(又吉)テレビ離れをしている。
これは深刻な問題ですね。
なかなか本読む機会ないですか?ないです。
ハハハッ。
そんなに?最近若者がモノを買わなくなったなんて言われていますがそれって本当?又吉さんこんな言葉を調査してみました。
皆さんあんまりお金使っていないようですねぇ。
どうしてなんでしょう?今日は経済学でその疑問に答えます。
(テーマ音楽)
(大竹)よく来るんですか?そうですね。
大竹先生と又吉さん千葉県の大型ショッピングモールを訪れました。
最新の買い物の現場では何が起こっているのでしょう?ここは吉本の劇場があるんで。
よく僕も出番があって来るんですよ。
あっそうですか。
じゃあ案内してくださいよ。
分かりました。
ただここすごい広いんでね。
ホント広いですね。
なかなかどこに何があるかが。
このショッピングモール総面積は東京ドーム3個分。
2013年にオープンしました。
娯楽施設が多く「買わない…」と言われるこの時代に新しい消費のスタイルを提案しています。
若い人は本当に買わなくなったのでしょうか?大竹先生教えてくださ〜い!若者の離れについて調べてきました。
○○離れ。
はい。
調べたんですが大体みんな離れてましたね。
アッハハッ。
街で30人に聞いた結果はこちら。
僕もちょっとつけていきましょうか。
テレビも見ます。
活字ももちろん読みます。
腕時計どうですか?腕時計が実はそのうあんまりつけないかもしれないですね。
父親の世代とかって大人になると1ついい時計を買ってというか。
仕事頑張ったら時計を買うみたいのがあったじゃないですか。
あの感覚は正直今のところ僕には無いので。
クルマ離れはもうこれは深刻ですね僕にとっては。
免許も無いですし。
東京に上京してくるときに上京資金をためるためにバイトしてたんですよ。
はい。
そこからずっとアルバイトと芸人の仕事をしてて免許を取る時間とお金が無かったんですよね。
無くても電車がどこにでも行かせてくれますしバスもありますしね。
又吉さんの○○離れはこちら。
どちらかというと高級品というか…先生。
若い人はあまり買わなくなったという事なんですかね?なんとか離れっていうのはそういうことですよね。
若い人たちが買わなくなったということは経済学で簡単に説明できるんですよ。
あっそうなんですか。
はい。
人はねそもそも…という気持ちを持ってるんですよ。
そういうのを「ライフサイクル恒常所得仮説」って言うんですけどね。
はい。
難しそうですね。
難しそうでしょ。
「ライフサイクル恒常所得仮説」。
先生何のことですか?簡単に分かりやすいようにこの積み木で説明したいんですよ。
これお札になってるんですよ。
だからこの積み木が所得だと考えてくださいね。
20代の時は少ない所得。
30代40代50代と上がっていくと。
若い時は賃金が安いので先々賃金が上がることを見越して収入を先取りしてローンを組んでクルマや家を買うと。
高度成長期のように所得が右肩上がりに増えていく場合を考えてみましょう。
若いときは将来の所得を見越して前借りする形でモノを買います。
中年になると老後のために貯金をして引退後に備えます。
何かバランスよさそうですね。
バランスよくなってこの水準で消費が決まりますよね。
はいはい。
消費の水準が一定になりました。
これが人は所得が変動しても消費の額をあまり変えない。
つまり平準化したがるというライフサイクル恒常所得仮説の考え方。
ところが今はですねこんなに所得が上がっていくってみんな思ってないじゃないですか。
そうですね。
そうなんです。
今の時代将来の収入の増加はなかなか見込めません。
年齢別賃金の上昇率を見ると以前に比べて収入のピークが下がっていることが分かります。
更に平均寿命も延びています。
こうした場合消費パターンはどうなるのでしょうか?これ難しくなってきますよね。
うん。
やっぱりこう前に持ってくるとあとが不安になりますから後ろに持っていきたいですよね。
後ろのために貯蓄。
うん。
これでもちょっと不安ですもんね。
はい。
もうひと山持っていくんですかね。
ってことはこんな感じですかね?なるほど。
所得のピークが下がったとき消費水準を完全に一定にしようとするとこのラインになります。
さっきよりちょっと減りましたよね。
段。
そうなんですよ。
だから20代の人の所得見てくださいよ。
所得は変わってないでしょう?さっきと。
だけど消費水準はやっぱりかなり減りましたよね。
将来の所得の見通しが立ちにくいため若い人たちの消費離れが起きていると説明できるのです。
やっぱりあんまり僕らの世代ってクルマとか買ってローン組もうっていう人いないですもん。
そうですよね。
又吉さんはこのブロックでやると所得のパターンってどうなっていてこれからどうなると考えてるんですか?20代はもうほとんどお金稼いでないんでまず1個ですよね。
1個あったかどうかも分からないんですけど。
ない時もありますしこうですよね。
30代で20代に比べたら全然違うと思うんで。
もっとあるんじゃないんですか?いやいや。
自分では分からないですけど20代に比べたらまあ。
で今34なんで。
希望としては30代頑張りたいという希望はありますよね。
ただここから先は僕らも分からないんですよ。
分からないけれどもまあ希望でもいいですよ。
希望やとしたらそれはもう稼ぎ続けるってことですよね。
ただ50代に入ってくると。
はい。
えっ!?もう40代は30代と一緒でいいんですか?ああなるほど。
あんまり欲が無いんですかね僕は。
そうですね。
確かに。
年齢上がってますからこれぐらいいけたらいいですよね。
50代になるとやっぱり仕事いろいろ制限されてくると思うんですよ。
僕らは体を使う仕事ですから。
そうですか?はい。
無理あまりできなくなるじゃないですか。
これぐらいでだんだん下がっていってしまうとは思うんですよ。
はい。
何歳まで働くんですか?いや〜60歳まで働きたいんですけどね。
あっそうか。
そう考えたらここは無いんや。
働かないから。
60歳までだったらここも無いですよ。
そっか。
じゃあ50代もうちょっと頑張らな…。
アハハハッ。
頑張っといてまあこんな感じになるんですかね。
なるほど。
これが又吉さんの人生。
60で辞めれないですね。
(笑い声)これちょっとだけエッセーを書いたりします。
(笑い声)これが又吉さんの所得パターン。
随分山あり谷ありですねぇ。
それでこれが又吉さんの所得パターンで消費パターンはどうなるんですか?20代のときは借金せずにこの生活水準だったんですか?僕これでも借金せずに風呂無しのアパートに住んでモノも買わずにやってたんで。
今はどうなんですか?今は貯金ちょっとはしてるんですか?貯金ですか?ほとんどしてないです。
じゃあもうこの所得のまま全部使ってると。
そうですね。
じゃあ40代になってこれ所得が増える予定じゃないですか。
どうするんですか?これさすがに70代が不安ですから。
100歳まで生きるって聞いてますよ僕。
僕そんなこと言うてました?はい。
だとしたら40代のここは頑張ってこの分をここに持ってきます。
なるほど。
でもまだ足りないじゃないですか。
80代…。
100歳まであるんですからね。
そうですよ。
はい。
だからこうですよね。
なんでそう?
(笑い声)それはないですよ。
これ駄目なんですか?はい。
じゃあもう反省して40代から改めてこれをここに持っていきます。
結構老後はかなりつつましい生活にしたいと。
そうですね。
僕はもともとアパートで住んでた時からそんなに不便やなと思ったことは無いんですよ。
はい。
そういうのをね経済学で「異時点間代替が高い人」って言うんですよね。
はい。
どういうことですか?異時点間っていう違う時点間ですね。
その時に消費水準が非常に高い時と低い時とがあっても平気だっていう。
わりと僕そうですね。
なるほど。
よく言われるんですよ。
今までよりもお金もらってるんやったらその分貯金しといたらいいのにってみんなに言われるんですけど。
僕にその発想はやっぱ無いんですよね。
なるほど。
又吉さん個人はこれでもいいと思うんですよ。
はい。
将来結婚する可能性高いじゃないですか。
そうですね。
その相手の方もこれで満足するんでしょうか?それはちょっともう聞かんかったことに。
(笑い声)この感じに慣れてしまうと普通の人は耐えられないって事ですよね。
そうですね。
そんなことを考えると…40代からですよね。
しばらくはこのままと。
これは変えない。
今すぐには変えられないですね。
変えましょうか?でも。
アハハハッ。
では若い人がモノをあまり買わなくなった今お店側はどんな工夫をしているのでしょうか?いろんな…。
いろんな種類あるんですね。
自転車。
これもカッコいいですね。
自転車にはもうかなり自信あります。
普通にこいで45分の道を25分ぐらいで行ってましたから。
あっ!「試乗車あります」って書いてありますね。
自転車乗れるんですかね。
こんにちは。
すいません。
試乗できるって書いてあったんですけど。
はい。
ああ本当ですか?よければご用意します。
いいですか?じゃあぜひ!はい。
どうぞこちらに。
へぇ〜!これ何ですか?これ「ファットバイク」って言いましてね。
雪の上とか砂浜でも走れちゃうような今ちょっとはやってるバイクです。
街なかで走ってたら「あっ又吉さんいけるんじゃない?」みたいな。
マジですか?人気者になると思います。
でも運転難しいですか?いや自転車ですからすごい簡単です。
こういうやつより…。
簡単です。
ちょっと1回これ…。
これいってみますか?はい分かりました。
じゃあ店頭の試乗コースでご案内します。
こちらのお店ではショッピングモールを散策していて何気な〜く訪れたお客さんに自転車に親しんでもらうための工夫があるんです。
それが…。
店の横に作られた試乗コースなんです。
乗れるかな。
はい。
あっこれやったら行けそうやな。
こうですよね?
(店長)はい。
ああなるほど。
試乗コースの全長は100m。
納得いくまで乗り心地を試すことができます。
又吉さん似合ってますね!ヘヘッ!わりとうまいんじゃないですか?もう1周行きます。
(店長)はい。
カーブとかやっぱこれ…スピードも出ますね。
はい。
お疲れさまでした。
いかがでした?いや乗り心地いいですね。
他にもありますけど乗ってみます?乗ってみましょうか。
じゃあ。
あらあらまあまあ。
又吉さんその気になってきちゃいました?楽しいっすねたまに乗ると。
これ1回乗ると欲しくなるっていう。
テンション上がりますね。
わあこんなんあるんですね。
こちらのショッピングモールは体験や体感を通じて時間を消費する「コト消費」を重視しています。
そのため350店舗のうち3分の1が経験型施設。
お客さんの滞在時間を増やし消費行動に結びつけようとしているのです。
いいですね。
なんかこう参加できるそういう施設というかコーナーが多いですね。
(営業部長)今モノの消費というのが…こういった体験型というところに取り入れてますね。
はい。
一日はもう余裕で遊べますよね。
いや〜先生。
試乗ついでに乗ってきてしまいました。
すごいですね。
すごいでしょう?こんなのも売ってるんですか?そうなんです。
これ試乗できていろんなモノを試せれるサービスがたくさんあるんですよ。
ここ10年ほどね教養娯楽サービスへの支出はどんどん増えてるんですよ。
例えばCDは売れてないんですけどライブに来る人は増えてるみたいなことなんですかね。
つまりね…そうなんですね。
利用経験通じて得られる効果とかそれから感動とか満足感とかといった感覚的な価値のこと。
そういう価値のことを「経験価値」って言うんですよね。
経験価値を消費するっていうことを「コト消費」っていうふうに言うんですよ。
もうひとつね「コト消費」というのが注目される理由として人っていうのは時と場合によって財布のヒモの緩み方が違うっていうのがあると思うんですよね。
ふだんとても節約している人がいるとしますよね。
その人が海外旅行へ行くとドンドン買い物してしまうというのあるじゃないですか。
ありますね。
修学旅行の時とかふだんは絶対買わないようなモノを。
なんかこういう大理石に「根性」って彫られた謎の置物を買ったりしましたよね。
よく考えると姉が買ってきてたんですよ。
姉が修学旅行で買ってきてて修学旅行行ったらあれを買うもんやと多分思ってたんでしょうね。
こういうのを経済学で「メンタルアカウンティング」と言うんですよ。
メンタルアカウンティング。
例えば100円のペンを売ってるとしますよね。
隣の店で70円で売ってる。
どっち買います?70円の方買いますよね。
70円の方行きますよね。
じゃあ2万円のスーツ売ってる。
でもうひとつのお店では19970円だったと。
はいはい。
どうします?その30円は確かにそんな気にならないかもしれないですね。
そうですよね。
だけど同じ30円なんですよね。
そうですね。
まあ考えてみたら財布に入ってしまうとお金に色は無いんで。
…っていう癖があるんですよね。
…ありますよね?今はどの家にもモノがあふれてますからね。
大抵の欲しいモノをみんな持ってるじゃないですか。
そうですね。
そのために消費は飽和しているというふうな議論もありますよね。
はい。
飽和。
そうなるとやっぱりみんなドンドン買わなくなっていくということですよね。
そうですね。
でもねここに面白いアンケートがあるんですよ。
「あなたは小型カメラが搭載された携帯電話を購入したいと思いますか?」。
これは2002年に行われたアンケート。
皆さんも13年前を思い出して考えてみてください。
これはでも結構発売される前やったら欲しいんじゃないですかね。
欲しいですか?はい。
これが結果なんですよ。
へぇ〜!半分。
購入したくない人が47%購入したい人は53%なんですよね。
現実は今全部付いてますもんね。
そうですよね。
私たちは豊かな想像力を持つ一方で目にしたことがないものに対する空想力が乏しい一面があります。
携帯電話をカメラ代わりに使う現在の姿を2002年の時点では想像できなかったことが分かるのです。
スマートフォンを大流行させたスティーブ・ジョブズはこう言っています。
「消費者は欲しいものを知らない」。
彼はね消費者っていう存在が実際に手にして使うその瞬間とあとで別人のように態度を変えるということをよく分かってたんですね。
へぇ〜!すごいハッとする言葉ですね。
お笑いにもないですか?全部そうかもしれないですね。
お客さんが望んでるモノは僕らも分かってないから。
とりあえずはもうあまり社会とか世間とかそういう流れを一切汲まずに自分が今一番これやと思うモノを出したらそれがたまにハマる。
スベることも多いけど。
スベることも多いですけど。
でも流行って意外とそうやってできるモノも多いじゃないですか。
「えっ!?こんなモノがこの時代にはやるの?」っていう。
ジョブズに憧れてる人がいっぱいいる気持ちは分かりますよね。
ウンフンフン。
こういうこと言いたいですもんね。
なるほど。
はい。
これ最初にやったら絶対ウケないですよ。
出て行ってまずこれ言ったら。
「なんやこいつ?」となりますよ。
でもジョブズが言うとなんか何を生み出してくれるんやろうというね期待感がありますよね。
多分ジョブズだってやっぱりいろいろ失敗してるんだと思いますよ。
そういう消費が飽和状態にある時というのはイノベーションですよね。
イノベーションがあって新しい商品とか新しい製品とか新しい笑いとかっていうのが出たときに消費が増えて経済も成長するということなんですね。
そういう意味で資本主義というのは常にイノベーションに支えられているというふうに言ってもいいと思うんです。
なるほど。
この指輪をいただきました。
(男性)結婚記念日に。
メモ帳とか鉛筆ボールペン。
「アナと雪の女王」の人形買ってもらって…。
お買い物ってやっぱり楽しいですよね。
2015/02/10(火) 00:00〜00:25
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「買わない時代に“何を”買う?」[字][再]
今、あなたが買いたいものは何?消費の低迷が叫ばれる中、企業はあの手この手で私たちの「購買意欲」を高めようとしている。2015年の買い物最前線を取材!
詳細情報
番組内容
ピース又吉さんが訪れたのは国内最大級のショッピングモール。そこで興味を抱いたのが「自転車の試乗コーナー」だ。商品の中で気になる自転車に乗って走ることができる特別コースが用意されているのだ。又吉さん、たまらず試乗車が買いたくなったという。今、実店舗ではこのように商品を「体験」して「買いたい」という気持ちを呼び覚ます工夫がどんどん取り入れられている。モノ消費ではなくコト消費が注目を浴びている。
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】大阪大学教授…大竹文雄,【語り】朴ろ美
ジャンル :
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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