気に引き寄せる力は、まだ出ていません。
4月には統一地方選挙があって各政党が党勢拡大を目指しながら足腰の強さを全国で競い合う機会になります。
国会の論戦も本格化して各政党の力量が試されますね。
「イスラム国」の事件を巡る政府の対応についての検証や自衛隊の海外派遣の拡大や武器使用についてなど、議論する論点が多くあります。
多くの国民が納得できる議論を国会の場で展開することが各党の選挙の結果にもつながってくると思います。
島田敏男解説委員でした。
次回のテーマです。
担当は三輪誠司解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/02/10(火) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「日本人殺害事件と国民の視線」[字]

NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…島田敏男,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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